こころとサイエンスコミュの夜食べると本当に太るの？

夜食べると本当に太るの？

ダイエットのマニュアルや健康雑誌には，食生活の改善が痩せることにつながるといった内容が山ほど紹介されている。その主たる1 つとして，夜食べないことを勧めている。

その論拠としては，夜遅く，あるいは就寝前に食べると，寝るまでにカロリーを消費できないというのだ。
夜は代謝が下がるという説もある。
スウェーデンのある研究では，83人の肥満の女性と94人の肥満ではない女性とを比較した。
肥満の女性は食事量が多く，多くは午後，夕方，晩にとられていた。
肥満と夜の食事の回数には何やら関係がありそうに見えるが，だからといってそれが原因と結果になっているわけではない。

つまるところ，太るのは摂取カロリーが消費カロリーを上回るからだ。この研究で大事なのは，肥満の女性の食事量（カロリー）が多かったという点で，食事の時間の問題ではない。
スウェーデン人の男性を対象とした別の研究でも，夜食べて太るという証拠は得られなかった。
86人の肥満の男性と61人の平均的な体重の男性を対象に行った研究では，食事の時間に大きな違いは見られなかった。
別の研究では，16 人の太った被験者を対象に食事によってエネルギー消費の概日リズム（体のカロリー消費が高い・低いなどのリズム）が変わるかどうかを調べたが，
一日のうちエネルギー消費パターンが食事の時間によって変わることはなかった。
2500人以上のさまざまな体重の人を対象に行った大規模な調査でも，食事の時間と太ることの関係性は全く見出されなかった。
結局のところ，1日に3食以上食べると肥満に影響するようだ。加えて，いくつかの研究では朝食を抜くと太ることに結びつくという。
朝食を毎日食べることは健全な体重の維持にかかわるだけではない。
摂取カロリーの記録によると，毎日朝食を食べる人は，1日の残りの時間でとる食事の量を均等に配分するのが上手いようだ。
通常の食事を3 食とれば，１回の食事を食べ過ぎないですむだろう。
体重を減らす，あるいは健全な体重を維持するために重要なのは，とてもわかりやすく，そして実行が難しいこのことだ──消費カロリーより少なく食べる。

私たちを信じ，この法則を守るのならば，1日のうちいつ食事をとろうとも，あなたは痩せられるだろう。

※これは「Don't Swallow Your Gum: And Other Medical Myths Debunked」（ガムを飲まないで、体と健康にまつわる迷信）から役に立ちそうだったので、とりあげてみました。
回答しているのは英国医師会の専門医です。