『社長のための一転語』コミュの『あまい光明思想は会社を倒産させる』

今、光明思想という言葉が流行りだしています。確かに、人生をわたっていくために、気持ちがどん底に落ちるのをふせぐためには光明思想は必要でしょう。ただ、この光明思想を従業員を抱える「経営」に対してとなると、大きな問題が発生していることを数多くみております。

　会社経験でよくおありと思いますが、顧客が一刻も早くクレームを処理してほしいという場合は、従業員の知恵を総動員し、問題解決に奔走したこともあるでしょう。

　ましては経営者であれば、「従業員の給料は支払えるか」、「新設備をどうするか」、「いつ資金がショートしてしまうか」、「銀行から融資を受けないと会社はつぶれてしまう。どのように交渉するか」等たいへん複雑な悩みを抱えております。

　危急存亡のときに、光明思想で乗り切れた経営者は果たしてどれだけいるでしょうか。なかには開き直るということで、いいアイディアが浮かび、倒産を免れたという話も当然あります。しかしそれを言葉だけとらえて、それをそのまま経営に持ち込むことには問題があります。そのアイディアを実現していくにも、大変な努力をされていることを見落としてはならないのです。

　個人で商売をされている場合、今月の給料は多くても少なくてもそれはそれでいいと思います。しかし、従業員を抱える場合「今月は売上が少なかったから、給料は半分しかでません。来月はきっとよくなるから安心してください」では従業員はついてこなくなるのです。

　甘い資金繰り予測で資金がショートし、倒産した会社は多くあります。それは善人、悪人問わず起きてくるものなのです。その倒産した原因の根本には明らかに『あまい光明思想』があったのです。

　経営者は従業員の生活を守り、社会に利益を出していくという社会的義務を果たす責務があります。そのために経営者に関しては単なる善人であってはなりません。そのうえに「智慧」を介在しなくてはなりません。経営者は常に「智慧」を磨き続けるという努力を怠ってはならないのです。