何とかナルナル?!プリキュア５コミュの『ハートキャッチ・プリキュア！前半感想（笑）』

＜おジャ魔女プリキュア?!＞
２００９年１２月頃、『新作プリキュア』の情報が公開された。まず僕にとってショックだったのは、『フレッシュプリキュア！』が１年で終わってしまうことであった。７月から『キュアパッション』が登場し、ようやく『５＆gogo！』終了のダメージから立ち直って、ラブちゃん達にも愛着が湧いてきたし、個人的には「このまま来年も！」と期待していたからである。
確かマイミクさんの日記のリンクから見に行ったのであるが、東映の企画ＰＲ用のページだったのか、「ドラマ性とファッショナブルな作品を目指す」という感じのコメントと共に、『おジャ魔女どれみ』の衣装に似たスタイルの「ふたりのプリキュア」の画像が紹介されていた。どこかプリキュアファン系の人のブログで見たのであったか、『おジャ魔女どれみ』のヒットを受けて、『プリキュア・シリーズ』もアメリカ進出が決まったらしい。
『フレッシュ！』は、そのアメリカ進出に沿った企画であったと思われる。まず設定の段階から目を引いたのが、メインキャラクター達の『等身バランス』であった。それまでのシリーズのプリキュア達と比べると、明らかに視覚的に受ける年齢の印象が上に見える。日本人の我々から見ると、中学生というよりは「高校生」に見える。これは、西洋圏でよく言われていた「日本のアニメのキャラは、幼く見える」という意見を反映したものではないか。
更に他プリキュアファン系の人のブログで見たのであったか、結果的にプリキュアはアメリカではあまりウケなかったらしい。しかしアジア圏での人気はあるらしく、『ハートキャッチ！』はそれを狙っての設定変更であったらしい。つぼみちゃんもえりかちゃんも、見様では歴代プリキュアの中では最も幼く見える。これはどうも『どれみ』の制作スタッフが参加したのと、ヒットシリーズであった『どれみ』的なイメージを導入した為だったのかもしれない。
また「シリーズ６作目」ということで、「原点回帰」的に始めの『二人の友情』の描写に戻した印象もある。人気声優の水樹奈々さんを主役に抜擢、『どれみ』的なイメージを導入。それはある意味、一般的な視聴者の獲得と言うよりは、『ヲタクさん』を再び呼び込む戦略ともとれる（笑）。『フレッシュ！』は初期の設定など、ある意味『ヲタクさん』のポイントを外したキャラデザインになっていたという印象があったのである。
時に『メガネっ子』になり、性格的にもやや『ひ弱さ』のある主役の『花咲つぼみ』ちゃん。やや天然で（笑）、守ってあげたくなる様な『弱さのある性格』というのは、『萌え系』の好きな『ヲタクさん』の好みそうなポイントな気もする。『ココロの種＆ココロの花』などの設定も、プリキュア的というよりは『おジャ魔女的』である。実際に第１話を観てみたら、「メッチャ『どれみ』」であった（笑）!!
それまでのアクティブな主題歌に比べると、かなりオトナシ目の曲とオープニング、もう始め二人の新プリキュアの画像を見た時点から、それ迄僕が大好きであった「プリキュアが終わった」ことを感じ取って、かなり落ち込んだのは本当である。

