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書庫 「葉っぱ猫」 mixi処コミュの『探偵トリックスター~仮面と魔女の舞踏会/上』

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  −1−

「雑草って、なんでこんなに育つのが早いのかなぁ?」

 室内から流れてくる『今日は猛暑日と──』というお天気お姉さんの解説にうなだれながら、縁側に座っていた三葉遊海(ミツバユウミ)は目の前に広がる草深い庭の様子にため息を漏らした。

 肩まで伸びた乱雑なセミロングの茶髪は朝日が昇って以降、急激に熱せられた地面の照り返しのせいか、本人の精神状態を代弁するかのように干からびている。

「でもま、おじいちゃんの大切な庭園だしね。私が手入れするしかないっか」

 現在15才、高校に入りたての少女には恥ずかしいと感じる部分も多いだろう、全身を覆う上下一体型の作業服に軍手、更に麦わら帽子に長靴と完全装備で遊海は草むらに飛び込んだ。

 右手には鎌、左手には何故か大きなゴミ袋。

 直接刈り取った草をこの袋に捨てていくつもりなのか、遊海はゴミ袋は手放さない。

「よっし、始めよう……かな!」

 草の背丈はすでに遊海の膝上まで伸びていて、正直鎌一本で太刀打ちするには、ど真ん中に飛び込むよりも外側から刈り取るべきなのだが──本人は気付いていない様子で鎌を振り上げると、ざくざく刈り取り始める。

「あ。」

 目の前をあらかた刈り取り、ゴミ袋にそれらを詰めようとして、遊海は固まった。

「どうやって草、拾おう……」

 右手には鎌、左手には刈り取った草を捨てる為の大きなゴミ袋。

「拾う為の手がもう一本欲しいぃ」

「……あのすみません、郵便です……」

 どうにかして拾えないか、四苦八苦しながら身体をくねらせている遊海をどう見たのか。

 物凄く控えめな口調で声をかけてきた郵便配達のお兄さんの声に、遊海はびくっと身体を震わせた後、固まってしまう。

 お兄さんも二回目は何と声をかけていいのか悩み、口を開き、けれどかけるべき言葉は思いつかなかったようでまた閉じた。

 配偶相手を求めて煩いほどに鳴き続ける声も、こんな状況ではもっと鳴けむしろ騒音を超えてくれと言わんばかりだったが、いつまでも止まっている訳にはいかない。

「判子……いいですかね」

 勇気を出したのはお兄さんの側だった。

 というか次の配達先があるのだろう、いつまでも固まってはいられないお兄さんの言葉にまんま時間が止まっていた遊海も動き出す。

「ええと……万年筆でも構わないですかね! 万年筆が手元にないのでやっぱりペンで!」

「大丈夫ですよ」

 口調の急変した遊海にも負けず、営業スマイルとばかりに笑顔で返すお兄さん。

 しかも膝上の草むらのど真ん中に飛び込んだせいで脱出に手間取る遊海にもイライラする事なく待ち続ける郵便職員の鑑のようなお兄さん。

「お、お待たせしました! わたし探偵なんですけど、名刺に記載する名前の方が──」

「本名で、フルネームでお願いします」

「………………」

 素晴らしい営業スマイルの効果か、遊海はお兄さんの背後に大きく神々しい『 郵 便 』の文字を見るが、とりあえず大人しく本名を指定された場所に書きこむ。

「ども、ありがとうございました!」

 最後は元気良くそう言い残して、郵便のお兄さんは去っていった。


  −2−

「誰からかな、見た事ない封だけど」

 お兄さんの姿が完全に見えなくなるまで待ってから、遊海は庭先まで戻ると被っていた麦わら帽子を縁側に置いて腰を降ろし、受け取った手紙の封を切る。

 一目で普通の手紙とは違う、豪華な金の縁取りと上品な手触りを確かめた後で中身を覗きこむと、そこには一枚の黒い厚紙。

「……?」

 全面真っ黒な厚紙に一瞬、怪訝な表情を浮かべた遊海だったが、

「あっ、これ裏なんだ」

 すぐに気付いて裏返し。最初に目についたのは上部の文字。

「、招待状? ……貴女を祖父、三葉竹光様に代わり、魔女の舞踏会へ招待させて頂きたく──って魔女の舞踏会?」


 首筋に浮かんだ汗の玉を肩先で拭いながら、もう一度文面を読み返すも、そこには確かに白い文字で『魔女の舞踏会』と書かれている。

「ほほう。私立探偵のおじいちゃんの孫で、探偵家業の私に来いって事は……挑戦状!」

 普通なら怪訝に思った段階からもう一段、怪しい方向に進むはずなのだが。

 探偵(ただしあくまでも自称)の遊海にとって、こういった『探偵っぽい要素』は逆に心を躍らせるだけで、怪しいなんて万に一つも思わない様子だった。


「これは……是非とも! 行く必要があるのですよ! 探偵魂100までもっ!」

 15年生きてきた中で初めての招待状──しかも魔女とか舞踏会とか探偵っぽい──に周りに誰も居ないのにスイッチが入って"探偵モード"で拳を突き上げる遊海。

 今まで何度も"探偵"として修羅葉に突入してきた遊海だが、これほど明確な形での"挑戦"を受けたのは初めてなのだ。

 それはもう心踊るわけで。

 が、一通りはしゃいだ後は一転して麦わら帽子を枕に後ろに倒れ込む。

「とおるも一緒に来てくれないかなー。ってま、無理だろうけど……」

 蝉の鳴き声が輪唱して、寝転がった体勢から見える空はどこまでも真っ青で。

 このまま眠ってしまいたいなー、寝ようかなー、とか誘惑に負けそうになりながら視界の下側にちらつく緑色に現実にやるべき事を思い出し、遊海は名残惜しみながら立ち上がった。

 招待状の前に、まずは庭の草刈り!

 推理なんかよりもよっぽど強敵な緑色に、気合を入れ直して遊海は突撃する。


  −3−

 招待状に書かれていた地名を調べた結果、どうやら祖父の故郷に程近い場所らしい。

 あれから数日が経って──新幹線と普通列車を乗り継げば数時間で辿り着けるような距離だとわかった遊海は結局、一人で祖父の故郷を踏みしめていた。

 別に誘ったけど断られたわけではなく、招待状にあった名前が自分だけなのと、自分に対する祖父の友人からの挑戦状のようにも感じられて誰も誘えぬままここまで来てしまったのだ。

「ここがおじいちゃんの昔住んでた猫観沢……やっぱり田舎」

 遊海にとって祖父とは最愛の人であり、小さい頃からずっとくっつき回っていた誰よりも大好きな存在だった。

 そんな祖父が生まれ育った場所は、まだ15の少女にとってどこか新鮮に感じられて郷愁感を煽られる。

「ほとんど都会暮らしみたいなもんだしね、こういうのもたまにはいいかも」

 挑戦状の件を考えなければ、夏休みを利用して祖父の故郷を巡る小旅行なのだ。

 視界の先はどこを見ても山々があり、視線を落とせば剥き出しの土の地面。蝉の鳴き声が遊海の住む上月市よりも遠く、どこか優雅な風に聴こえてしまうのは錯覚か。

「後は迷わないで着くだけなんだけど……早く行かないと危ない、かも?」

 何があるかわからない──念の為にと日の昇った直後に家を出たものの(乗り継ぎをミスって最終的にはとんとん)もうすっかり太陽はまわりを囲む山々よりも高くなってしまっている。

 目指す招待状の送り主の住んでいる場所は調べたところ山の中腹を切り開いて作った大きなお屋敷のようで、そこまでの地図はプリントアウト済みなのだが、なにぶん都会っ子。

 山歩きに慣れているわけもなく、遅めに見積もった予定よりも更に時間がかかる算段だった。

「よし、じゃあ行こっかな」

 何やかんやと人には話せないようなものまで含まれている"探偵七つ道具"のほかにも様々な状況を考慮して無理やり詰め込んできたせいか膨れ上がった大きなリュックを持ち上げ──おっとと──よろけながら遊海は歩き出す。

 普段と空気が違うからか、これからを思い緊張しているのか。

 洞察力が第一の探偵少女は、結局自分と同じ電車から降りた人影に気付く事はなかった。


  −4−

「お待ちしておりました。私立探偵、三葉竹光様に代わり来てくださった、三葉遊海様で間違いございませんでしょうか」

 紺色の下地に真っ白なレースをあしらったエプロン。盛り上がった肩は中性のドレスを意識した造りで、頭には黒に宝石か何かを散りばめたのかキラキラと控えめな輝きを見せるカチューシャ。

 典型的とは言えないものの、見る人が見れば一発でわかる「これぞメイド!」の完璧なお辞儀に、遊海はわたわたしながらお辞儀を返そうとし──20度ぐらい傾けたところで勢いよく頭を振り上げた。

「あ、こちらこそお招き預かり──って違ぁうっ! よくぞこのわたし、掻き乱すのだけは超一流、探偵トリックスターを誘き出せました! それはっ、褒めておきましょう!」

 途端に"スイッチ"が入って騒ぎ始める遊海に、しかしメイドさんは冷静だった。

「他のお客様にご迷惑がかかりますので、館内ではあまり奇声を発しないようご注意をお願い致します。それではご案内致しますので」

「き、きせっ……」

 温和そうな雰囲気からは感じられないトゲトゲしい言葉に「が、がーん」とわかりやすく落ち込んだ反応を見せる遊海──から巨大なリュックを預かり(実質無理やり奪われた)歩き出すメイドさんに「反応ぐらいくれてもいいのになっ」と探偵少女は不満げな表情。

「にしても大きなお屋敷ですねっ」

 前を歩くメイドさんのお尻や太もも、足の細さなんかに目を奪われながら遊海。

「ええ、全て奥様の特注で造られたお屋敷でございます。総面積はのべ……探偵でしたらご自分で調べてきてらっしゃいますでしょうね」

「もっ……勿論!」

「それは差し出がましい真似を致しました。奥様については情報などあるはずもございませんので、許可を頂いている部分についてお話させて頂こうかと思うのですが、よろしいですか」

 遊海がよろける程度には重たいはずのリュックを買い物カゴでも持つように右手一本で支えながら、何でもないかのように説明を続けるメイドさん。

「お願いしますっ! でもメイドさん凄いですねぇ、すごい怪力! 恋人いるんですか?」

 ぴくっ。

「メイドたるもの、仕えるべき主を見つけたなら生涯をかけて──」

「重たいんですね! きっと恋人ができてもすぐにひっ」

 遊海の息が止まる。

 何故なら、メイドさんが突然足を止めてその場で左回りにくるっと優雅なターンを決めて振り向いてきたからで(しかも体勢はそのままに)、メイドの腕に握られていたリュックの重量を感じさせないそのターンに、遠心力分を加算して凶器化した質量が遊海の胸元を通りすぎていったから。

「あら、申し訳ございません。"三葉遊海様に胸がないおかげで"不幸中の幸いで済みました。メイドともあろうものが、大変申し訳ございません」

「い、いえっ」

 笑顔で謝られ、無意識に両手を上げて降参とばかりに引きつった笑いを浮かべる遊海。

 視線を泳がせた先には夕焼けを望む岬の絵画。メイドさんと目を合わせるのが怖くてそのまま目を泳がせながら問いかける。

「そ、それで何でしょうかっ」

「あら? 何を言おうとして足を止めたのか忘れてしまいました。申し訳ございません。ただ……そう。恋人は現在おりません。"重たいんだよ怪力女"と罵られて縁を切られましたので」

「あ、あははははっ……」

「ふふふっ」

 藪を突ついて蛇が出た。

 冷や汗をだらだらと流しながら、大広間に抜けるまで毒舌で怪力なメイドさんと遊海の緊張感漂う事前説明は続いたのだった。


  −5−

「今宵の舞踏会を前に、晩餐などいかがでしょうか」

 という有無を言わせない迫力のメイドさんの言葉に、一旦は部屋(ごくごく普通、でも豪華な感じで遊海はあまり触りまわる事はできなかった)から連れ出され向かった先は、大食堂とでも言うべき大部屋だった。

 長方形に広がり、奥行きも高さも申し分ない空間に二列並べられている長テーブル。

 純白のレース模様のテーブルクロスは皺ひとつない綺麗な様に、天井から吊り下げられたシャンデリアからの明かりも跳ねかえすような、惚れ惚れする色合いで遊海を魅了する。

 それでも遊海が扉を抜けた先で固まってしまっているのは、その食卓に並べられた多彩というべき料理の数々だった。

「この料理……え、料理ですよねこれっ」

 危うくキャラさえ壊れそうになる遊海の視線の先にあるのは、とりあえず大量に積み上げられ蒸し焼きにされたように思える"トカゲの丸焼き"。

 横には黒々とした液体の中に見え隠れする白いもの──骨?

 等間隔に並べられたグラスに注がれているのは赤ワイン、と思いきや鉄さびっぽい匂いを発するどう考えても危険な代物。

「勿論、当屋敷の専属シェフによる、それは美味しい料理の数々でございます。本日は奥様のご意向で"魔女の晩餐風"に手を加えたとの事ですけれど」

「なるほど! 魔女ってこんなの食べてるんですね……」

 素で引く遊海に即答で言葉を返すメイドさん。

「いえ、奥様はもっと豪華で一流イタリアン等を好まれます」

「魔女なのに?」

「当然です」

 素知らぬ顔で言われ、これ以上は無駄かなと悟った遊海は全体的に様子を観察し始めた。

 流石にこんな得たいの知れないものを食べるほど無鉄砲でもないが、とりあえずこの料理にも何か意味があるのかもしれないし、未だに直接顔を合わせていないのも気になる。

 気になるといえば"舞踏会"だというのに自分以外に来客の姿が一人も見えないのも口には出さない気になっている要素の一つだった。

 未だに見たメイドもすぐ傍に控えている毒舌仕様のメイドさんただ一人。

「つかぬ事を聞いてもいいですかっ」

「どうぞ」

「わたし以外の探偵とか来客さんってどこにいるんですかねっ」

「さぁ?」

「………………」

「冗談でございます。お許しくださいませ。本日、来客を予定されておりましたのは三葉遊海様ただお一人ですので、他のお客様がやってくる事はございません」

 無表情にやられたら腹も立つが、笑顔でやられると──やっぱり腹が立つ。

 とはいえ"探偵は決して暴力を振るわない"のが遊海流、最低限のルールなのだった。

「暴言メイドさんに聞きたい事がっ! メイドって皆、そんな感じなんですか!? 怪力?」

 代わりに言葉の暴力は可。

「晩餐会の最中、奥様からこれを渡すようにとご指示を受けておりました」

 無視された。

 若干へこみながらもそこは探偵、メイドから渡された新しい黒い封筒を丁寧に切り開けると中からは一枚のメッセージカード。



『舞踏会が始まり、終わるまでに当館から脱出せよ。さもなくば貴殿の命は奪われる』



 黒に金色の文字で描かれていたのは、ただそれだけの文章だった。

 沈黙。

 顔を背けたまま肩を抱きかかえ、震える遊海に微笑を浮かべ、メイドさんは、

「怖くなりましたか、三葉遊海さ──」

「やっと来たのですよ待ってたんですよ? 探偵を罠にかける醜悪な魔女っ! それと知恵と知識と洞察力とほか色々なもので乗り越え事件を解決するわたしっ! 素敵っ!」

 不意にテンションの爆発した遊海に、呆気に取られてしまう。

「ふふふふ、メイドさんが真犯人という説もありますが今は置いといてっ! 脱出なんかよりも呼び出された真相を暴くほうが大事なんですよっ? あぁ脳細胞が疼く……っ」

「三葉遊海様、盛り上がっておられる所、申し訳ないのですが、これはゲームではなく」

「知ってますよ! むしろこんな場所まで呼び出して美味しいご飯も出してくれず! ただのゲームやる為に呼びましたとか言われたら怒りますよ! そこらへんの調度品壊します!」

