人麻呂、宇治川のほとりにて作れる歌」(巻三ー264)について
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で疑問が出されていますが、これらは従来直接の関係ない別個の歌として解釈されてきました。これは「過近江荒都歌」自体が江戸時代の国学者である契沖・真淵以来、現代のすべての大家まで、歴史事実に即した正しい解釈、理解ができていなかったことに起因するものです。
この点を指摘したのが古代史学者である故、古田武彦です。この問題の本質は、
近江の荒れたる都を過ぎる時、柿本朝臣人麻呂の作る歌 〈巻一、二九、三〇、三一〉
を正しく読めていないため、
柿本朝臣人麻呂 近江の国より上り来る時に、宇治の川辺に至りて作れる歌一首
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (巻三、二六四)
の「もののふの」を「八十宇治川」の枕詞とし、単なる「無常観」を表す歌としか解釈できず、この歌の持つ歴史性を捉えることができないまま今日に至っているところにあります。
古田は、この点を昭和五九年度万葉学会で発表し、次の通り要旨を纏めています。
近江宮と韓伝
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(一) 『万葉集』巻一（29）の「過近江荒都歌」は、従来、天智天皇の近江京遷都及び壬申の乱による荒廃を歌ったものとされてきた。
玉たすき 畝火（うねび）の山の 橿原（かしはら）の 日知（ひじり）の御代（みよ）ゆ あれましし 神のことごと 樛（つが）の木の いやつぎつぎに 天（あめ）の下 知らしめししを 天（そら）にみつ 大和をおきて あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天離（あまざか）る ひなにはあれど 石走（いはばし）る 淡海（あふみ）の国の ささなみの 大津（おほつ）の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇（すめろき）の 神の尊（みこと）の 大宮は ここと聞けども 大殿（おほとの）は ここと言へども 春草の 繁く生ひたる 霞立ち 春日の霧（き）れる ももしきの 大宮処見（おほみやどころ） 見れば 悲しも（「或は云ふ」は省略）
(二) しかし、これは全く不当。わたしにはそう思われた。なぜなら、右の歌詞のしめすところ、それは次のようだからである。「神武以来、代々、大和に都してきた。だのに、何を思われたか、この天皇（天皇）は、近江へ都を移された」と。ところが、天智以前、大和以外に都した天皇は、あまりにも数多いのである。（たとえば樟葉・筒城・弟国〈継体〉・難波〈仁徳・孝徳〉等）。第二次近江京たる天智の都の場合、全く右の歌詞の内実と相応していない。
(三) これに対し、第一次近江京たる景行（以下、成務・仲哀〈九州遠征出発前の都〉等）の場合、右の歌詞の内実と一致する。第一代の神武から、第十一代の垂仁まで、都はすべて大和。第十二代の景行も、はじめは大和。晩年（三年間）、近江へ移り、子供の成務がこれをうけ継いでここに都したものだからである。
(四) この第一次近江京の繁栄は、仲哀の子、忍熊王の敗死によって終結した。仲哀が橿日宮で死んだあと、「天皇位」を継いだ香坂王とその弟、忍熊王は、反乱軍と化した遠征帰還軍（神功皇后と武内宿禰たち）と闘い、敗走した。不慮の死をとげた香坂王に代って指揮をとっていた忍熊王は、琵琶湖の瀬田で舟に浮かび、空しく湖底に沈んだ。湖上の悲劇だ。右の人麿の歌の反歌と、よく対応している。
(五) これに対し、第二次近江京は、大友皇子の敗死をもって終結した。壬申の乱だ。皇子は、山前（やまざき 京都府大山崎か）で、自ら縊（くびつつ）て死んだ。山中の悲劇だ。右の反歌の舞台ではない。
(六) 第一次近江京は、高穴穂宮を中心としていた。この「穴太（あなほ）」の湖岸部こそ、人麿の歌（巻一の30）に歌われた辛崎だ。忍熊王の舟が「瀬田→辛崎（穴太）」のコースを目指して湖上に浮かび、そのまま目的地（辛崎）に着かなかった点から見ると、人麿の反歌と忍熊王の悲劇との間には、寸分の狂いもない。
(七) 人麿は、この近江から上る途次、宇治川に至り、左の歌を作った。
柿本朝臣人麿、近江国より上り来る時、宇治河の辺へに至りて作る歌一首
もののふの八十氏河の網代木にいさよふ波の行く方へ知らずも（『万葉集』巻三、264 ）
この宇治川こそ、琵琶湖底にいったん沈んだ忍熊王の遺骸が、浮かんで、武内宿禰の軍の手兵に“捕獲”された、とされているところ（『日本書紀』、神功紀）。従来はこの歌を単なる観念（無常感）や叙景の歌の類として理解するにとどまっていたようである。
(八) 人麿の時代は、壬申の乱の反乱軍のリーダー（天武や持統）が、勝利者として君臨していた。その下で、壬申の乱の敗者に対し、直接に、愛惜を吐露した歌を作りうる時代ではなかったのではあるまいか。
(九) けれども、この歌を聞いた、当時のすべての読者は、現代の悲劇たる、あの大友皇子の敗死を思い浮かべたのではあるまいか。わたしには、そのように信ぜられる。
(十) 要するに、人麿苦心の「歴史的詠歌」すなわち、歴史を歌って現代を思わしめる、この二重構造に対し、契沖・真淵以来、現代のすべての大家まで、これを単なる「現代詠歌」として矮小化（わいしょうか）して理解してきたのではあるまいか。
(十一) では、なぜ従来、そのような誤解が疑われずに来たのか、これが新しい問いだ。それは、思うに、長歌中の「大津の宮に天の下知らしめしけむ天皇」の一句にあったのではあるまいか。
(十二) 『万葉集』の巻一・二等では、天皇の代別に歌が配列されている。その中で、
近江大津宮に天の下知らしめしし天皇
といえば、天智天皇のことだ。従ってこのような「定式」に立てば、先の人麿の長歌を“天智天皇に関するもの”と速断したのも、あるいは無理からぬところ、といえよう。
(十三) しかしながら、目を『日本書紀』の天智紀に転ずれば、問題は一変する。
(1).（天智六年）三月の辛酉の朔己卯に、都を近江に遷す。
(2).（天智十年）丁巳に、近江宮に災あり。大蔵省の第三倉より出づ。
(3).（天智十年）十二月の癸亥の朔乙丑に、天皇、近江宮に崩ず。癸酉に、新宮に殯（もがり）す。
というように、三回とも、「近江」「近江宮」であって、「大津京」の表記は出ていない。すなわち、『日本書紀』の完成時（七二〇年）においては、いまだ、後の『万葉集』の編成時のような、
近江大津宮に天の下知らしめしし天皇＝天智天皇
という定式は成立していなかった、と見るべきである。すなわち、不定だ。
（『日本書紀』中では、持統紀に次の記事がある。
〈持統六年五月〉己酉に、筑紫太宰率河内王等に詔して曰く「・・・・・復（また）、大唐の大使、郭務[示宗]が、近江の大津宮に御する天皇（すめらみこと）の為に造れる阿弥陀像を上送せよ」と。
これは明白に天智天皇のことだ。このように詔中の表記があるにもかかわらず、『日本書紀』は、その成立時において、天智紀では、この定式（大津宮→天智）に立つ呼称を採用していない。この一点に注目すべきであろう）。
(十四) すなわち、右の(二)(三)の論定は確実であり、一定したものだ。これに対し(十三)の示すように、宮殿呼称は、七二〇年以前においては、不定だ。従って“一定なものの上に立って、不定なものに対して判断を下す”これが方法論上、正当だ。逆に、“不定なものを、一方に（天智に）決めておいて、一定なものへの判断を動かす”これは不当だ。しかるに、従来は、契沖以来、すべての論者が、この不当な方法論によって、人麿の歌を解してきたのである。
以上が、万葉学会における、研究発表の要旨だった（『古代は輝いていた』第二巻参照）。当日の質問において、大野晋氏が、「このような見地は、今まで考えたこともなかった」と冒頭に述べられたのが印象的だった。／／
ここに述べられているように、人麻呂の宇治川の歌はすぐれて“歴史的”な歌なのです。さらに著書『日本列島の大王たち―古代は輝いていた�供戮痢峩甬Σδ�の萌芽と発展」でも次のように述べています。
このように『書紀』の記述と対比すると、先の人麿の宇治川の歌は、にわかに精彩を帯びる。歴史性をよみがえらす。（中略）果然、この時の人麿の心理には、老練な武内宿禰の哄笑と、悲運の若き皇子の屍骸のただよう姿とが、浮かんでいたことが判明したのである。これはすぐれて【歴史的】な歌だったのである。詞書に「近江の国より上り来る時」とある一句が出色である。人麿は琵琶湖畔でそこに没した忍熊王の悲運を思いやり、その帰途、この宇治川に至ったのである。右のようなイメージがせせらぎの中から湧きおこってきたのも、偶然ではない。
