尾崎行雄コミュの尾崎行雄の政治生活

尾崎行雄の政治生活

　東京市長時代（明治36年から９年間）の尾崎です。精悍でかっこいいですね。東京の水源確保をしたり、日米友好の桜をアメリカに送ったりの大活躍。当時東京市政は収賄、疑獄事件が続出して「伏魔殿（ふくまでん）」呼ばれるほどの酷いものだったのですが、尾崎市長の間は一度も醜悪な事件がなく、明朗な市政でした。

　尾崎は一貫して見事にクリーンな政治家です。63年も議員をやっていて一度も総理にならなかったのは、彼が純粋すぎたからだそうです。それだけに敵も多く、何度も暴漢に襲われたり、警察に睨まれたり、様々な妨害にあってきましたが、生涯屈することがなかったのです。

　犬養毅です。尾崎とともに「憲政二柱の神」と仰がれ、民主主義のために闘った親友です。しかし犬養は昭和７年陸軍の政治テロにより射殺されました。このとき尾崎はイギリスにいましたが、悲報を聞いて作った歌
「我が友の　殺されたるを夢として　聞かんと祈り眞かと思ふ」
翌年、尾崎は暗殺の標的になるのを覚悟で「墓標に代えて」という、戦争の実害と国際協調について説いた論文を書いて帰国しました。以後尾崎にはいつも護衛がつくことになります。護衛は身辺警護だけでなく、尾崎が危険思想をばらまくのを防ぐためでもあったようです。

　昭和12年尾崎79才のときの議会演説です。決死の覚悟のもの凄い演説です。「日本帝国はどこに行くつもりで舵をとっておるのか！」と軍部の横暴や軍事費の増大を率直に批判しました。この演説は新聞に大きく取りあげられ、全国から感動の手紙が続々と届いたそうです。

　しかし、尾崎の必死の努力は空しく軍国主義はますます進んで、この年、日中戦争が始まってしまったのです。

　これ以後戦争が終わるまで、尾崎は無視され発言の機会を奪われました。