尾崎行雄コミュの議会政治の父：尾崎行雄（咢堂）の訓示

議会政治の父：尾崎行雄（咢堂）の訓示

　戦前戦後に活躍した政治家・尾崎行雄は、普通選挙運動に参加。同時に、婦人参政権運動を支持。また軍縮推進運動、治安維持法反対運動など一貫して軍国化に抵抗する姿勢を示したが、太平洋戦争へ先導し大勢が動いていった。それでも、街頭演説で軍縮推進を全国遊説をするなど反戦を訴えたことで、議会では孤立して行った。その行動し示す姿勢と、弁論のすばらしさから、「議会政治の父」とか「憲政の神様」称され多くの支持者を集めた。
　後１０日後には、「日本政治の転換点」とも言われる参議院選挙ですが、尾崎行雄氏のような政治家は、私の知る限りではまだ見たことはありません。

「議事堂は名ばかりで、実は表決堂である」（政党本部で決めた「既定の表決を粉飾する虚偽の道具たるに過ぎない」）「政党及び議会の信用が今日ほど薄くなったことはない。政党が金力権力を乱用したのが原因だ。心ある者は反省せよ・・・」

　「あれ、これって今の政治のことは？」と思うような言葉です。一向に変らぬ政治家気質は、昭和－平成の戦後政治をいまだに引き摺っているように思えます。
　参議院選挙に向けて、色々な法案が一党支配の権力を使い、「駅の改札並みの速さで、法案を議会通過」させていざ選挙ですが、これを尾崎行雄氏が見たら、どんな街頭演説になったか聞きたいものです。また、尾崎氏の一節があります。　

『人間のつとめ』
　たとえ自分の利益になっても、害になっても、とにかく正邪を判別する良心があれば、自分の見聞した事実を公にして、世の誤りを正すことが人間のつとめである。

・・・利害損得のみに執着する日本人の封建思想を叩き直して、正邪善悪に基づいて行動する人間をつくることが、民主教育の目的であり、教育者の使命である。

　世界中から尊敬せられ、愛せられる日本人をつくるためには、まず教育家の魂から、つくりなおしてかからねばならぬとすれば、前途道遠しの嘆なきを得ない。
　しかし、日本人の心に根強くこびりついている利害損得本意の封建思想を叩き出して、正邪善悪本意の真の民主主義精神をしっかり教え込むというような大事業は、たとえどんな立派な教育家があったところで、とても少数の専門教育家が学校で生徒を教えるくらいで成し遂げられるような、なまやさしい仕事ではない。
　・・・日本人全体が教師となり、同時に生徒になった気で、たがいに教え、教えられつつして、向上していくより外はない。
＊尾崎行雄『民主政治読本』（昭和21年）

　やはり教育が最も大事と思うのは、だれしも同じと考えます。尾崎氏の言う「日本人全体が教師となり、同時に生徒になった気で」、互いに教え合い、向上して行く他無いと言う教えは、『今の大人が範を示す』ことが大事と説いていると感じます。

　道路や公園に平気で棄てられたペットボトルやゴミとか、ペットの落し物もそのまま、地域に住む人のことを思うとそうそうできないのが心情と思いますが、誰も見ていないから、自分のことは知らない人だからとかで、平気にやってしまいます。「君子は、一人のときでも己を律する」ことが大事と思います。昔の人は子供たちに「神様がみているから悪いことはしていけません」と訓示したものですが、そんなこと最近聞いたことがありません。大人たち自身が実行していないから、子供に躾けられないようにも思えます。

　今回の選挙で、経済成長、改革・改革の声は聞きますが、教育の大事さや、政治の原理原則について語る演説はいっこうに聴けません。
「政党が金力権力を乱用したのが原因だ。心ある者は反省せよ・・」
の先人の訓示を胆に据えて、後１０日間選挙活動を検証してみたいと思います。
　最後に、尾崎行雄氏の座右の銘と、私は思っている言葉を紹介して、今夜の日記を終わります。７０歳を越えたときに行き着いた言葉と言われています。

「人生の本舞台は　常に将来にあり」