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ニーベルングの指環コミュのオルデンブルクのリング・サイクルが始まりました

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2022年9月23日、いよいよCOVID-19のために2年間待ったオルデンブルクで上演される3回のリング・サイクルの最終回の開演です。私にとっては28回目のサイクルです。ちなみにこの劇場では2018年に「ジークフリート」、2019年に「神々の黄昏」を見ており、ここの「ラインの黄金」と「ワルキューレ」は今回が初めてです。
オルデンブルクは列車でブレーメンから約30分、オスナブリックから1時間半程度かかるちょっと不便な場所にある人口約17万人の小さく、美しい町です。
ここの劇場はニーダーザクセン州で最も古い劇場で1833年にオープンし、現在のオルデンブルク州立劇場は1893年にオープンしておりグロース・ハウスと呼ばれています。演目によって501、534、そして577席となりますが、本公演の場合には501席でしょう。そのほか新しい建物に350人収容のクライネス・ハウスがあります。今回65-68人程度のオーケストラで、ピットに入らないハープは左右のバルコニー席最前列のボックスに各々2台ずつ計4台並んでいました。
この小さな町で「リング」上演のために2017年2月から「ラインの黄金」からひとつづつ作り上げてきました。各々6回上演し、しかもチケットの入手が困難でした。ということは人口17万人の町で各作品を3,000人もの人が観たということです。
会場が暗くなり拍手なしで「ラインの黄金」の演奏が始まりました。バイロイトなどと違い、オーケストラ・ピットはほぼ真っ暗。指揮者は見えているのだろうか。そして演奏者は真っ暗闇でも演奏できるのだろうか。何小節か演奏が進んだ後でようやくオーケストラ・ピットに光が差しはじめ、指揮者のヘンドリック・ヴェストマンの姿が見えてきました。
今回ヴォータンのレオナルド・リー。そしてアルベリッヒがキフン・ヨーンKihung Yoon(オルデンブルクのアンサンブルでLAでの実績も十分あるようです)。演出はPaul Esterházy というオーストリア人。
演奏が進むにつれ、歌手陣に全くスキがなく、また奇をてらったところはありますが「指輪」を実によく研究していることがわかる演出です。終わってみたら今まで観た「ラインの黄金」のうちで最高に緊張感があり、また惹きつけられた舞台でした。とにかく「ラインの黄金」で眠くならなかったのは初めてです。
そして9月25日、今度は「ワルキューレ」です。第1幕は実に圧巻。ジークムントがハンガリー人のゾルタン・ニャーリZoltán Nyári、ジークリンデがノルウェー人のアン=ベス・ソルヴァングAnn-Beth Solvang、そしてフンディングがサミ・ルッティネン。1970年生まれのニャーリはすでにここの「ジークフリート」と「神々」のジークフリート役で聴き、シャーガーに匹敵する素晴らしさはわかっていました。18年、19年に見たときは顔に威厳がないと感じましたが、今回はぐっと締まってきていました。ルッティネンはデュイスブルクの素晴らしいリングでやはりフンディングで出演していましたが、今回は迫力が違いました。とにかくこの3人がすごい。私の友人も今まで観た「ワルキューレ」第1幕で最高と言っていましたが、私も50-60回見たなかで飛びぬけて良かったと思いました。
第2幕では「ライン」で素晴らしいアルベリッヒを歌ったキフン・ヨーンがこれまたすごく、今年観た3回の「ワルキューレ」、すなわちベルリン・ドイツ・オペラ、新国立劇場、ライプチッヒは言うに及ばず3幕も含めこの劇場の収容人員の少なさを割り引いても当代最高のヴォータン歌いと言っても過言ではないと感じました。ドイツの劇場に来ると韓国人パワーに圧倒されます。なお新国のマイケル・クプファー=ラデツキーも悪くなかった(彼のことも私はナンシー・ヴァイスバッハ=彼女が歌うことを知ってこの劇場にたどり着いたのです=とともに2017年のエルルの「リング」以来追いかけています)。
第3幕ではまずワルキューレたちが素晴らしい。そしてナンシー・ヴァイスバッハにもエンジンがかかってきて、キフン・ヨーンとの終幕が実に素晴らしかった。そしてこの少人数のオーケストラがまたなかなか良いのです。
終わってみたら実に充実感のある「ワルキューレ」でした。この2本を観ただけで、これからキフン・ヨーン、ニャーリ、ヴァイスバッハ、ルッティネンが登場するあとの2作も大いに期待できると確信しました。そして今や中小劇場の「リング」がいかに大劇場のものを凌駕しつつあるかひしひしと感じ始めています。

コメント(1)

オルデンブルクのリング・サイクルは10月1日の「神々の黄昏」で合計3サイクル行われた全てのサイクルの幕を閉じました。カーテンコールは何十年か前にはバイエルン州立劇場でも聴衆のかなりの人が帰ろうとせず、延々と15-30分も続いたことがありましたが、近年どこの劇場でも早々に終わります。しかし今回は違いました。熱狂は徐々に高まり、帰る人はほんのわずかでした。そして最後は全員のスタンディング・オベーション。壇上には歌手たちのみならずオーケストラを従えた指揮者。歌手たちは千秋楽ということと聴衆の熱狂ぶりにみんな満面の笑みです。指揮者のヴェストマンの目には涙が浮かんでいたようです。一緒に見た私の友人も「奇跡だね」とか言っていましたが、私も今まで観た28回のリングの中で最高だったと思います。拍手は15分間くらい続いたようです。2018年、2019年に観た「ジークフリート」と「神々」から演出面では多少Upgradeされていましたが、歌手とオーケストラが格段の進歩していたように思えます。キャスティングも当然Upgradeされていました。
歌手ではジークムントとジークフリートのゾルタン・ニャーリ、この人がやはりすごい。そしてアルベリッヒ(ライン)、ヴォータン、さすらい人そしてグンターのキーフーン・ヨーンはどこの劇場に出てもおかしくない力量の持ち主。残忍な役からコミカルな役まで、芝居もうまい。ファゾルト、フンディング、ハーゲンのサミ・ルッティンネン。ヴォータン(ライン)とアルベリッヒ(ジークフリート、神々)のレオナルド・リーにはヨーンとともに韓国パワーを認めざるを得ませんでした。ローゲとミーメのマティアス・ヴォールブレヒトはさすが宮廷歌手。女性ではジークリンデ、グートルーネそして第2のノルンのアン=ベス・ソルヴァングは表情作りも秀逸。実に素晴らしいグートルーネを演じました。そしてブリュンヒルデのナンシー・ヴァイスヴッハは美しく全く嫌みのない声で安定感がある。といずれも最高のキャストと言ってよいと思いました。さらにはフリッカ、ラインの乙女たち、ノルン達もいずれも声量があり、十分満足できる全く隙のないキャスティングだったと言えます。しいて言えば合唱が弱い。
ヴェストマンに率いられたオーケストラは実に繊細でしかも迫力のある演奏でした。コヴェントガーデン、ベルリン・ドイツ・オペラ、ライプチッヒなどではずいぶん間違い、飛び出し等の粗が目立ちましたがここではほとんどそのようなことはありませんでした。70名に満たない少人数のオーケストラで迫力のある演奏ですので、前出の友人は拡声装置を使ってはいまいかといぶかっていましたが、私がオーケストラ・ピットをのぞいたところマイクは見つかりませんでした。
回り舞台と壁をうまく使った舞台は画期的で秀逸(ただし「ジークフリート」と「神々」では少しやりすぎ=回しすぎか)。そして演出家が実によくワーグナーのテキストとト書きを読んでいることが演出に出ていました。時代設定は第一次大戦あたりでしょうか、フンディングやハーゲンの服装や武器から類推されます。しかしその時代設定が「指輪」の物語をぶち壊すことは全くなかったと思います。
このように4作とも大満足の「指輪」は観たことがありません。とにかく聴衆を引き付ける舞台なのです。本当に夢のような4日間でした。残念なことは今回のサイクルには日本人は私たち二人だけだったことです。おそらく7月の1回目、9月の2回目にも日本人は来ていなかったのではないでしょうか。日本人の多くは大劇場にしか関心がないように見えます。ちなみに私が2番目に良いと思ったサイクルはデュイスブルク(ラインドイツ・オペラ)です。かくいう私たちも翌週のベルリン州立劇場の「リング」に行くわけですからあまり偉そうなことは言えません。
さて今回の公演ではオルデンブルク市にはかなりの財政負担があったと思います。人口17万弱の都市で財政的には再演は難しいと思いますが、もし再演があれば再び飛んできたいと思います。そして今度は謎解きのためにできれば2サイクル。

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