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歯科の基礎知識をつけましょうコミュの『医学(歯学)博士=名医』ではない

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☆使えない博士

 世間の人たち――とくに年配のかたがたにとっては、博士は絶大な権威です。

 お昼のテレビ番組で医学博士が「○○を食べると老化の予防になる」と言えば、年寄りは一斉にそれを買いに走ります。

 「頭がよくなる」だとか「能力(脳力)開発法」なんて本のほとんどは、理論だけで実証データがない疑似科学にすぎません。

 なのに、その著者が医学博士や理学博士だったりすると、みんな信用してしまいます。

 年配のみなさんが博士を尊敬するのは、「末は博士か大臣か」の言葉もあったように、戦前からの伝統だ、ということだけは知られていますが、実際のところはどうだったのでしょう。

 昔は、病院の看板に「院長 医学博士 ○山×男」なんて書くだけで患者が増えたと言います。

 しかし、これには事情を知らない一般の方のカン違いが多分に混じっています。

 まず第一に、医学博士=名医、という思いこみ。

 医師免許と医学博士はまったくの別物ですから、医師免許を持っていない研究一筋の医学博士もいます。

 この人は当然、診療行為はできません。

 例え話をします。

 夜中に家族が急病になった時、

「太郎が急病だ!」
「となりのご主人、たしか医学博士だって言ってたわよ」
「よし、連れて行こう……先生! 先生! 急患です」
「私は医者じゃないから診られないよ」
「ええっ!? だって医学博士なんだから、応急処置ぐらいわかるでしょう?」
「うむ。こういう場合は、救急車を呼ぶといい」
「ほら見ろ、博士号なんて取るだけムダだぞ、太郎!」

 隣のご主人はきっと基礎研究で医学に貢献しているのです。

 恨んではいけません。

 一方その頃、太郎君の姉(国際線キャビンアテンダント)は、太平洋上空で急病人が出て慌てていました。

「合コンしようって誘ってくるファーストクラスのウザいオヤジ連中、ボストンの医学会に参加した帰りだって言ってたよ!」
「よかった! 棚からぼたもち、ってやつね」
「微妙にたとえが違う気がする……いえ、そんなことより……すみません、お客様の中にお医者様がいらっしゃるそうですが」
「ええっとね、ぼくたちみんな医学博士だけど、だれも医師免許持ってないんだ」
「使えないわね医学博士!」

 彼らを責めないでください。

 彼らも医学の基礎研究に貢献しているのです。

 たぶん。

 戦前の医師の権威そのものにも疑問があります。

 現在のような医師国家試験ができたのは戦後のことです。

 戦前までは、大学の医学部を卒業するだけで医師になれたのです。

 各学校ごとに卒業試験をやっていたとは言いますが、なにぶん学内のことなので、どの程度の難易度・公正さをもって行われていたかは不明です。

 統一国家試験を実施してヤブ医者を排除せよ、との声もあったのに、当時の内務省は、「医者が足りないから」と相手にしませんでした。

 で、そのちょっと怪しい医師制度にハクをつけるために、医学博士の肩書きが重宝されたというわけです。

 しかし、大正末期から昭和初期にかけて、医学博士濫造が問題視され、それにまつわる記事が新聞紙上をにぎわせています。

 博士号論文の審査報酬は、論文一本につき百円だったので、大学教授はこれで月給を上回る大金を手にしてホクホクだ、とか、博士号を欲しがる学生に礼金を要求していた教授が収賄罪で起訴されたりとか。

 なにしろ医学博士の看板が医院の経営を左右する時代だったのです、カネの絡むところには、黒い話がつきものです。

 でもだからといって、昔は悪かったと決めつけてしまうのもいけません。

 博士号の中身にこそ問題はあれど、少なくとも学校を出たての若者も、博士号の権威や名声を利用できたのです。

 それが今やどうですか。

 真面目に研究して博士号を取得しても、就職時にマイナス評価を下されるとあっては、若者のキャリアにとって有害ですらあります。(後述参照)

 現代の日本で博士号の看板を活用できるのは、ビジネスでそれなりに成功した人や叙勲者など、世間的に見れば「すでにエラい人」に限られています。

 すでにエライ人が、もっと世間の人から尊敬されたいがための見栄の道具として、博士の肩書きを欲しがるのです。

 それって、博士号を勲章みたいなものとごっちゃにしているのでは、と思った人、あなたは鋭い!

 現在では、学位を授与するかどうかは、各大学の裁量に任されています。

 しかし、それは大正9年、改正学位令が施行されてからのことなのです。

 じゃあ、それ以前はどうなっていたのか。

 明治時代には、各学問分野の博士会という組織がありまして、そこのメンバーが相談して、こいつの業績は博士に値する、我々の仲間に加えてやろうじゃないか、という者を選び、文部省(当時)に推薦します。

 で、推薦された者は、文部大臣(当時)からめでたく博士号を授与されるという仕組みになっていました。

 これは、現在も続いている叙勲制度の審査システムとほぼ同じで、つまり明治から大正初期には博士号は、勲章みたいなものどころか、勲章そのものだったのです。

 これでようやく、博士と大臣が同列に語られる理由と、お年寄りほど博士をありがたがる理由もおわかりいただけたことでしょう。

 もちろん、名医の医学(歯学)博士も大勢存在します。

 ここで言いたいことは、『医学(歯学)博士≠名医』(イコールではない)ということです。


☆質の低い博士たち

 「分数のできない大学生」、「生物を知らない医学生」、「物理を知らない工学部生」はここ数年の理科教育問題を表わす標語として聞こえてきています。

 しかし、恐ろしいことに、「研究の出来ない大学院生」という声があがりはじめています。

 大学生の質が下がれば、大学院生の質が下がるのが当然といえば当然です。

 基礎知識すらないまま入ってくる学生をどうやって指導して一人前の研究者にすればよいのだろうかという大学教官からの声も上がってきています。

 世間の博士の質に対する批判の目は厳しいです。

 企業は、大学院博士課程修了者(ポスドク)を評価していません。

 視野が狭く、応用が利かず、基礎知識も欠如している博士を増やしても、審査のない無駄な公共事業に投資するのと同じだという声すらあります。

 東工大の調査では、毎年、国内の約1万4000人の修了者のうち、5割程度しか就職できないとも言われています。

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