■ラップ傾向
[全体ラップ]
06年 12.6−11.2−11.6−12.1−12.2−11.4−11.3−11.6
07年 12.3−10.8−11.7−11.8−11.6−11.2−11.2−11.9
08年 12.4−11.3−12.0−12.2−12.1−11.2−11.0−11.5
09年 12.2−10.8−11.7−12.0−11.9−11.2−10.8−11.8
10年 12.2−10.6−11.0−11.7−12.0−11.6−11.3−12.0
11年 12.0−10.6−10.9−11.1−11.3−11.6−12.0−12.4
12年 12.2−10.9−11.3−12.0−11.8−11.5−11.2−11.5
[前後半３Ｆ]
06年 35.4 → 34.3 1.34.0 稍重
07年 34.8 → 34.3 1.32.5 良
08年 35.7 → 33.7 1.33.7 良
09年 34.7 → 33.8 1.32.4 良
10年 33.8 → 34.9 1.32.4 良
11年 33.5 → 36.0 1.31.9 良
12年 34.4 → 34.2 1.32.4 良
今年で第８回目を迎えるヴィクトリアマイル。
創設当初は、前半３ハロン通過が34秒台後半〜35秒台までかかるスローの後傾ラップが定番だったが、10年以降は33.5〜34.4秒で前半を折り返している。
レースラップ上は前後半３ハロン34.7→33.8秒の後傾ラップを刻んだ09年だが、勝ったウオッカは直線で２着以下を1.2秒も突き放しており、ウオッカ以外の17頭は事実上34.7→35.0秒の前傾ラップを刻んでいた。
昨年こそ、34.4→34.2秒の後傾ラップを描いていたが、近年は平均ペースに近い前傾ラップが定番になりつつあるようだ。
[通過順]
06年 １着 05-06 ２着 11-12 ３着 10-09 18頭
07年 １着 06-06 ２着 01-01 ３着 06-06 18頭
08年 １着 06-07 ２着 10-09 ３着 07-04 18頭
09年 １着 05-04 ２着 04-04 ３着 01-01 18頭
10年 １着 13-12 ２着 04-04 ３着 12-13 18頭
11年 １着 09-11 ２着 13-13 ３着 03-03 17頭
12年 １着 03-03 ２着 02-02 ３着 13-13 18頭
過去７年の３着以内馬21頭中、４角５番手以内だったのは９頭。
09年が上位３頭すべて４角４番手以内の前残りだったことを考えると、実質的には４角５番手以内の先行馬の好走率はそれほど高くない。
ただし、前半３ハロン33秒台のハイペースだった10年と11年でさえ、先行馬が必ず１頭３着以内に残っている点は無視できないポイントだ。
過去７年で４角10番手以降から馬券になったのは、エアメサイア、ブエナビスタ、ニシノブルームーン、アパパネ、マルセリーナの５頭で、ニシノブルームーン以外はすべてＧ�鞠呂任△襦�
そんなタイトルホルダーですら、４角10番手から突き抜けて勝利したのは、10年のブエナビスタと11年のアパパネのみ。
その女傑２頭も、勝った翌年はそれぞれ２着、５着に敗退しており、いかに後方待機勢にとって厳しいレースであるかを物語っている。
[上がりと上がり順位]
06年 １着 33.8（２位） ２着 33.4（１位） ３着 33.8（２位）
07年 １着 33.4（２位） ２着 34.4（８位） ３着 33.4（２位）
08年 １着 33.4（２位） ２着 33.2（１位） ３着 33.6（３位）
09年 １着 33.4（１位） ２着 34.6（７位） ３着 35.2（９位）
10年 １着 33.5（２位） ２着 34.3（６位） ３着 33.5（２位）
11年 １着 34.3（３位） ２着 34.0（１位） ３着 35.0（６位）
12年 １着 33.8（２位） ２着 34.1（５位） ３着 33.5（１位）
過去７年の勝ち馬７頭のうち、自身上がりが33秒台だったのは実に６頭。
前後半３ハロン33.5 → 36.0秒の超前傾ラップを刻んだ11年こそ、自身上がり34.3秒のアパパネが勝利したが、それ以外はすべて33秒台の上がりをマークした馬が突き抜けている。
