天皇、皇子等皇族関係の呼称、常套句について
巻三の巻頭付近に配列された皇族関係の歌々を読んでいて感じたことだが、天皇や皇子、皇女、王についての呼称はどう考えればよいのだろうか。
⑴おほきみ【大君・大王・王】
とは《仕える者の側から天皇・諸王などを言う語。類義語スメロキ・スメラミコトは能動的な行為の最高の主体としての天皇をいう》
�‥傾弔侶評痢屬笋垢澆靴靴錣�ー」〈記歌謡98〉 ▽「奈良」時代に「大皇」「太皇」「皇」「大君」
などとある場合は、すべて天皇を指す。
�⊃堂Α�諸王の敬称。皇女・女王にもいう。「(春日王ガ弓削皇子ヲ)ーは千歳にまさむ」
〈万243〉
(手持女王ガ河内王ヲ) ーの親魄(にきたま)逢へや」(万243)。
「(仁徳天皇ガ女鳥王ヲ)女鳥のわがーの織ろす服(はた) 〈記歌謡66〉
��諸王の称。「帥の神王よく物し給ふめれど、けはひ劣りてーけしきにぞものし給ひける」
〈源氏・蛍〉以下略 (岩波古語辞典)
＞▽奈良時代に「大皇」「太皇」「皇」「大君」などとある場合は、すべて天皇を指す。
「補足的な説明には、▽を付した。」とあるが、なるほど、天平十六年(744)、安積皇子薨時の家持の挽歌475、476、477、478の原文及び訓読はいずれも「王」と書いて「おほきみ」と訓んでおり「大皇」「太皇」「皇」は勿論「大君」も使われていない。
但し、「奈良」時代を除いては、この【大君・大王・王】について白鳳時代の置始東人作の弓削皇子挽歌204、5番には「やすみししわが大君(原文;吾王)」、人麻呂作長皇子献歌239、40にも「やすみししわが大王(おほきみ・原文;大王)、人麻呂作新田部皇子献歌261にも同じく「やすみししわが大王(おほきみ・原文;大王)という表現がある。
また忍壁に対しては235の或る本で、長に対しては241で、弓削に対しても205で「大王は神にし座せば」という表現を使っている(但し、この235或る本の歌は忍壁に「献じられた」ものか否かはっきりせずいずれ後に述べる予定)
したがって、このような言葉、中でも大君・大王・王は、下記のごとく条件に合えば、皇子クラスの身分ならば用いられたものであって必ずしも天皇には限定されないと解すべきであろう。
→上記岩波古語辞典 おほきみ【大君・大王・王】の��
具体的に見ると
45 阿騎野の歌(軽王)
原文; 八隅知之吾大王高照日之皇子神長柄
訓読; やすみしし 我が大君 高照らす 日の皇子 神ながら
239 人麻呂作長皇子献歌
原文; 八隅知之吾大王高光吾日乃皇子乃
訓読; やすみししわが大君高照らすわが日の御子の
240 同上反歌
原文; 久堅乃天歸月乎網尓刺我大王者盖尓為有
訓読; ひさかたの天行く月を網に刺し我が大君は蓋にせり
261 人麻呂作新田部皇子献歌
原文; 八隅知之 吾大王 高輝 日之皇子 茂座
訓読;やすみしし我が大君 高照らす日の御子敷きいます
204 置始東人作弓削皇子挽歌
原文;安見知之 吾王 高光 日之皇子
訓読; 安見しし我が大君高照ら日の御子ひさかたの
⑵皇(すめろき)【天皇・皇祖歌】
《スメロはスメラの母音交替形。キはイザナキ・オキナと同、男性の意》
とは�‥效呂虜嚢皸未涼法�首長。「こもりくの泊瀬小国によばひせすわが皇よ」(万3312)
��天皇。「須賈呂伎の御代栄えむと」(万4097)
�Ｅ傾弔料沈茵�「やすみしし 我が大君の 高敷かす 大和の国は 皇祖(すめろき)の 神の御代より 敷きませる 国にしあれば」(万1047)
(岩波古語辞典)
上記から考えるに天皇以外に「皇」を使うことはできないと思われる。「皇」とは天皇のみを指す言葉であって天皇以外にこの字を使うことが誤りなのだろう。が、皇子に対して「皇」を使っている場合、例えば239人麻呂作長皇子献歌の「或る本」の反歌241や下記3325については「大君(おほきみ)」と訓読せざるを得ない。
