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日本書紀を読み解くコミュの若武尊 生れまししこと

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わかたけるのみこ
つまり雄略天皇がお生まれになられた時のことを小説にしました。
原稿用紙にして60枚くらいです。

ちょっと長いのですが(そしてちょとエッチな場面もありますが)、お付き合いいただければ嬉しいです揺れるハート

まずは登場人物です

○允恭天皇 いんぎょうてんのう

○ おしなかおおなかつひめ:允恭天皇の皇后

○弟比売  おとひめ(衣通娘:そとおしのいらつ)

○五十鈴  大中比売の采女

○闘鶏造  つげのみやつこ 昔、大中比売に無礼な振る舞いをする

○闘鶏造阿良々支 つげのみやつこ・あららぎ ↑の息子

○中臣烏賊津使主 なかとみのいかつのおみ



    悔舞(まいをくやまるること)

反正天皇を百舌(もず)の耳原に葬(はぶ)り、名実共に允恭天皇の御世になった。
皇后の忍坂大中比売は、これまでの辛い日々を思出だし、今の幸せをかみしめるのだった。

夫、允恭が病に倒れたのは十年以上も前のことだった。
幾日も高熱を出し、生き死にの境を彷徨った。
どうにか命は取りとめたものの動作がはきはきせず、常に兄皇子達のからかいの種にされていた。

兄皇子達が煌びやかに即位するのを、どんなに悔しい気持ちでみたことだろう。
先の見えない毎日に、ただ鬱々と歳月を重ねてきた。

その履中天皇が崩御され、反正天皇も身罷(みまか)られた。

群集が御蠒(みしるし)をささげ、やっと御門に訪れたというのに夫は固辞したのだ。
私が強く勧めなければ、その座は年若い異母弟の草下皇子に奪われるところであった。


「刀自(とじ)や、帯はその紅い紋様が良く見えるようにお結び」
「あい、かしこまりましてござりまする」
大勢の采女にかしずかれ、今宵の宴のために美しく着飾っていた。
新羅から医者のおかげで、夫の病も癒えた。
わが身には新しい命も芽吹いている。
手のひらでそっと下腹部を撫でてみる。
「皇子様に違いございませぬ」
采女のかしら・五十鈴の言葉に、大中比売は目を細めた。
「妾(わらわ)もそう思う。今宵、大王に申し上げたら、さぞかしお喜びになられるでしょう」
新しい宮も建ち、その祝いの宴がが開かれる。
髪をきりりと結い上げ、朱鷺色の薄絹には透かしの花模様が浮き出ている。
帯はこの日のために2年の歳月をかけ、特別に織らせた。
紅の比翼の鳳凰が羽を広げている錦は、これからの幸せな生活を暗示するものだった。

白木の香もすがすがしい大広間には、すでに大勢の群臣が詰めかけていた。
細雪がちらほらと舞っていたが、庭に所狭しと並べられたかがり火に溶かされ、かすかな靄になる。

玉座に大中比売が姿をあらわすと、その華やかさにどよめきがおこった。
允恭も目を細め俳優(わざおき)はいっそう賑やかに音曲をかき鳴らすのだった。
宴は華やかにたけなわを迎え、大中比売は夫の横顔を見つめて微笑んだ。
いつ、話を切り出そうか。
ここにいる群集がこぞって祝いの言葉を述べるだろう。
生まれる前から皆に祝福を受け、なんと幸せな子なのだろうか。

「大王に申し上げたきことがございまする」
幸せに酔い、うっとりと夫に声をかける。
しかし、戯れに琴を爪弾いていた夫の言葉に、大中比売の笑顔は凍りついた。
「皇后(きさき)よ、今宵はことさらに気分が良い。一筝爪弾くゆえ、そなたの舞を賜らわせよう」
「ま、舞を、でござりまするか?」
体中の血が頭の芯に流れ込み、じんじんと音を立てる。
「ああ」
夫はすでに召来春のさわりを奏で始めていた。
「なにをしておる。そなたの得意な曲ではないか」
確かに、病床の夫を励まそうと幾度ととなく舞った曲である。
それだけに今、ここで舞うのは辛い。
愚鈍な夫は、何故にこんなにも残酷なのだろうか。
群臣の声や音曲に促されるようにふらふらと立ち上がると、場はしんと水を打ったように静まった。
春を誘う曲にふさわしく、華が咲いたようだった。
舞い終わり、静かに夫に頭を垂れた。
怒りで体が震える。
「これ、皇后よ。何故黙っておるのじゃ」
舞を終えたら『娘子(おみな)を奉る』と申し上げ、伽女をあてがうのが慣習だった。
大中比売は、ごくりと唾を飲み込んだ。
「申し訳ございませぬ。妾には心当たりがございませぬゆえ、申し上げられませぬ」
「ならば聞えの宜しい弟比売なぞ、いかがでございまするか」
中臣烏賊津使主が爽やかな声で申し上げた。
「弟比売とな。そは誰(た)ぞ」
「はっ、臣(やつがれ)も話にしか聞いたことはございませぬが、春日の奥の里にやんごとなき血をお引きになられた、たいそう美しい比売がおられるそうでござりまする」
「ああ、臣も聞きましてございまする。
 衣通郎比売と申しまして、体の麗しい輝きは衣すら通してお終いになるとか」
「なんと。では皇后よ、案ずることはない。衣通郎比売と答えるが良い」

コメント(1)

平手打ちな気分ですちっ(怒った顔)

答えるが良いって。

中臣烏賊津使主の爽やかな声ってのも気になりますたらーっ(汗)

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