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文芸の里コミュのつれづれの歌のコーナー

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梟の
低く啼くとき
朝が来る
孤高の鳥の
深い哀しみ



日向ぼこ
何かいいこと
あるでなし
縁に寝そべる
子猫とチワワ



鬼呼んで
武装する家
鬼は内
そんな家には
招かれて行く



雪兎
夢では猫の
友だちに
餌とられても
黙って見てる



雪兎
口に葉っぱを
そっと置く
眼はないけれど
いい子でいてね



三本の
スキーを担ぐ
子供連れ
子供は育つ
そんな親見て




画家よりも
紙漉く男
信篤く
山懐に
ほそぼそ暮らす



焼芋を
抱えて夜道
急ぐ子の
猫に一口
やるかやらぬか



焼き芋屋
母のない子に
おまけつけ
その一本を
母のつもりで



北窓を
塞げば猫の
別天地
貌はりつけて
外を見ている




ストールに
包まれて寝る
避難の子
報道写真に
いたぶられる日



セーターに
心あずけて
街へ出る
遠く行くには
オーバーがいる



セーターを
編んで送れば
迷い猫
祖母は当分
休む暇なし



糸を引く
巨大な魚が
襲いきて
もがくは人か
魚のいのちか



鮭のぼる
川にとろとろ
糸流す
故郷はあり
故郷はなし



寒雷に
母の乳房が
おののいて
赤子がつかむ
いのちのもとい



ででむしに
路上清掃
させておき
蟻その後を
楽々走る



公園に
自家を窺う
ひとりの子
神のみぞ知る
その子の由来



その美声
吾に届けに
来る野鳥
その声質が
このところ荒れ



我先に
初日見ようと
押しかける
崖上の人を
訝るカモメ



初景色
車も人も
片づいて
鴉は飛ばず
闊歩している



初日など
見なくてよいと
蜜柑むく
皮広げれば
それが太陽



初景色
車が通る
その奥に
何かあるらし
停滞気味に



初日見に
出かける人に
逆行し
鴉は帰る
己の里へ



枯草に
夕日の点火
する時を
首長くして待つ
野良の猫ども



フランスパン
抱えて帰宅
する我に
胴長ダックス
見上げて吠える




片隅に
葱咬む猫を
想像し
買うのを控え
帰宅する夕




交差点
子供忘れて
母が行く
車押しやり
幼子が追う



外でする
子供について
出た猫の
そのかたわらに
寒の椿が



一飛びに
枯葉一枚
貨車の屋根
逃亡者いま
仮の息継ぎ



鶏が
落葉を掻けば
ソロとなる
掻き鳴らすとは
まさにこの音



忘れるな
赤信号の
寒椿
母の背を追い
稚児が跳び出す



子供らの
箸で皿打つ
初稽古
子供の頃の
貧しさ思う



怪魚より
鮟鱇鍋と
団欒を
いただきながら
一言もなし



凧揚げて
吾が目に代わり
地上見る
晴れ着姿の
襟足を見る



山茶花の
蕊の黄色が
口に見え
広場では今
コーラス開始



室咲きは
人の手による
愛が濃い
与える人にも
受ける人にも



窓越しに
寒禽鋭く
声を曳き
姿没する
木立の奥に



さっきまで
生きてた海鼠
晩酌の
肴となって
主人は眠る



寒鰤を
抱えて帰る
男いて
新妻は待つ
魚より夫



水面を
割って顔出す
カイツブリ
季節外れの
開花一輪




白鳥の
静かにめぐる
湖面あり
帰宅した後
じわじわと湧く




水中に
潜きいるうち
吾を知る
鳰鳥という
孤独の鳥は




片脚と
首を隠して
立つ鶴は
生きるための武器
温存している




鴨着いて
安住からは
ほど遠い
夕日消えれば
そのまま眠る



港湾に
陸続よせる
鴨の群れ
いのちの灯り
守ろうとして



顕微鏡
ミクロの世界
探りゆく
その創造の
元は見えない



雪中に
赤いポストが
しゅんと立つ
頭の雪は
赦しの徴



降る雪の
なかにポストが
しゃんと立つ
頭に雪が
他は赤裸



どちらまで
彷徨い行けば
あるのかと
老登山家が
滑落の朝



天才の
学者といえど
届かない
届かなければ
天国は来ず




山は崩れ
海は津波と
押し寄せる
地上に幸せ
ないと教えて




人生は
罠に似ている
この年も
歳を重ねて
また暮れてゆく




颯爽と
街ゆくなかに
初髪の
いくたりかいて
やや打ち解けず



杉木立
雪を頂き
よみがえる
予告の通り
今雪が降る





ある日より
トイレのドアの
軋る音
借金取りに
怯える男




女学生
落葉するなか
通過する
髪に一枚
プレゼントされ



落葉掃く
町内会の
会長に
なりたくはなし
なれるはずもなし




酸っぱさに
顔をそむけて
蜜柑剥く
見ていられずに
猫も逃げ去る




猫の目を
惹きつけて剥く
夏ミカン
その目に涙
零れくるまで



雪は降る
白鳥一羽
引き連れて
この薄雲る
視界の奥に



庭園の
白いダリアは
うなだれる
陽は強く射し
影は濃く落ち



ブランコを
足台として
自家覗く
児童公園の
ひとりの少年



公園の
ベンチに残る
落書きは
固有名詞の
上にただ好き



ひと気ない
校庭の隅
サルビアは
怒涛のように
夜に燃え立つ



カケス飛ぶ
辺りは里の
つね日頃
ひとり欠けても
幸せ失せる



ストーブに
あぶる無意識
せなとはら
すれちがうのみ
彼女と彼は



犬連れて
公園通りを
進み行けば
犬に連れられ
行く女〈ひと〉もあり



スキー担ぎ
行進する列
もくもくと
戦場とならぬよう
祈りをこめて



犬連れて
散歩する女医に
ふと出会う
お大事に の声
耳に残りて



ケーキ買う
列に並んで
ケーキ買う
その雰囲気が
なぜか好みで



人知れず
気高き山の
フクロフは
ブツポフソウの
異名を持ちて



この時節
険しき貌の
鮭のぼる
時に急かされ
羆に追はれ



アキアヂは
故郷尋ぬる
きずを負ひ
なほも果敢に
川遡る

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