何とかナルナル?!プリキュア５コミュのFpri第２３話『イースの最期　キュアパッション誕生!!』☆☆☆☆

＜あらすじ＞
キュアピーチ（ラブちゃん）達の前で、自分が『東せつな』である事を明かした『ラビリンス』の『イース』ちゃん。ピーチはその事実が正しく認識出来ず、せつなが倒れそうになると思わず駆け寄って手を差し伸べてしまう。それを振り払う、せつな。ピーチ達を残して、彼女は去ってしまう。
しかしイースちゃんには、過酷な運命が待っていた。『ナキサケーベー』のカードを使っても、『プリキュア』を撃退することが出来なかった彼女に対して、『ラビリンス』総統の『メビウス』は、『処分（データーの書き換えによる命の寿命の終了）』を命じるのであった。アジトである占い館に戻った彼女のもとに、『任務の終了（寿命の終了）』を告げるメッセージが送られて来たのであった。
イースちゃんがせつなであったことに、ショックを受けたラブちゃん。「独りになりたい」と、シフォンもタルトも自分の部屋から追い出してしまうが、祈里ちゃんを連れた美希タンが乗り込んで来て、強引に部屋に入って来てしまった。「イースがせつなであったという事は、あの占い館が『ラビリンス』のアジトに違いない」と、そこへ乗り込む事をラブちゃんに告げる。返答のないラブちゃんに美希タンは、「せつななんて子は、始めからいなかったのよ！」と言うと、ラブちゃんは、「せつながいなかったなんて、そんなヒドイこと言わないで！」と怒る。美希タンは、ラブちゃんが先程の事でショックを受けていることは承知の上で、それを吹っ切ってもらう為に「心を鬼にして」、占い館の襲撃を提案したのであった。しかし怒りが収まらないラブちゃんは、美希タン達を残して外に出て行ってしまった。
せつなが敵であるイースちゃんであったと知っても、「せつなは自分の友達であった」と信じているラブちゃん。しかしこれからは、どう対処していいのか心の整理が全く出来ないでいた。「自分に何か出来ないのか」、途方に暮れるラブちゃんの足は、知らない間にカオルちゃんのいるドーナツスタンドに向かっていたのであった。「自分の友達が、実はスゴク悪い事をしている事を知ってしまった」と、ラブちゃんはカオルちゃんに相談する。カオルちゃんはしばらく考えていると、何故か「熱い日には鍋とかいいよなぁ。」と、訳のわ、からない事を言い出した（笑）。「カモは煮込んで、ツミレは煮込まず…あ、これは『罪を憎んで人を憎まず』だった！」カオルちゃんのギャグには付いていけなかったラブちゃんだった（笑）が、『罪を憎んで人を憎まず』の言葉にある決意を見出すのであった。
「友達（せつな）に悪い事（ラビリンス）を止めさせる！」ラブちゃんはその決意を持って、占い館に一人向かうのであった。一方家を飛び出したラブちゃんをすぐにおった美希タン達だったが、見失ってしまい手分けして探そうとしていた。そこにたまたまラブちゃんを見掛けたという知り合いのおそば屋さんに会って、占い館のある森に向かった事を知り、後を追うのであった。美希タン達がこちらに向かっていることを知った『サウラー』と『ウェスター』は、森の木々で道を塞ぎ、館を隠してしまう。『ラビリンス』のメッセージを受け取ったイースちゃんは、「やり残したことがある」と、独り出掛けていたのであった。
お互い森の道でバッタリと会った、ラブちゃんとせつな。
「お前と決着をつける！（せつな）」
「そうだね。もうこんなことは、これで終わりにしよう！（ラブ）」
二人は変身して、対決するのであった！　

＜感想＞
「友達に悪い事を止めさせる」。本来イースちゃんは『ラビリンス』の人間であるのだから、一時的に『東せつな』になっているのは「仮の姿」な訳で、ラブちゃんの考えている事はかなり無謀な事ともとれる。しかし「せつなは自分の友達である」という強い想いのあるラブちゃんには、最も正しい選択だったのである。後ラブちゃんには、歴代のプリキュア主人公の中でもチョット独特な処があるのに気付いた。前回でもそうなのだが、ラブちゃんは本当に怒っている時にはその怒りをあらわにしないのである。前回『トリニティー』のライブを、イースちゃんの『ナキサケーベー』に壊されてしまった時も、イースちゃんのそばに来て、「私、スッゴク怒っているんだからね！」と言ったし、今回せつなと対峙した時も、「私達、気が合うね。私もせつなに会いに行こうと思ってたんだ。」と、ある意味せつなに愛嬌を見せる所を見せたり、「そうだね。もうこんなことは、これで終わりにしよう！」と落ち着いた対応を見せている。
渚ちゃん（キュアブラック）、咲ちゃん（キュアブルーム）は激情型で、自分の感情をストレートに表わすし、窮地の時には一時はパニクって迷いながら、意志が決まれば気合を集中して大爆発する。のぞみちゃん（キュアドリーム）は、おそらく普段は全プリキュアの中でも最も「ヘタレな（笑）」キャラなのだが、一番窮地の時に誰よりも激しく強い意志と、「ひらめき」を発揮する、実は天才型。ラブちゃん（キュアピーチ）は、先の例で行くと、窮地の中でも冷静さを持つ客観性を持っている秀才型とでもいうのだろうか。意思が固まると、ドッシリと腰をすえて冷静になるのである。
それまでのラブちゃんというのは、いわゆる今のヒロインものにありがちな「天然系」だった訳だが、例えば今回のイースちゃんとの対決も「私独りでやらせて！」と言ったり、かなり頼もしい面を見せてくれて好きになった。『フレシュ！』のメンバーは、それまでのプリキュア達よりある意味「大人びた対応」を見せる。今回の美希タンの様に、あえてラブちゃんをあおって叱咤したり、イースちゃんに「それはあなたに、ラブの心が届いたからよ。…立てる？」と手を差し出したり。祈里ちゃんは、ズカズカ乗り込んで来た美希タンに代わって、ラブママに「すみませ～ん」と謝ったりと、彼女達の間で役割が決まっていて、それぞれを彼女達自身が自覚して対応しているのである。
今回のイースちゃんの最期が、『キュアパッション』の登場ということになったのだが、それまでは『ラビリンス』の刺客としてしたたかさと、ずる賢さ、つまり『悪の心』を持っている彼女が、イカにして『正義の心』がないと変身出来ない『プリキュア』になるのか、その過程に注目していたのだが、実はラブちゃんが「うらやましかった」というのは、かなり意外な結末であったといえる。ラブちゃんが「せつな！せつな！」となつくのに、一見億劫がって嫌がっていたのではなく、実は憧れていて、それに自分も染まっていってしまう事に恐れを抱いていたのである。
イースちゃんは前回ぐらいに『ラビリンス』の『クライン』が視察に来た時、『プリキュア撃退』という使命を果たす条件として、『メビウス総統との謁見』を希望していた。彼女は『メビウス』に会って何をしようとしていたのであろうか？それまでの態度で予想するに、彼女は『任務からの開放』を上告しようとしたのではないかと思われる。今回のエピソードで、『管理国家メビウス』は、科学技術が進歩した世界である事が判明した。その世界の者達は全てデーターベースで管理されており、必要であればデーターを修正して寿命を終わらせる（命を奪う）ことも出来る。ひょっとしたら、他の『サウラー』や『ウェスター』も、『不幸のゲージを集める』為だけに生み出された存在なのかもしれないのだ。
それまでのイースちゃんは、任務遂行によってレベルアップしていくという野心で『メビウス総統』に近づこうとしていたのか、それ以外の感情でそうしていたのかは不明である。ただそれまででも他の『男二人』より、『メビウス』に対する何らかの思い入れがあった様な印象はある。それが前回のエピソードでは、『メビウス』に他の『ラビリンス』の人々よりも『自分の存在を見て欲しい』という心の現われが描かれていた。彼女が生命体なのか、ただデーターで製造された人工生命体なのか、それは現段階ではわからない。しかし彼女がこの時、「一個人」「一子供（？）」「一女」として、『メビウス』から注目されたい事を望んでいた。その「人格の表れ」が、「ラブちゃんとの出会い」がきっかけで更に強くなってしまったのではないだろうか。ただこの回、「私を見て！」と叫んだ彼女を、「あなたは泣いている」「あれはあなたの心が泣き叫んでいるんじゃないの？」と言って「見てくれた」のは、キュアピーチ（ラブちゃん）だったのである。
自らの死を、『ラビリンス』からのメッセージで知ったイースちゃん。『今日死ぬ』という時に、彼女が『やり残したこと』と言ってやったことは、『キュアピーチ（ラブちゃん）と闘う』ということであった。実はそれ以外、彼女にとって「やりたいこと」も「やれること」も何もなかったのではないだろうか。せつなであることを打ち明けていなければ、ひょっとして密かにせつなになって、ラブちゃん達と街に遊びに行っていたかもしれない。今は敵と判ってしまって、ラブちゃん達と合ってしまえばもう「闘うしかない」。それでも、彼女はラブちゃんと会いたかったのである。そう考えると、イースちゃんのそれまでの人生はかなり悲しい。
キュアピーチ（ラブちゃん）との激闘の後、イースちゃんの命は尽きてしまう。彼女はそれまでみんなと会話をしていたのに、唐突に死んでしまう。ラブちゃん達も、咄嗟にそれが『イースの死』だったことを察したのであるが、心に受け入れられずオドオドとした態度になる。『サウラー』達が来て、「イースは死んだんだ」と言っても、「死んだって…どういうこと？」と言い返して『イースの死』を受け入れられない。ここら辺の描写もよく出来ていた。ラブちゃん達がようやく『イースの死』を受け入れて泣き始め、プリキュア達に大きな心の動揺が現われて危機になった時、ようやく４つ目のピックルン、『アカルン』が登場、『キュアパッション』の誕生！となるのであった。
喜んでイースが見つけた『四葉のクローバー』を、「ようこそ、プリキュアへ！」と差し出すキュアピーチ（ラブちゃん）。しかしキャパッション（せつな）は、「私は手を汚し過ぎた」と拒否をして去っていく。自分の今までの行為が「悪い事であった」という自覚。それは、キュアパッションに『善の心』が宿っている事の証明であった。『フレッシュ！』は歴代の中でも最も作画面などのクオリティーが高い作品ではあるのだが、若干アキバ系なボケやギャグ、ストレートにではなくチョット秘めた会話などでライトに表現しようとする所が、個人的には好きではなかった。
しかし今回、『友達に悪い事を止めさせる』、『友達を叱る』という、歴代にはない友情のアプローチがされた。『力をあわせる』、『喜びも悲しみもみんなで分かち合う』、それも確かに『友情』なのであるが、『友達を叱る』という行為も大事な事であるはずである。「お前と戦う！」と言われたことを受けて立つ、「友達を救う為にも、何としても自分で打ち負かす！」このラブちゃん（キュアピーチ）の気迫を見て、僕としてはようやく『歴代プリキュアの域に並び立った！』と感動したのであった！