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日記ロワイアルコミュの散歩とハゲと名言集

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朝の散歩。

少し前までは年寄りの嗜みと、意識すらしなかったこの行為。
今となっては早起きの嗜みと、都合よく意識改善してしまう25歳の僕。

不意に朝早くに目覚め、外では太陽が恥ずかしそうに顔を覗かせ、雀はチュンチュンと小気味良いリズムで会話を楽しんでいた。


そんな朝の話。


普段ならば朝などという時間帯には呼吸しかしていないのだが、この日は突飛な夢に眠りを苛まれてしまい、起きた瞬間からアドレナリンが異常分泌されていたので、じっとしていられなかった。

確か、大きなこん棒を持った小さなおばさんに追いかけられる夢だったかと思う。思い出すだけで腹立たしい。こん棒ごときでこの僕を仕留められるというその浅はかな考えに怒りを覚える。淫らな願望をもったおば様のほうがまだ怖い。

ジーンズにパーカーというラフな出で立ちで家を出る。
少しひんやりとはするが、上着を羽織る程でもない。
急な坂を小走りで駆け上がり、五日市街道に沿って多摩川上水の緑を楽しんだ。
途中道を右に折れ、次は閑静な住宅街の静寂とした雰囲気に溶け込んだ。

終始ゆっくりめな歩調で、斉藤和義の歌なんぞを口ずさみながら闊歩していく。
気分は宛ら、ちい散歩。スーツ姿の男性や、寝癖を無造作ヘアーと勘違いした学生が僕を次々と追い抜いていく。
この取り残される優越感も朝散歩の醍醐味なのだろうと、自分だけの楽しみを見出していく。

時間は八時を幾分過ぎたころだった。


『元気ですか〜?』


突如聞こえてきた陽気なその声の方に視線を向ける。
小学校だ。思えば今日は月曜日。懐かしの古き悪しき集会が行われる日だ。
その集会の名は『朝礼』
校庭には、生気を吸われた子供達が綺麗に整頓されている。
僕はその集会が一望できる場所へと移動し、傍観者と化した。


『・・・・・・元気ですか???』


朝礼台の上から偉そうに子供たちを見下ろしているのは、おそらく校長先生だろう。ハゲに磨きがかかったその頭は、校長先生特有の威厳を醸し出していた。


『・・・・・・元気ですね♪』


第一声で元気かどうかを問いかける人物は、僕の知る限りでは人生で二人めだ。しかも、一度ならず二度も問いかけ、子供らからは何の返答も無いにも関わらず、最終的には元気と決め付けていた。
正気ですか?と問いかけたいところだ。


『今日もね、皆さんに、私の好きな言葉を三つ紹介したいと思います。』


懐かしい光景が蘇る。僕の高校時代の校長も、『世界に一つだけの花』の歌詞の一部分を用いて、さも自分が考えたかのように、うまいことオブラートに包んで話をしていた。
ともかく、有名な文句の紹介は、校長あるあるである。
僕は校長の言葉を待った。


『え〜まず一つ目・・・・・・逃げちゃ駄目だ。』


予想外も予想外、まさかのエヴァンゲリオンだった。昨今の学校はなんでも有りか。危うく逃げ出すところだった。学校教育にまで触手を伸ばすネルフの底が知れない。また、このような異常事態に生徒たちの反応はというと、首尾一貫して無視を決め込んでいた。この光景は朝礼では当たり前の恒例行事なのだろうか。
思い返せばこの校長、『今日も』と言っていた。
生徒たちよ、逃げなきゃ駄目だ。

さて、言わずもがな面白くなってきたので、この場に居座ることにした。
この素っ頓狂な校長先生との出会いに感謝するとともに、この台詞を用いてどのような名文句を謳いあげるのか、また、この台詞をどのように解説するのか、興味しかわかない。
僕は黙って次の言葉を待った。


『え〜・・・続きまして二つ目・・・』


解説などいらなかった。
まさかこいつ、本当に自分の好きな言葉を淡々と発言していくだけなのだろうか?
今時の若者ならエヴァンゲリオンくらい知っていて当たり前ということだろうか?
万引き犯相手ならまだしも、小学生相手に逃げちゃ駄目だと一言告げての放置プレイは、万引き犯ですら引いてしまうほどたちが悪い。

