EurekAlert!(http://www.eurekalert.org/)より ■[論文]お香は気道がんのリスクを増加させる Burning incense increases risk of respiratory tract cancers 25-Aug-2008 http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-08/acs-bii082108.php お香を長期間使用すると気道のがんの発症リスクが増加する。CANCERの2008年10月1日号に発表された。 お香はアジアの大部分で日常生活の一部となっている。植物成分と油脂の混合物であるお香は燃やすと多環芳香族炭化水素やカルボニルやベンゼンなどを含む多数の発がん性の可能性のある物質を生じる。お香の煙を吸うことによる肺がんとの関連についてはこれまで多くの研究がなされてきたが一致した結果は得られていなかった。そこでシンガポールの大きな集団においてお香の煙への暴露と呼吸器系全体にわたるがんとの関連を調査した。 この研究では61320人の、1993-1998年に45-74才でがんのない中国系シンガポール人を対象に調査を行い、2005年までフォローした。フォローアップ期間に325人の上部気道がんと825人の肺がん患者が確認された。お香の使用は肺がんとは関連しなかったが上部気道がんとは有意に関連していた。 Jeppe T. Friborg et al. Incense use and respiratory tract carcinomas: a prospective cohort study CANCER; Published Online: August 25, 2008 (DOI: 10.1002/cncr.23788); Print Issue Date: October 1, 2008
■[NHS]お香の煙とがんリスク
Behind the headlines
Incense smoke and cancer risk
August 27 2008
http://www.nhs.uk/news/2008/08August/Pages/Incensesmokeandcancerrisk.aspx
The Guardianが「お香の煙がある種のがん発症リスクを増加させるかもしれない」と報道した。発がん物質を含むお香の煙を長期間定期的に使うと気道扁平上皮がんのリスクが高くなることが報告された。この知見は喫煙やその他の吸入物質と気道のがんの関連を考えるともっともらしいが確認するにはさらなるフォローアップが必要である。
論文はCancerに発表された前向きコホート研究。研究の限界としてはお香を使うことの評価が一時点のみであること、研究対象集団のお香を使ったことのない人が少ないことなどを指摘している。一般的に西洋人においてはそれほどお香を使う習慣はない。