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日記ロワイアルコミュの死神のお仕事。

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私の仕事は死神。

死亡が予定されている人物の寿命がきたらその魂を導き、黄泉の国へと案内するのが仕事である。

今回のケースを紹介しよう。

今回の死亡予定者はAさん・21歳・女性。とある地方都市に住むOLである。短大を卒業したあと、事務職へ就きもうじき一年がたつ、いわゆる普通の女性である。

それでは彼女の一日を追うことにしよう。

朝・マンションの階段でこけそうになるのをたまたま居合わせた男性に助けてもらう。
そのまま気にせず会社へ向かう途中に道でラブコメのように人にぶつかる。その直後、車が目の前をとおり、その結果、事故も起きず、ラブコメにもならず無事に過ごす。

昼・楽しみにしていたお弁当のおかずを公園のハトにとられる。実はそのおかずは腐っていた。その結果、食中毒を逃れる。

公園の池のほとりへ向かおうとしたら近くに犬を散歩させている人が通る。そっちがかわいかったのでなでにいく。
その結果、実は柵が壊れかけていた池の水面へ落ちて溺死という事故を免れる。


そして、夜。


残業が終わり、電車で帰るために駅へ向かう。彼女は少し疲れているようだ。
駅のホームは人であふれている。
これなら人込みに押されて「うっかり」線路へ落ちてしまうという事故が起きるかもしれない。

そんなことを考えていると、私は彼女の姿を見失ってしまった。いけない、これでは仕事が出来ない。私はあわてて周囲を見渡す。

・・いた!彼女はぼんやりと立って電車を待っていた。周りにはまるで注意を払っていない。こんなに近くに死神がいるというのに。


私はゆっくりと間を詰めていく。死への距離が近づく。



プルルルルル・・・


そのとき、急行電車が駅へ走ってきた。

よし、このタイミングだ。私は一気に彼女の背中へ手を伸ばす。










彼女の肩を引き、線路側へ倒れそうになるのを防ぐ。

「危ないですよ。立ったまま寝ては。」

「あっ、ああすみません、ありがとうございます。」

「気をつけてください、危うく事故が起きるところでしたよ。」

「本当ですね、助かりました。」




・・・まったく、本当に事故には気をつけて欲しい。

朝には階段でこけそうなのを助けたし、道ではわざとぶつかって車との衝突を回避させた。

昼にはハトをけしかけ、おかずをとらせたし、犬を誘導して彼女の関心を池からそらせた。

今だって助けなければホームから線路へ転落、運が悪ければ電車の下敷きになるところだった。




Aさん・21歳・女性の死亡予定時刻まで、残り65年8ヶ月と13時間。



私の仕事は死神。

死亡が決定されている人物を監視し、予定されている「寿命」までに予定外の事故で死ぬことを防ぐことが仕事である。

コメント(214)

短めの作品なのにセンスが凝縮されていました。

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