勝ち馬すべてが上がり３位以内の末脚を示しており、アパパネ以外の６頭は上がり２位以内であった。
上がり最速馬の成績は、２、５、２、１、６、２、３着で、勝ったのは09年のウオッカしかいないが、それでも連対率57.1％、複勝率71.4％と高アベレージをキープ。
好位から速い上がりを繰り出せるタイプが最も好走しやすいようだ。
■７ハロン実績の重要性
[３−７Ｆ通過、ラスト１Ｆ]
07年 34.8−1.20.6 → 11.9 良
08年 35.7−1.22.2 → 11.5 良
09年 34.7−1.20.6 → 11.8 良
10年 33.8−1.20.4 → 12.0 良
11年 33.5−1.19.5 → 12.4 良
12年 34.4−1.20.9 → 11.5 良
[京王杯ＳＣ]
07年 34.1−1.20.0 良
08年 34.7−1.20.8 良
09年 35.1−1.20.6 良
10年 34.6−1.19.8 良
11年 35.0−1.20.2 良
12年 34.2−1.20.1 良
このレースで最も注目したいのは、良馬場で行われた過去６回で刻まれた1400メートル通過ラップだ。
５ハロン通過60.0秒という超スローだった08年は例外として、それ以外はいずれも1400メートルを１分20秒台で通過。
これは、前日に行われる京王杯ＳＣの勝ち時計に匹敵する数字であり、そこからラスト１ハロンも大きく落ち込むことなくフィニッシュしている。
1400メートル以下で通用するスピードもさることながら、短距離戦のような持続ラップへの適応力も問われるということだろう。
エアメサイア……………Ｆレビュー３着、阪神牝馬２着
コイウタ…………………京王杯２歳３着、オーロＣ２着
アサヒライジング………サフラン賞１着
デアリングハート………紅梅Ｓ３着、Ｆレビュー２着
エイジアンウインズ……阪神牝馬１着
ブルーメンブラット……斑鳩Ｓ１着、阪神Ｃ３着、阪神牝馬２着
ヒカルアマランサス……新馬戦（小倉1200）１着
レディアルバローザ……Ｆレビュー３着
ホエールキャプチャ……ファンタジー３着
マルセリーナ……………阪神牝馬２着
1200〜1400メートルで抜群の安定感を誇っていたコイウタ、1400メートル以下の距離経験しかなかったエイジアンウインズ。
短距離志向の彼女たちが、一流マイラーを出し抜いて勝利した事実こそ、ヴィクトリアマイルが1400メートルの競馬で押し切れるレースであることの証明だ。
彼女ら２頭以外にも、06年２着のエアメサイアは阪神牝馬２着歴があったし、デアリングハートも３歳時のＦレビューで２着、ブルーメンブラットは牡馬混合の阪神カップで３着という実績の持ち主。
昨年の覇者ホエールキャプチャは２歳時にファンタジーＳでタイム差なしの３着、マルセリーナも阪神牝馬２着からの臨戦であった。
ブラボーデイジーやショウナンラノビア、ニシノブルームーンはそもそも芝1400メートル以下の経験がなく、彼女ら３頭を例外と考えれば、過去のヴィクトリアマイル好走馬のほとんどが、芝1400メートル以下で好走歴を持っていたことになる。
■結論
ヴィクトリアマイルの1400メートル通過ラップが、京王杯ＳＣの勝ちタイムに匹敵することは前項で述べた。
短距離戦とは究極の持続ラップであり、そういう高水準の持続ラップを数多く経験し、またそこで結果を出してきた馬の好走率が高い点は、このレースの最大の特徴と言えよう。
しかし、ヴィクトリアマイルにはもう一つ無視できない重要なポイントがある。
デアリングハート、エイジアンウインズ、ブルーメンブラット、ブラボーデイジー、ショウナンラノビア・・・。
近３年は鳴りを潜めているが、かつては高いダート適性を持つ馬が毎年のように馬券になっていた。
高速決着が定番のヴィクトリアマイルではあるが、優れた持続力が問われるダートでの実績も決して無縁ではない。
先週のＮＨＫマイルＣは、４角10番手以降の追い込み馬が１、２着。
前後半３ハロン34.4→34.9秒は、過去のＮＨＫマイルＣと比べても決して速いペースではなかった。
基本的にＮＨＫマイルＣは、中団より前の位置にいる馬が残りやすいレース。
例年並のペースだったにも関わらず、追い込み馬が２頭もゴール前で浮上したということは、それだけ例年よりも差しが決まりやすい馬場だったということに他ならない。