一つ目の言葉が逃げちゃ駄目だ。となると、これからの二つもアニメ関連である可能性が高い。
次の言葉を固唾を呑んで待つ。


『・・・学校で学んだことを、一切忘れてしまった時になお残っているもの、
それこそ教育だ。

え〜、これはアインシュタインの言葉です。いいですね、これ。好きです。』


こやつ、やりおる。
アニメではなくアインだ。
この言葉を学校で言い放つこの奇妙奇天烈な校長に僕は感銘を受けた。
ただ、この子達にとっての教育が、この朝礼のみになってしまうんじゃないかと心配はしてしまう。

この後、数分にわたりアインシュタインの話が続いた。
アインシュタインは説明したにも関わらず『逃げちゃ駄目だ』の説明から逃げた件についての真相は闇の中だ。
エヴァ・アインときて、最後に何を持ってくるのか。
子供達と相反して僕の期待は高まる。


『三つ目ですね。漫画ワンピースより・・・人が空想できる全ての出来事は起こりうる現実である。です。』


出ましたウイリーガロン。はっきりとワンピースよりと言ってしまうのに、なぜエヴァはスルーなのかという疑問は置いておいて、アニメから物理学者を挟んで、最後はアニメと物理学者の合体技で決める辺り、手馴れている。
手馴れすぎて、最後の『です。』が『DEATH』に聞こえるほどの殺意が沸いた。

そして、さすがワンピース。今まで一貫して無視を通してきた子供たちから『おっ!!』という自嘲気味な声がこぼれるあたり、貫禄の二億部突破といったところか。
空想できなかったのに起こった現実である。


『え〜、まあ今日はこんなところです。もうしばらくすると卒業式です。六年生にとっては小学校生活最後の・・・・・・ナンタラカンタラ・・・・・・』


締めに入ったところで僕も我が家に帰ろうかとその場から離れようとした。
学校からはチャイムの音が聞こえ始める。
時間いっぱいまで朝礼を行うのは嫌われるぞ、と内心つぶやいた。
まさにその時だった。校長は、いや、彼は言った。





『はい、では続いて校長先生からのお話です。』





お前だれだ!!!
確かに、貫禄のあるハゲ=校長先生という図式は成り立たないかもしれない。松山○春やニコラスケ○ジなんかも貫禄のあるハゲに分類されるだろう。がしかし、朝礼の時間を大幅に使っていいのは校長先生だけだと相場は決まっているはず。現に今、チャイムがなったじゃないか。この時点で校長にマイクを渡すのはまさに鬼畜の所業。
僕なら絶対に受け取らない。
ノーリミットの中話すことなんて何も無い。

マイクを渡された真の校長先生は、髪もふさふさしており、どこか気弱な雰囲気を纏っていた。心なしかマイクを握る手が震えているように見えなくもない。
当然のようにざわつく子供達。本来ならば教室に帰っていく時間。教室移動なら早めに帰っておきたい時間。授業が若干つぶれる嬉しさよりも、教室に戻れない苦悩が勝ってしまう。
これぞまさしく朝礼マジック。

恐る恐るマイクを口元に近づける真の校長。
可愛そうだなと思っている僕はある違和感に襲われた。
どうもおかしい。なにがおかしいか。そう、立ち位置がおかしい。
朝礼台の上に二人いる。
一人は真の校長。そしてもう一人、当然のように立っている男。
そう、ニセの校長だ。
あろうことか真の校長に向かって腕時計を見せるような素振りが見て取れる。
「もう時間がありませんからちゃちゃっと終わらしちゃいましょう。グヘヘ。」
と言っているような気さえする。
あのニセハゲの野郎。
やりたい放題やりやがって。
正確には真の校長はハゲていないからハゲにおいてはニセの校長は真のハゲだが、そんなことはどうでもいい。
校長、なんでもいい、喋れ!喋るんだ!!一言でも二言でもいい!校長の威厳を放ってくれ!!

すると校長はゆっくりと、そしてはっきりと、こう言った。




『え〜、先ほどの・・・・・・エヴァンゲリオンですね。では、解散。』




静まり返る子供達。

僕から言える事はひとつ。

笑えばいいと思うよ。





コメント(116)

電車でふきましたww
そんなまわりの白い目から、
逃げちゃだめだ。


一票
こんな時、どんな事したらいいかわからないの


入れればいいと思うよ


一票
アニメや漫画を取り入れた発言…

興味引こうと必死すぎるなるんるん


一票。

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