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三題話コミュの宇宙・クジラ・路線バス

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週末になりました。三題話のお時間ですよ〜。
というわけでお次はこちら!
このお題、、面白いお話が連発しそうな予感です。。
いざ!

コメント(14)

どうも、双調です。

宇宙と鯨と路線バス。たとえば。

ちょいとチープだが仕方がない。銀河鉄道999はチケットが高くてめったやたらなことでは乗れないわけだ。
そんなんこんなで貧乏旅行、ごとごと揺られ行くは銀河路線バス777、通称フィーヴァである。フィーバーではない、ヴァである。この辺が、路線バス777旅行者の意気地たる所以である。

さて、次の停車駅、いやいや、停留所はどこだったかと宇宙地図をひもとけば「クッシーの里」
どこぞの湖ではあるまいし・・・

おじちゃん、次はどこ。
ふと、顔を上げれば、前の座席から身を乗り出して地図をのぞき込む女の子。
「クッシーの里」
「うわぁ、懐かしいな」
「君は来たことがあるの」
女の子は自慢げに笑みを浮かべうなずいた。
「地球時間で100と30年前。あの頃はあたし子供だったけどよく覚えてるんだ」
「100とって、そんな昔から生きてたら、君、おばぁさんだよ」
「え・・・、どうして」
見知らぬ少女、不思議そうに俺の顔をのぞき込む。
「だって・・・」
「あたしの秘密、教えてあげる。あたしは永遠の美少女、たかが100年くらい、永遠の前では一瞬にも満たないのさ」
「ほら、耳を澄ましてみて」
「えっ」
「おじさん、聞こえだしたかな、鯨の声、宇宙の誰かに向けて放たれる通信」
「おじさん、人は進化し、海から陸へと向かった。この宇宙鯨たちは、海から一足飛びに宇宙へと進化したんだよ。ただ、宇宙はあまりにも広くてしょうがない。宇宙鯨たちは寂しくてしょうがないんだ。だから、こうやって、停留所をこさえてさ、人が来るのを待っている。クッシーの里、つまりは鯨たちの里ってぇ寸法さ」
「ほうら、停留所が見えてきたクッシーの里御一行様ご案内ののぼりも見えてきたろう」
私の目の前には、のぼりのすぐ後ろ、屋台でたこ焼き焼いている鯨のあんちゃん、あれはつまるところ、宇宙タコだろうか、宇宙ゴマと因果関係はあるのだろうか。その後ろではクッシー煎餅を売っている鯨の・・・、スカートをはいているところを見ると女性か、鯨の性別は見分けにくい。
どこまで話が行くかわからなくなったので、また、機会があれば。
双調
初めまして、よろしくお願い致します。

○●○

 「君、こりゃ全く以って箆棒なもんだね」
 「造った僕もそう思う」
 宇宙織りで誂えたシャッポをかぶった二人の
紳士が鯨用の路線バスを前に酸いのか甘いのか
判らぬ顔で談話していた。
 然様、鯨用の海上路線バスである。
 鯨とても生き物であるから当然の如く年をと
る。年をとった鯨は動きが鈍り、保護観察の網
から漏れ易くなり、それに関する事故の報告が
昨今増加していた。
 その対策として、鯨の群れの凡その順回路を
路線と言う形で割り出し、その路線に沿って老
化した鯨を水中バスに乗せて航行させる、と言
う方法が先日打ち出され、今二人の目の前にあ
るものが出来上がった、と言う訳である。
 「まさか鯨の福祉を担当する様になるとはね」
 「これも時代の流れだろうさ」
 技師の指先で鯨骨製の指輪が鈍く光った。

