ナチス・ドイツ空軍コミュのDo11　／　Do23

　1919年６月に調印されたヴェルサイユ条約によって、ドイツ共和国は軍用機の保有を禁じられましたが、ドイツ国防省は航空機メーカーと協力して、軍用機に転用可能な民間機の開発を進めていました。
　特にバーデン州フリ－ドリヒスハーフェンに本社を置くドルニエ社は積極的で、1924年には大日本帝國陸軍の発注を受けて双発爆撃機の開発を行い、1926年に完成した上翼式全金属爆撃機DoNは1928年に八七式重爆撃機として制式採用され、28機が納入されています。
　即ち、ドイツ国外で軍用機を開発・製造する事はヴェルサイユ条約違反とならなかったため、特に1922年のラパロ条約調印後、友好関係が続いていたソ連で開発や実験が行われる事が多かったのです。
　続いてドルニエ社は、四発機のDoPの製作を1929年７月に、三発機のDoYの開発を1930年１月に開始、どちらも同年３月に試作貨物機の名目で初飛行を行い、試作貨物機として公開されました。飛行実験はソ連のロシア共和国リペツク等で行われています。
　このうち、DoPは主に金属製の単葉機でしたが、一部は羽布張りでした。要目は以下の通りです。
乗員：６名
全長：23.4ｍ(76 ft 9 in)
全幅：30ｍ(98 ft 5 in)
全高：6.91ｍ(22 ft 8 in)
翼面積：152.6㎡(1,643 sq ft)
空虚重量：3630kg(8,003 lb)
最大離陸重量：12000kg (26,455 lb)
エンジン：４×ジーメンスジュピター VI 星型エンジン、400kW (530hp)
最大速度：210km/h (130mph; 110kn)
巡航高度：3500ｍ(11483ft)

　一方、DoYは固定尾輪式降着装置を持つ全金属製の片翼配置の単葉機で、４機が製造されてユーゴスラヴィア王国へ輸出されています。
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　DoYの要目は以下の通りです。
乗員：4名
全長：18.20ｍ(59 ft 9 in)
全幅：28.00ｍ(91 ft 10 in)
全高：6.79+ｍ(22 ft 3 in)
翼面積：111.0㎡(1,194 ft2)
空虚重量：6360kg(13,990 lb)
全備重量：8500kg(18,700 lb)
エンジン：3×ブリストルジュピターレシプロエンジン、373kW(500 hp)
最大速度：250km/h(160 mph)
巡航高度：6000ｍ(19700 ft)
航続距離：1500km(940 miles)
上昇率：2.7m/s(520 ft/min)
武装：機銃：２×可動式機関銃（機首開放銃座）
機銃：２×可動式機関銃（胴体背面開放銃座）
爆弾：12×100kg(220 lb)爆弾

　さらにドルニエ社は、DoNをベースとした金属製胴体を持つ高翼単葉の双発爆撃機DoＦの開発を1925年に開始しており、1932年５月７日に試作機の初飛行が行われました。
　そして、1933年４月にヘルマン=ゲーリング陸軍大尉を大臣とする航空省が発足すると、DoＦは近い将来設立される空軍の爆撃機として採用される事となり、Do11Aの名が与えられる事となったのです。
　Do11Aの要目は以下の通りです。
全長：18.64ｍ
全幅：28.0ｍ
全高：6.32ｍ
全備重量：8000kg
エンジン： Siemens Jupiter VI 6,3Z mit Dornier-Vierflügel-Holzpropeller 510hp×２
最大速度：242km/h
上限高度：4700ｍ
航続距離：1200km
武装：7.92mmMG15機関銃×3
爆弾：1000kg
乗員：４名

　続いて、量産型のDo11Cも開発されました。要目は以下の通りです。
全長：18.64ｍ
全幅：28.0ｍ
全高：6.32ｍ
全備重量：8215kg
エンジン：Siemens Sh 22B-2 mit Dreiflügel-Metallpropeller 650hp×２
最大速度：250km/h
上限高度：4700ｍ
航続距離：960km
武装：7.92mmMG15機関銃×3
爆弾：1000kg
乗員：４名

　Do11の最終改良型となったDo11Dの要目は以下の通りです。
全長：18.77ｍ
全幅：26.3ｍ
全高：6.32ｍ
全備重量：8200kg
エンジン：Siemens Sh 22B-2 mit Dreiflügel-Metallpropeller 650hp×２
最大速度：250km/h
上限高度：4100ｍ
航続距離：960km
武装：7.92mmMG15機関銃×3
爆弾：1000kg
乗員：４名

　Do11は、1935年３月に正式発足したドイツ空軍の制式爆撃機となった近代的な双発爆撃機でしたが、エンジンの供給が遅れたため生産は進まず、合計製造機数は152機に留まりました。また、機体構造の強度不足や飛行安定性の欠如、エンジンの過熱等の問題が発生したため、部隊への配備は少数に止まり、1935年末までにDo23と交替して退役に追い込まれましたが、ブルガリア王国へ供与され、1937年まで使われていました。
　Do23 は、Do11の機体構造を強化し、主翼の形状を改良した機体で、1934年に試作機Do23Fの初飛行が行われ、性能能向上が認められたため、1935年から量産型のDo23Gの生産が開始されました。計282機が生産されましたが、当時の他国の爆撃機と比較すると全般的に凡庸な性能だったため、1936年にDo17やHe111等の高性能な双発爆撃機が登場すると、爆撃任務からは外れて練習機とされ、第二次世界大戦中はベーメン=メーレン保護領(チェコ)で運用されていました。
　Do23Gの要目は以下の通りです。
全長：18.80ｍ
全幅：25.50ｍ
全高：5.40ｍ
全備重量：9200 kg
エンジン：BMW Ⅳd 750hp×２
最大速度：259km/h
上限高度：4200ｍ
航続距離：1352km
武装：7.92mm機銃×３
爆弾：1000 kg
乗員：４名