mixi阿房列車コミュの第二北米阿呆列車

やれん。
自分はもう知らん。
しかし昨夜はよいことがあった。

とりあえず、LAから来るコーストスターライト号に乗ってみることにした。諸般の事情により二等車となるが、食堂車でステーキでも食ってビールなど飲んでやることにしよう。一等ならば何を食おうが無料なのであるが、二等ならば、２０ドル程度支払わねばなるまい。もちろんチップは別である。

しかし食堂車である。
「焼き加減は如何致しますか」と給仕が好みを聞き、厨房にそれを伝え、血のしたたるステーキを食せるのである。
これぞ北米阿呆列車の真髄である。

というわけで、北米第二阿呆列車は二時間遅れ（これはアムトラックにしては非常に正確な運用である）で出発の予定。

五時にもなれば日は沈み、見えるのはI-5をゆく車のの光芒に、原子力発電所の巨大な影くらいか。

さぁて、まもなく北米第二阿呆列車の入線時刻である。
乗り込むなり、飲酒など開始し、文藝春秋１１月号でも読むことにするとするか。

コメント(5)

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[1] mixiユーザー 11月12日 20:24

＞「焼き加減は如何致しますか」で思い出した事

「焼き加減は如何いたしますか？」と問われた時に
「こんがり！」と答えるという、所ジョージのギャグを
思い出しましたが、米国で「こんがり！」なんて言ったら
炭になる程、本気で焼かれそうな気がします。

それはさておき、食堂車はやっぱりいいですね。

[2] mixiユーザー 11月13日 01:21

＞サディスターさん　　　　ほんとうにこんがり焼いてくれますよ。
後で書きますが、黒人の給仕に頼み込んで厨房を見せてもらいました。スパイスやソースの類が異様に多いのです。まぁイレギュラーなオーダーをする客が多いので・・・・・

魚料理にしても、特製ソースはいらないから、塩コショウにタイムをちょっと振って焼いて頂戴、といったとしても対応しれくれます。ちゃんと作ってる証拠ですねぇ。
野菜にしても、ブロッコリーサラダが嫌いな人間のために、いろいろ準備してありますし・・・
世界で一番熱い食堂車かも。

[3] mixiユーザー 11月13日 09:37

１４列車、愛称、コーストスターライト号は皆様もフォトアルバムでご存知のやうに、遅れることが当たり前のまったくもって見事な列車である。
都市間を結ぶ中距離列車ならば、遅れても数時間であるが、この前の第一北米阿呆列車では１０時間以上も遅れ、余分に一泊二食も阿呆列車を満喫できた。
もちろん余分の食事代などは鉄道会社のサーヴィスである。

さて、今回の阿呆列車の目的は、州外に出て一時の休息を得、不浄の街シヤトルを少しの間でも忘れようということである。
もちろん、食堂車では血のしたたるステーキを食ってやるつもり。

亜米利加では一家に一台ではなく、一人に一台車があるような社会であり、列車に好んで乗るのは、自分のような阿呆か観光客か老夫婦くらいのものである。

グレイハウンドバスは鉄道より安くてよいのだが、隣に巨漢が座った場合、臭気と彼の巨漢のエンドレス咀嚼音に悩まされることとなる。
さらに、乗客どころか乗客の安全をまもるべき運転手が酩酊していることもよくある話で、たまに乗るぶんにはいいのだが、どうもいかん。
代用阿呆列車くらいになるかもしれぬが、やはりここは食堂車つきの１４列車であろう。

日本国憲法にも明記されておるように、労働は国民の義務である。国民の命をありもしない国益のくせに簡単に見捨てるくせに、義務ばかり科す素敵な国に産まれてしまった。つまり、繁殖適齢期の自分はそろそろ労働しなくてはいけなくなってきた。憲法に明記されている国民の義務ではない、「営巣」「繁殖」を自発的に行おうとしている自分に勲章くらいくれてもいいのではないだろうか。どうなのだ、日本国よ。
もっとも、もらったとしてもすぐに中野ブロードウェイで売ってしまうが。

あぁ、晴耕雨読への道は遠い。まことに遠い。

そんなこんなで、当節の労働者が強制的に持たされる携帯電話なるものが今月から自分のポケットに入っている。
やれん。
まったくやれん。
しかしこの携帯電話でもって、本日の１４列車の遅れはどれほどかを常に確認することができた。
なかなか便利である。

鉄道会社はこの１４列車が遅れることを堂々と告知しており、遅れがどれほどのものかを確認するための番号まであるのである。
なかなか愉快だ。
阿呆列車なのだから、定時に入線しなくてもよろしい。それでよいのだ。

