「憲政の神様」尾崎行雄
咢堂が好きだ。
理由なんか訊くなよ、野暮ってもんだぜ。
『はきちがえた民主主義』
民主主義は個人の自由権利を尊重する。
しかし、いかに個人の自由権利を尊重すればとて、
他人の自由権利をおかしてまで、
個人の自由権利を主張していいはずはない。
真に自分の自由権利の尊さを自覚した人なら、
他人の自由権利の尊さを思うべきだ。
もし、自分の自由権利を主張するために、
他人の自由権利は踏みにじってもかまわぬ
というようなことが許されるなら、
民主主義社会の自由は全体として失われる。
社会が全体として自由を失えば、
その社会の一員である個人の自由もまた、
失われるのは理の当然である。
近頃、民主主義をはきちがえて、
自分の、または少数団体の欲望を満たすために、
他の多数の迷惑を顧みず、
わがまま勝手を振る舞う心得違いのものがだいぶ増えたようだ。
こうゆう不心得ものに、正邪善悪の物差しを教え込むことが、
民主教育の一大使命である。
尾崎行雄『民主政治読本』(昭和21年)、
『尾崎咢堂全集第十巻』118頁より。
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尾崎行雄記念財団