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ダンテ・アリギエーリコミュの『神曲』(天国篇)

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天国篇 第十三歌

汝この事をもて常に足の鉛とし、汝の見ざる然と否とにむかひては疲れし人の如く徐に進め
肯ふべき時にてもまたいなむべき時にても、彼と此とを別たずしてしかする者はいみじき愚者にほかならず
そは軽々しく事を断ずれば誤り易く、情また尋いで智を絆すにいたればなり
真理を漁りて、技を有せざる者は、その帰るや出立つ時と状を異にす、豈空しく岸を離れ去るのみならんや
されば人々餘りに安んじて事を判じ、さながら畑にある穂をばその熟せざるさきに評価する人の如くなるなかれ
そはわれ茨が、冬の間は堅く恐ろしく見ゆれども、後その梢に薔薇の花をいたゞくを見
また船が直く疾く海を渡りて航路を終へつゝ、遂に港の入口に沈むを見しことあればなり
一人盗み一人獻ぐるを見て、神の審判かれらにあらはると思ふ勿れ
恐らくは彼起き此倒るゝことあらむ。

(山川丙三郎 訳)


ところでこのことが常に君の足の鉛となって、見当のつかぬ事柄については早急に是非を論ぜず、疲れた人のように歩みを遅らせるがいいだろう。
良し悪しをいうにせよ是非を論ずるにせよ 細かい判断もなしに肯定否定を行なう者は 愚か者の中でも下の下たる者だ。
だからはやまった意見はとかく 狂った方角へ曲りこむ、その上、情が知にからむ。
真理を漁ってそれを取る技を心得ぬ者は、来た時と同様手ぶらで帰るわけにはゆかぬというので むやみと岸を離れたがるが、それが危険なのだ。
まだ穂が実りもしないうちに畠に出て 穂の数を勘定するような、あまりに安んじて 判断を下す人間にはならないでくれ。
冬の間中はずっと硬くて刺だらけだった枝が その枝先に一輪の薔薇の花をつけたのを 前に見たことがある。
また長い航路をまっすぐに、すばらしい船足で 走ってきた船が、港の入口にさしかかって ついに沈没した例も見たことがある。
一人が盗みを働き、もう一人が捧げ物をしたのを 目撃したからといって、神の裁きがいかように下るか解るなどと思うな
一人は起直るやもしれず、一人は倒れるやもしれないのだ

(平川祐弘 訳)


警句と詩情が見事に融合している例ですね。
通読するのに苦労する天国篇にも、ところどころにこのような詩行が光っています。

コメント(1)


あ、書き漏らしましたが、このトピックに引用した詩行は、天国篇 第十三歌の最後の部分です(ごく一部にカットあり)。

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