ただの網代木や、ただのいさよふ波ならいずれの川にもあろう。しかし、宇治川のそれには、忍熊王の悲しき屍がひっかかり、行く方がついに知れたその場所だったのであった。
この問題の誤解の焦点、それは長歌中の「楽浪の大津の宮」の詞句を天智天皇の宮殿の呼称として即断したところにあったようである。『万葉集』の構成――各代の天皇の称呼法からは、この論断は一見、明白とみえよう。しかし『日本書紀』の肝心の天智紀では「近江」「近江京」とのみ記している。すなわち「大津京」の呼称は、持統六年項の記載にもかかわらず、未だ不定だったのである。／／
と詳述しています。さらに、『人麿の運命』では、
ささなみの志賀の大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも 〈万葉集巻一、三十一〉
琵琶湖の西端、大津をかこむ湾、それは今も深くよどんでいる。そこから「淀川」が発している。だが、人麿が逢いたい、という「昔の人」とは、一体だれだろう。〜
もう一つの歌がある。
ささなみの志賀の辛崎幸くあれど大宮人の舟待ちかねつ 〈同、三十〉
この「大宮人」とは何だろう。この地に「近江京」をおいたという天智天皇（六二六〜六七一）、その宮廷の人々のことだろうか。／／
と問い、これらが忍熊王の悲劇を歌ったものであることを論じています。そして、「ささなみの志賀」の「ささなみ」とは忍熊王が惨敗した、「沙沙那美」「狭狭浪」、つまり古戦場であり「第一次近江朝の滅亡」、その伝承地であることを明かしています。
先の、「過近江荒都歌」の長歌の中にも、
「楽浪(ささなみ)の大津の宮に」
とあるように、人麿は周到に「第一次近江京の敗滅」を暗示しています。上記、学会発表の纏めで、
(十) 要するに、人麿苦心の「歴史的詠歌」すなわち、歴史を歌って現代を思わしめる、この二重構造に対し、契沖・真淵以来、現代のすべての大家まで、これを単なる「現代詠歌」として矮小化（わいしょうか）して理解してきたのではあるまいか。
と現在に続く国学的解釈の誤りを指摘して以来、既に40年を経過していますが、現在の万葉学がこの歌をどのように解釈しているかは、
寺尾, 登志子
人麻呂の近江荒都歌をめぐって : 作者の創意と時代背景
https:/
などを見れば明らかでしょう。
参考
古田武彦 (著)
『古代の霧の中から:出雲王朝から九州王朝へ (古田武彦・古代史コレクション 22)』ミネルヴァ書房 (2014/9/10)
『古代は輝いていたII:日本列島の大王たち (古田武彦・古代史コレクション 20) 』ミネルヴァ書房 (2014/5/20)
『人麿の運命 (古田武彦・古代史コレクション 11)』ミネルヴァ書房 (2012/4/20)
『古代史の十字路:万葉批判 (古田武彦・古代史コレクション 12) 』ミネルヴァ書房 (2012/6/10)
『壬申大乱 (古田武彦・古代史コレクション 13) 』ミネルヴァ書房 (2012/8/30)
他■
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で疑問が出されていますが、これらは従来直接の関係ない別個の歌として解釈されてきました。これは「過近江荒都歌」自体が江戸時代の国学者である契沖・真淵以来、現代のすべての大家まで、歴史事実に即した正しい解釈、理解ができていなかったことに起因するものです。
この点を指摘したのが古代史学者である故、古田武彦です。この問題の本質は、
近江の荒れたる都を過ぎる時、柿本朝臣人麻呂の作る歌 〈巻一、二九、三〇、三一〉
を正しく読めていないため、
柿本朝臣人麻呂 近江の国より上り来る時に、宇治の川辺に至りて作れる歌一首
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (巻三、二六四)
の「もののふの」を「八十宇治川」の枕詞とし、単なる「無常観」を表す歌としか解釈できず、この歌の持つ歴史性を捉えることができないまま今日に至っているところにあります。
古田は、この点を昭和五九年度万葉学会で発表し、次の通り要旨を纏めています。
近江宮と韓伝
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(一) 『万葉集』巻一（29）の「過近江荒都歌」は、従来、天智天皇の近江京遷都及び壬申の乱による荒廃を歌ったものとされてきた。
玉たすき 畝火（うねび）の山の 橿原（かしはら）の 日知（ひじり）の御代（みよ）ゆ あれましし 神のことごと 樛（つが）の木の いやつぎつぎに 天（あめ）の下 知らしめししを 天（そら）にみつ 大和をおきて あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天離（あまざか）る ひなにはあれど 石走（いはばし）る 淡海（あふみ）の国の ささなみの 大津（おほつ）の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇（すめろき）の 神の尊（みこと）の 大宮は ここと聞けども 大殿（おほとの）は ここと言へども 春草の 繁く生ひたる 霞立ち 春日の霧（き）れる ももしきの 大宮処見（おほみやどころ） 見れば 悲しも（「或は云ふ」は省略）
(二) しかし、これは全く不当。わたしにはそう思われた。なぜなら、右の歌詞のしめすところ、それは次のようだからである。「神武以来、代々、大和に都してきた。だのに、何を思われたか、この天皇（天皇）は、近江へ都を移された」と。ところが、天智以前、大和以外に都した天皇は、あまりにも数多いのである。（たとえば樟葉・筒城・弟国〈継体〉・難波〈仁徳・孝徳〉等）。第二次近江京たる天智の都の場合、全く右の歌詞の内実と相応していない。
(三) これに対し、第一次近江京たる景行（以下、成務・仲哀〈九州遠征出発前の都〉等）の場合、右の歌詞の内実と一致する。第一代の神武から、第十一代の垂仁まで、都はすべて大和。第十二代の景行も、はじめは大和。晩年（三年間）、近江へ移り、子供の成務がこれをうけ継いでここに都したものだからである。
(四) この第一次近江京の繁栄は、仲哀の子、忍熊王の敗死によって終結した。仲哀が橿日宮で死んだあと、「天皇位」を継いだ香坂王とその弟、忍熊王は、反乱軍と化した遠征帰還軍（神功皇后と武内宿禰たち）と闘い、敗走した。不慮の死をとげた香坂王に代って指揮をとっていた忍熊王は、琵琶湖の瀬田で舟に浮かび、空しく湖底に沈んだ。湖上の悲劇だ。右の人麿の歌の反歌と、よく対応している。
(五) これに対し、第二次近江京は、大友皇子の敗死をもって終結した。壬申の乱だ。皇子は、山前（やまざき 京都府大山崎か）で、自ら縊（くびつつ）て死んだ。山中の悲劇だ。右の反歌の舞台ではない。
(六) 第一次近江京は、高穴穂宮を中心としていた。この「穴太（あなほ）」の湖岸部こそ、人麿の歌（巻一の30）に歌われた辛崎だ。忍熊王の舟が「瀬田→辛崎（穴太）」のコースを目指して湖上に浮かび、そのまま目的地（辛崎）に着かなかった点から見ると、人麿の反歌と忍熊王の悲劇との間には、寸分の狂いもない。
(七) 人麿は、この近江から上る途次、宇治川に至り、左の歌を作った。
柿本朝臣人麿、近江国より上り来る時、宇治河の辺へに至りて作る歌一首
もののふの八十氏河の網代木にいさよふ波の行く方へ知らずも（『万葉集』巻三、264 ）
この宇治川こそ、琵琶湖底にいったん沈んだ忍熊王の遺骸が、浮かんで、武内宿禰の軍の手兵に“捕獲”された、とされているところ（『日本書紀』、神功紀）。従来はこの歌を単なる観念（無常感）や叙景の歌の類として理解するにとどまっていたようである。
(八) 人麿の時代は、壬申の乱の反乱軍のリーダー（天武や持統）が、勝利者として君臨していた。その下で、壬申の乱の敗者に対し、直接に、愛惜を吐露した歌を作りうる時代ではなかったのではあるまいか。
(九) けれども、この歌を聞いた、当時のすべての読者は、現代の悲劇たる、あの大友皇子の敗死を思い浮かべたのではあるまいか。わたしには、そのように信ぜられる。