阿呆列車を待つ間、文藝春秋１１月号を読む。
何故日本は負けたのか、などという素敵な特集が組まれている。

オレゴンの田舎を走っている鉄道が旅客の取り扱いをやめたのが１９４７年。
これはどういうことか。
オレゴンの田舎ですらも、この国では60年前に車が一般に普及していたのである。
国民車スバル３６０ができて、日本人が一家に一台車を持てるようになったのは敗戦から何十年後のことだろうか。

こんな国と、アジアの新興国が喧嘩して勝てるわけがないではないか。６０年の前の日本は、車を運転できる人間よりも、飛行機を操縦できる人間のほうが多かったのではないか、などという冗談があるが、冗談ではなく、真実かもしれない。
しかも亜米利加は外道の国ときている。全国の都市は焼かれ、さらに二発も原爆を落とされ、日本は世界戦史上稀に見る惨敗を喫したのである。
昭和１９年になっても、海軍士官がスモークサーモンの前菜にはじまるフルコースを毎日食っていたから負けたのではない。
組員４人の貧乏な組が広域暴力組織に喧嘩を売ったらどうなるか、ただそれだけのことだ。
あぁ、１１月号はおもしろくねぇなぁ・・・
「世界の傑作機　彩雲」を買えばよかったなぁ・・・。

やれん。
酒でも飲みたいが、駅の待合室で飲酒というのはどうも具合がよくない。
しょうがないので、重厚な木の腰掛にもたれかかり、天井の細工を眺めることにした。
なかなか見事なものだ。１９２０年代の様式であろうか。

そうこうしているうちに、暇そうな係員が、自分の１４列車の切符を、今すぐに出発する中距離列車のものに振り替えるかどうかを聞いてきた。
「いや、自分はこの１４列車の食堂車で食事をしたいのであって、あと一時間くらいで来るとさっき確認したからその必要はない。」
と告げると、係員の親父め、ニヤっとして
「あの列車の設備はいいですからね。入線したらお呼び致します。」
と云う。こういう阿呆が少なからず居る証左であろう。
なかなかどうしていい気分だ。

列車が入線してきた。
ホーム上では様々な光景が展開されている。
抱き合うカップル、旅客の荷物を大儀そうに運ぶ荷物掛、ホームに出てこっそり一服する妙齢のご婦人、水の補給を急げ！と怒鳴るシェフ。

しかしぼんやりとしてはいられない。
なんとなれば、自分の切符は今回、諸般の事情により二等なので、食堂車の席があるとは限らないのである。
切符が一等であれば、日が沈むころに
「あもばん様、お夕食は何時に致しましょうか？」
と係員が個室に来てよい時間に席を予約してくれるのだが、二等はそうではない。
席に余裕があるときのみ、二等の客は着席を許されるのである。

二等展望車の下に軽食を供するビュッフェがあり、二等の旅客はそこでチーズバーガーなり芋揚げなりを食え、ということなのである。
なんとしても食堂車のテーブルを確保せねばなるまい。車内放送によると、二等の乗客には６席の余裕があるのみ、という。

自分は座席に荷物を置くなり食堂車に走っていった。

[4] mixiユーザー 11月14日 22:24

＞藝春秋１１月号

シブイっすね！！＾＾

[5] mixiユーザー 11月19日 08:31

北米第一阿呆列車とは反対側、すなわちパーラーカー経由ではなく、二等展望車経由で食堂車に入る。
「まだ席はありますかね？」
と給仕に案内を乞うと、でっぷり肥った黒人の給仕はにやりと笑い、こちらにこいと、車両中ほどのよい席に案内してくれた。
テーブルの花が月の光に映えて、これがどうにも儚く美しくて自分はしばらく見とれていた。
もちろん、造花ではない。

徐々に一等車から予約済みの客がはいってくる。
亜米利加ではどのような服装をしていても、金があればどこにでも入っていけるのだが、この食堂車だけはどうも違う。
少なくとも、襟のついていないシャツを着ている客はいない。

同じく二等から走ってきた鉄分濃厚な大学生くらいの若者だけが例外であったが、給仕は端っこのテーブルに彼を案内する。
Tシャツは亜米利加といえども、食堂車ではタブーのようである。
皆様におかれては、外道の国亜米利加といえど、食堂車だけは例外なので、十分に気をつけて頂きたい。

昭和の食堂車のようだなぁ。
野暮ったい格好をしていた自分が何故、真ん中のテーブルに案内されたかは今も謎であるが、らくーん王国近衛兵少尉たる自分は少なくとも、彼のでっぷりした給仕からすれば、それほど見苦しく見えなかったのであろう。

