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高齢者情報資料室コミュの小菅もと子さん  信頼できる医療関係者と

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小菅もと子さん
信頼できる医療関係者と

○「終末期」も私なりに
映画「折り梅」の原作者、小菅もと子さんは、義母のマサ子さん(2006年10月、90歳で死去)の介護を12年間、続けました。亡くなる前、終末期の介護をどうするか、悩んだといいます。

○新しい才能開花
義母がアルツハイマー病と診断されたのは、1994年、78歳の時のことです。当時、私は子育てに追われながらパート勤めをする41歳の主婦で、認知症のことは何も知りませんでした。義母は認知症の専門家から絵を描くことを勧められ、近所の教室に通い始めました。

マサ子さんは絵画教室に週2日通い続け、公募展で入賞するほどの作品を描くようになった。97年と98年には水彩画、油絵、粘土細工や手芸を集めて個展を開いた。

当時は「認知症になったら何もかもできなくなる」と思われていました。義母のように、新しい才能を開花させることもできると知ってもらいたくて個展を開いたのです。

義母が絵を描けたのは発症から9年目、2002年までです。その年、軽い脳こうそくを起こした後は言葉が出づらくなり、絵筆も持てなくなりました。
要介護度は3から5に上がり、身体介護が中心になりました。ポータブルトイレが使えなくなって、紙パンツ。食べる時は見守りが必要です。幼い子に戻ったような状態で、私は一人で義母のヘルパー、栄養士や母親など多くの役を担っている感じでした。

05年に総胆管結石で入院した際、検査で胆のうに初期のがんが見つかりました。医師からは〈1〉開腹手術で取り除く〈2〉抗がん剤で治療する〈3〉痛みなどの症状が全くなく、89歳と高齢なので何もしない――と、3通りの選択肢について細かな説明を受けました。

義母は重度の認知症で判断できないので、家族が決めなくてはなりません。

手術をしたら、生命維持のためのチューブにつながれて病院から出られないのではないか。義母が元気だったらどう考えるだろうか。夫といろいろと悩み、そもそも手術に耐えられる体かどうか、調べてもらうことにしました。
すると心臓にも病気が見つかり、手術した場合のリスクは高いと告げられました。「結石だけ取る。がん治療はしない」。それが結論でした。手術や副作用のある抗がん剤に耐えるより、今まで通り自宅で穏やかな生活を送るほうが良いと思ったのです。

では、退院後、どうケアしていくのか。
介護保険では、関係の介護職員が集まり、利用者についての情報を共有してケアの方針を決める会議を開催することになっています。ケアマネジャーが、デイサービスや訪問介護などの事業所に連絡し、病院の会議室に12人も集まって医師から説明を受けました。ケアマネジャーは「認知症の人の退院で、こんなに集まったのは初めて」と感激していました。

○対応決定の重圧
義母の体は徐々に衰弱し、06年1月にはたんがつまって入院しました。飲み込みの機能が悪くなる嚥下(えんげ)障害があり、おなかに小さな穴を開けて栄養液を直接、胃に流し込む「胃ろう」にするかどうかを検討することになりました。
鼻から入れた小さなカメラでのどを撮影しながら「ポタージュ状」「ヨーグルト状」など硬さやとろみの違う食べ物を与えて、飲み込みの様子を医師が見るのです。
それで、ヨーグルト状の食事なら、口から食べることができることがわかりました。退院し、自宅では通販の介護食を食べさせてあげました。胃ろうにはしませんでした。

アルツハイマー病は、初期は物忘れやはいかい、被害妄想などの症状が中心。
病気が進行すると、脳の機能が衰えていき、歩行障害や失禁、嚥下障害などが起こり、終末期にいたる。

がんや嚥下障害など、家族が対応を決定しなければならないことが続き、緊迫感がありました。
本人に代わって命にかかわる判断をするのですから、家族には重圧がかかります。
医療が高度になっていますから、素人には判断がつきません。

これからの医療は、家族にきちんと説明や指導をすることが重要になると痛感しました。
その点、私たちは信頼できる医療関係者に支えてもらえ、幸せだったと思います。

06年9月、義母はショートステイ先で昼食後、横になっている時に嘔吐(おうと)して、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こし、10月22日に亡くなりました。十分に生きたと思います。
発症から死にいたるまでの間、周りに支えられ、私なりの介護をしました。悔いはありません。(聞き手・長谷川敏子)

こすが・もとこ 
認知症の人と家族の会愛知県支部世話人。1952年愛知県生まれ。98年、義母の介護についてつづった著書「忘れても、しあわせ」(日本評論社、角川文庫)を出版。この本を原作に、2002年、映画「折り梅」(松井久子監督)が作られた。介護についての講演を各地で行っている。

読売新聞
2008/3/9
YOMIURI ONLINE 医療と介護  介護・老後
★http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kaigo/note/20080309-OYT8T00246.htm

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