エーシントップやコパノリチャード、ガイヤースヴェルトなど上位人気馬の比重が前に集中し、強い先行馬が互いに潰しあったことも、後方待機勢の台頭を許す大きな要因であった。
彼らのような強力な先行馬でさえ、直線で失速してしまうほどタフな馬場だという認識が騎手たちの脳裏に刻まれているとしたら、今週は一転してスローの前残りになる可能性もあるだろう。
今週からＢコースに替わり、さらに前日から降り続ける雨が馬場状態をどう変化させるかは分からないが、前に行くにせよ後ろで控えるにせよ、思い切った騎乗が出来そうな馬で勝負したい。
本命は、エーシンメンフィス。
[京都牝馬Ｓ／全体ラップ]
12.5−11.3−11.9−12.1−11.8−11.7−11.4−11.6
１着 1.34.3（34.1／１位） 【12-11】 ハナズゴール
２着 1.34.7（34.3／２位） 【13-13】 エーシンメンフィス
３着 1.34.7（34.6／３位） 【09-07】 ベストクルーズ
４着 1.34.7（35.1／５位） 【01-01】 クィーンズバーン
今年の京都牝馬Ｓは、前後半３ハロン35.7→34.7秒の後傾ラップ。
ラスト４ハロンは、11.8−11.7−11.4−11.6と落ち込みのない持続ラップでフィニッシュした。
直前に行われた若駒Ｓは馬場の内を通った３頭が上位独占、９レースの花見小路特別も内から早めに抜け出した馬が押し切る決着。
イン有利とまでは言わないが、少なくとも外差しが決まりやすい馬場でなかったことは間違いない。
３〜４角をインベタで回ってきたハナズゴールに対して、エーシンメンフィスは終始外々を回される競馬。
２馬身半（0.4秒）差を逆転できていたかは分からないが、距離ロスさえなければ着差がさらに詰まっていたことは確実だ。
35.7 → 34.7 1.34.3 【13-13】 0.4差２着 京都牝馬Ｓ
34.1 → 35.3 1.32.6 【06-06】 1.1差17着 マイラーズＣ
ただし、この馬は高速決着に弱い。
近走の芝マイル戦を振り返ってみても、１分34秒３で決着した京都牝馬Ｓは0.4差２着に好走したが、１分32秒６の高速決着となったマイラーズＣでは1.1差17着に大敗した。
ヴィクトリアマイルは、良馬場なら１分32秒台の決着が定番。
とてもこの馬の出番などないのだが、今まさに夜の府中へ落ち続けている雨の粒が、エーシンメンフィスを後押ししてくれるだろう。
京都牝馬Ｓでは後方からの競馬で好走を果たしたが、本来は衣笠特別→愛知杯と芝で連勝を果たしたときのように、逃げて粘り込む競馬こそこの馬のスタイル。
タフな馬場での持久力勝負なら、ダートを主戦場にしていたエーシンメンフィスに一日の長がある。
問題は、逃げられるかどうか。
前走のマイラーズＣは、シルポートやオースミスパーク、さらにはカレンブラックヒルなど、強力な逃げ候補がズラリと顔を揃えていたため、ハナへ行き切ることができずに大外枠から終始外を回される競馬を強いられた。
前走に引き続き、今回も痛恨の大外枠を引いてしまったが、前走と決定的に違うのは確たる逃げ馬が不在であること。
この枠でこのメンバーなら、もう迷う余地なく思い切って行き切るしかないだろう。
もともと、川須騎手はテンで速いラップを刻み、ハナに立ってから急激にペースを落とす騎乗が得意なジョッキー。
昨年の愛知杯も、テンの２→３ハロン目で11.8→13.3と一気にペースダウンしている。
今回も同様の戦法で同型を出し抜き、最初のコーナーまでにインへ切り込むことができれば、大外枠でも距離ロスを最小限に抑えることができるはずだ。
明日になってどこまで馬場が回復するか分からないが、雨上がりの東京芝は内から回復していく。
外を回した後方待機勢が切れ味を削がれ、内にグリーンベルトが出現するなら、エーシンメンフィスの一発があってもおかしくない。
ただし、前述したように速い時計で決着するようだと厳しいので、馬場の回復具合によっては再考が必要。
午前５時の時点で、雨はすでに止んでおり、予定より早く馬場が回復しそうな見込み。
現時点では、あくまで仮の◎とするが、レース直前で変更する可能性は高そうだ。
◎エーシンメンフィス
[全体ラップ]
06年 12.6−11.2−11.6−12.1−12.2−11.4−11.3−11.6
07年 12.3−10.8−11.7−11.8−11.6−11.2−11.2−11.9
08年 12.4−11.3−12.0−12.2−12.1−11.2−11.0−11.5
09年 12.2−10.8−11.7−12.0−11.9−11.2−10.8−11.8
10年 12.2−10.6−11.0−11.7−12.0−11.6−11.3−12.0
11年 12.0−10.6−10.9−11.1−11.3−11.6−12.0−12.4
12年 12.2−10.9−11.3−12.0−11.8−11.5−11.2−11.5
[前後半３Ｆ]
06年 35.4 → 34.3 1.34.0 稍重
07年 34.8 → 34.3 1.32.5 良
08年 35.7 → 33.7 1.33.7 良
09年 34.7 → 33.8 1.32.4 良
10年 33.8 → 34.9 1.32.4 良
11年 33.5 → 36.0 1.31.9 良
12年 34.4 → 34.2 1.32.4 良
今年で第８回目を迎えるヴィクトリアマイル。
創設当初は、前半３ハロン通過が34秒台後半〜35秒台までかかるスローの後傾ラップが定番だったが、10年以降は33.5〜34.4秒で前半を折り返している。
レースラップ上は前後半３ハロン34.7→33.8秒の後傾ラップを刻んだ09年だが、勝ったウオッカは直線で２着以下を1.2秒も突き放しており、ウオッカ以外の17頭は事実上34.7→35.0秒の前傾ラップを刻んでいた。
昨年こそ、34.4→34.2秒の後傾ラップを描いていたが、近年は平均ペースに近い前傾ラップが定番になりつつあるようだ。
[通過順]
06年 １着 05-06 ２着 11-12 ３着 10-09 18頭
07年 １着 06-06 ２着 01-01 ３着 06-06 18頭
08年 １着 06-07 ２着 10-09 ３着 07-04 18頭
09年 １着 05-04 ２着 04-04 ３着 01-01 18頭
10年 １着 13-12 ２着 04-04 ３着 12-13 18頭
11年 １着 09-11 ２着 13-13 ３着 03-03 17頭
12年 １着 03-03 ２着 02-02 ３着 13-13 18頭
過去７年の３着以内馬21頭中、４角５番手以内だったのは９頭。
09年が上位３頭すべて４角４番手以内の前残りだったことを考えると、実質的には４角５番手以内の先行馬の好走率はそれほど高くない。
ただし、前半３ハロン33秒台のハイペースだった10年と11年でさえ、先行馬が必ず１頭３着以内に残っている点は無視できないポイントだ。
過去７年で４角10番手以降から馬券になったのは、エアメサイア、ブエナビスタ、ニシノブルームーン、アパパネ、マルセリーナの５頭で、ニシノブルームーン以外はすべてＧ�鞠呂任△襦�
そんなタイトルホルダーですら、４角10番手から突き抜けて勝利したのは、10年のブエナビスタと11年のアパパネのみ。
その女傑２頭も、勝った翌年はそれぞれ２着、５着に敗退しており、いかに後方待機勢にとって厳しいレースであるかを物語っている。
[上がりと上がり順位]
06年 １着 33.8（２位） ２着 33.4（１位） ３着 33.8（２位）
07年 １着 33.4（２位） ２着 34.4（８位） ３着 33.4（２位）
08年 １着 33.4（２位） ２着 33.2（１位） ３着 33.6（３位）
09年 １着 33.4（１位） ２着 34.6（７位） ３着 35.2（９位）
10年 １着 33.5（２位） ２着 34.3（６位） ３着 33.5（２位）
11年 １着 34.3（３位） ２着 34.0（１位） ３着 35.0（６位）
12年 １着 33.8（２位） ２着 34.1（５位） ３着 33.5（１位）
過去７年の勝ち馬７頭のうち、自身上がりが33秒台だったのは実に６頭。
前後半３ハロン33.5 → 36.0秒の超前傾ラップを刻んだ11年こそ、自身上がり34.3秒のアパパネが勝利したが、それ以外はすべて33秒台の上がりをマークした馬が突き抜けている。
勝ち馬すべてが上がり３位以内の末脚を示しており、アパパネ以外の６頭は上がり２位以内であった。