○●○

とりあえずご挨拶代わりに。
お初です〜
早速かいてみますた。
このお題はとっても書きやすいですね〜。
*********
 クジラが、ひとのみに頭上をかけていく。
「あいつはシロナガスだな。
 みろ、ナマッしろい腹の上にギンギラしたラインがひかれてるだろ。あれにはここいらの時間がみんなレコードされてるのさ。食い意地の張ったクジラどもの腹に、この宇宙がみんな、レコード、レコード、レコードされてるのさ。」
 そう言った老人は耳に手をそえ、口をすぼめた。
「静かに…」
 …
 …
 かすかに、車体の揺れる音。
「あのギンギラの、レコードの上を走る路線バス。あいつには俺の妻や友達が乗ってるんだ。まだ会ったこたぁないけどな。」
 老人はシロナガスの巨大にふくれた腹を見上げた。
「あいつらから、こっちはどう見えるんだろうかなぁ。」
 天の川もひとのみにして、クジラは宇宙をかけていく。
 またな、と老人がつぶやいた。
 私もクジラの腹にむかって手をふった。
 キラキラとひかる車体はまるで流れ星のようだ。
 クジラの尾びれがなぜるように、夏の夜空を渡っていく。
******************
 父さまは路線バスの運転手をしています。父さまの運転するバスは毎朝二つめの太陽が出るすこしまえに宇宙港Aゲートを出て、三つめの太陽が空の真上にのぼるころ戻ってきます。港といってももちろん水があるわけではありませんから、魚が泳いでいたりはしません。でも鯨はいます。
 はじめて私たちの星域で鯨が発見されたとき、みんなきっと大昔に書かれた本のことを思い出したと思います。まだ私たちが宇宙へ出るまえ、父さまの父さまが生まれるよりももっとまえに書かれたその本には、宇宙のさまざまな星を渡る船と、船を沈める鯨の話が綴られていました。かつて辺境の小さな星に生まれ、あまりにも大きくその星の魚をみな食べてしまうので人間たちに星を追い出され、海を泳ぐかわりに宇宙を泳ぐようになったというおとぎ話に登場する鯨は船よりも大きく、群をなして星を渡るまっさおな体に大きなひれをもった生き物でした。実際に見つかった鯨はくすんだ灰色と黒のいりまじった、物語に描かれていたほどに美しくはない姿かたちをしていましたが、それでも私たちにはそれが鯨だとすぐにわかりました。物語に描かれていたように歌をうたっていたからです。おたがいに歌で居場所を教えあいながら星を渡っていたのです。
 鯨が発見されたばかりのころ、宇宙船がいくつも沈められる事故が相次ぎました。私たちは鯨の回遊ルートにぶつからないようびくびくしながら星を渡り、いっときは安全に星を渡るために鯨を殺そうという話も出たといいます。
 けれどいま、私たちの船は鯨によって沈められることはなくなりました。定期船をはじめとするほとんどの便を鯨に引いてもらうことになったからです。鯨に引いてもらえば燃料も助かるし、鯨にとっても群でなら船の一隻や二隻引くことはたやすく、それで宇宙を廃棄燃料などで汚されずに済むならそのほうがいいと私たちの提案を受け入れてくれたといいます。そして鯨の回遊ルートはそのままバスの路線になり、いまでは個人船以外はその九割が鯨バスになっています。

 鯨たちの回遊ルートには、生まれ故郷である辺境の星のあたりは含まれていません。いまさら帰っても、もうあの星で暮せるわけではないからというのが鯨たちの言い分なのだそうです。けれど私は、いつか鯨たちがその星まで行くようになればいいなと思っています。鯨バスを引いて、故郷まで泳いで行ってくれればと思っています。鯨たちを追い出した人間たちに一度会って、鯨を追い出してくれてありがとうとお礼を言いたいのです。あなたたちの身勝手で追い出された鯨たちは、いまではこの星にいたころよりずっと大きくなって、もっとゆったりのんびりと、とても楽しそうに星々を渡っていますよと、もう絶滅してしまった彼らに言ってやりたいのです。
雨の休日。
私は8歳の息子、洋太を連れて、
路線バスに乗って、
○×デパートの屋上でやっている科学戦隊シチレンジャーの
ショーに向っていた。


―私(38歳)は今から1年程前に前妻と離婚。
息子は自分が引き取った。
家の近くに息子の面倒を見てくれる親兄弟がいないため、
なるべく家から近い場所に勤めたほうがいいと思い、
転職を決断。
幸い、近所でそれまでの仕事よりももっとやりたい仕事が見つかった。
しかし、面接は通って内定はもらったが、イマイチその会社に勤める気になれなくなった。
それは以前の会社の取引先だった会社の上司が転職していたからだった。
その上司とは折り合いが悪く、度々トラブルを起こしていたのだ。
『あの上司がいれば自分のしたい仕事が出来ないだろう―』