＜史上最弱のプリキュア（笑）?!＞
「もっと積極的な性格になりたい」、と願っているつぼみちゃん。彼女が『キュアブロッサム』として『プリキュア』になったのも、その「性格を変えたい」というのが動機の一つであった。転校初日のクラスでの自己紹介でも話せない、プリキュアに変身しても怖がって、全く戦おうとしない。シュプレ＆コフレ達から、『史上最弱のプリキュア』と言われてしまった『キュアブロッサム（つぼみちゃん）』。
それは、『正義のヒーロー』の条件として大前提としてある、『勇気』が存在しないからである。どんなにプリキュアとしての高い能力があっても、敵に立ち向かって行く『勇気』がなければ、そもそも戦うことさえ出来なくなってしまうのである（笑）。コレは歴代のプリキュアにおいても、実は全く存在しなかったキャラクターなのであった。もっと言えば、『どれみシリーズ』にも、『ナージャ』にも、この様な性格の主役が登場したことはなかったのであった。
普段は、勉強も運動もダメ。ドジで失敗ばかりするし、時に作業などもしたがらない『だめキャラ』の春風どれみちゃんも、夢原のぞみちゃんも、実は主役＆ヒーローの条件としての『勇気』だけは、誰よりも持っていたのであった。ドジなどれみちゃんを、許したり励ましたりして生活して行くはずきちゃん仲間達。「ヘナチョコ許せる優しさで～♪」とＯＰの歌詞にも出て来る『プリキュア５』。
でも実は、その内容自体はあんまり『優しいものではない』。どれみちゃんやのぞみちゃん達は、家庭生活と学校生活と、おジャ魔女・プリキュアの活動、マジョリカやココ＆ナッツのお店のお手伝いと、実際の同年代の女の子には出来ないであろう、ハードスケジュールな生活を送っているのである（笑）！まぁ、アニメ的なイメージもあるのだろうが、これだけのことを日々やっているというだけで、もう充分「スゴイ子である」と言えるのではないであろうか。

どれみちゃんとつぼみちゃんの違いが、比較出来るシーンがある。それは『おジャ魔女どれみ♯』において、魔女の赤ちゃんであるハナちゃんのお世話をMAHO堂のみんなですることになった時である。泣きやまないハナちゃん、その原因が判らずどれみちゃんは、ハナちゃんを置き去りにして家に帰ってしまったことがあったのである。泣いて抱きついて来たどれみちゃん、その理由を聞いたどれみママは、その頬を叩いたのであった。
「辛いのはどれみじゃなくって、ハナちゃんよ！赤ちゃんのお世話をするということは、遊びじゃないのよ！」
ママに叱られたどれみちゃんは、ハッと気付き、またＭＡＨＯ堂に走って戻って行くのであった。

同じ様に、つぼみちゃんもプリキュアとしての自分の不甲斐なさに落ち込んで、元キュアフラワーでもあるおバアちゃんに泣き付く。この時おバアちゃんは、「焦る事はない」とつぼみちゃんの頭を優しく撫でるのである。
このエピソードの違いによって、制作者達のストーリーに込められたメッセージなどの意図が読み取れる。赤ちゃんのお世話をすることは、一人の子の命を預かる事。プリキュアは、もっと多くの人々の命を守る事なのである。本来なら、すぐにでもつぼみちゃんに強くなってもらわなければならないはずで、おバアちゃんも「甘ったれるんじゃないわよ！」と喝を入れなければならない所であるはずなのである。
何が言いたいのかというと、それまでの『ニチアサキッズ８時３０分』シリーズよりも、メッセージ提示の『ハードルを低くした』のではないか、と思ったのである。

＜ココロの花。ココロの種。＞
『どれみシリーズ』や、それまでの『プリキュア・シリーズ』は、一見主人公が『だめキャラ』みたいだったとしても、実は仲間同士の付き合い方や、個人の生き方などの理想的なサンプルを提示する事を行なっていたのではないかと思われる。僕としては、その実際には存在しない女の子達の友情や、健気に頑張る姿などの世界観が好きで、この『ニチアサキッズ８：３０』の番組を見続けていたのである。
一見『だめキャラ』であるどれみちゃんものぞみちゃんも、実は主役となれる『勇気』や、仲間たちの中心となる明るさを持っていた。どれみちゃんのお母さんは、大事な時には厳しく叱る時もあったし、のぞみちゃんも仲間たちの励ましや手助けを受ける事で、自分の未来の夢に進み成長して行く。ただこの二人は、学業などでは成績が悪かったとしても、仲間の人気を集める才能は既に持っていたのであった。
結論だけで言ってしまうと、どれみちゃんやのぞみちゃんなどは、その時は『だめキャラ』であったとしても、人一倍優れたその天真爛漫な性格と、行動力と勇気で、自分の人生を突き進んで行く事になるであろうと思われる。でも現実的には、それだけのものを持っている人というのはマレなのであって、集団生活の中での人間関係や、自分自身の学業や職業面などにおいての能力など、数々の悩み事を抱えて生きているのである。
『花咲つぼみ』ちゃんは、そういう意味では歴代のキャラと違って、『主役的な性格』を持っていない主人公といえるかもしれない。プライベートでも、パートナーの『来海エリカ』ちゃんに振り回されている感じ（笑）。他人に流されてしまって、今一つ自分の主張などが人に言えないなどの悩みを持っている。それはある意味、主人公の立場を『視聴者側に移した』ものなのではないかと、個人的には思えるのである。
今回の『ハートキャッチ！』の設定のポイントになっている、『ココロの花』。敵である『砂漠の使徒』は、『ココロの花』のしぼみつつある人の花を摘み取る。このエピソードの中で、それぞれの回に中心となる登場人物たちの『悩み事』や、親、恋人、友達などある人への思いなどが明らかにされて行く。個人的な印象としては、『デザトリアン』などに変身して具現化したそれぞれの登場人物の思いは、それに対する何らかの解決策などがなされるというよりは、その思いを対象になる人に知られた（伝わった）時点で解決（終了）している感があるのである。
つまりここで重要なのは、登場人物の悩みが解決するなのではなく、『思いがその人に伝わる』ことなのではないだろうか。毎回毎回そのエピソードの登場人物の悩み事なんかを、『デザトリアン』にされて聞かされるというのはどういうことなんだ?!とも思ったりしたのであるが（笑）。それは、『人の思いを受け止める（人の苦しみを知る）』ということが、テーマになっているのではないかと僕は解釈したのであった。
インターネットなどの普及で、個人の発言がより広く発信できる機会が増えて来た。個人的な印象では、特に若い人のブログなんかでは、自分の欲求不満などのハケ口にした様な不快なブログなどが多い気がする。時にはその不快感さえも、「手法として」タイトルなどに使って自分のブログなどを印象つけようとする者もある。逆に普段楽しくお互いの趣味などで交流していたネットでの知り合いなどが、時に悩みなどの書き込みをすると全く誰も来なくなってしまったりすることもある。
自分の言いたい事や、不満を公の場所で吐いたりしていても、相手の悩み事などは聞かないのである。ただそういう人に限って、「かまってくれない」「リアクションがない」とか、「自分はダメだ」とかさらに不満を流していたりする。これは言ってしまえば、「自分がそうして欲しいほど、その人は他の人に対して何もしていない」からなのである。「人間関係」というのはそういうもので、本来は『持ちつ持たれつ』なもののはずなのである。
これがネットなどの仮想空間の出現によって、自分の言いたい事ばかり発信する機会に恵まれ、それを利用しても、仮想空間であっても同じ様に「人間関係」として『持ちつ持たれつ』なものなのであるという認識が稀薄になっているのである。「自分も苦しいが相手も苦しい」、『お互いの悩み事を知る（知り合う）』ということが、『人間関係を築く』ということなのである。
で、先のどれみちゃんとつぼみちゃんの比較である。どれみママは、どれみちゃんを叩いて突き放した。おバアちゃんは、つぼみちゃんを抱き寄せた。おバアちゃんは、まずつぼみちゃんのココロの悩みを『受け取ってあげた』のである。

＜いくつか破られてしまった（個人的な）タブー＞
『プリキュア・シリーズ』６年目ということもあってか、それまでの手法ではワンパターンになってしまうということなのいか、今回の『ハートキャッチ！』ではそれまでにはなかった、プリキュアファンとして僕が個人的にこだわっていたポイントが、いくつか破られて、新たな試みがなされている。まずは先から触れている様に、主人公に『勇気がない』こと。
個人的には、そういうキャラがヒーローものの主人公であるというのは好きではないのである。ただこの事に関しては、映画『プリキュアオールスターズＤＸ２』で触れるが、かなり感動的なエピソードもあった。
次に、『悪のプリキュア』が現われたこと。これは、他のヒーローものでも必ず採用されているものではある。個人的には、手法的に安直な気がして、あまり歓迎できない。主人公に対抗する『好敵手』を創造する事こそ、クリエイターの腕の見せ所であると思うのである。
『ダークプリキュア』というのは、実は映画『Yes！プリキュア５鏡の国のミラクル大冒険』で、シャドウが鏡の国の力を利用し、『プリキュア５』達の能力をクリスタルでコピーしたものがすでに登場している。今回のはその詳細を僕は知らないのであるが、『悪になったプリキュア』ということで、前回のケースとはややその設定が異なる。本来は『正義の戦士』である『プリキュアが悪になった』というのは、ある意味ショックである。
次に、『プリキュアが敗れた』ということである。これも他のヒーローものではあるケースではあるが、とりあえず『ふたプリ』と『MaxHeart』以外のプリキュア・シリーズは全部見たのであるが、僕の記憶する限り『プリキュアが敗れたことはない』のである。御存知の様に、ＴＶの最終回でも映画でも、プリキュア達を脅かす強力強大な敵が現われても、最後は人々の応援などを得て、彼女たちは『必ず勝って来た』のである。
『ハートキャッチ！』では、この伝統が実は第１話でイキナリ破られてしまうのである。「ただ一人」であったとはいえ、『砂漠の使徒』の『ダークプリキュア』と闘っていた『キュアムーンライト』は、「私ではダメだ。別の適合者を探して！」と言い残して、敗れてしまったのであった。これも解釈の仕方ではおかしなことで、プリキュアは誰にでもなれるものではなくって、『選ばれた子しかなれない』はずなのである。
『勇気』があること、『美しい心』を持っていること、『強い意志』を持っていること。プリキュアの力は強力である為、それらの条件に満たされない子にはその力を与える訳にはいかないのである。よって本来は、その力を悪用する『悪のプリキュア』が現われることもないし、『強い意志』を持っているからこそ、窮地に立ってもどんな強敵にも敗れる事はなかったのである。
更に言うと、仮にそのプリキュア一人で戦力不足であった場合は、実はその『プリキュアの使命』によって「戦士の人数が決められている」のである（笑）。
プリキュア５＝５人。（パルミエ王国の復活。ナイトメアの野望を断ち切る）
プリキュア５gogo＝６人。「赤いバラ（プリキュア５）＋青いバラ（ミルキーローズ）」（エターナルからキュアローズガーデンを守る。）
フレッシュプリキュア！＝４人。（ラビリンスから、シフォンを守り、パラレルワールドを守る）
など。『SplashStar』の咲ちゃんと舞ちゃんも、年少の頃より妖精のフラッピとチョッピと出会い、プリキュアになる事を宿命付けられていたと思われる。各シリーズ内でその妖精たちは、自分達の使命によって「集めなければならない人数のプリキュア」を探しているのである（笑）。
プリキュアは、エピソードによってはその個人の力がまちまちで、その力はその時の彼女たちの精神状態でかなりバラツキがある。個人的な解釈としては、『プリキュア』の力の素となる『希望の光』というものがあって、それが各プリキュア達の気持ちに応じて力を与えてくれるのではないだろうかと考えている。彼女たちの心が純粋で、その思いが強ければ強いほど『希望の光』はそれに答えて力を与えてくれるのではないかと。
その解釈でいくと、『キュアムーンライト』が『ダークプリキュア』より強い意志を見せれば、敗れる事はなかったのではないかとも思えるのである。ただシリーズを通して、『プリキュア』にそんなに統一した設定があるのかどうかは不明である（笑）。ただ今回は、プリキュアが『希望の戦士』として過去より活躍していたという事が明らかになった。つぼみちゃんのオバアさんは、元『キュアフラワー』という戦士であった。

個人的な事情で、ここ数話ほど『ハートキャッチ！』を見る事が出来ていない。これらの新設定を導入して、どれだけ素晴らしいエピソードが描けるか？後半も注目である。更に次回、『ＤＸ２』で『ハートキャッチ！』に関しても熱く語ってみたい（笑）!!