原文; 皇者神尓之坐者真木乃立荒山中尓海成可聞
訓読; 大君は神にしませば真木の立つ荒山中に海を成すかも
3325作者未詳、被葬者不明の藤原京皇子挽歌の反歌
原文; 角障經石村山丹白栲懸有雲者皇可聞
訓読; つのさはふ磐余の山に白栲にかかれる雲は大君にかも
3325の場合、亡くなったのが皇子であっても「皇」と書かれていると「すめろぎ」と訓むわけにはいかず、したがって「大君(おほきみ)と訓読せざるを得ない。
この3325反歌の長歌の被葬者には高市皇子を擬する意見もある(大濱先生)が、いかに「後皇子尊」と呼ばれて皇位継承資格を持つと思われる、或いは天皇に準ずるなどと言われる高市であっても天皇でない以上「皇」の字を用いるわけにいかず、用いるのは誤りであると
私は思う。
人麻呂のような宮廷歌人や家持、憶良、丹生王などの教養人はこういった用字の誤りはしないと思われるが皆無とは言えないし、誤って使用され或いは伝誦されてしまったものや作者未詳の歌では作者が用字、意味を知らなかったものがあるのかもしれない。
だからこの3324、5歌の作者を人麻呂ではないかという意見も結構あるみたいだが、某詞人が人麻呂に似せて作ったものだろう。
239長皇子献歌の或る本の反歌一首
大君は神にしませば真木の立つ荒山中に海を成すかも (241)
原文； 皇者神尓之坐者真木〈乃〉立荒山中尓海成可聞
歌はよく纏っていて流暢かつ力も感じられることから人麻呂の作かと思われる。すると「或る本」とは人麻呂歌集ではないだろうか。しかし、人麻呂が長皇子を「皇」と表現するものだろうか。
235の左注には「忍壁に献る」とあり、これは(普通は)忍壁皇子への献歌となるのだが、万葉集の献歌には「こんな歌を作りました」という次第で作品を献るという傾向があり(伊藤先生)、そうするとこの忍壁への献歌は235持統献歌の原案ではないかと思われる。
この考え方でゆくと241も同じように忍壁なりに見て貰うために出された239反歌の原案ではないか。人麻呂はもしかすると最大の賛辞のつもりで「皇」を使ったのかもしれないが、その不都合を指摘され伊藤先生の言う「持統女帝に対する人麻呂晩年のごく儀礼的な小型長歌であるために」反歌は一首だけ添えるという伝統に従って正式な反歌から外したという可能性もあるのではないか。或いは単に240反歌と比べると239長歌との関連という点から孤立した感がある(伊藤先生)ということで、要は劣っているのかもしれない(笑)
或いは上記のように某詞人が人麻呂に似せて作った如きもので結局反歌から脱落し、或る本にのみ残るということになるということなのかもしれないが、はっきりしない。しかし、私的にはやはり人麻呂が長皇子に対して「皇」を使うとは考え難い。この辺り詳しい方がおられたらご教示頂きたい。或いは皇子について「皇」を使っても良いのだろうか。
なお、「大君は神にしませば」という句は205の置始東人作の弓削皇子挽歌にも使われており、皇子にして、「大君は神にしませば」と歌われた人は、長皇子と弓削皇子の二人だけ尊母を持つ皇位継承権のある皇子に限って使われているから誤りではない。だからこの句があるから長皇子に献られたものではないと断定するのは短絡に過ぎるだろう。ただ、この241は亡くなった人に対するものではなく、尊母を母に持つ長皇子に献じられた歌であるから、自分の血統に拘る持統に与える印象というものを忍壁あたりに指摘され反歌から外したということも考えられる。
「皇は神にし坐せば」の慣用句を持った短歌が他の反歌が他の反歌と別に、反歌として歌われる慣用があったか(→205と206)その場合には独立した一首の性格を強め(235)反歌から脱落する傾向をもつ。すなわちある本にのみ残ることになる(中西先生)
とあるが、これももう一つはっきりしたことが分かり難い。
どうも天皇や皇子等皇族関係の呼称、常套句については、特に作者未詳歌とか「或る本」には不明な箇所が多く、詳しく(しかも分かり易く(笑))解説した書物も少ないように感じる。これもよくお分かりの方がおられたらご教授頂きたいと思う。
但し、歌と句の区別も分からぬうえに、199歌に虎が出てくるから壬申の乱は朝鮮で起こったものだなどという、フィクションでなら笑えるが歴史を無視したトンデモ説を展開される御仁は非常に迷惑なので固くご遠慮願いたい 。返答を頂いても無視させて頂くのでそのつもりで。
韓国や北朝鮮の歴史書や教科書に壬申の乱は朝鮮半島で起こったことであるなどといった記載でもあるのだろうかw
巻三の巻頭付近に配列された皇族関係の歌々を読んでいて感じたことだが、天皇や皇子、皇女、王についての呼称はどう考えればよいのだろうか。
⑴おほきみ【大君・大王・王】
とは《仕える者の側から天皇・諸王などを言う語。類義語スメロキ・スメラミコトは能動的な行為の最高の主体としての天皇をいう》
�‥傾弔侶評痢屬笋垢澆靴靴錣�ー」〈記歌謡98〉 ▽「奈良」時代に「大皇」「太皇」「皇」「大君」
などとある場合は、すべて天皇を指す。
�⊃堂Α�諸王の敬称。皇女・女王にもいう。「(春日王ガ弓削皇子ヲ)ーは千歳にまさむ」
〈万243〉
(手持女王ガ河内王ヲ) ーの親魄(にきたま)逢へや」(万243)。
「(仁徳天皇ガ女鳥王ヲ)女鳥のわがーの織ろす服(はた) 〈記歌謡66〉
��諸王の称。「帥の神王よく物し給ふめれど、けはひ劣りてーけしきにぞものし給ひける」
〈源氏・蛍〉以下略 (岩波古語辞典)
＞▽奈良時代に「大皇」「太皇」「皇」「大君」などとある場合は、すべて天皇を指す。
「補足的な説明には、▽を付した。」とあるが、なるほど、天平十六年(744)、安積皇子薨時の家持の挽歌475、476、477、478の原文及び訓読はいずれも「王」と書いて「おほきみ」と訓んでおり「大皇」「太皇」「皇」は勿論「大君」も使われていない。
但し、「奈良」時代を除いては、この【大君・大王・王】について白鳳時代の置始東人作の弓削皇子挽歌204、5番には「やすみししわが大君(原文;吾王)」、人麻呂作長皇子献歌239、40にも「やすみししわが大王(おほきみ・原文;大王)、人麻呂作新田部皇子献歌261にも同じく「やすみししわが大王(おほきみ・原文;大王)という表現がある。
また忍壁に対しては235の或る本で、長に対しては241で、弓削に対しても205で「大王は神にし座せば」という表現を使っている(但し、この235或る本の歌は忍壁に「献じられた」ものか否かはっきりせずいずれ後に述べる予定)
したがって、このような言葉、中でも大君・大王・王は、下記のごとく条件に合えば、皇子クラスの身分ならば用いられたものであって必ずしも天皇には限定されないと解すべきであろう。
→上記岩波古語辞典 おほきみ【大君・大王・王】の��
具体的に見ると
45 阿騎野の歌(軽王)
原文; 八隅知之吾大王高照日之皇子神長柄
訓読; やすみしし 我が大君 高照らす 日の皇子 神ながら
239 人麻呂作長皇子献歌
原文; 八隅知之吾大王高光吾日乃皇子乃
訓読; やすみししわが大君高照らすわが日の御子の
240 同上反歌
原文; 久堅乃天歸月乎網尓刺我大王者盖尓為有
訓読; ひさかたの天行く月を網に刺し我が大君は蓋にせり
261 人麻呂作新田部皇子献歌
原文; 八隅知之 吾大王 高輝 日之皇子 茂座
訓読;やすみしし我が大君 高照らす日の御子敷きいます
204 置始東人作弓削皇子挽歌
原文;安見知之 吾王 高光 日之皇子
訓読; 安見しし我が大君高照ら日の御子ひさかたの