(十) 要するに、人麿苦心の「歴史的詠歌」すなわち、歴史を歌って現代を思わしめる、この二重構造に対し、契沖・真淵以来、現代のすべての大家まで、これを単なる「現代詠歌」として矮小化（わいしょうか）して理解してきたのではあるまいか。
(十一) では、なぜ従来、そのような誤解が疑われずに来たのか、これが新しい問いだ。それは、思うに、長歌中の「大津の宮に天の下知らしめしけむ天皇」の一句にあったのではあるまいか。
(十二) 『万葉集』の巻一・二等では、天皇の代別に歌が配列されている。その中で、
近江大津宮に天の下知らしめしし天皇
といえば、天智天皇のことだ。従ってこのような「定式」に立てば、先の人麿の長歌を“天智天皇に関するもの”と速断したのも、あるいは無理からぬところ、といえよう。
(十三) しかしながら、目を『日本書紀』の天智紀に転ずれば、問題は一変する。
(1).（天智六年）三月の辛酉の朔己卯に、都を近江に遷す。
(2).（天智十年）丁巳に、近江宮に災あり。大蔵省の第三倉より出づ。
(3).（天智十年）十二月の癸亥の朔乙丑に、天皇、近江宮に崩ず。癸酉に、新宮に殯（もがり）す。
というように、三回とも、「近江」「近江宮」であって、「大津京」の表記は出ていない。すなわち、『日本書紀』の完成時（七二〇年）においては、いまだ、後の『万葉集』の編成時のような、
近江大津宮に天の下知らしめしし天皇＝天智天皇
という定式は成立していなかった、と見るべきである。すなわち、不定だ。
（『日本書紀』中では、持統紀に次の記事がある。
〈持統六年五月〉己酉に、筑紫太宰率河内王等に詔して曰く「・・・・・復（また）、大唐の大使、郭務[示宗]が、近江の大津宮に御する天皇（すめらみこと）の為に造れる阿弥陀像を上送せよ」と。
これは明白に天智天皇のことだ。このように詔中の表記があるにもかかわらず、『日本書紀』は、その成立時において、天智紀では、この定式（大津宮→天智）に立つ呼称を採用していない。この一点に注目すべきであろう）。
(十四) すなわち、右の(二)(三)の論定は確実であり、一定したものだ。これに対し(十三)の示すように、宮殿呼称は、七二〇年以前においては、不定だ。従って“一定なものの上に立って、不定なものに対して判断を下す”これが方法論上、正当だ。逆に、“不定なものを、一方に（天智に）決めておいて、一定なものへの判断を動かす”これは不当だ。しかるに、従来は、契沖以来、すべての論者が、この不当な方法論によって、人麿の歌を解してきたのである。
以上が、万葉学会における、研究発表の要旨だった（『古代は輝いていた』第二巻参照）。当日の質問において、大野晋氏が、「このような見地は、今まで考えたこともなかった」と冒頭に述べられたのが印象的だった。／／
ここに述べられているように、人麻呂の宇治川の歌はすぐれて“歴史的”な歌なのです。さらに著書『日本列島の大王たち―古代は輝いていた�供戮痢峩甬Σδ�の萌芽と発展」でも次のように述べています。
このように『書紀』の記述と対比すると、先の人麿の宇治川の歌は、にわかに精彩を帯びる。歴史性をよみがえらす。（中略）果然、この時の人麿の心理には、老練な武内宿禰の哄笑と、悲運の若き皇子の屍骸のただよう姿とが、浮かんでいたことが判明したのである。これはすぐれて【歴史的】な歌だったのである。詞書に「近江の国より上り来る時」とある一句が出色である。人麿は琵琶湖畔でそこに没した忍熊王の悲運を思いやり、その帰途、この宇治川に至ったのである。右のようなイメージがせせらぎの中から湧きおこってきたのも、偶然ではない。
ただの網代木や、ただのいさよふ波ならいずれの川にもあろう。しかし、宇治川のそれには、忍熊王の悲しき屍がひっかかり、行く方がついに知れたその場所だったのであった。
この問題の誤解の焦点、それは長歌中の「楽浪の大津の宮」の詞句を天智天皇の宮殿の呼称として即断したところにあったようである。『万葉集』の構成――各代の天皇の称呼法からは、この論断は一見、明白とみえよう。しかし『日本書紀』の肝心の天智紀では「近江」「近江京」とのみ記している。すなわち「大津京」の呼称は、持統六年項の記載にもかかわらず、未だ不定だったのである。／／
と詳述しています。さらに、『人麿の運命』では、
ささなみの志賀の大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも 〈万葉集巻一、三十一〉
琵琶湖の西端、大津をかこむ湾、それは今も深くよどんでいる。そこから「淀川」が発している。だが、人麿が逢いたい、という「昔の人」とは、一体だれだろう。〜
もう一つの歌がある。
ささなみの志賀の辛崎幸くあれど大宮人の舟待ちかねつ 〈同、三十〉
この「大宮人」とは何だろう。この地に「近江京」をおいたという天智天皇（六二六〜六七一）、その宮廷の人々のことだろうか。／／
と問い、これらが忍熊王の悲劇を歌ったものであることを論じています。そして、「ささなみの志賀」の「ささなみ」とは忍熊王が惨敗した、「沙沙那美」「狭狭浪」、つまり古戦場であり「第一次近江朝の滅亡」、その伝承地であることを明かしています。
先の、「過近江荒都歌」の長歌の中にも、
「楽浪(ささなみ)の大津の宮に」
とあるように、人麿は周到に「第一次近江京の敗滅」を暗示しています。上記、学会発表の纏めで、
(十) 要するに、人麿苦心の「歴史的詠歌」すなわち、歴史を歌って現代を思わしめる、この二重構造に対し、契沖・真淵以来、現代のすべての大家まで、これを単なる「現代詠歌」として矮小化（わいしょうか）して理解してきたのではあるまいか。
と現在に続く国学的解釈の誤りを指摘して以来、既に40年を経過していますが、現在の万葉学がこの歌をどのように解釈しているかは、
寺尾, 登志子
人麻呂の近江荒都歌をめぐって : 作者の創意と時代背景
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などを見れば明らかでしょう。
参考
古田武彦 (著)
『古代の霧の中から:出雲王朝から九州王朝へ (古田武彦・古代史コレクション 22)』ミネルヴァ書房 (2014/9/10)
『古代は輝いていたII:日本列島の大王たち (古田武彦・古代史コレクション 20) 』ミネルヴァ書房 (2014/5/20)
『人麿の運命 (古田武彦・古代史コレクション 11)』ミネルヴァ書房 (2012/4/20)
『古代史の十字路:万葉批判 (古田武彦・古代史コレクション 12) 』ミネルヴァ書房 (2012/6/10)
『壬申大乱 (古田武彦・古代史コレクション 13) 』ミネルヴァ書房 (2012/8/30)
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コメント(37)
上記の、契沖・真淵以来、現代のすべての大家まで、これを単なる「現代詠歌」として矮小化（わいしょうか）して理解してきた理由が（十）以下で述べられていますが、若干分かりにくいかもしれません。この点は、『人麿の運命』でさらに具体的に展開されているので以下に引用しておきます。
「なぜだ、なぜ、従来、このように考えられなかったのか」。この問いだ。〜
先ず、現代の万葉研究者、ことに敗戦後の人々にとって、わたしのたどったような道、それはかなり、”やりにくい”ことかもしれぬ。なぜなら――
第一に津田左右吉（一八七三〜一九六一）流の「架空説」の影響だ。神武天皇から開化天皇まで、九代の天皇を、文句なしの「架空」の天皇としてしまった。そのうえ、第十四代の仲哀天皇までもあやしい。確かなのは、第十五代以降、四世紀末から五世紀初頭の応神天皇からだ。これが「定見」となった。戦後の研究者の頭にはめられた鉄の金輪（孫悟空の頭の輪）となったのである。この「定見」をはみ出ようとすると、お釈迦さまならぬ、津田左右吉先生から、鉄の金輪をしめつけられ、自由なはずの思考力がひきもどされる。そういうしくみだった。
第二に、神功皇后。「架空説」中でも花形、それがこの女性だった。この女性の「虚実」の判断で、当人の歴史観の「正邪」が判定される。そういう”隠れた物指し”が、学界の裏側で通用していた。否、表側といっていいかもしれない。
これが戦後の古代史学界の「空気」だった。「空気」に弱い日本人、その国文学、万葉学の研究者間でも、右の「隠れた物差し」に抗して思考すること、万葉の歌を理解すること、それは、わたしたちの予想以上に、困難だったのではないか。わたしはそう思う。そうでなければ、これほど明白な道理、「第一次近江京の論証」に、だれ一人思いいたらぬことなど、わたしにはなんとしても解しがたいのである。この点、わたしは幸せだた。第三書『盗まれた神話』(朝日文庫）でのべたように、津田派の「造作説」と手を切っていた。いわゆる「三韓征伐」の虚構と神功皇后の実在、二つの結論をすでに両手でしっかりとにぎりしめていたのであったから。
より解しがたいのは、戦前の万葉研究者たち、契沖、真淵以来の国学の伝統だ。あれほど古典研究に生涯を尽瘁した人々の中から、「第一次近江京の論証」がなぜ生まれなかったのか。この問題だ。
彼らは津田史学に”まどわされる”必要がなかった、それは未来のことだったからだ。だから、古典をありのままに理解できたはずだ。本居宣長（一七三〇〜一八〇一）など、それをスローガンとしていた。だのになぜ。
このような問いを発してみると、そこに突きあたるのは「皇国史観」。この四文字だ。この言葉は、二十世紀の造語だ。左翼から出たという。わたしの言葉でいえば、「近畿天皇家一元史観」だ。
もっとも、ここは、九州王朝など関係しない。少なくとも、直接には関係がない。そういうところで、なぜか。
思うに、彼らの場合、中心権力が一つか、二つか。一つなら、それは九州（筑紫）か近畿か。そんなことは、問題にもならなかった。「朱鳥七年・八年」というような、日本書紀にない年号があっても、いっさい動じなかった。（書紀では、朱鳥は「天武末年」の一年間だけ）。「問題」自体が存在しなかったのである。
だから、「国学」にとって、そんなことは自明のこと。その自明の上に立って「天皇家賛美」に終始する、それが骨格だった。大筋として決められていた。
そこには「逆賊が天皇になった」というような発想はいっさいなかった。歴史に名を借りて、現代を批判する、そういった人麿の目を思いやること、人間としての苦渋に思いを深うすること、この一事が大きくポッカリと欠落していたのではあるまいか。
クーデターに成功した「逆賊」が天皇の座にあった。その日々の中で、天皇の座から追われ、反逆者とされ、首つらねばならなかった青年がいたこと、この一事を、人麿は忘れなかった。歴史の上に再び生じた、その現実を、彼は内奥からしみ出るような目でみつめていた。その中から彼の歌の中につらぬく哀調は生まれた。しかし「一元主義」に安住した国学者たちは、その調べのあまりの深さに、あえて気づこうとはしなかったのではあるまいか。
しかし今、わたしの耳には聞こえる。人麻呂の歌が、人麿の歌が人麻呂の同時代の人々に、おそらくはより以上に後代の人々に告げようとしたメッセージ、美しい人間の声を、いかなる【えにし】に恵まれたのか、わたしの耳にははっきりと聞こえてきたのであった。
このようにして、わたしの万葉への幻の旅は、そのおぼつかない第一歩を歩みはじめたのである。／／■
「なぜだ、なぜ、従来、このように考えられなかったのか」。この問いだ。〜
先ず、現代の万葉研究者、ことに敗戦後の人々にとって、わたしのたどったような道、それはかなり、”やりにくい”ことかもしれぬ。なぜなら――
第一に津田左右吉（一八七三〜一九六一）流の「架空説」の影響だ。神武天皇から開化天皇まで、九代の天皇を、文句なしの「架空」の天皇としてしまった。そのうえ、第十四代の仲哀天皇までもあやしい。確かなのは、第十五代以降、四世紀末から五世紀初頭の応神天皇からだ。これが「定見」となった。戦後の研究者の頭にはめられた鉄の金輪（孫悟空の頭の輪）となったのである。この「定見」をはみ出ようとすると、お釈迦さまならぬ、津田左右吉先生から、鉄の金輪をしめつけられ、自由なはずの思考力がひきもどされる。そういうしくみだった。
第二に、神功皇后。「架空説」中でも花形、それがこの女性だった。この女性の「虚実」の判断で、当人の歴史観の「正邪」が判定される。そういう”隠れた物指し”が、学界の裏側で通用していた。否、表側といっていいかもしれない。
これが戦後の古代史学界の「空気」だった。「空気」に弱い日本人、その国文学、万葉学の研究者間でも、右の「隠れた物差し」に抗して思考すること、万葉の歌を理解すること、それは、わたしたちの予想以上に、困難だったのではないか。わたしはそう思う。そうでなければ、これほど明白な道理、「第一次近江京の論証」に、だれ一人思いいたらぬことなど、わたしにはなんとしても解しがたいのである。この点、わたしは幸せだた。第三書『盗まれた神話』(朝日文庫）でのべたように、津田派の「造作説」と手を切っていた。いわゆる「三韓征伐」の虚構と神功皇后の実在、二つの結論をすでに両手でしっかりとにぎりしめていたのであったから。
より解しがたいのは、戦前の万葉研究者たち、契沖、真淵以来の国学の伝統だ。あれほど古典研究に生涯を尽瘁した人々の中から、「第一次近江京の論証」がなぜ生まれなかったのか。この問題だ。
彼らは津田史学に”まどわされる”必要がなかった、それは未来のことだったからだ。だから、古典をありのままに理解できたはずだ。本居宣長（一七三〇〜一八〇一）など、それをスローガンとしていた。だのになぜ。
このような問いを発してみると、そこに突きあたるのは「皇国史観」。この四文字だ。この言葉は、二十世紀の造語だ。左翼から出たという。わたしの言葉でいえば、「近畿天皇家一元史観」だ。
もっとも、ここは、九州王朝など関係しない。少なくとも、直接には関係がない。そういうところで、なぜか。
思うに、彼らの場合、中心権力が一つか、二つか。一つなら、それは九州（筑紫）か近畿か。そんなことは、問題にもならなかった。「朱鳥七年・八年」というような、日本書紀にない年号があっても、いっさい動じなかった。（書紀では、朱鳥は「天武末年」の一年間だけ）。「問題」自体が存在しなかったのである。
だから、「国学」にとって、そんなことは自明のこと。その自明の上に立って「天皇家賛美」に終始する、それが骨格だった。大筋として決められていた。
そこには「逆賊が天皇になった」というような発想はいっさいなかった。歴史に名を借りて、現代を批判する、そういった人麿の目を思いやること、人間としての苦渋に思いを深うすること、この一事が大きくポッカリと欠落していたのではあるまいか。
クーデターに成功した「逆賊」が天皇の座にあった。その日々の中で、天皇の座から追われ、反逆者とされ、首つらねばならなかった青年がいたこと、この一事を、人麿は忘れなかった。歴史の上に再び生じた、その現実を、彼は内奥からしみ出るような目でみつめていた。その中から彼の歌の中につらぬく哀調は生まれた。しかし「一元主義」に安住した国学者たちは、その調べのあまりの深さに、あえて気づこうとはしなかったのではあるまいか。
しかし今、わたしの耳には聞こえる。人麻呂の歌が、人麿の歌が人麻呂の同時代の人々に、おそらくはより以上に後代の人々に告げようとしたメッセージ、美しい人間の声を、いかなる【えにし】に恵まれたのか、わたしの耳にははっきりと聞こえてきたのであった。
このようにして、わたしの万葉への幻の旅は、そのおぼつかない第一歩を歩みはじめたのである。／／■
また、
柿本朝臣人麻呂の「朝臣」という称号
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=18000&id=101304258
で明らかにしたように柿本朝臣人麻呂は筑紫、倭国である九州王朝の宮廷歌人である。であれば、
過近江荒都時柿本朝臣人麻呂作歌
玉たすき 畝火（うねび）の山の 橿原（かしはら）の 日知（ひじり）の御代（みよ）ゆ あれましし 神のことごと 樛（つが）の木の いやつぎつぎに 天（あめ）の下 知らしめししを 天（そら）にみつ 大和をおきて あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天離（あまざか）る ひなにはあれど 石走（いはばし）る 淡海（あふみ）の国の ささなみの 大津（おほつ）の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇（すめろき）の 神の尊（みこと）の 大宮は ここと聞けども 大殿（おほとの）は ここと言へども 春草の 繁く生ひたる 霞立ち 春日の霧（き）れる ももしきの 大宮処見（おほみやどころ） 見れば 悲しも（「或は云ふ」は省略）
の「天離（あまざか）る ひな」の「天（あま）」とは天国(あまくに)、つまり天孫降臨の地である九州倭国であり、「天離る」とは、人麿の用法では”筑紫の都を離れる”という意味となる。
この語は、これまで「遠く離れた田舎である」などと意味不明な解釈がなされてきた。「近江、大津の宮」は「倭国、筑紫の都を遠く離れた」宮なのであり、このように解して初めてこの歌のそれぞれの語が伊吹を取り戻し、真実の歴史を証言する歌となるのである。
本居宣長の古事記伝解釈にある「天国（てんごく）」などという理解では意味不明となる他ない。
万葉集中、「あまざかる」は「天佐我留」(五百九)他の用字もあり、それらは八世紀の用法である。七世紀と八世紀の間には深い歴史の断絶があることを見なければならない。■
柿本朝臣人麻呂の「朝臣」という称号
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=18000&id=101304258
で明らかにしたように柿本朝臣人麻呂は筑紫、倭国である九州王朝の宮廷歌人である。であれば、
過近江荒都時柿本朝臣人麻呂作歌
玉たすき 畝火（うねび）の山の 橿原（かしはら）の 日知（ひじり）の御代（みよ）ゆ あれましし 神のことごと 樛（つが）の木の いやつぎつぎに 天（あめ）の下 知らしめししを 天（そら）にみつ 大和をおきて あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天離（あまざか）る ひなにはあれど 石走（いはばし）る 淡海（あふみ）の国の ささなみの 大津（おほつ）の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇（すめろき）の 神の尊（みこと）の 大宮は ここと聞けども 大殿（おほとの）は ここと言へども 春草の 繁く生ひたる 霞立ち 春日の霧（き）れる ももしきの 大宮処見（おほみやどころ） 見れば 悲しも（「或は云ふ」は省略）
の「天離（あまざか）る ひな」の「天（あま）」とは天国(あまくに)、つまり天孫降臨の地である九州倭国であり、「天離る」とは、人麿の用法では”筑紫の都を離れる”という意味となる。
この語は、これまで「遠く離れた田舎である」などと意味不明な解釈がなされてきた。「近江、大津の宮」は「倭国、筑紫の都を遠く離れた」宮なのであり、このように解して初めてこの歌のそれぞれの語が伊吹を取り戻し、真実の歴史を証言する歌となるのである。
本居宣長の古事記伝解釈にある「天国（てんごく）」などという理解では意味不明となる他ない。
万葉集中、「あまざかる」は「天佐我留」(五百九)他の用字もあり、それらは八世紀の用法である。七世紀と八世紀の間には深い歴史の断絶があることを見なければならない。■
いつまでも万葉学者から一瞥もされぬ古田武彦のトンデモ説如きに頼っていずに
ささなみの志賀の [一は云はく、比良の] 大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも [一は云 はく、逢はむと思へや］
(巻1ー 三一)
の異文系統と私が示した巻9の人麻呂歌集との関連を自分の頭の中で考えてみたらどうですか？
ある程度の正しい解釈は浮かんでくると思いますけどね。
異文系統というのはおおよそ先に考えていたもので、それを後で推敲したものが本文となっているのですよ。
それと…‥まあもう投稿することもあまり無いとは思いますが、以前申しあげた通り私に粘着するのは止めてください、迷惑以外の何ものでもありませんので。
古田氏が万葉学者の大家から一瞥もされないということはそれだけのものであって、読む価値も無いということです。読む時間さえ勿体ないということです。そんなこともお分かりにならない？一度ネット記事やAmazonの古田氏書評欄でも見たらどうですか。
それと………人麻呂の雑歌ばかり投稿せずに額田王や赤人、家持等他の歌人についても投稿しては？おそらく古田氏の本には載っていないのでしょうがね。
ささなみの志賀の [一は云はく、比良の] 大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも [一は云 はく、逢はむと思へや］
(巻1ー 三一)
の異文系統と私が示した巻9の人麻呂歌集との関連を自分の頭の中で考えてみたらどうですか？
ある程度の正しい解釈は浮かんでくると思いますけどね。
異文系統というのはおおよそ先に考えていたもので、それを後で推敲したものが本文となっているのですよ。
それと…‥まあもう投稿することもあまり無いとは思いますが、以前申しあげた通り私に粘着するのは止めてください、迷惑以外の何ものでもありませんので。
古田氏が万葉学者の大家から一瞥もされないということはそれだけのものであって、読む価値も無いということです。読む時間さえ勿体ないということです。そんなこともお分かりにならない？一度ネット記事やAmazonの古田氏書評欄でも見たらどうですか。
それと………人麻呂の雑歌ばかり投稿せずに額田王や赤人、家持等他の歌人についても投稿しては？おそらく古田氏の本には載っていないのでしょうがね。
人麻呂、宇治川のほとりにて作れる歌」(巻三ー264)について
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=18000&id=101305650
という問いに対し歌の理解そのものの根本的、本質的な誤りを指摘しましたが、指摘内容を全く理解できていないピント外れな応答をいただきましたので、判り易く問題点を指摘しておきたいと思います。誤った歌の理解に基づく、全く歴史事実を外れた妄想とでもいうべき展開、理解に基づく質問でしかないことを理解いただきたいということです。
現在の、江戸国学に発する万葉解釈を全く無批判に、無邪気に受け入れ、史資料が示す事実、歴史事実との対応を欠いた妄想を膨らませた質問でしかないということを指摘しておきたいと思います。
質問は、
「柿本朝臣人麻呂 近江の国より上り来る時に、宇治の川辺に至りて作れる歌一首」
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (264)
は巻三雑歌の部のこの位置に配列されるほど時代が下がるのだろうか。／／
というものですが、
��
「過近江荒都歌」（巻一、二九）と「従近江國上来時至宇治河邊作歌」（巻三、二六四）の関係について、
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=18000&id=101305939
��
柿本朝臣人麻呂の「朝臣」という称号
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=18000&id=101304258
を読んでいただければ明らかな通り歌の理解はもとより、というかその誤りに起因する質問の前提からして妄想のレべルでしかないというものです。先ず、
＞＞この264はその題詞から一般に人麻呂が忍壁皇子に随って北陸方面へ向かったと思われる旅(伊藤先生。一般にこの旅の往路で人麻呂は29番の近江荒都歌を詠んだと言われている)の帰路、宇治川まで来た時に詠まれた歌と言われている。
ですが、「一般に人麻呂が忍壁皇子に随って北陸方面へ向かった」などという事実、それを明かす史資料、事実は全くなく、妄想でしかないということです。プレバトの夏井先生風に言えば、
そんなもんがあるなら、ここに持ってきて見せて見なさい！！！ (＠_＠;)
というところでしょう。
人麿は万葉集に頻出しますが、記紀、続日本紀には全く記されていないことは良く知られています。そして、それが何故かは全く明らかにされていません。�△馬世犬燭茲Δ某曜�は朝臣という称号を持っており、宮廷歌人であることは明らかです。であれば、忍壁皇子の父である天武天皇が朝臣という姓を与えたことが同時代史である前記史資料に記述されてしかるべきです。事実は名前すら記されておらず、風馬牛です。ましてや「人麻呂が忍壁皇子に随って北陸方面へ向かった」など全く記されていません。「一般に」などともっともらしく振られていますが、そんな妄想は講座の先生として挙げられている(伊藤先生) の受け売りでしょうか。その先生に聞いたところで、そんなことを記した史資料を持っている筈がありません。
そもそも天武天皇と人麿の関係を記した文書など全く存在しません。それらは、万葉集の詞書きから類推された妄想に過ぎないということです。とはいえ、歌の内容から近江近辺を通過したのは明らかですが、大和朝廷との接触は全く記されていません。「忍壁随行時」であれば、詞書にそう書けば良いだけですが、それは記されていません。大和朝廷との接触があったのかもしれませんが、それがどのようなものであったのかはどこにも記されていません。後付けの詞書きからではなく歌の内容から推測する他なく、人麿の想いが批判的なものであったことだけが理解されます。