上がり最速馬の成績は、２、５、２、１、６、２、３着で、勝ったのは09年のウオッカしかいないが、それでも連対率57.1％、複勝率71.4％と高アベレージをキープ。
好位から速い上がりを繰り出せるタイプが最も好走しやすいようだ。
■７ハロン実績の重要性
[３−７Ｆ通過、ラスト１Ｆ]
07年 34.8−1.20.6 → 11.9 良
08年 35.7−1.22.2 → 11.5 良
09年 34.7−1.20.6 → 11.8 良
10年 33.8−1.20.4 → 12.0 良
11年 33.5−1.19.5 → 12.4 良
12年 34.4−1.20.9 → 11.5 良
[京王杯ＳＣ]
07年 34.1−1.20.0 良
08年 34.7−1.20.8 良
09年 35.1−1.20.6 良
10年 34.6−1.19.8 良
11年 35.0−1.20.2 良
12年 34.2−1.20.1 良
このレースで最も注目したいのは、良馬場で行われた過去６回で刻まれた1400メートル通過ラップだ。
５ハロン通過60.0秒という超スローだった08年は例外として、それ以外はいずれも1400メートルを１分20秒台で通過。
これは、前日に行われる京王杯ＳＣの勝ち時計に匹敵する数字であり、そこからラスト１ハロンも大きく落ち込むことなくフィニッシュしている。
1400メートル以下で通用するスピードもさることながら、短距離戦のような持続ラップへの適応力も問われるということだろう。
エアメサイア……………Ｆレビュー３着、阪神牝馬２着
コイウタ…………………京王杯２歳３着、オーロＣ２着
アサヒライジング………サフラン賞１着
デアリングハート………紅梅Ｓ３着、Ｆレビュー２着
エイジアンウインズ……阪神牝馬１着
ブルーメンブラット……斑鳩Ｓ１着、阪神Ｃ３着、阪神牝馬２着
ヒカルアマランサス……新馬戦（小倉1200）１着
レディアルバローザ……Ｆレビュー３着
ホエールキャプチャ……ファンタジー３着
マルセリーナ……………阪神牝馬２着
1200〜1400メートルで抜群の安定感を誇っていたコイウタ、1400メートル以下の距離経験しかなかったエイジアンウインズ。
短距離志向の彼女たちが、一流マイラーを出し抜いて勝利した事実こそ、ヴィクトリアマイルが1400メートルの競馬で押し切れるレースであることの証明だ。
彼女ら２頭以外にも、06年２着のエアメサイアは阪神牝馬２着歴があったし、デアリングハートも３歳時のＦレビューで２着、ブルーメンブラットは牡馬混合の阪神カップで３着という実績の持ち主。
昨年の覇者ホエールキャプチャは２歳時にファンタジーＳでタイム差なしの３着、マルセリーナも阪神牝馬２着からの臨戦であった。
ブラボーデイジーやショウナンラノビア、ニシノブルームーンはそもそも芝1400メートル以下の経験がなく、彼女ら３頭を例外と考えれば、過去のヴィクトリアマイル好走馬のほとんどが、芝1400メートル以下で好走歴を持っていたことになる。
■結論
ヴィクトリアマイルの1400メートル通過ラップが、京王杯ＳＣの勝ちタイムに匹敵することは前項で述べた。
短距離戦とは究極の持続ラップであり、そういう高水準の持続ラップを数多く経験し、またそこで結果を出してきた馬の好走率が高い点は、このレースの最大の特徴と言えよう。
しかし、ヴィクトリアマイルにはもう一つ無視できない重要なポイントがある。
デアリングハート、エイジアンウインズ、ブルーメンブラット、ブラボーデイジー、ショウナンラノビア・・・。
近３年は鳴りを潜めているが、かつては高いダート適性を持つ馬が毎年のように馬券になっていた。
高速決着が定番のヴィクトリアマイルではあるが、優れた持続力が問われるダートでの実績も決して無縁ではない。
先週のＮＨＫマイルＣは、４角10番手以降の追い込み馬が１、２着。
前後半３ハロン34.4→34.9秒は、過去のＮＨＫマイルＣと比べても決して速いペースではなかった。
基本的にＮＨＫマイルＣは、中団より前の位置にいる馬が残りやすいレース。
例年並のペースだったにも関わらず、追い込み馬が２頭もゴール前で浮上したということは、それだけ例年よりも差しが決まりやすい馬場だったということに他ならない。
