ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

SFハンドブック ハヤカワ文庫コミュの「所有せざる人々」/アーシュラ・K・ル・グィン

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
アニメ映画「ゲド戦記」で一般にも知られるようになった有名なSF女性作家アーシュラ・K・ル・グィン。少し前に両性具有の人間との逃避行のSF「闇の左手」を読んで大変面白く、この作家に興味を持ちました。この「所有せざる人々」で2冊目。ヒューゴー賞、ネピュラ賞のダブルクラウン作品。

今まで古本屋で探して見つからなかったが、偶然に近くの図書館でこの絶版になった「所有せざる人々」を発見し嬉しかった。

さて、今作は単純にエンターテインメントで面白いとは言いにくい。いや面白いけど単純じゃないと言うべきか。物語はいたってシンプル(骨格はしっかりしている)でSFに良くあるアクションやドラマチックな要素は少ない。しかし何故か心に残る。とても文学的なのだ。文学的というのは物語の裏に隠されたテーマがニ重にも三重にも読み取れると言うべきか。

前回読んだ「闇の左手」のように”ジェンダー”や今作のように”資本主義と共産主義の対比””ユートピア論”のように割と身近な社会問題をSFの物語の中に落とし込んでいて面白い。


物語は、ある恒星に二重惑星がめぐっている。ひとつの惑星は長い歴史があり文明豊かなウラス、もうひとつの惑星は歴史が浅くウラスから植民された荒涼としたアナレス。そのアナレスから一人の物理学者シェヴェックがウラスへ旅立った。彼はやがて宇宙を一つにする”一般時間理論”を完成させるために。物語はまるで共産主義や社会主義のようにすべてのものを共有するという世界(アナレス)からなんでも物が溢れている資本主義のような星(ウラス)へ来た男の驚きと失望を描いている。現在のウラスでの生活と過去のアナレスの生活が交互に同時進行で描かれて対比が鮮明に浮かび上がってくる。

まだまだ深く読み取れないが、単なる政治主義の対比だけでなく、物を所有することで不自由になるか物を所有せず自由になるかというテーマもなかなか考えさせられた。

主人公のシェヴェックが天才的な物理学者だが素朴な”普通”の人間として描かれていて、彼の驚き、悩み、考えが魅力的に伝わってくる。

本作は別に難しい本ではなく、いろいろなことを考えることができる本と言えます。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

SFハンドブック ハヤカワ文庫 更新情報

SFハンドブック ハヤカワ文庫のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング