ヴァイオリニスト椙山久美コミュの椙山久美'09.4/19のリサイタルを聴いて

昨日4/19(日)、椙山久美のリサイタルを聴いてきました。
日記から、その感想をコピーします。

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4/19(日)、アクトシティ浜松中ホールにて行われた、「椙山久美＆山田武彦デュオリサイタル」に行ってきました。
14時開演に対し、12時過ぎには入口前に並びました。全席自由という事でありましたので。
並び順、何と1番でありました。
今回は、結婚した長女次女と夫達も誘い、いわば新しい家族フルメンバーでしたので、皆にいい席を、との思いからでした。
新たな息子達はクラシックのコンサートは殆ど経験がないとの事でとでしたから、聴くのもさる事ながら、プロが集中し必死の思いで演奏する姿を見るのも価値があるだろうと、今回は敢えてステージに近い席を取りました。前から4列目の中央、ここに5人並んで座りました。
楽器は勿論、ステージの2人の表情もよく見え、息子達にも、音楽がすぐ近くに感じられた事でしょう。

プログラムは以下。

■前半
ヴァイオリンとピアノの為のソナタ34番変ロ長調Kv.378/モーツァルト
ヴァイオリンとピアノの為のソナタ3番ニ短調op.108/ブラームス

<休憩>

■後半
タンゴ(33のシェイクスピア歌曲より33番『ひとりの男に言い寄る2人の乙女』)/カステルヌオーヴォ=テデスコ
レントより遅く/ドビュッシー
高雅にして感傷的なワルツより6,7番/ラヴェル
ジプシーの踊り(バレエ『ソナティナ』より)/ハルフテル
パントマイム(バレエ『恋は魔術師』より)/ファリャ
剣の舞(バレエ『ガイーヌ』より)/ハチャトゥリアン
ルーマニア民族舞踊/バルトーク

ピークの設定は勿論前半です。
古典とロマン正統のソナタ、特にブラームスは30分の大曲、私はこれに一番の期待をしました。

モーツァルトのソナタは、1楽章、主題がピアノの軽やかやかな演奏で始まります。ヴァイオリンはオブリガードを付け、繰り返しからテーマを弾きます。優しさに満ちた音と音楽作りに、つい涙が出ます。
曲想は長調と短調の間を揺れ動きます。特に展開部に入ってからは、短調を次々と転調していきます。この移ろいがこの曲の妙味です。

椙山久美(ヴァイオリン)と山田武彦(ピアノ)のデュオは初めてですが、練習もたっぷり積んだのでしょう。息も合い、音楽作りも実にフィットしています。
これ迄多くは上田晴子のピアノとやってきた訳ですが、この組み合わせもいいです。上田晴子の音は、もっとピアノの音が大粒です。山田武彦の音の像は小粒で、私は好みです。モーツァルトにはこの粒立ちは特にいいと思えました。
椙山久美のトークが挟まれてステージは流れていきますが、山田武彦が芸高の2年下だった事等、面白可笑しく紹介されました。
(椙山久美のコミュニティに雑誌記事を掲載してあります。山田の人柄もそこに触れられています。ご参考。)

ブラームスの残したVnソナタは3曲だけです。
この3番は1886～88にかけて作曲されました。
友人の死がこの曲想に強く影響を与えているようですが、プログラム･ノートを書いた評論家真嶋雄大によれば、クララへの思慕も籠められている由。その所為か、1楽章は憂鬱で、感情が抜け切っていかないイメージがあります。
2楽章のアダージョは素晴らしい唄です。G線1本の上をたっぷり落ち着いて歌わせていきます。溜め息の出てしまうメロディーと歌い込みです。
3楽章4楽章は一転してリズムが面白い楽章です。前者はそうは書いていませんが、スケルツォ的な楽章で2人の掛け合いに妙。
後者はブレスト･アジタートとあり、頭から激して走ります。Vnの重音がだんだん急き込んで、盛り上げていきます。途中でコラール風の第2主題を挟み、しかし、また熱情を得てフォルテッシモの頂点で終わります。1楽章の優柔不断さとは対照的です。

後半は、プログラム見渡して頂けると判ると思いますが、全部ダンスです。イタリア、フランス、スペイン、アルメニア、ルーマニア、と、ヨーロッパ諸国を渡り歩きました。これだけ特色のある舞曲を連続して重ねていくのは、さぞかしエネルギーが必要だろうと思いました。
編曲者名は全部に記されていた訳ではありませんが、テデスコとハチャトゥリアンはハイフェッツによるもので、大変技巧を凝らしたものでしたから、余計でしょう。
最後の挨拶ではそれが出ていました。大変に疲れたようでした。その所為かいつもサービス精神旺盛な彼女ですが、アンコールは1曲だけでした。

■アンコール
懐かしきウィーン/ゴドフスキー

帰りは、新家族5人でお茶と甘味、そしてその後、私の行きつけの店で一杯。
愉しい愉しい1日でした。
　