結局、�△能劼戮芯未蝓⊃曜�は九州王朝の宮廷歌人であり、歴史を偽造した大和朝廷としては人麿はいなかったことにするしたかったということですが、その存在、力量は世間周知で抹消するには惜しく、その痕跡を残したい人が万葉にその歌を恰も大和朝廷化下の歌であるかのような体裁の前書きを付け残したというのが歴史の真実ではないかと思われます。事実、「柿本人麿歌集」の名が出されていますが、それ自体は存在せず、古集なるものも存在しませ。これらは、無用の物、いや存在してはならぬものとして廃棄されたという他ありません。紫式部が、
「日本紀などは、ただ、片そばぞかし。これらにこそ、道々しく、くはしき事はあらめ」
（『源氏物語』〜蛍の巻〜）
と記したことなどが思い合わされます。
→以下へ続く
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=18000&id=101305650
という問いに対し歌の理解そのものの根本的、本質的な誤りを指摘しましたが、指摘内容を全く理解できていないピント外れな応答をいただきましたので、判り易く問題点を指摘しておきたいと思います。誤った歌の理解に基づく、全く歴史事実を外れた妄想とでもいうべき展開、理解に基づく質問でしかないことを理解いただきたいということです。
現在の、江戸国学に発する万葉解釈を全く無批判に、無邪気に受け入れ、史資料が示す事実、歴史事実との対応を欠いた妄想を膨らませた質問でしかないということを指摘しておきたいと思います。
質問は、
「柿本朝臣人麻呂 近江の国より上り来る時に、宇治の川辺に至りて作れる歌一首」
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (264)
は巻三雑歌の部のこの位置に配列されるほど時代が下がるのだろうか。／／
というものですが、
��
「過近江荒都歌」（巻一、二九）と「従近江國上来時至宇治河邊作歌」（巻三、二六四）の関係について、
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=18000&id=101305939
��
柿本朝臣人麻呂の「朝臣」という称号
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=18000&id=101304258
を読んでいただければ明らかな通り歌の理解はもとより、というかその誤りに起因する質問の前提からして妄想のレべルでしかないというものです。先ず、
＞＞この264はその題詞から一般に人麻呂が忍壁皇子に随って北陸方面へ向かったと思われる旅(伊藤先生。一般にこの旅の往路で人麻呂は29番の近江荒都歌を詠んだと言われている)の帰路、宇治川まで来た時に詠まれた歌と言われている。
ですが、「一般に人麻呂が忍壁皇子に随って北陸方面へ向かった」などという事実、それを明かす史資料、事実は全くなく、妄想でしかないということです。プレバトの夏井先生風に言えば、
そんなもんがあるなら、ここに持ってきて見せて見なさい！！！ (＠_＠;)
というところでしょう。
人麿は万葉集に頻出しますが、記紀、続日本紀には全く記されていないことは良く知られています。そして、それが何故かは全く明らかにされていません。�△馬世犬燭茲Δ某曜�は朝臣という称号を持っており、宮廷歌人であることは明らかです。であれば、忍壁皇子の父である天武天皇が朝臣という姓を与えたことが同時代史である前記史資料に記述されてしかるべきです。事実は名前すら記されておらず、風馬牛です。ましてや「人麻呂が忍壁皇子に随って北陸方面へ向かった」など全く記されていません。「一般に」などともっともらしく振られていますが、そんな妄想は講座の先生として挙げられている(伊藤先生) の受け売りでしょうか。その先生に聞いたところで、そんなことを記した史資料を持っている筈がありません。
そもそも天武天皇と人麿の関係を記した文書など全く存在しません。それらは、万葉集の詞書きから類推された妄想に過ぎないということです。とはいえ、歌の内容から近江近辺を通過したのは明らかですが、大和朝廷との接触は全く記されていません。「忍壁随行時」であれば、詞書にそう書けば良いだけですが、それは記されていません。大和朝廷との接触があったのかもしれませんが、それがどのようなものであったのかはどこにも記されていません。後付けの詞書きからではなく歌の内容から推測する他なく、人麿の想いが批判的なものであったことだけが理解されます。
結局、�△能劼戮芯未蝓⊃曜�は九州王朝の宮廷歌人であり、歴史を偽造した大和朝廷としては人麿はいなかったことにするしたかったということですが、その存在、力量は世間周知で抹消するには惜しく、その痕跡を残したい人が万葉にその歌を恰も大和朝廷化下の歌であるかのような体裁の前書きを付け残したというのが歴史の真実ではないかと思われます。事実、「柿本人麿歌集」の名が出されていますが、それ自体は存在せず、古集なるものも存在しませ。これらは、無用の物、いや存在してはならぬものとして廃棄されたという他ありません。紫式部が、
「日本紀などは、ただ、片そばぞかし。これらにこそ、道々しく、くはしき事はあらめ」
（『源氏物語』〜蛍の巻〜）
と記したことなどが思い合わされます。
→以下へ続く
上記より→
別途論じる予定ですが、「日並皇子挽歌」なるものは、最初に「日並皇子尊の没」に際し天孫降臨の神話を特記するなどという奇妙な内容になっています。この歌は、実は「日並皇子尊」のためではなく「倭国（九州王朝）」の王者、「御井の王者」のための挽歌であることが論証されています。それでこそ、「天孫降臨の神話を特記する」意味があり、歌の持つ歴史性、精彩が明らかになります。
「持統に引き立てられ、運気上昇中で気力充実」などというのは風水を信仰するリポビタンＤ！の愛飲者の妄想という他ありません。さらに、
「或いはこの時期に人麻呂が持統や不比等との間で何らか(多分高市皇子に関すること)の軋轢、不協和音を生じて山城の地へ一、二年の間 赴任(左遷)させられ、その期間中に264の題詞にあるような近江に旅をし、その帰路に詠んだという可能性が考えられる」
などというのは妄想小説の一節という他ない内容です。
妄想に妄想を重ねる感受性の強い風水信者という資質が露わであり、数多の古代史に題を取った小説と同様のレベルで万葉を解釈、理解されていることが明瞭になります。
残念ながら、現在の万葉学はこうした妄想を生む種を提供するには有効であっても、記紀、続日本紀が示す史資料の事実、考古学に基づく日本古代史の歴史事実に即し万葉集の歌を理解する姿勢に欠けるものであることを露呈しています。
古代史学は戦前の国学的、神憑り的記紀解釈の反省に立ち、科学的歴史理解を曲がりなりにも進めようとしています。が、万葉学には戦前との断絶がなくストレートに江戸国学的理解を受け継ぎ、そのパラダイムの中で思考しています。
その神憑り的側面に敏感に共鳴した本質問者のような思考を生む土壌を有し、臆面もなくこうした質問がもっともらしく提起されれた点に警鐘を鳴らすべく久しぶりにＴｏｐｉを立ち上げたものです。現在の万葉学はパラダイム転換を必須としています。
個人の老後の楽しみに妄想を膨らませることは自由ですが、恰も歴史事実ではないかと思わせるような展開には、物には限度があるのではないか、という思いに駆られたということです。
単なる歴史小説の展開を問われているのであれば当方の過剰反応ですのでご容赦の程。■
別途論じる予定ですが、「日並皇子挽歌」なるものは、最初に「日並皇子尊の没」に際し天孫降臨の神話を特記するなどという奇妙な内容になっています。この歌は、実は「日並皇子尊」のためではなく「倭国（九州王朝）」の王者、「御井の王者」のための挽歌であることが論証されています。それでこそ、「天孫降臨の神話を特記する」意味があり、歌の持つ歴史性、精彩が明らかになります。
「持統に引き立てられ、運気上昇中で気力充実」などというのは風水を信仰するリポビタンＤ！の愛飲者の妄想という他ありません。さらに、
「或いはこの時期に人麻呂が持統や不比等との間で何らか(多分高市皇子に関すること)の軋轢、不協和音を生じて山城の地へ一、二年の間 赴任(左遷)させられ、その期間中に264の題詞にあるような近江に旅をし、その帰路に詠んだという可能性が考えられる」