エーシントップやコパノリチャード、ガイヤースヴェルトなど上位人気馬の比重が前に集中し、強い先行馬が互いに潰しあったことも、後方待機勢の台頭を許す大きな要因であった。
彼らのような強力な先行馬でさえ、直線で失速してしまうほどタフな馬場だという認識が騎手たちの脳裏に刻まれているとしたら、今週は一転してスローの前残りになる可能性もあるだろう。
今週からＢコースに替わり、さらに前日から降り続ける雨が馬場状態をどう変化させるかは分からないが、前に行くにせよ後ろで控えるにせよ、思い切った騎乗が出来そうな馬で勝負したい。
本命は、エーシンメンフィス。
[京都牝馬Ｓ／全体ラップ]
12.5−11.3−11.9−12.1−11.8−11.7−11.4−11.6
１着 1.34.3（34.1／１位） 【12-11】 ハナズゴール
２着 1.34.7（34.3／２位） 【13-13】 エーシンメンフィス
３着 1.34.7（34.6／３位） 【09-07】 ベストクルーズ
４着 1.34.7（35.1／５位） 【01-01】 クィーンズバーン
今年の京都牝馬Ｓは、前後半３ハロン35.7→34.7秒の後傾ラップ。
ラスト４ハロンは、11.8−11.7−11.4−11.6と落ち込みのない持続ラップでフィニッシュした。
直前に行われた若駒Ｓは馬場の内を通った３頭が上位独占、９レースの花見小路特別も内から早めに抜け出した馬が押し切る決着。
イン有利とまでは言わないが、少なくとも外差しが決まりやすい馬場でなかったことは間違いない。
３〜４角をインベタで回ってきたハナズゴールに対して、エーシンメンフィスは終始外々を回される競馬。
２馬身半（0.4秒）差を逆転できていたかは分からないが、距離ロスさえなければ着差がさらに詰まっていたことは確実だ。
35.7 → 34.7 1.34.3 【13-13】 0.4差２着 京都牝馬Ｓ
34.1 → 35.3 1.32.6 【06-06】 1.1差17着 マイラーズＣ
ただし、この馬は高速決着に弱い。
近走の芝マイル戦を振り返ってみても、１分34秒３で決着した京都牝馬Ｓは0.4差２着に好走したが、１分32秒６の高速決着となったマイラーズＣでは1.1差17着に大敗した。
ヴィクトリアマイルは、良馬場なら１分32秒台の決着が定番。
とてもこの馬の出番などないのだが、今まさに夜の府中へ落ち続けている雨の粒が、エーシンメンフィスを後押ししてくれるだろう。
京都牝馬Ｓでは後方からの競馬で好走を果たしたが、本来は衣笠特別→愛知杯と芝で連勝を果たしたときのように、逃げて粘り込む競馬こそこの馬のスタイル。
タフな馬場での持久力勝負なら、ダートを主戦場にしていたエーシンメンフィスに一日の長がある。
問題は、逃げられるかどうか。
前走のマイラーズＣは、シルポートやオースミスパーク、さらにはカレンブラックヒルなど、強力な逃げ候補がズラリと顔を揃えていたため、ハナへ行き切ることができずに大外枠から終始外を回される競馬を強いられた。
前走に引き続き、今回も痛恨の大外枠を引いてしまったが、前走と決定的に違うのは確たる逃げ馬が不在であること。
この枠でこのメンバーなら、もう迷う余地なく思い切って行き切るしかないだろう。
もともと、川須騎手はテンで速いラップを刻み、ハナに立ってから急激にペースを落とす騎乗が得意なジョッキー。
昨年の愛知杯も、テンの２→３ハロン目で11.8→13.3と一気にペースダウンしている。
今回も同様の戦法で同型を出し抜き、最初のコーナーまでにインへ切り込むことができれば、大外枠でも距離ロスを最小限に抑えることができるはずだ。
明日になってどこまで馬場が回復するか分からないが、雨上がりの東京芝は内から回復していく。
外を回した後方待機勢が切れ味を削がれ、内にグリーンベルトが出現するなら、エーシンメンフィスの一発があってもおかしくない。
ただし、前述したように速い時計で決着するようだと厳しいので、馬場の回復具合によっては再考が必要。
午前５時の時点で、雨はすでに止んでおり、予定より早く馬場が回復しそうな見込み。
現時点では、あくまで仮の◎とするが、レース直前で変更する可能性は高そうだ。
◎エーシンメンフィス
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