アルフレッド・ダグラス卿コミュのダグラスに堕ちて（自己紹介）

自己紹介にどうぞ・・・・





✽黒天使✽（ライオネル・ジョンソン　Lionel Pigot Johnson　1867 - 1902：オスカー・ワイルドに、アルフレッド・ダグラス卿を紹介したデカダン詩人）


黒き天使よ、汝疼く欲望持てる者よ、
世界より悔悟を奪わんと、
害意ある天使、汝なおも
我が魂に斯くも剣呑の暴力を成す者よ！

汝が故に、瀆神に変じはてざる
考えも物も我が元に一つだになし、
黒き天使よ、いつも翼を駆りて
ここぞと云うとき必ず訪い来る者よ！

妙なる楽音あれば汝は
そが銀の音をたぎり立つ炎に変え、
汝が妬み心は欲望の拷問知らぬ
いかなる喜悦も許そうとはせぬ。

汝を介して、雅びなる詩神たちも
復讐の女神に変ずるなり、汝わが仇敵よ！
して美の悉くが
姦邪の陶酔に炎と燃ゆるばかり。

汝が故に、夢結ぶ地が
恐怖の這集せる地とはなり、
ついには責めいたぶられた眠りが
甲斐なき涙滂沱の時と見ゆるほど。

日の光が花々に輝き、
踊る海にさざ波立てる時、
汝は、激しき力持てる軍勢率いて
我れを包囲し、途方に暮れしむるなり。

秋の森の息吹きの中、
冬の沈黙の只中で
汝が瘴気のよくは踊り、よくは立ちこめるぞ、
不敬淫祠の王！

赤き炎の熱りは汝がもの、
鋼めく冷たき氷の芯もまた。
汝、姦曲の仕掛けして自然の
正しき理に毒盛る者。

灰の林檎はまばゆく輝き、
苦き水の何てう甘美さ！
おお、悪しき逸楽の饗宴は
汝、黒き精霊に催されたるもの！

汝は闇ぬちの囁き、
曰くありげな声、つきまとう笑い声、
汝は我が墓を飾る者、
我が墓碑の詠びとなり。

我れ聖なる御名に於て汝と闘うなり、
なれど、汝の為せるは神の言いたまえること。
誘惑者よ！　もし汝が炎を我れよく逃れなば、
汝こそは力貸して我れを済度せし者ぞ、死より。

死ぬことなく、また時が死ぬ以上
死ぬこともできぬ彼の第二の死より。
生きながらの死、そこにては救いなき魂が叫喚すなり、
永劫に慰めもなく。

黒き天使よ、疼く欲望持てる者よ！
二重の敗北と二重の絶望もたらす者よ。
汝が永劫の苦しみに比ぶれば
漂える塵になるとも恐怖少なし。

好む儘に成せ。されど構えても
黒き天使！　汝が我れに勝つことあらじ。
孤りして我れは孤りなる者の元に行く、
聖にして我れは聖なる者の元に。


✽高山宏訳✽


✽http://jp.youtube.com/watch?v=6YguosQmApA&feature=related(Bosie)
✽http://jp.youtube.com/watch?v=qAMlh45URxM&feature=related(Bosie part two)
✽http://vids.myspace.com/index.cfm?fuseaction=vids.individual&VideoID=22183121(Bosie part two)
✽http://jp.youtube.com/watch?v=Bs_QblSFlM0(OSCAR WILDE Y ALFRED DOUGLAS.)


　ジョンソンは友人のひとりに、発刊されたばかりのワイルドの長篇小説、『ドリアン・グレイの肖像』を贈った。
　その友人は十六回も、この小説を読みかえした。ワイルドに、夢中になったのである。
　かれはワイルドにどうしても会いたくなった。そして一八九一年の六月、ジョンソンが同行してワイルドの住む、タイト街を訪問した。
　この男こそクィーンズベリィ侯爵の末の息子、アルフレッド・ダグラス卿、通称ボジーである。

（山田勝「オスカー・ワイルドの生涯　愛と美の殉教者」)