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文芸の里コミュの俳句ノート NO5

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         PEDRO HALFFTER -SABINE MEYER - MOZART Concierto para


俳句ノートNO5

 
◇空映す水に飛び込む春の雪

◇干したまま犬連れて出る春の雪

◇春の雪手紙の母を滲ませり

◇山畑の霞めば父も母もなく

◇春眠に十字架の門現はれり

◇揚雲雀人にひかれて牛通る

◇落椿タイヤの跡の赤き帯

◇違へずに山を彩る山桜

◇一樹天に捧ぐるごとし花満ちて

◇山水のままに枝垂るる桜花



  ☆

淡雪を帽子に載せて帰宅すれば

みやげの雪は既にかたなし

  ☆

また来たねと花僕に言ひ

また会へたねと僕かへす

  ☆



 俳句ノート NO4

◇まさをなる春を拾ひて帰りきぬ

◇一本の滝轟いて城下町

◇とどろきて幸はふ町や滝一つ

◇夕陽さす竹薮ごしに坐す蛙

◇若鮎の山暮れゆけば川に跳ぶ

◇暗き水に灯りともして金魚くる

◇つばくらめ青一色に染まり来る

◇黄雀の口開き待つ虫いろいろ

◇鮎奔るほとりの少女立ち去れば

◇百千鳥どこに己の声はある

◇蛙並ぶ合唱隊の異名もち


俳句ノート NO3


◇白襟の蝶と見紛ふ一年生

◇性別は色に出にけりランドセル

◇はいチーズ孫と記念の入学日

◇祖父と孫記念写真の入学日

こういう風景に、これからあちらこちらで出合うでしょう。
一見微笑ましい光景ではありますが、私からすると馴染めません。
それでいきおい、次のような句が生まれてきます。

◇につこりと孫に寄り添ふ裁きの日

神が見えない年寄りの哀れな姿です。
振り込み詐欺も、こんな弱点を衝いた犯行といえなくもありません。
神が見えない犯人と、神を見ようとしない老人の、
神なき、飽くなき戦い。
 


NO2

◇普段より鳩の目怖しイースター

◇いたましき剪定なれど必須にて

◇剪定の星見ゆるまで精を出し

◇うぐひすの人を迎へて初鳴きす

◇子猫はや人の靴下隠しをり

◇流氷にアザラシ乗りて攻め来たる

◇流氷の去る方を向くどの鳥も

◇梅が香のする方へ行く猫も鳥も

◇白梅の一枝が暗き川渡る

◇紅梅が不撓不屈の木に開く


   ★

◇蜃気楼沖の怪物目を覚ます

◇何ものか潜んでをりぬ春の山

◇春の野に雲影たたずみつつ移る

◇雪の朝雪残す家とない家と

◇雪残す陰道たどることありて

◇接木する手元覗きに来るメジロ

◇新しき陸を踏むかに潮干狩り

◇しやぼん玉世界を容れて漂へり

◇雲雀あがる空に太陽二つあり

  ★

雲雀のあがる

青い空には

太陽のほかなにもない

いや あった


小さく霞んで

姿は見えないけれど


発信がある

発露がある

歓喜がある

怒りがある

けたたましい叫びがある

爆発がある


あれは金色の

太陽の雫だ

恵みだ

報復だ

噴射だ


◇しやぼん玉消ゆ小鳥の目に触れて

   ★

 はじめ〈小鳥の嘴《はし》に触れ〉としたが、硬い嘴がしゃぼん
玉を突いて消えたのでは、当たり前過ぎておもしろくないと思い、
上掲のようにした。
 しゃぼんの元は石鹸水なのだから、その成分が目に入れば、少し
は沁みて痛くも感じるだろう。そうすればはかなく消えたしゃぼん
玉の命が小鳥の印象にも留まって、明日からの小鳥の囀りに複雑な
翳りをもたらすだろう。実はその変化を期待して詠んだのがこの句
だった。とまあ、苦し紛れの注解をした。

   ★


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