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文芸の里コミュの掌編

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Bach - Brandenburg Concerto No 3 in G major, BWV 1048 - Freiburg




 掌編



◇おみやげ


草野の散歩から戻った猫の足に、

菫が一輪挟まれている。

畳には人間の赤ん坊が座り込んで、

つまらなそうにあーあー叫んでいる。

猫は何気なく、菫を赤ん坊の前に置いてやった。

そうして赤ん坊の動きを見守ってうずくまる。

赤ん坊は菫のか細い茎を指でつまむ。

次にそれを口に運んだ。

うずくまっていた猫は、思わず前足を伸ばして、

お坐りになる。

猫の目の高さは、赤子の口の高さだ。

赤子の口に入った菫の茎から、涎がつーと零れる。

ばかだよ おまえは

猫は赤子の口を覗き込んで、そう言っている。    



◇舞う男


風のある日、桜の花びらを

透明なゴミ袋いっぱいにして、

捨てに行く男がいた。

持つというより、鞠をつくように

男も一緒に弾んで行った。

ゴミ置場についても止まらず、街角の向こうへ

男も一緒に吹き飛ばされて行った。



男はいったいどこへ行くのだろう。

白雲のなかに潜り込むのだろうか。

あんなに花びらを抱えているから、

心配ないよなあ

屋根のてっぺんの風見鶏が、

ぼそりと洩らした。


   ☆

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