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文芸の里コミュの飛行機雲

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J. S. Bach - Cantata BWV 140 - Wachet auf, ruft uns die Stimme - 1 - Chorus (J. S. Bach

  

☆飛行機雲


見事に紅葉した山の上に
一本の飛行機雲がかかっている
青空には
ほかに何もない
すでに機影も残響もなく
幻のように
一本の白線が棚引いている
何かのサインのように
白く 
くっきりと白く

二十秒後
その飛行機雲も消えている
吸い取ったのは
山の紅葉か
青空か
知る術はない
文字通り空の空
空虚の深さ

空虚という
ターミナルステーションには
見えない二つの道が入っている
人智を究めてきて
そこで消えた道と
そこからはじまる神の道

飛行機は空虚という虚無の深みに
嵌って消えたのか
それとも
神の領域に
吸い込まれていったのか

我々は二者択一を迫られている
人智か
神か
人智を究めれば虚無に行きつき
神に届くには信仰しかない

信仰とは
空虚に嵌ったものがこれではたまらないと
次元の異なる有へと飛び出すこと
(有)とは有りて在る唯一絶対の神
虚無と対極にある神へと飛び出すことだ
飛び出すといっても 
ビルの屋上から飛び降りるのではない
断崖絶壁から海へ身を投げ出すことではない
神よ 存在するのであれば 
吾をこの悲惨から救い給えと
すっぽりと身を委ねることだ
行動ではなく祈りだ
とことん堕ち込んだ人間のする行いは
救いを求める祈りだ
身の危険を感じた鶏は
普段は深くしまいこまれた翼を広げて走り出す
窮地に追い込まれた人間の最後は
祈りの姿勢に手を合わせている
それは本能のように自然だ

  ☆

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