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文芸の里コミュの野兎・短詩五篇

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野兎・短詩五篇

  ★

スキーを担いで
北国志向の若者たちが通る
永遠に消えない雪山を
胸に抱いて
ざくざく靴音を鳴らし
兵隊たちのように通る

雪山では
野兎が耳をそばだて
若者たちの到着を待っている


  ★

生きものを窒息させようとして
猛烈に雪が降っている
天にこんな悪意があるのかと
訝るばかりに
容赦なく降ってくる

目や口や耳は
いうまでもなく
鼻まで塞ごうとして
襲ってくる

こうなると水中の泳者のように
降る雪に体当たりし
捨て身に行くしかない

はたして
明日はあるのだろうか
 

  ★

雪の中で
保護色の兎が一匹
もがいている
実際はそう見えるだけで
通り過ぎる人間が
逃げなければならない相手かどうか
ひとまず様子を見るつもりで
蹲っている
野兎も難渋している



  ★

雪原につづく兎の足跡
足跡と足跡の間には
腹でこすっていった
毛の跡もついている
だからあれは
足跡と
腹跡の混在


  ★

無風に見えても
雪原にはかすかに風があって
きらきら 
粉雪がさらわれるように流れている

音もなくささやかに
きらきら
ちかちか
小さな生き物の足の跡を
眩しい雪で埋めて
見えなくしていく

肉食のキツネやイタチに
後をつけられないように
きらきら
ちかちか 


★

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