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感動の話コミュの悪ガキイレブンの終わりと始まり

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先制点を叩き込んだ時点で、彼を書くことに決めていた。
ハーフタイムの時点で早々に書き始めようとさえ思っていた。
何せ、チーム立ち上げからの2年間で、彼には色鮮やかなエピソードが限りなくあるのだ。
その「持ちネタ」でいくらでも書き出すことはできるように思えていた。


だが、そんな試合で待っていた結末は、想像もつかないものだった。
彼のことは試合のヒーローとして扱う予定だった。
だが、敗れてしまった試合にヒーローはいない。


しかし、この2年間のチームを振り返れば、間違いなく彼はそれであった。
いくら福元が抜群のキャプテンでも、梅崎や柏木がA代表に選出されても、
このチームの中心は彼だったと思う。
"お調子者軍団"と言われたこのチームの、すべての源だった。
この、たった2週間で、ミックスゾーンの記者たちを虜にしていく姿はさすがだった。

ただのお調子者ではない。
根っからのキャプテン気質を最後に見せられた。
試合終了後、自分も号泣しながら安田を気遣う姿は、
キャプテンだった広島ユース時代、最後の試合となったJユースカップのG大阪戦を思い出させた。
あのときも自分の想いを隠しながら、他の選手たちの寒さを気遣っていたものだった。

チェコ戦後でも、我々に見せた表情は、明るく朗らかな「いつもの槙野」だった。

「もう、吹っ切れましたね。相当泣いたんで。
ヤッコさん(吉田監督)が話をしてくれて、その時はヤッコさんも泣いていました。
『これでこのチームは終わりだけど、まだ次がある』って。
あと、『これまで傷つけたり嫌なことを言ったりしてきたかもしれないけど』って。
そう言われて、みんな泣いてしまいましたけど。」


アジア最終予選の決勝、北朝鮮戦ではミックスゾーンでも泣き崩れていたけど、
本当に悔しいときは泣かないやつなのかもしれない。
悔しさが消えたわけではないだろうが、
それをまったく感じさせない笑顔を見せてくれた。


「北京五輪代表組のメンバーを全員追いやって、このメンバーで五輪に出ます!」


本当は違うかもしれないけど、もういつもの槙野に戻っているように見えた。




エルゴラッソ420号(了戒 美子)

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