ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

湯本高校野球部を追うコミュの優しさ

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 年度末の期末試験が終わった。話題は自然と「赤点」になる。昨年四月に清水が監督になってから、試験前は部員たちを強制的に学校に集めて自習させることが多くなった。「あいつら休ませても勉強やんないですから」と苦笑いするが、そこには「高校生である以上、やるべきことはキチッとやる。それが県立高校の野球。勉強もできないやつに野球をする資格はない」という思いがある。

 いわき地区は名門校志向が強く、かつてはよく中学浪人が話題になった。磐城高校と磐城女子高という伝統を持つ男女別学の進学校が双璧としてあり、その下に男女共学の普通校、湯本が位置していた。前身は女学校で、トップに立てない二番手。共学であることもぬるま湯的体質の要因の一つ、とよく言われた。「生徒はいたって素直で、そこそこ粒がそろっているのだが、壁を突き破れない。激しさがなく優しい」。そんな校風だった。
 ところが、中学浪人解消のために「磐高、磐女に追いつけ」とばかり、新設校のいわき光洋ができ、磐高、磐女が男女共学化されて磐女が磐城桜が丘と名前を変えると、地区の高校事情が微妙に変化し始める。高校入試の推薦制度導入や、大学進学に特化した私立いわき秀英の開校などの影響もあり、各校の位置づけが右へ左へと揺れた。
 その結果、学力面でみると、ナンバースクールとして磐城が突出し、続いて磐城桜が丘、いわき秀英、そして光洋と湯本。湯本は部活動では比較的有望な選手が集まりやすくなったが、進学面では中途半端で、実力勝負ではなく学校推薦や自己推薦狙いという色合いが強くなった。
 時代なのだろうか。それとも推薦制度の弊害なのか。「あの高校、大学に入りたいから必死になって勉強し、実力で突破する」という生徒が減り、自然と中学浪人問題も消滅した。さらにスポーツ少年団全盛の影響からか部活動で高校を選ぶ生徒が増えてきた。野球で見ると、かつては磐城、平工、勿来工、湯本を中心に優勝争いが展開されていたが、私立の東日本国際大昌平、光洋などが割って入ってきて、群雄割拠の様相が濃くなってきた。

 相原は湯本の生徒を教えていて、食らいついてくるものが少ないと感じている。必死になって打球に飛び込まない、ボールが来たら「コンチクショー」と全身全霊を込めてバットを振ろうとしない。だから、ことあるごとに「飛び込め」「思い切って振れ。そして遠くまで飛ばしてみろ。器用貧乏になっちゃだめだ」と声をかけ続けている。
 練習が終わったあと、相原は「みんなテストはどうだった。赤点いくつあったか手を挙げてみろ」と聞いた。何人かが指を折って手を挙げた。そして「いいか。高校生だから野球ができている。試験で教科を落としたら試合に出られなくなって、チームに迷惑をかけることになる。何より好きな野球ができないんだ。こんなバカバカしいことはないだろう。やることはきちんとやらないとだめだ。どんな教科でも教えてやるからいつでも来い」と言った。 
 相原は、磐城高校から神奈川大工学部に進学した。最後の夏、甲子園の切符をかけた福島商との戦いで敗れ、助監督だった助川隆一郎に順天堂大進学を勧められたが、化学の勉強がしたかった。大学では野球部には入らず、休みになると母校に来て後輩たちの面倒をみた。学内のマラソン大会では運動部員を尻目に上位入賞を果たして周囲を驚かせ、卒業後は高校の化学の教員になった。さらに、普通高校で理科が教えられるように福島大などへのスクーリングで足りない科目の資格を取り続けた。
 「好きなことのためにする努力は、好きなことができない苦しみより、はるかにちっぽけである」。相原の言葉だ。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

湯本高校野球部を追う 更新情報

湯本高校野球部を追うのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング