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高齢者情報資料室コミュの満足死 自分の死 自分でつくる

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自分の死 自分でつくる

高知県西部、黒潮町の山あいにある13集落、人口約1300人の「拳(こぶし)ノ川」地域。畑やニラ作りのビニールハウスを見下ろす斜面に立つ家で、森佐雪(さゆき)さんは、穏やかな日々を送る。

週1回、医師の疋田(ひきた)善平さん(86)が訪ねてくる。今春まで35年間、拳ノ川診療所長を務め、現在くぼかわ病院(四万十町)に勤務する内科医。「満足死の会」を主宰し、佐雪ばあちゃんも会員の一人だ。疋田さんは、血圧や体調、リハビリの様子を確かめ、話し込む。
佐雪ばあちゃんは、脳血管に血の塊が詰まる脳梗塞(こうそく)を患い、一昨年5月に寝たきりになった。食が細り、約70キロあった体もやせた。入院先から自宅に戻った後、「満足死」の“準備”に入った。

満足死。満足な生活の延長線上に満足な死がある、という考え方だ。それをどう実現するか、まず自分が考え、努力する。患者、家族、支える医療スタッフら皆が満足する「三者よし」の生き方を目指す。

「自分の死を自分でつくるっちゅうこっちゃ」。疋田さんがそう説明するこの言葉は、ある患者・家族との交流から生まれた。

1979年、当時82歳の元助役が、入院していた病院から自宅に戻った。「最期は家で」という強い願いがあり、疋田さんが毎日7キロの道を往診した。床ずれができ、背中にこぶし大の穴が開くほどだった。床ずれの処置をした。本人は「ありがとう」と言った。
体調も回復したが、1か月余り後、元助役は風邪をこじらせたのがもとで亡くなった。それでも、家族は疋田さんに何度も頭を下げた。往診に同行してきた看護師が「みんな満足でしたね」と言うのを聞き、「これだ!」と思った。
「田舎で『尊厳死』言うてもよう分からん。満足死ならピンとくる」と疋田さん。

柱の傷一つにも思い出がある家に戻り、佐雪ばあちゃんはリハビリの努力を始めた。体調は驚くほど良くなった。車いすから立ち、ベッドの柵に沿って歩く。はしも持てるようになった。好きな編み物を、疋田さんがリハビリに加えると、効果はさらに上がった。
息子夫婦、孫娘と4人暮らし。「お世話させてもらおう」とヘルパーの経験まで積んだ嫁サトミさん(60)ら家族が支える。近所の人たちも集まってくる。

「もうこれでええ。このままがええ。家でしまいつきたい(最期を迎えたい)」。佐雪ばあちゃんは、にっこり笑った。

国は在宅医療を推進している。「在宅での看取(みと)り」の理念を患者の立場から見ると、「満足死」になるのではないか。各地の取り組みを報告する。

満足死の会
1993年設立。会員約1500人。高知に本部を置き、東京、愛媛などに支部がある。「満足死の宣言書」の要望欄に、どのような死を迎えたいかを明記し、それに向けた支援を行う。終身登録会費1万円。事務局は、くぼかわ病院((電)0880・22・1111)内。

読売新聞
2007/9/24
YOMIURI ONLINE 医療と介護  医療
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