⑵皇(すめろき)【天皇・皇祖歌】
《スメロはスメラの母音交替形。キはイザナキ・オキナと同、男性の意》
とは�‥效呂虜嚢皸未涼法�首長。「こもりくの泊瀬小国によばひせすわが皇よ」(万3312)
��天皇。「須賈呂伎の御代栄えむと」(万4097)
�Ｅ傾弔料沈茵�「やすみしし 我が大君の 高敷かす 大和の国は 皇祖(すめろき)の 神の御代より 敷きませる 国にしあれば」(万1047)
(岩波古語辞典)
上記から考えるに天皇以外に「皇」を使うことはできないと思われる。「皇」とは天皇のみを指す言葉であって天皇以外にこの字を使うことが誤りなのだろう。が、皇子に対して「皇」を使っている場合、例えば239人麻呂作長皇子献歌の「或る本」の反歌241や下記3325については「大君(おほきみ)」と訓読せざるを得ない。
原文; 皇者神尓之坐者真木乃立荒山中尓海成可聞
訓読; 大君は神にしませば真木の立つ荒山中に海を成すかも
3325作者未詳、被葬者不明の藤原京皇子挽歌の反歌
原文; 角障經石村山丹白栲懸有雲者皇可聞
訓読; つのさはふ磐余の山に白栲にかかれる雲は大君にかも
3325の場合、亡くなったのが皇子であっても「皇」と書かれていると「すめろぎ」と訓むわけにはいかず、したがって「大君(おほきみ)と訓読せざるを得ない。
この3325反歌の長歌の被葬者には高市皇子を擬する意見もある(大濱先生)が、いかに「後皇子尊」と呼ばれて皇位継承資格を持つと思われる、或いは天皇に準ずるなどと言われる高市であっても天皇でない以上「皇」の字を用いるわけにいかず、用いるのは誤りであると
私は思う。
人麻呂のような宮廷歌人や家持、憶良、丹生王などの教養人はこういった用字の誤りはしないと思われるが皆無とは言えないし、誤って使用され或いは伝誦されてしまったものや作者未詳の歌では作者が用字、意味を知らなかったものがあるのかもしれない。
だからこの3324、5歌の作者を人麻呂ではないかという意見も結構あるみたいだが、某詞人が人麻呂に似せて作ったものだろう。
239長皇子献歌の或る本の反歌一首
大君は神にしませば真木の立つ荒山中に海を成すかも (241)
原文； 皇者神尓之坐者真木〈乃〉立荒山中尓海成可聞
歌はよく纏っていて流暢かつ力も感じられることから人麻呂の作かと思われる。すると「或る本」とは人麻呂歌集ではないだろうか。しかし、人麻呂が長皇子を「皇」と表現するものだろうか。
235の左注には「忍壁に献る」とあり、これは(普通は)忍壁皇子への献歌となるのだが、万葉集の献歌には「こんな歌を作りました」という次第で作品を献るという傾向があり(伊藤先生)、そうするとこの忍壁への献歌は235持統献歌の原案ではないかと思われる。
この考え方でゆくと241も同じように忍壁なりに見て貰うために出された239反歌の原案ではないか。人麻呂はもしかすると最大の賛辞のつもりで「皇」を使ったのかもしれないが、その不都合を指摘され伊藤先生の言う「持統女帝に対する人麻呂晩年のごく儀礼的な小型長歌であるために」反歌は一首だけ添えるという伝統に従って正式な反歌から外したという可能性もあるのではないか。或いは単に240反歌と比べると239長歌との関連という点から孤立した感がある(伊藤先生)ということで、要は劣っているのかもしれない(笑)
或いは上記のように某詞人が人麻呂に似せて作った如きもので結局反歌から脱落し、或る本にのみ残るということになるということなのかもしれないが、はっきりしない。しかし、私的にはやはり人麻呂が長皇子に対して「皇」を使うとは考え難い。この辺り詳しい方がおられたらご教示頂きたい。或いは皇子について「皇」を使っても良いのだろうか。