バスに揺られながら外を見ていた息子が突然言い出した。
洋太「ボク、このバスで宇宙旅行に行くんだ!」
私「路線バスじゃ無理だよ!!」
洋太「いつかボクが作るんだよ。22億円も払わないでも行けるような宇宙旅行を。
火星3丁目とか、タイタン前とかいうバス停があったら楽しいでしょ?」
息子は無垢な目で私を見た。
私「よ...、よく22億円とか知ってるな...」
『この子が大きくなる頃は...、ようやく何人かの一般人が宇宙旅行に行ったという感じだろうな』

最初、弱く降っていた雨。
段々強くなっていき、シチレンジャーショーを開催する
○×デパートに着いた頃には大雨になった。

当初雨天決行ということだったのだが、
あまりの豪雨のためにショーは中止になってしまっていた。
ガックリと首を垂れる洋太。
仕方が無いのでデパートでご飯を食べることになった。
エレベーターで10階のレストラン街に行き、
洋太の食べたいものがある店を探す。
ピザが食べたいという洋太の要望で、
イタリアンレストランに入った。

10階の窓から街を見下ろして、親子二人でピザを食べた。
洋太は先ほどの路線バスに乗って宇宙旅行に行くという
空想話を夢中になって話続けた。
気が付いたら時間は18時を回っていた、
外はすっかり日が暮れていた。

雨はレストランに入って間もなく止んでいた。
やがて雲の間から星も覗き出した。
そこに現れたのはクジラ...
のように見えた。
それはバカデッカイ気球だった。
何を間違ったのか、こんな夜中に気球が飛んでいる!
洋太は大喜びではしゃいでいる。
「宇宙船だ!!
ボクもあれに乗って宇宙旅行に行くんだ!」
私「今の今まで路線バスで宇宙に行くって言ってたじゃんかよ...。
大体あれは宇宙船じゃなくて気球だぞ」
洋太「気球で宇宙に行くんだ!」
私「そんなの無理だよ。
大体、空気圧で大気圏から出る前に破裂しちゃうよ」

洋太「...無理無理って...、
パパは何でも無理なんだね」
私「!」
洋太「無理って言ってたらなんにも出来ないでしょ?
無理だと思ってもやらなくちゃ!」
この言葉はグッサリと胸に突き刺さった...。

『そうなんだ...。無理無理と言ってたら先に進まないんだ...』

私達は気球が見えなくなるまでその店に留まっていた。


後でニュースで知ったのだが、その気球は広告用の無人気球であることが分かった。
私「そういえば、気球の側面に“カワヂ薬局”って書いてあったな...」
でも、その気球はそのまま空の彼方へ消えていったまま消息不明になった。
かれこれ1週間が経つが、今だに発見されていない。

『あの気球、どこまで行ったんだろう?
もしかしたらほんとに宇宙まで飛んでいったのかもしれないな...』


そして私は迷っていた再就職先に入社することに決めた。
Q.
板方先生、助けてください。予備校帰りの路線バスで一緒になる女の子(たぶん同い年くらい)のいるんですが、ボクその子に恋してしまいました。一人っ子でずっと男子校だったせいか、ボク女の子というのがよくわかりません。ただ、よくわからないのは、ボクもです。あの子の柔らかそうなふくらはぎ、細い指、束ね切れなかった髪のほつれ、うなじ、、そんなとこ見てるだけで、なんかこう…ああ!ボクは清らな心だけで清らなあの子の側にいたいのに、こんな愚かな考えをする自分の許せないのです。でも、でも、問題はそれだけじゃないのです。他にもあるのです!その子最近、大沢在昌の「涙はふくな、凍るまで」読んでて。(先生も書かかれてるような)ああゆうハードボイルド小説を自分と同じくらいの子が読むってことは、きっと誰かと経験のあって(ボク未だに童貞です)、影に背中でむせび泣かせるような経験豊富の中年男のあって、その男と暗いアパートで毎晩くんずほぐれつタマランことになってるのだと思え…あーもうタマリません!いや、タマッテるのですがタマリません!先生教えてください!ここはひとつ、ボクも「夜明けまで走らなあかん」のでしょうか。寝てもさめてもそのことばかりで、受験勉強の手につきませんのです。どうかどうか宜しくお願いします。かしこ。
(五所川原市 クンタキンテ 19歳)


