対人関係を円滑にする（心理学）
＜相手に対する『共感』がよい人間関係を作る＞
フロイトやユングの時代の精神分析論は、個人の心理を変えていくという考え方だった。
ところが、ロジャースやコフートには、「共感」を通じて人間関係をよくすること、つまり、一方的に患者を救うというよりも、患者と治療者との人間関係をよくすることを通じて、患者の症状を治していくという考え方がバックボーンにある。
そのため、最近の心理学は、対人関係を円滑にするために応用が効きやすいということがいえる。たとえば、治療者が患者に共感するだけではなく、そのうえで実際にどう接すればいいかという問題は、マネジメントの心理学に応用できるのだ。
ところで「共感」というのは、どういうことなのだろうか。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
共感（きょうかん, Empathy）とは、他者と喜怒哀楽の感情を共有することを指す。通常は、人間に本能的に備わっているものであり、共感性が友情を生み出す。友人になったきっかけは、「何となく」であることが多いが、「何となく」の本性は、共感性である。
稀に共感性の欠如した人がいるが、アスペルガー症候群の代表的な特徴とされる。
ー ー ー ー ー ー ー
たとえば、友達が失恋して落ち込んでいるときのことを考えてみよう。自分にはちゃんとした彼女がいる場合、「彼女なんかすぐできるよ」といって、ポンと肩を叩いたりすると相手から「お前は彼女がいるから、そんなこといえるだよ。」とムッとされるかもしれない。
だからそこのところを共感してあげて、「自分がいまの彼女に逃げられたらどう感じるだろう…」というようなことまで、思いをめぐらす必要がある。
共感というものはそれほど簡単ではない。相手の性格によって、同じ状況に置かれても感じることが異なるからだ。同じように彼女に逃げられたとしても、その人の性格や生き方のパターンによって反応はいろいろだ。
「もう、おれには二度と彼女なんかできない」とひどく落ち込むタイプ、「おれがあのときあんなことをしたから」と自責的になるタイプ、「ストーカーしてやる」と逆恨みするようなタイプ。
いろいろなタイプがあるから、」もっと相手を観察していかなければならない。
観察と共感があれば、少なくともいままでよりは相手の心理がよく見えるということだが、コフート理論では、その観察と共感したうえで、実際に言葉をかけるときも、治療者は絶対ではないとされる。
旧来の精神分析の理論だと、患者が否定しても治療者の解釈は絶対だった。ところがコフートの場合はそうではなく、そこで怒ったりした場合は、それは「共感不全」だと考えた。
＜三つの心理ニーズ（共感）＞
コフートは、人間には「三つの心理ニーズ」があると述べた。それのどれかを満たしてあげればだいたい当たるという。
◎鏡…人は、注目されたり褒められたりされると、人間は満たされる。あなたが鏡となって相手のいい所を照らしてあげる。
（『私はあなたならきっと、うまくやれると思う』とか『あなたの○○はすばらしいと思う』など）
◎理想化対象…患者が落ち込んでいるときに「最近調子がいいね」といわれても「わかってもらえていない」ということになる。そこで二つ目は「私がついているから大丈夫」といった「理想化対象」を引き受けてあげるというもの。
（『私がそばにいるじゃない』『私はいつもあなたを見守っています』など）
◎双子…褒められても「お世辞だ」と思ったり、理想化する代わりに治療者に対して妬んだりする場合、治療者も同じ人間なんだという感覚を与えてあげること。
（『実は昔自分も同じような経験をしてて…』『わかるよ、その気持ち…』など）
「鏡」「理想化対象」「双子」この三つの共感を臨機応変に相手を観察し状況に合わせて対応させると、日頃の対人関係が円滑になります。
（『心理学を知る事典』／和田秀樹著／日本実業出版社／ 編集してあります）
＜相手に対する『共感』がよい人間関係を作る＞
フロイトやユングの時代の精神分析論は、個人の心理を変えていくという考え方だった。
ところが、ロジャースやコフートには、「共感」を通じて人間関係をよくすること、つまり、一方的に患者を救うというよりも、患者と治療者との人間関係をよくすることを通じて、患者の症状を治していくという考え方がバックボーンにある。
そのため、最近の心理学は、対人関係を円滑にするために応用が効きやすいということがいえる。たとえば、治療者が患者に共感するだけではなく、そのうえで実際にどう接すればいいかという問題は、マネジメントの心理学に応用できるのだ。
ところで「共感」というのは、どういうことなのだろうか。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
共感（きょうかん, Empathy）とは、他者と喜怒哀楽の感情を共有することを指す。通常は、人間に本能的に備わっているものであり、共感性が友情を生み出す。友人になったきっかけは、「何となく」であることが多いが、「何となく」の本性は、共感性である。
稀に共感性の欠如した人がいるが、アスペルガー症候群の代表的な特徴とされる。
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たとえば、友達が失恋して落ち込んでいるときのことを考えてみよう。自分にはちゃんとした彼女がいる場合、「彼女なんかすぐできるよ」といって、ポンと肩を叩いたりすると相手から「お前は彼女がいるから、そんなこといえるだよ。」とムッとされるかもしれない。
だからそこのところを共感してあげて、「自分がいまの彼女に逃げられたらどう感じるだろう…」というようなことまで、思いをめぐらす必要がある。
共感というものはそれほど簡単ではない。相手の性格によって、同じ状況に置かれても感じることが異なるからだ。同じように彼女に逃げられたとしても、その人の性格や生き方のパターンによって反応はいろいろだ。
「もう、おれには二度と彼女なんかできない」とひどく落ち込むタイプ、「おれがあのときあんなことをしたから」と自責的になるタイプ、「ストーカーしてやる」と逆恨みするようなタイプ。
いろいろなタイプがあるから、」もっと相手を観察していかなければならない。
観察と共感があれば、少なくともいままでよりは相手の心理がよく見えるということだが、コフート理論では、その観察と共感したうえで、実際に言葉をかけるときも、治療者は絶対ではないとされる。
旧来の精神分析の理論だと、患者が否定しても治療者の解釈は絶対だった。ところがコフートの場合はそうではなく、そこで怒ったりした場合は、それは「共感不全」だと考えた。
＜三つの心理ニーズ（共感）＞
コフートは、人間には「三つの心理ニーズ」があると述べた。それのどれかを満たしてあげればだいたい当たるという。
◎鏡…人は、注目されたり褒められたりされると、人間は満たされる。あなたが鏡となって相手のいい所を照らしてあげる。
（『私はあなたならきっと、うまくやれると思う』とか『あなたの○○はすばらしいと思う』など）
◎理想化対象…患者が落ち込んでいるときに「最近調子がいいね」といわれても「わかってもらえていない」ということになる。そこで二つ目は「私がついているから大丈夫」といった「理想化対象」を引き受けてあげるというもの。
（『私がそばにいるじゃない』『私はいつもあなたを見守っています』など）
◎双子…褒められても「お世辞だ」と思ったり、理想化する代わりに治療者に対して妬んだりする場合、治療者も同じ人間なんだという感覚を与えてあげること。
（『実は昔自分も同じような経験をしてて…』『わかるよ、その気持ち…』など）
「鏡」「理想化対象」「双子」この三つの共感を臨機応変に相手を観察し状況に合わせて対応させると、日頃の対人関係が円滑になります。
（『心理学を知る事典』／和田秀樹著／日本実業出版社／ 編集してあります）
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