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上方歌舞伎コミュの坂東竹三郎丈の事

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7月8日、七月大歌舞伎を見に大阪松竹座に行ってきた。客席三階のロビーには上方歌舞伎を支えた故人の写真がある。その中に「坂東竹三郎」があった。びっくりした。なんせ、竹三郎丈は、この「七月大歌舞伎」に出演予定で、現に僕は丈の名前があるチラシを持っているのだ。僕がこのチラシを手に入れたのは5月だったと思う。

幕間にロビーに店を出している関西歌舞伎を愛する会の人にちょっとだけ話を聞くことができた。なんでも亡くなったのは6月だそうだ。

最初の驚きが去り、心に浮かんで来たのは、ああ、来るべきものが来た、と言う感じだ。なんせ、高齢だもの。

僕はこの竹三郎丈が結構好きで、彼の自主公演にも行ったことがある。その自主公演は、最初座談会だった。司会はNHKのアナウンサー葛西聖司で、我當・秀太郎・仁左衛門の三兄弟が出席した。竹三郎丈は、尾上菊次郎の養子。この時我當丈の話によると、この竹三郎丈を養子にしたらどうかと持ちかけたのは十三代目仁左衛門丈で、その事を息子の我當に言いに行かせたと言う事だ。菊次郎の養子になって竹三郎を言う名跡を襲名した。襲名披露狂言は、「輝虎配膳」で、新竹三郎丈はお勝を演じたとの事だ。

また、秀太郎・竹三郎・徳三郎の三人が、今はなき中座で「関西歌舞伎」を上演した時の事をよく覚えている。三回やったが、一番面白かったのはさ三回目の「梅ごよみ」。秀太郎が立ち役で突っ転ばし、竹三郎と徳三郎の二人が芸者で、巫女芸者、膏薬芸者と言い合っていたのを懐かしく思い出した。

竹三郎丈は、本領は女形だが、立ち役もできる人だ。僕が一番印象に残っているのは「輝虎配膳」の越路。おばあさん役の大役だ。丈は立ち役もこなしたからこそ、この越路と言う役が出来たのだろう。僕はこの「輝虎配膳」と言う演目が結構好きで何度か見ているが、我當の輝虎・秀太郎のお勝・上村吉弥の唐衣・竹三郎の越路の時が最高に良かった。

おばあさん役が多かったが、この人が得意としたのは花車役だろう。そこにいるだけで、色街の感じが出ていた。ずっと前、主役陣がダメダメな封印切りを見た事があった。この時は竹三郎丈の「おえん」でなんとか持っていた。

なんと行っても良かったのは、出ているだけで上方の匂いがすることだ。例えば、今回出る「祇園恋づくし」の初演で演じた持丸屋おげんは、ちょっとだけ出る役だが、この人が演るといかにも上方、と言う感じがするのだ。

僕が最後に見たのは2021年の京都南座の顔見世「雁のたより」の仲居お君だった。最初にちょっとだけ出てくる役だ。この時、いつものおばあさんではなく、色気のある年増の役だったので嬉しかった。藤十郎が「雁のたより」を出すとき、乳母を演るはこの竹三郎丈だった。赤子を抱いて出てきておしっこをさせて、ちょっとくしゃみをする。どっかでわての事べっぴんやろ言うとるわ、と言って引っ込む、それだけの役だが、竹三郎が演じると実に面白いのだ。

出ているだけで上方の匂いのする役者、徳三郎も藤十郎も秀太郎も、そして竹三郎もいなくなった。寂しい。

僕は竹三郎丈の舞台を見る事が出来てとても幸せだった。

竹三郎さん、どうもありがとうございました。

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