A.
しゃらくせぇ悩みだぜ全く!お前みたいな頭でっかちのボンクラ小僧は肥溜めでも浸かって冷やしたホットコーヒーでもすすってろ!…といっても、解決にゃならねぇか。そうだな、解決の方法はただひとつ、ソープ行け。ソープ行け。ソープ行って、女という生き物を知ることだな。ソープにゃいろんな女がいる。マグロもいればクジラのようなのもいる。お前のような完璧主義の男はソープに行くなんて汚らわしいとか嫌悪感があるのかもしれないが、とにかくまず実績を作れ。それがお前の自信になる。クジラ釣ったら今度はマンボウ、ちょいと目先を変えてサクラエビもいいだろう。タイも。…まあ、タイは滅多につれないだろうが(俺くらいになると店の前に立てば今日そこにどんな魚がいるか、気配でわかるけどな(笑))。釣ったら、それと向き合え。女は海だ。宇宙だ!素っ裸で飛び込んでみろ、泡だらけの海に。泣きながら抱かれてみろ、宇宙に。抱かれ抱かれて、穴という穴から出るだけの涙を流しまくったら、お前の悩みも違ったものになるだろうな。ま、四の五の言わず、やってみろ!


以上!
童貞作家のお悩み相談終わり!
いいじゃないか、5等「東京〜熱海 路線バスの旅」だって。
たしかに1等は「スペースシャトルで行く宇宙への旅」だったけど。
いざ行くとなると結構お金がかかるぞ?
せっかく行くからには宇宙服だって新調しなきゃならないし。
無重力のトレーニングも受けなきゃならないし。
飯は宇宙食だから期待も出来ないしさぁ。
その点、熱海はいいぞ?
温泉にゆっくりつかった後は美味い海の幸が食べられるし・・・

わかった!わかった!
そうやって目クジラを立てんなよ。
わかったよ。
宇宙へは来月にでも自腹で連れて行ってあげるよ。

わかった!わかったって!
お前が喜んでいるのは見ればわかるから!
詳しい話はまた明日話そう。
今日はもう遅いから寝るね。
おやすみ〜

(・・・とは言ったものの、宇宙旅行は結構お金がかかるんだよなぁ。
お金足りるかな・・・。
でも彼女は喜んでたな。
久しぶりの宇宙旅行だもんな。
今頃は夢の中で宇宙旅行の仕度でもしているのかな?
宇宙旅行に行くまで、"足が地に付かない生活"になっていそうだな。)
はじめまして自信はないですが、やってみました。




宇宙・クジラ・路線バス。



「クジラのしっぽをね、食べてやろうと思うんですよ。」



この都市で「星」と「星」とをつないでいる唯一の交通手段である路線バスの停留所で、隣の男がそう言った。
あいかわらず今日も深い曇り空だ。


この「星」というのは、空に浮かんでいるように見えるあの「星」のことではなく、この街では地面が存在している場所の総称だ。いつの頃からかは知らないが、私が生まれたときにはそう呼ばれていた。その由来は、両親に聞かされたことがある。

ずいぶん過去の話だが、行政が美観、景観を第一に考えた都市計画を立てたため、ゴミ処理場や下水道などの施設が人目につかない地下深くに作られることになった。この計画は一時的に都市にすばらしい景観をもたらしたらしい。そして、人々は目の前の美しい街の姿に嬉々として喜んだ。


しかし、人々は目に映るものを信じすぎてしまった。

いくらゴミを出しても、いくら汚水を流しても変わらないその美観に人々の感覚は狂い始めた。

「ゴミを出しても美しい街にわれわれはいる。すばらしいことじゃないか。」

都市に表があれば裏があることをまるで忘れてしまったようだった。


そのような人々をよそに地下深く、人々が流し込んだ大小さまざまのゴミ、汚泥、汚水、産業廃棄物は混ざり合い、膨れ上がっていった。そしてそのカオス状態の塊は地表に現れた。ゴミの塊はあまりに巨大でこの都市を多い尽くすほど。内部では、産廃同士の化学反応により発生したガスが、幾度も爆発を起こす。そのたびにゴミの塊が大きくなる。まるで永久無限に広がっていくと思われたそれは人々に「宇宙」と呼ばれることになった。

街全土を覆った「宇宙」は、雨風にさらされ、その一部は液状化し、街を覆った自身の表面を流れ始めた。
地下から無限に湧き出し続ける腐った水のような物体。それに飲み込まれずにすんだ標高の高いビルや、マンションの屋上を「宇宙」に浮かぶ「星」として非常に小さい集落がいくつか誕生した。

高層ビルやマンションがそうそう隣り合っていたわけではないので、「星」から「星」までの距離は遠い。最低でも百メートル以上はある。
集落同士の交流もこれではままならず社会の再形成など不可能であった。

そこで、「宇宙」対応の船である路線バスが登場することになったのだった。
ちなみに「宇宙」に落ちて、帰ってきたものはない。暗くて深い汚物の海の中で明日を夢見ることはできなくなってしまうのだ。
「宇宙」というのは、人間の命をも吸い取ってわが命とし、ますます膨張を続け…




「ねえっ、聞いてます?」


意識を「宇宙」にとばしていたところ、男に言われハッとする。
まだしゃべっていたのか、この男は。


「で、クジラのしっぽを置いてる店、あなた、知りません?」



汚れた「宇宙」に浮かぶ廃墟の「星」でも人並みの幸せはある。
人間はそれほどに強い。


「三つ先の星の屋台にあったはずですよ。よければ一緒にやりましょうか。」




酒とクジラで今日は乾杯といこうじゃないか。
はじめまして、Roboと申します。
ずっとmixi日記で三題話を書いて遊んでいます。
で、このコミュの事は前から気にはなっていたのですが・・・
思いきって参加させていただきます。
で、早速ですが、1つお話を作ったので、紹介させていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

八重洲南口21:10発の夜行バス。このバスで帰る事になるなんて・・・

東京に出てくるときは、こんなハズじぁあなかったンだけど。
あの時は、荷物っていってもボストンバック1つだけだった。だけど、それには希望がいっぱい詰まっていた。

「オレ、絶対東京で成功するから。」
「成功したら、オレが東京に呼んでやるよ。」
「絶対、大丈夫だから、安心しな。」

強がり言って出ていくオレを、親父とお袋、いつまでも見送ってくれた。

そして今日の荷物は2つ。
でも、荷物よりもっと重いものを持って帰ることになってしまった。
着くのは明日朝7:05。約10時間もかかる路線バスだけど、これで1万円って、今の僕なら仕方ないか。

「すみません。僕、乗ります乗ります。はい、これ切符。」

ええと、席は窓際のぉ、ここだ。
これで東京の景色も見納めかぁ。窓から見える東京の夜景、もう見ることはないんだ。
でも、その代わり、田舎に帰ったら星がキレイだろうなぁ。
そうそう、子供の頃はずっと星を見ていたっけ。
あの頃はウルトラワンになりたくってサ。で、ウルトラワンの故郷のM77星雲が、秋の南天のくじら座の中に本当に存在するって知ったときはホント、ビックリしたな。それで、ずっと星空を見続けていたっけ。

ええっと、
・・・やっぱり東京からじゃあ見えないなぁ。よおし、田舎に帰ったら、久しぶりにM77星雲を捜してみよっか。
でも、宇宙ってスゴイなぁ。こんなに広いンだもの。
それに比べて、僕って何て小さな存在なんだろう。

♪♪誰にだってひとつやふたつ 心に開かずの部屋がある
  一生懸命生きているのに 傷を恥じる事などないさ
  雨が降る日に気になるものは 雲の大きさばかりだけれど
  空の広さに比べれば 別に大した事じゃない
  だからHAPPY BIRTHDAY HAPPY BIRTHDAY
  昨日迄の君は死にました おめでとうおめでとう
  明日からの君の方が 僕は好きです おめでとう

  幸せなんて言葉もあるが 人それぞれに秤が違う
  人は人だしあんたはあんた 別に張り合う事などないさ
  雨が降る日は天気が悪い 雲には雲の行先がある
  空は確かに広いけれど 心の広さと比べてみるかい

ラジオから懐かしいさだまさしの歌が流れてきた。
そうだよな。宇宙も広いけど、やっぱり人間の心の方が広いんだ。

よぉし、もう一度やり直そう。やり直してみよう。
田舎に帰ったら、親父の畑、一緒に耕そうかぁ。

だから故郷に帰ったら、もう僕、東京弁なって使わないぞ。

でも、ちゃんと懐かしい言葉、しゃべれるかな。
「ただいま」って、どう云うンだっけ。
バスを降りる時までに、ちゃんと思い出せてたらいいな。
宇宙・クジラ・路線バス

 信じられないでしょう? あれが全部、路線バスだなんて。
 ほら、見えた? またさっき、右の方へ流れて行った、あの光もよ。そう、全部なの。
 世界中の海に、いったいクジラは、何頭泳いでいるでしょう?
 ぶー。不正解。
 だってそんなの、誰にも分りっこないもの。
 退屈ね。あなたの指がよ。なんでまあ、そんなしゃれっ気もなく不細工に五本も並んでいるのかしら。それに、あなたの髪型。今どきじゃないわよねえ。なんて言うか、その色が。
 地毛? だから何よ。地毛の色の悪いのは、親を憎めとでも言うの? それじゃあ、ご両親があんまりだわ。生まれてきたんだから、あなたが何とかしなさいよ。
 ほら、見て。信じられる? あれが、全部路線バスなのよ。
 次は、桜が丘停留所に、停車しまーす、なんてね、鼻にかけた声で言ってんのよ、運転手が。
 ? だって、そうかもしれないでしょう? あなたは、明確に否定できるの?
 だって、考えてごらんなさいよ。ああやって見える全部の星は、いつだっておんなじ軌道の上を、ぐるぐる周回してるのよ。想像もつかないようなだだっぴろい宇宙の中を、誰に言われたんだか、規則正しく、おんなじ道の上を走っているの。
 だとしたら、星なんてみんな、路線バスとおんなじでしょう? 同じ道を行って、一周して帰ってくるんだから。
 宇宙なんて知らないクジラにしたら、海の中は、クジラにとってのまさに宇宙ね。私たちから見て大きなクジラだって、地球から見たら、ちっぽけなただの点よ。そのクジラたちが、広大無辺な海の中を泳ぎまわっているのだから、海が宇宙だとしたら、クジラなんて無数に散らばる星の粒よ。
 誰かが、そうね、とっても暇な人が、クジラ全部の泳いだ軌道を、絵に描いてみたらいいわ。私はこう思うの。きっと、おんなじ軌道の上を、ぐるぐるとまわっているのだと。黄色い線で、書いてみたらいい。
 きっと、星の軌跡のようなまん丸い円になるんだわ。
 広い海を、闇雲に泳いでいたら、クジラだって迷子になっちゃう。エサの少ない海域に迷い込んだら、一大事だわ。だからクジラは、広大無辺な海の中にあって、行き場を間違えないように、地球の磁力とかを中心に、ぐるぐる同じところを回り続けているのよ。長い周期をかけて。そうすれば、他のクジラの群れとの干渉も少なくて済むしね。
 じゃあ、路線バスは? 試しに、真っ暗にした日本地図の上で、数百台の路線バスに明かりを点して一晩中走らせてみたらいい。その映像を動画に撮って、後で早回ししてみてみるのよ。
 日本中に、いくつものきれいな光の輪が現れるわ。
 つまり、そういうことなのよ。バスもね。要するに、バスも星だってこと。
 あーあ。つまんない話している間に、注文したスパゲティが伸びちゃったわ。
 あなた、退屈な男ね。
 でも好きよ。
 ぐるぐる回るお星さまみたいに、結局私のところに戻ってきてくれるところだけは。

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