などというのは妄想小説の一節という他ない内容です。
妄想に妄想を重ねる感受性の強い風水信者という資質が露わであり、数多の古代史に題を取った小説と同様のレベルで万葉を解釈、理解されていることが明瞭になります。
残念ながら、現在の万葉学はこうした妄想を生む種を提供するには有効であっても、記紀、続日本紀が示す史資料の事実、考古学に基づく日本古代史の歴史事実に即し万葉集の歌を理解する姿勢に欠けるものであることを露呈しています。
古代史学は戦前の国学的、神憑り的記紀解釈の反省に立ち、科学的歴史理解を曲がりなりにも進めようとしています。が、万葉学には戦前との断絶がなくストレートに江戸国学的理解を受け継ぎ、そのパラダイムの中で思考しています。
その神憑り的側面に敏感に共鳴した本質問者のような思考を生む土壌を有し、臆面もなくこうした質問がもっともらしく提起されれた点に警鐘を鳴らすべく久しぶりにＴｏｐｉを立ち上げたものです。現在の万葉学はパラダイム転換を必須としています。
個人の老後の楽しみに妄想を膨らませることは自由ですが、恰も歴史事実ではないかと思わせるような展開には、物には限度があるのではないか、という思いに駆られたということです。
単なる歴史小説の展開を問われているのであれば当方の過剰反応ですのでご容赦の程。■
何か仲哀天皇や応神天皇時代の古田武彦説の受け売りを得意げに延々と講釈されていますが何か勘違いされているのではないですか。
私の投稿をよく読んで貰いたいのですが、私の知りたい事柄はそんな時代外れの事柄ではなくあくまでも万葉集に掲載されている柿本人麻呂作の
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (巻一二六四)
の歌は巻三の雑歌の部のこの位置に配列されるほど時代が下がるのだろうか。
一般に言われている上記の近江荒都歌を詠んだ時とは別のもっと後、つまり下記(巻9の)人麻呂歌集歌1682〜1709が詠まれた時期に詠んだということはないのだろうか。
ということですので。的外れ、時代錯誤の講釈をなさりたいのであれば、すること自体は別に構いませんが、先ずは私の疑問に端的に、且つ的確な回答をして頂きたいものですね。
それが出来ないのなら古田武彦説の受け売りは私の質問とは全く関係のないことですので私の投稿と切り離したうえで別の場所で思う存分なさることをお勧めします。
私の投稿をよく読んで貰いたいのですが、私の知りたい事柄はそんな時代外れの事柄ではなくあくまでも万葉集に掲載されている柿本人麻呂作の
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (巻一二六四)
の歌は巻三の雑歌の部のこの位置に配列されるほど時代が下がるのだろうか。
一般に言われている上記の近江荒都歌を詠んだ時とは別のもっと後、つまり下記(巻9の)人麻呂歌集歌1682〜1709が詠まれた時期に詠んだということはないのだろうか。
ということですので。的外れ、時代錯誤の講釈をなさりたいのであれば、すること自体は別に構いませんが、先ずは私の疑問に端的に、且つ的確な回答をして頂きたいものですね。
それが出来ないのなら古田武彦説の受け売りは私の質問とは全く関係のないことですので私の投稿と切り離したうえで別の場所で思う存分なさることをお勧めします。
＞高校から大学時代にかけて，古田武彦の邪馬壱国説・九州王朝説を信じていた。
しかし，どうも古田説はいわゆるトンデモ説だったようだ（明らかな偽書である「東日流外三郡誌」を未だに擁護している辺り，かつてこんな人を信じていたのかと思うと，自分が情けない）
＞偽の古文書、『東日流外三郡誌』を、本物だと信じこんで、その内容に感激し、『真実の東北王朝』な る本を書いた人がいた。昭和薬科大学教授の、古田武彦氏である。
この程度の、三流、五流の偽書が、偽書とわからぬようでは、学者失格というほかはない。「偽書」をもとにして書いた本を、『真実の東北王朝』と名づける。「真実」が泣く。
そして、これだけ証拠がつみかさねられた今でも、古田武彦氏は、『東日流外三郡誌』が本物である と主張してやまない。「偽」の歴史を、「真実」であると主張するなら、それは、歴史の贋造である。
これは親切で言うのですが、中西先生他の高名な万葉学者の先生方が古田氏の本を一瞥だにもしないということは上記の批判は正当なものと思われるということの証拠だと思いますよ。アスナロウさんもそれだけ屁理屈を言えるということは頭は悪くはなさそうですのでそれくらいのことはお分かりだと思いますがね(笑)
いつまでも皆から「トンデモ」と言われている説に固執し、さらにそれを広めようと他人に押し付ける…‥せっかくの時間と労力を間違った方向に浪費し、挙句には人から蛇蝎の如く嫌悪されるのは勿体ないことこのうえないと思うのですがね。どう考えても万葉集に詠まれた天の香具山や吉野が九州にあると考えるのはマトモとは思えませんけどね。まあ、幾ら忠告してもお分かりにならないのであれば仕方ありませんね。でもここは万葉集のトピですので他人の投稿に全く見当違いの邪説を故意に被せて邪魔をするようなことだけは避けて頂きたいものですね。まあ私も出来の悪い人間ですからエラそうなことは言えませんがそれが社会人のルールと思います。
しかし，どうも古田説はいわゆるトンデモ説だったようだ（明らかな偽書である「東日流外三郡誌」を未だに擁護している辺り，かつてこんな人を信じていたのかと思うと，自分が情けない）
＞偽の古文書、『東日流外三郡誌』を、本物だと信じこんで、その内容に感激し、『真実の東北王朝』な る本を書いた人がいた。昭和薬科大学教授の、古田武彦氏である。
この程度の、三流、五流の偽書が、偽書とわからぬようでは、学者失格というほかはない。「偽書」をもとにして書いた本を、『真実の東北王朝』と名づける。「真実」が泣く。
そして、これだけ証拠がつみかさねられた今でも、古田武彦氏は、『東日流外三郡誌』が本物である と主張してやまない。「偽」の歴史を、「真実」であると主張するなら、それは、歴史の贋造である。
これは親切で言うのですが、中西先生他の高名な万葉学者の先生方が古田氏の本を一瞥だにもしないということは上記の批判は正当なものと思われるということの証拠だと思いますよ。アスナロウさんもそれだけ屁理屈を言えるということは頭は悪くはなさそうですのでそれくらいのことはお分かりだと思いますがね(笑)
いつまでも皆から「トンデモ」と言われている説に固執し、さらにそれを広めようと他人に押し付ける…‥せっかくの時間と労力を間違った方向に浪費し、挙句には人から蛇蝎の如く嫌悪されるのは勿体ないことこのうえないと思うのですがね。どう考えても万葉集に詠まれた天の香具山や吉野が九州にあると考えるのはマトモとは思えませんけどね。まあ、幾ら忠告してもお分かりにならないのであれば仕方ありませんね。でもここは万葉集のトピですので他人の投稿に全く見当違いの邪説を故意に被せて邪魔をするようなことだけは避けて頂きたいものですね。まあ私も出来の悪い人間ですからエラそうなことは言えませんがそれが社会人のルールと思います。
>>[15]
＞＞明らかな偽書である「東日流外三郡誌」を未だに擁護している辺り
なるほど。
あなたは未だに、「東日流外三郡誌」偽書説に翻弄されたままなのですね。
東日流[内・外]三郡誌 〈ついに出現、幻の寛政原本! 〉 単行本 – 2008/6/30
古田武彦 (著), 竹田侑子 (著)
など読まれてはないのでしょうね。また、
https://www.facebook.com/tatuya.koga.3
の 2024.05.23記事他を見ていただければ、偽書キャンペーンの誤りが理解いただけると思います。
和田家文書の明治写本と大正写本 古賀達也
https://www.furutasigaku.jp/jfuruta/move/wadamonzyo.html
なども参照下さい。
やはり、あなたは
[11] アスナロウ
2024年05月25日 11:37
で
＞＞「持統に引き立てられ、運気上昇中で気力充実」などというのは風水を信仰するリポビタンＤ！の愛飲者の妄想という他ありません。
と指摘したように世評に対する論理的な思考よりも「リポビタンＤ！ 元気一発」で感覚的同調をされる体質のようです。
＞＞中西先生他の高名な万葉学者の先生方
という世評の内容を検討することなく即信仰に陥るタイプとお見受けします。