「それはやめてください!」

 ……こほん。思わず取り乱したメイドさんは、呼吸を落ち着かせるべくひとまず咳払い。

「何故私の方が乱されているのかわかりませんが、説明があります。よろしいですか?」

「大丈夫ですっ! ノーヒントで真相を暴」

「肩を折られたくなかったら聞いてもらえると幸いなのですが」

「聞きます」

 急にしおらしくなった遊海に、メイドさんは新しくもう一枚の封筒を手渡すと言葉を続ける。

「現在、この屋敷は完全に封鎖され普通に出る事は叶いません。脱出手段のヒントがその封筒の中にありますので、舞踏会が始まり、終わるまでに脱出をお願い致します。なお、舞踏会はこれより20分後の開始を予定しており、その1時間後に終了します」

「つまり、制限時間は1時間と20分というわけですねっ」

「その通りでございます。もし万が一、時間内に脱出できなかった場合は、先ほどのメッセージカードに記載されている通りとなりますので……ご注意を」

「了解ですっ」

 それと、とメイドさんは探偵家業の人間にとっては有名な幾人かの探偵の名前を上げていくと最後に二言を加えた。

「彼等も当館に挑まれ、現在は皆、行方不明となっております。それをお忘れなきよう、精一杯、頑張っていただきたいものです」

 締めくくられたその言葉に遊海はほんの一瞬寒気を感じながら、しかしそれでも探偵、不敵な笑顔でヒントの書かれた紙をめくった。


  −6−

『私は魔女です。さて、貴女には二つの選択肢。始まりを選んで海の中、終わりを選んで』



 ヒントとして書かれていたのはこの一文。

「終わりを選んで……何っ。何なのかはっきりっ!」

 遊海は一人、洋館風情の漂う邸宅内を歩き回りながらぽつり、と呟きをもらしていた。

 終わりを選んで、の後が意図的にか削られたのか、書かれていない。

 この言葉がヒントになるのなら、おそらくこれは言葉遊び。

 暗号になっている可能性もあるし、それがどういう法則かはわからないが脱出の為にこの紙が必要なのは間違いなさそうだった。

 メイドさんが言葉を残し姿を消した直後、大食堂を出て一旦部屋まで戻った遊海はリュックを持って窓際に移動し、内心ではドキドキしながら思いきり壁に投げつけてみたのだが──強化ガラスなのかヒビさえ入らなかった。

 他の窓に試すのは時間の無駄と割り切って、リュックから現状に使えそうな道具とこれは絶対"探偵七つ道具"を腰に下げてぶらぶらと散歩を始めたのだが──これと言って特徴的なものはなさそうだった。

 大食堂にあったのはグロテスクと表現してもいい料理? の数々以外には、壁から突き出した蝋燭立てと真っ黒な蝋燭。給仕室は鍵がかかっていて入れなかったので除外。

 他の部屋はまだ見ていないが、通路には明かり代わりの蝋燭の他には調度品だろう絵画ぐらいしかなかった。

「閃きましたっ! そうですよそうなのですよ、流石わたしの脳細胞! わざわざ舞踏会が開かれるのに、その前に脱出できるはずがないんですよねっ」

 ふと浮かんだ単純な考えに、これはいい考え! とばかりに両手を打って走り出す遊海。

 舞踏会の場所は──普通は大広間。

 というわけで、遊海は急いで大広間に向かった。


後編へ>>http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65458733&comm_id=1992483

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