向かいに、金色の指輪を中指と薬指にはめた脂ぎった親父と、妻というよりは愛人というような下卑た女が着席。
横には亜米利加人には見えない紳士が着席。
給仕がメニューを配り、本日のおすすめはビーフカツレツでございます、と告げる。

脂ぎった親父と愛人はステーキを注文、紳士は少し迷った末、魚料理を注文した。
自分は本日のおすすめの、ビーフカツレツなどを注文することに。
ステーキは第一阿呆列車で経験済みなので、ここは一つ、亜米利加のビーフカツレツというものを体験してみるのも悪くない。

紳士の訛から察するに、紳士はどうも仏蘭西からの観光客のようだ。
彼の地でも食堂車はなくなりつつあると聞く。
脂ぎった親父は、自分はタコマに家を買ってどうのこうのとくだらぬ話を止めない。
紳士は適当に相槌をうち、自分は英語がわからないふりをして、前菜を味わっていた。

列車は山間部に入り、家の灯どころか、車の光すらも見えない。
ただ列車の走行音と、親父のくだらぬ話が聞こえるのみである。

「タコマというのはちょっとこんがらがっているエリアでね、ちょっと多様性がありすぎるのだよ。」
「ふむ。多様性というと？」
「私は亜細亜の路地はどうも狭くて汚いと思うが、どう思うかね？」
紳士は首を振る。

やれん。
英語がわからぬ振りは止めだ。
紳士に、ところで仏蘭西はどちらからですか？
と話しかけた。
「ストラスブールからだが、君は？」
「東京です。」
観光客の振りをするのはまことに楽しい。
阿呆列車では野暮用も一切関係なく、自分は闇夜をゆく観光客なのである。

「御国も暴動だなんだでいろいろ大変ですね。亜米利加のように文化がなければ、それほどモメずにうまくいくでしょうが、そうもいかないでしょう。」
紳士ははじめて自分のほうに顔を向け、話に乗ってきた。
こんな東洋人の若造でも、あのような下卑た２人と話すよりは、食事を楽しめるということであろうか。
光栄である。

脂ぎった親父の顔がひきつった。
いい気味だ。
ストラスブールがどこにあるかすらも、あなたにはわかるまい。着ているものは上等だが、アジア人を馬鹿にするために阿呆列車の食堂車に入るのであれば、さっさと一等個室にお戻りになり、肉を食った後、愛人と運動でもすればよろしかろう。
一等の乗客には、個室に食事を届けてくれるのであるからね。

「ストラスブールは興味深い土地ですね。３０年以上前ですか・・・・・」
「私はあの時、パリにいたんだ。あのときは国が停止してね・・・」
「父は、カルチェ・ラタンで煉瓦を投げていましたよ。日本の学生は、ダウンタウントーキョーの一部をそう呼んでいたのです。」
「何故、日本ではうまくいかなかったのかね？」
「６０年代は、大衆がついてきました。けれども７０年代はもう、学生だけだったのです。」
とまぁ、そんな話をできるのも阿呆列車ならではである。

前菜に遅れ、自分の注文しておいたハイネケンが運ばれてきた。足音をたてぬ給仕、お主は忍者か。
メインが運ばれてきた。
ビーフカツレツという名前がついてはいるが、やや揚げ過ぎである。
しかしうまい。肉汁がしっかりと衣の中に詰まっている。

食堂車はよい。実によい。
ハイネケンも、食堂車で飲むと極上のシャンパンのような味わいである。
亜米利加にはテーブルマナーというものがなく、手で食おうがナイフで肉を刺して口に入れようが、マナーに反するということにはならないのだが（もともとマナーがないので）、対面でそのような光景が繰り広げられているというのはどうもいかん。
隣の紳士に仏式の食事作法を習うことにする。
亜米利加人よりはマシであるが、自分もやはり野蛮なのである。
近衛兵少尉でありながら、去年の王国首都の宴会では国王陛下の前で重大なマナー違反を冒してしまったのだ。

食堂車で食べるものは実にうまい。レールの軋みも味のうちである。
メインを終えたところで、自分はもう満腹だったので、給仕に、コーヒーだけでよい旨を伝えた。
無理をすればなんとかなるだろうが、ニューヨーク風チーズケーキなどと称する、砂糖が１００グラムは入っていそうなデザートはちょっと遠慮したい。

コースは終了。伝票を見たら、１７ドル５０セントであった。
チップを入れても２０ドルちょっとで足りるのだから、北米はまさに阿呆列車天国である。

さて、二等車に戻り、酒でも飲んで寝るとするか。

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