我が愛しのアスリート図鑑コミュの宣銅烈（野球）

宣銅烈（ソン・ドンヨル、1963年1月10日 - ）は韓国・光州広域市出身の韓国、日本で活躍した元プロ野球選手および現プロ野球監督。高麗大学校卒。韓国史上最高の投手と言われ、出身地近くにある山にちなんで無等山爆撃機（ムドゥンサンポッキョッキ・무등산 폭격기）、又は韓国の至宝（국보급 투수）と呼ばれた。

光州一高では全国大会で優勝、高麗大学校1年の時は世界青少年野球選手権で優勝を経験し、実業団野球の韓国化粧品に入団。そこでも世界野球選手権で優勝、最優秀選手に選ばれた。実業団の選手は2年間はプロ入りができないとする規定があったが、韓国野球委員会から特例が認められ（ただし前半戦は出場停止の処分が下された）、1985年のシーズン後半からヘテ・タイガース（現・起亜タイガース）で試合に出場。同年、最優秀防御率のタイトルを獲得。
当時「宣銅烈の先発試合は見なくても結果がわかる」と言われるほど、圧倒的な存在感を漂わせた。めったに本塁打も打たれなく、彼との対戦で勝利はともかく、ホームランを打つのすら奇跡と言われ、彼がホームランを打たれたら翌朝のスポーツ紙の1面を飾るのは当然であったほど。この傾向は抑えに転身した後はもっと著しくなり、彼がブルペンで練習投球を開始するのだけを見て、リードされた相手は試合を諦めたとまで言われている。
150km/hを超える速球と、一見して速球と区別が付かない2種類の高速スライダー、抜群の制球力で圧倒的な成績を収め、1991年には長良川球場で行なわれた日韓プロ野球スーパーゲームで最速155km/hの速球を投じ、日本のファンを驚かせた。

その後日本球界入りの意向を表明、巨人との争奪戦の末1996年に中日ドラゴンズに入団。4月5日開幕初戦の広島戦に登板するが、いきなりセーブ失敗、16日の巨人戦では当日巨人の3番であったシェーン・マックと5番の落合博満に本塁打を許すなど巨人打線の集中打でセーブできなかった。1年目は開幕からの不調が続いたことに加え、シーズン直前に母親が急逝したこともあって結果が出なかったが、オフ返上など背水の陣で臨んだ2年目の1997年に大変身。日本プロ野球オールスターゲーム初出場、当時の日本記録となる38セーブを挙げ、横浜ベイスターズの佐々木主浩とともに最多セーブ投手（その年に宣が記録した38セーブの1個目は横浜との開幕戦＝ナゴヤドーム初の公式戦。ナゴヤドームで初めてセーブを記録した投手である。ちなみに佐々木はその翌日と翌々日に中日相手に連続セーブ記録した）。

登録名の「SUN」から「名古屋の太陽」と呼ばれた。また一部のファンからは、丸顔と温厚な人柄からアンパンマンのニックネームが付けられた。優勝マジック1で迎えた1999年9月30日神宮球場・ヤクルト戦9回裏二死から登板し、その年の本塁打&打点のセ・リーグ二冠王4番ロベルト・ペタジーニ一塁手をセカンドフライに仕留め胴上げ投手に（優勝決定時の捕手は中村武志、二塁手は立浪和義）。ダイエーとの日本シリーズ第2戦でも登板しその年のオフ現役引退。その後ボストン・レッドソックスからの入団要請は辞退した。

引退後は韓国野球委員会で活動していたが、2003年には自費で中日にコーチ留学、2軍コーチとして研修を受けた後、2004年には三星ライオンズ首席コーチとして韓国プロ球界に復帰。2005年、監督に就任し、三星をリーグ制覇に導き、第1回のアジアシリーズに出場した。背番号18は起亜タイガースの永久欠番。プロ入り前の1984年、ロサンゼルスオリンピックで韓国代表が4位だったときのメンバーでもある。2006年も三星は韓国リーグを制覇、再びアジアシリーズの韓国代表として来日した（結果は1勝2敗の予選リーグ敗退）。

韓国のエースと呼ばれながら尊大なところがなく、チームメートともかなり仲良くやっていた。中日時代の正捕手の中村武志には絶大な信頼を寄せており、中村のサインに首を振ることはなかった。来日2年目には日本語もペラペラになり（現在でも韓国内での日本のTV取材には日本語で応じている）、オフは山本昌はじめチームメートとオーバーホールに行くほど溶け込んでいた。研究熱心な人物であり、2006年のキャンプに三星の監督として日本ハムと練習試合を行ったとき、かつて対戦したことのある新庄剛志の特徴などを、しっかりと覚えていた。

知日家（親日家）としても知られ、高校野球のファンでもある。また、マスターズリーグにも参加したことがある。

なお、中日入団時にアシアナ航空から名古屋（名古屋空港→中部国際空港）-ソウル（金浦国際空港→仁川国際空港）間の航空機永久無償利用権を授与されている。また、名古屋市から「なごや観光大使」に任命されている。

2006 ワールド・ベースボール・クラシックにおいては投手コーチとして韓国チームの快進撃に貢献した。そのWBCアジア予選の日本戦で、韓国チームの投手裵英洙がイチローに死球を当てたことについて、「（日本打線の勢いが止まり）実は内心嬉しかった」と韓国紙に語っている[1]。

北京五輪・野球韓国代表チームでは首席兼投手コーチをつとめることになった。

2008年1月2日、北京五輪野球代表チーフコーチを辞任したことが発表された。理由は精神的なストレスとのこと。

韓国：367試合 146勝 40敗 132セーブ 1647投球回 28被本塁打 404四死球 1698奪三振防御率1.20
日本：162試合 10勝 4敗 98セーブ 197投球回 9被本塁打 59四死球 228奪三振防御率2.70
日韓両国で100セーブポイント（セーブではない）を達成した初の投手である。