ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

小説書き組合コミュの家康と冬将軍

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 十一月の、雪の散らつく江戸城の、天守閣の廊下に座る七十歳の家康と、二十五若い伊達藩主政宗が、高欄から、白景色の城下町を見渡していた。十一年前、関ヶ原で共に戦った。政宗は未だ戦国時の念い (おもい) が残るというものの、たまに江戸へ来て家康とゆっくり休む。
 家康が唸った。
 「さぶっ。……今年も寒くなりそうだな。」
 「はい。冬将軍ですね。」
 政宗が微笑った。家康が雪曇る空を見上げた。

 三十九年前、十二月、浜松 (静岡) の三方ヶ原 (みかたがはら) で、武田信玄との戦があった。家康八千兵に信長援軍三千兵、信玄二万五千兵、劣勢だったが策を練り、浜松城の手前近くまで来た。

 − 雪山で雪崩とは。ー
 「家康公! 何処に流された!? 家康公!!」

 − 早く戻らねば……!! −
 「く……っ、ん!?」
 雪散らつく中、勢いよく起きたら、隣に座る鎧甲の男が気付いた。男の、雪除けの、足に巻く臙脂色の布がびしょ濡れであった。家康が呻く。
 「怪我しているのに急に起きるから。……寒いな、冬将軍だ。」
 「将軍……。」
 男が気持ち良さそうに、散る雪を見る。家康が気付いた。
 「! あんた、敵国の頭の一人じゃないか!」
 「ははは。揃いも揃って頭遭難か!」
 「笑い事か!? ! 何故やらん!? 隣で敵国の頭が寝ていたというのに!?」
 「怪我人の寝込みなど襲いたくない。それに、ここは古城の跡だから。」
 家康が周りを見た。白景色の山林、積雪の静かな古城跡。
 「城、城主は素晴らしい。ずっとずっと民を守っている。民は安心して城に集い、城主はその光景が嬉しくて、更に守ろうと頑張る。この城の柱も大分使われたものだ。永年、民を守って来たんだな。」
 男が家康の将来を見た。
 「あんたもなれよ、立派な将軍に! 戦をするんじゃない、民の幸せを守る将軍に! 暗くなる前に、足動くなら早く戻れ!」
 「あんたは戻らないのか!? 将軍を目指さないのか!?」
 「……一週間前に生まれた子に託す。……っ、片足を切られ、……何処かに落とした。」
 臙脂色に大量に染まった白い布だった。


 過去達と同じ白い雪が散る。
 − 俺は民を守れているのだろうか? −
 政宗が気付く。
 「将軍?」
 「ん! いや。」

 − 『そんな将軍になれ! なったら俺があんたの城となり、ずっと見守るよ。』 −

 明日は江戸城で、民達の盛大なお祭りが行われる。

 − 『俺が冬将軍となって!』 −



読み返すとやっぱり描写少なかったです;;

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

小説書き組合 更新情報

小説書き組合のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング