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なんでも創るよ。(DIY)コミュの小説・物語

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【小説】とは、散文で作成された虚構の物語として定義される。 内容では、随想や批評、伝記、史書と対立するものであり、形式としては詩と対立するものである。 なお、英語でのnovelはスペイン語でのnovelaや、フランス語の nouvelleと同語源であり、もともとラテン語で「新しい話」を意味する。【物語(ものがたり)】とは、語り手が語られる主体に、順序だてて語るさまざまな出来事のこと。ナラティブ(英 narrative)、ストーリーとも言われる。虚構作品(フィクション)だけではなく、歴史や新聞記事の中にも見られる。

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ものごいの少女

Posted by SO at 2006/11/27 20:08

いまも、いまも。ひどく寒い雪の降る町のお話です。

いつもよりひどく寒い日でした。周りもすっかり暗くなり、少女が気づくと夜になっていました。今年最後の夜だと言うのに少女は、ひどく寒い真っ暗な道を一人で歩いておりました。ここ二、三日ひとかけらのパンとチーズ以外には何も食べておらず、お腹が空きすぎてもはや感じることも出来ません。そして、手袋もつけず、毛糸の帽子もかぶらず、裸足で皮膚にはりつく氷のような石造りの道を歩いていたのです。
家を出るときには、確かにクツをはいておりました。そのクツはお母さんのはいていたもので少女には大きすぎて、猛スピードで走ってきた馬車に引かれそうになった時あわてて転んだので、どこかに飛んでいってしまったのでした。可哀そうに、ずいぶん探したのですが少女にはとうとう両方のクツを見つけることが出来ませんでした。

探すのにジャマだから近くに置いていた片方のクツも、浮浪児が持って走って行ってしまいました。浮浪児はその大きなクツがゆりかごに見えたのでした。――いつか自分に赤ちゃんが出来た時に使おうと思って持っていったのです。

凍てつく道を歩く小さな少女の裸足は、寒さのあまり血の気を失い青くなっていましたが泥で汚れていたので、それすらもわかりませんでした。

少女は、それでも一生懸命に、寒さから身を守るように身をかがめ通りを行き交う人々に物乞いをしておりました。
「少しだけでいいのです。何でもかまいません、どうかご慈悲を…」と声をかけておりましたが、誰も見向きもしませんでした。まるで少女は、なにか道に落ちてあるゴミのようでした。

一日中、ずっと凍える空の下で物乞いをしていましたが、少女に1円でもあげようと言う人はいませんでした。もちろん何一つ稼いでいない少女が家に帰れるはずもりません。帰れば、こわいこわい父親にひどくぶたれるのですから…。

ひどい寒さと空腹にかじかみ、感覚が麻痺しながらも、少女は歩き回りました。それは、幼い少女の事を考えるだけで悲しくなるような光景でした。歩き疲れた少女は、暖かい光がもれる窓の下でほんの少しだけ休むことにしました。

――ちらりちらりと降ってきた雪が、少女のとてもしなやかで綺麗な金色の髪を覆い包んでゆきます。でも、少女はもう雪が降った事にも気づかないほど疲れきっていたのです。通りの窓からは暖かい光がもれ、料理を作るいい匂いが漂い、子供がはしゃぐ声が聞こえています。最初に言ったように、今日は大晦日なのです。少女は、その最後の夜のことを考えていました。

寒さをやわらげるために少女はうずくまりぴったりと体をくっつけていましたが、身体はどんどん冷たくなってゆきました。少女は家に帰ろうかと思いましたが、そんなことは出来ません。……きっとお父さんにひどくぶられてしまいます。それに帰ったところで、家もすごく寒いのです。一番大きな隙間はぼろきれでふさいでいますがそれでも風が絶え間なく入ってきます。

少女は、少しだけ目をつぶり幸せな大晦日のことを考えていました。暖かい暖炉に、おいしい夕食、優しいお母さんとお父さん、楽しいおしゃべり、、、少女は本当に自分がそこにいるようでした。暖炉にはまきがたくさんくべられてパチパチと音を立てて綺麗な炎を上げて燃えています。手をかざすとかじかんでいた手が暖かくなりしびれているようでした。少女は足も伸ばしてその炎で暖めようとしましたが、目を開けるとすべてが消えうせてしましました。もう少女には何もありませんでした。

少女はもう一度目をつむり、楽しいことを想像しようとしました。すると、再び幸せな光景が現れました。テーブルの上には今夜降る雪みたいに白いテーブルクロスが広げられ、その上には豪華な食器がずらりと並び、焼かれたガチョウはおいしそうに湯気を立て、その中にはたくさんの果物がつめられていました。じっと見ていると驚いたことに、ガチョウがお皿の上から飛び降りて身体にナイフとフォークを刺したまま床の上を歩き少女のところまでやってきたのです。少女は驚いて目を開けてしまいました。あとには、氷のように冷たく湿った壁だけが少女の目の前にありました。少女はもう一度目をとじて楽しいクリスマスツリーを想像してみました。それは、最高に大きなツリーでどこの家のものよりもすばらしく沢山の飾り物が付けられていててっぺんには本物のお星様がついていたのでした。

いくつあるのかわからないほどの光がツリーで燃え、絵画屋さんのショーウィンドの中で見たことのあるような絵が沢山飾られて少女を見つめていました。少女は手を伸ばしその絵をとろうとしましたが、ちょうどそのときよろよろの野良犬が少女の足にあたったので、目を開けてしまいました。クリスマスツリーの光が高く高く天に昇ってゆき、もう天国の星であるように見えました。そのうちのひとつが流れ落ち長い光の尾となりました。

「今誰かが天国へ行ったんだわ!」
と少女は言いました。と言うのも、今はもういない、少女を愛してくれたたった一人のおばあさんが昔こんなことを言ったからです。
「見てごらん、ああやって星がひとつ流れ落ちるとき、やさしい人の魂がひとつ神様のところへ引き上げられるのよ。そこは安らかで暖かい場所なのよ。」

少女は再び目を閉じておばあちゃんの事を考えてみました。すると、もやもやとした光が現れその中におばあちゃんが見えたのでした。おばあちゃんはとても暖かくやわらかく愛情にあふれていました。
「おばあちゃん!」
少女は大きな声を上げました。
「お願い、わたしも連れて行って!目を開けてしまうとおばあちゃんがどこかにいっちゃうの!あの暖かい暖炉みたいに、おいしそうな食事みたいに、大きなクリスマスツリーみたいに。」
少女は、心の中でもう目を開けてやるもんか!と思いました。おばあちゃんにずっとそばにいて欲しかったからです。もう、何も目の前から消えてしまうのはいやだと思ったからです。すると、目の前のもやもやとした光はすばらしく輝き、お日様よりも明るく見えました。このときほど、おばあさんが美しく、大きく見えたことはありません。おばあさんはその優しい腕で少女をしっかりと、そして優しく抱きました。二人は輝き、喜びと幸福に包まれ、高くゆっくりと空へ上がってゆき、もはや寒さも空腹も不安もないところへ行ったのです。そう、少女がおばあちゃんに教えてもらった、神様のところへ。

だけど、夜が明ける少し前、あの町の通りには、かわいそうな少女が小さくうずくまって座っていました。バラのように頬を赤くして、口もとには微笑みを浮かべ、壁にもたれて幸福そうに。――少女は一年の最後の日に凍え死んでしまったのです。目をつむり、微笑を浮かべて幸福そうに身体を硬直させている少女に「かわいそうに、最後の夜にきっとなにか良い夢でも見ようと思ったんだなぁ。」と人々は言いました。でも、少女がどんなに素晴しい夢を見たか考える人は一人もいませんでした。かわいそうな少女に興味を持つ人もいませんでした。けれど、少女は新しい年に、喜びと幸福に満ち、おばあさんと一緒にすばらしいところへいったのです。

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