なお、「大君は神にしませば」という句は205の置始東人作の弓削皇子挽歌にも使われており、皇子にして、「大君は神にしませば」と歌われた人は、長皇子と弓削皇子の二人だけ尊母を持つ皇位継承権のある皇子に限って使われているから誤りではない。だからこの句があるから長皇子に献られたものではないと断定するのは短絡に過ぎるだろう。ただ、この241は亡くなった人に対するものではなく、尊母を母に持つ長皇子に献じられた歌であるから、自分の血統に拘る持統に与える印象というものを忍壁あたりに指摘され反歌から外したということも考えられる。
「皇は神にし坐せば」の慣用句を持った短歌が他の反歌が他の反歌と別に、反歌として歌われる慣用があったか(→205と206)その場合には独立した一首の性格を強め(235)反歌から脱落する傾向をもつ。すなわちある本にのみ残ることになる(中西先生)
とあるが、これももう一つはっきりしたことが分かり難い。
どうも天皇や皇子等皇族関係の呼称、常套句については、特に作者未詳歌とか「或る本」には不明な箇所が多く、詳しく(しかも分かり易く(笑))解説した書物も少ないように感じる。これもよくお分かりの方がおられたらご教授頂きたいと思う。
但し、歌と句の区別も分からぬうえに、199歌に虎が出てくるから壬申の乱は朝鮮で起こったものだなどという、フィクションでなら笑えるが歴史を無視したトンデモ説を展開される御仁は非常に迷惑なので固くご遠慮願いたい 。返答を頂いても無視させて頂くのでそのつもりで。
韓国や北朝鮮の歴史書や教科書に壬申の乱は朝鮮半島で起こったことであるなどといった記載でもあるのだろうかw
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コメント(1)
＞⑴おほきみ【大君・大王・王】
とは《仕える者の側から天皇・諸王などを言う語。類義語スメロキ・スメラミコトは能動的な行為の最高の主体としての天皇をいう》
�‥傾弔侶評痢屬笋垢澆靴靴錣�ー」〈記歌謡98〉 ▽「奈良」時代に「大皇」「太皇」「皇」「大君」
などとある場合は、すべて天皇を指す。
�⊃堂Α�諸王の敬称。皇女・女王にもいう。「(春日王ガ弓削皇子ヲ)ーは千歳にまさむ」
〈万243〉
(手持女王ガ河内王ヲ) ーの親魄(にきたま)逢へや」(万243)。
「(仁徳天皇ガ女鳥王ヲ)女鳥のわがーの織ろす服(はた) 〈記歌謡66〉
��諸王の称。「帥の神王よく物し給ふめれど、けはひ劣りてーけしきにぞものし給ひける」
〈源氏・蛍〉以下略 (岩波古語辞典)
＞▽奈良時代に「大皇」「太皇」「皇」「大君」などとある場合は、すべて天皇を指す。
「補足的な説明には、▽を付した。」とあるが、なるほど、天平十六年(744)、安積皇子薨時の家持の挽歌475、476、477、478の原文及び訓読はいずれも「王」と書いて「おほきみ」と訓んでおり「大皇」「太皇」「皇」は勿論「大君」も使われていない。
但し、「奈良」時代を除いては、この【大君・大王・王】について白鳳時代の置始東人作の弓削皇子挽歌204、5番には「やすみししわが大君(原文;吾王)」、人麻呂作長皇子献歌239、40にも「やすみししわが大王(おほきみ・原文;大王)、人麻呂作新田部皇子献歌261にも同じく「やすみししわが大王(おほきみ・原文;大王)という表現がある。
また忍壁に対しては235の或る本で、長に対しては241で、弓削に対しても205で「大王は神にし座せば」という表現を使っている(但し、この235或る本の歌は忍壁に「献じられた」ものか否かはっきりせずいずれ後に述べる予定)
したがって、このような言葉、中でも大君・大王・王は、下記のごとく条件に合えば、皇子クラスの身分ならば用いられたものであって必ずしも天皇には限定されないと解すべきであろう。
→上記岩波古語辞典 おほきみ【大君・大王・王】の��
具体的に見ると
45 阿騎野の歌(軽王)
原文; 八隅知之吾大王高照日之皇子神長柄
訓読; やすみしし 我が大君 高照らす 日の皇子 神ながら
239 人麻呂作長皇子献歌
原文; 八隅知之吾大王高光吾日乃皇子乃
訓読; やすみししわが大君高照らすわが日の御子の
240 同上反歌
原文; 久堅乃天歸月乎網尓刺我大王者盖尓為有
訓読; ひさかたの天行く月を網に刺し我が大君は蓋にせり
261 人麻呂作新田部皇子献歌
原文; 八隅知之 吾大王 高輝 日之皇子 茂座
訓読;やすみしし我が大君 高照らす日の御子敷きいます
204 置始東人作弓削皇子挽歌
原文;安見知之 吾王 高光 日之皇子
訓読; 安見しし我が大君高照ら日の御子ひさかたの
上記に不服のある人は岩波書店に言われたら宜かろうw
とは《仕える者の側から天皇・諸王などを言う語。類義語スメロキ・スメラミコトは能動的な行為の最高の主体としての天皇をいう》
�‥傾弔侶評痢屬笋垢澆靴靴錣�ー」〈記歌謡98〉 ▽「奈良」時代に「大皇」「太皇」「皇」「大君」
などとある場合は、すべて天皇を指す。
�⊃堂Α�諸王の敬称。皇女・女王にもいう。「(春日王ガ弓削皇子ヲ)ーは千歳にまさむ」
〈万243〉
(手持女王ガ河内王ヲ) ーの親魄(にきたま)逢へや」(万243)。
「(仁徳天皇ガ女鳥王ヲ)女鳥のわがーの織ろす服(はた) 〈記歌謡66〉
��諸王の称。「帥の神王よく物し給ふめれど、けはひ劣りてーけしきにぞものし給ひける」
〈源氏・蛍〉以下略 (岩波古語辞典)
＞▽奈良時代に「大皇」「太皇」「皇」「大君」などとある場合は、すべて天皇を指す。
「補足的な説明には、▽を付した。」とあるが、なるほど、天平十六年(744)、安積皇子薨時の家持の挽歌475、476、477、478の原文及び訓読はいずれも「王」と書いて「おほきみ」と訓んでおり「大皇」「太皇」「皇」は勿論「大君」も使われていない。
但し、「奈良」時代を除いては、この【大君・大王・王】について白鳳時代の置始東人作の弓削皇子挽歌204、5番には「やすみししわが大君(原文;吾王)」、人麻呂作長皇子献歌239、40にも「やすみししわが大王(おほきみ・原文;大王)、人麻呂作新田部皇子献歌261にも同じく「やすみししわが大王(おほきみ・原文;大王)という表現がある。
また忍壁に対しては235の或る本で、長に対しては241で、弓削に対しても205で「大王は神にし座せば」という表現を使っている(但し、この235或る本の歌は忍壁に「献じられた」ものか否かはっきりせずいずれ後に述べる予定)
したがって、このような言葉、中でも大君・大王・王は、下記のごとく条件に合えば、皇子クラスの身分ならば用いられたものであって必ずしも天皇には限定されないと解すべきであろう。
→上記岩波古語辞典 おほきみ【大君・大王・王】の��
具体的に見ると
45 阿騎野の歌(軽王)
原文; 八隅知之吾大王高照日之皇子神長柄
訓読; やすみしし 我が大君 高照らす 日の皇子 神ながら
239 人麻呂作長皇子献歌
原文; 八隅知之吾大王高光吾日乃皇子乃
訓読; やすみししわが大君高照らすわが日の御子の
240 同上反歌
原文; 久堅乃天歸月乎網尓刺我大王者盖尓為有
訓読; ひさかたの天行く月を網に刺し我が大君は蓋にせり
261 人麻呂作新田部皇子献歌
原文; 八隅知之 吾大王 高輝 日之皇子 茂座
訓読;やすみしし我が大君 高照らす日の御子敷きいます
204 置始東人作弓削皇子挽歌
原文;安見知之 吾王 高光 日之皇子
訓読; 安見しし我が大君高照ら日の御子ひさかたの
上記に不服のある人は岩波書店に言われたら宜かろうw
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