＞＞どう考えても万葉集に詠まれた天の香具山や吉野が九州にあると考えるのはマトモとは思えません
というのも、その誤りの指摘の内容を検討してのことではなく、「中西先生他の高名な万葉学者の先生方」が云われるのだから多分間違っていないだろうという「リポビタンＤ！ 元気一発」の体質を露呈しています。
当方は別に、「ボーイセプテンバーさん」どうこうではなく、そこに示されている内容が世間一般の「中西先生他の高名な万葉学者の先生方」を無批判に丸呑みしている代表事例として扱わせていただいているだけです。
そのスタンスで戦前皇国史観を引き継ぐ「戦後型皇国史観」の一存在形態である現在の万葉学の誤りを広くアジテートしていきたいと考えております。それが良識ある社会人の在り方ではないかと考えております。
「戦後型皇国史観」に抗する学問」
古田学派の運命と使命
https://furutasigaku.jp/jfuruta/yuibt138/kogaseng.html
参照。
先ずは、当方のスタンスをご理解いただきたく。■
＞＞明らかな偽書である「東日流外三郡誌」を未だに擁護している辺り
なるほど。
あなたは未だに、「東日流外三郡誌」偽書説に翻弄されたままなのですね。
東日流[内・外]三郡誌 〈ついに出現、幻の寛政原本! 〉 単行本 – 2008/6/30
古田武彦 (著), 竹田侑子 (著)
など読まれてはないのでしょうね。また、
https://www.facebook.com/tatuya.koga.3
の 2024.05.23記事他を見ていただければ、偽書キャンペーンの誤りが理解いただけると思います。
和田家文書の明治写本と大正写本 古賀達也
https://www.furutasigaku.jp/jfuruta/move/wadamonzyo.html
なども参照下さい。
やはり、あなたは
[11] アスナロウ
2024年05月25日 11:37
で
＞＞「持統に引き立てられ、運気上昇中で気力充実」などというのは風水を信仰するリポビタンＤ！の愛飲者の妄想という他ありません。
と指摘したように世評に対する論理的な思考よりも「リポビタンＤ！ 元気一発」で感覚的同調をされる体質のようです。
＞＞中西先生他の高名な万葉学者の先生方
という世評の内容を検討することなく即信仰に陥るタイプとお見受けします。
＞＞どう考えても万葉集に詠まれた天の香具山や吉野が九州にあると考えるのはマトモとは思えません
というのも、その誤りの指摘の内容を検討してのことではなく、「中西先生他の高名な万葉学者の先生方」が云われるのだから多分間違っていないだろうという「リポビタンＤ！ 元気一発」の体質を露呈しています。
当方は別に、「ボーイセプテンバーさん」どうこうではなく、そこに示されている内容が世間一般の「中西先生他の高名な万葉学者の先生方」を無批判に丸呑みしている代表事例として扱わせていただいているだけです。
そのスタンスで戦前皇国史観を引き継ぐ「戦後型皇国史観」の一存在形態である現在の万葉学の誤りを広くアジテートしていきたいと考えております。それが良識ある社会人の在り方ではないかと考えております。
「戦後型皇国史観」に抗する学問」
古田学派の運命と使命
https://furutasigaku.jp/jfuruta/yuibt138/kogaseng.html
参照。
先ずは、当方のスタンスをご理解いただきたく。■
だから冗長な文で焦点をぼボケさせようとせず
私の投稿をよく読んで貰いたいのですが、私の知りたい事柄はそんな時代外れの事柄ではなくあくまでも万葉集に掲載されている柿本人麻呂作の
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (巻一二六四)
の歌は巻三の雑歌の部のこの位置に配列されるほど時代が下がるのだろうか。
一般に言われている上記の近江荒都歌を詠んだ時とは別のもっと後、つまり下記(巻9の)人麻呂歌集歌1682〜1709が詠まれた時期に詠んだということはないのだろうか。
ということを端的に答えていただければいいのです。
歌と句の区別もできぬアスナロウさんと話しているとトンデモ万葉集菌やなーんちゃって万葉集菌が感染しそうなのでこれで失礼します。以後、私にコメントしないでくださいね。では。。
私の投稿をよく読んで貰いたいのですが、私の知りたい事柄はそんな時代外れの事柄ではなくあくまでも万葉集に掲載されている柿本人麻呂作の
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (巻一二六四)
の歌は巻三の雑歌の部のこの位置に配列されるほど時代が下がるのだろうか。
一般に言われている上記の近江荒都歌を詠んだ時とは別のもっと後、つまり下記(巻9の)人麻呂歌集歌1682〜1709が詠まれた時期に詠んだということはないのだろうか。
ということを端的に答えていただければいいのです。
歌と句の区別もできぬアスナロウさんと話しているとトンデモ万葉集菌やなーんちゃって万葉集菌が感染しそうなのでこれで失礼します。以後、私にコメントしないでくださいね。では。。
>>[19]
＞＞古田説では香具山が別府鶴見岳とすると聞きましたが
巻1ー 一三番 中大兄三山歌の香具山は 畝傍を愛しと 耳成と〜
良い質問です。
先ず、原文は下記の通りです。
中大兄[近江宮御宇天皇]<三山歌>
高山波 雲根火雄男志等 耳梨與 相諍競伎（以下省略）
高山与 耳梨山与 相之時 立見尓来之 伊奈美國波良（以下省略）
です。「高山波」「高山与」でいずれも「高山」です。あなたにはこれが「香久山」と読めるのですか？
従来はこれを疑うことなく、「かぐやま」と読んできたのです。もっとも、あなたの場合は、「高山」と書かれていようがいまいが、「リポビタンＤ 元気一発！」のノリで「中西先生他の高名な万葉学者の先生方」がおっしゃるのであれば、７世紀には「高山」を「かぐやま」と読むのだと即納得したことでしょう。いや、単に手元にある本に「香久山(かぐやま)」と書かれているので、単純にそう信じ込んだに過ぎないということですよね！
例えば、当方の手元にある『新選 日本古典文学全集6 萬葉集� �(小学館)の場合、読み下し本文を中央に、下段に原文と口語訳が示されています。凡例には「西本願寺本万葉集を底本としてあらたに肯定を加えたもの、中段の本文は、それを漢字仮名混じり文に読み下したものである。」とあります。その、中段の読み下し文は、「香久山(かぐやま)は」と書き換えられ、下段の原文には「高山(かぐやま)」と書かれ、何の注も書かれていない奇妙な表記になっています。
国文系学生向けと思われる、鶴久、森山隆編『万葉集』（桜風社：昭和56年版）には「西本願寺本」と思われる写本の、正にこの歌がカラー印刷で載せられています。が、そこで既に「高山」に「かぐやま」と振り仮名が付され、注として、「三山者 畝傍 香山 耳梨也 見風土記」と朱記されています。
このように古くから、「高山」は「香山(香久山)」と見做されtきたことが判ります。そして、「見風土記」というのは『播磨風土記』の三山歌に関連した説話があり、そこに「大倭の国の畝傍・香山・耳梨、三つの山相闘ふ〜」という記事があることを言っています。
こうした例から、中大兄のほうの「高山」も、「かぐやま」とよんだのでしょうが、これは話の筋が逆だと、古田氏は指摘しています。以下にその指摘を引用しましょう。
中大兄が「高山」と書いている以上、「たかやま」と読むべきである。「高山」という地名・山名はある。「高山右近」などの「高山」も、その類の地名から来たものであろう。その山は、実際上、そんなに“峻険”である必要はない。その地点の近辺で、“高い山”と見えていれば、固有名詞としての「高山」は成り立つ。海上の「大島」が、地図上かならずしも“巨大な島”でなくてよいのと同じだ。また、「鷹山」（鷹の群れすむ山）かもしれぬ。
この「高山」を、「香山」あるいは「香久山」と“当て呼ぶ”時期が来たのか、あるいは、はじめからそう呼ばれていたのか、朗かではない。（また、現在の香久山と別の山であった可能性も、一応ありえよう）。／／
ということで、ここで云われている「高山」「香久山」は大和の山ではありますが九州倭国の人麿が詠んだ香久山でないのは明らかです。「高山」を「香山」読み換え、「香久山」に当て、時代背景を全く無視し、万葉集中の全ての「香久山」を味噌も糞も奈良の香久山とするのが現在の万葉学の実態、レベルであるということです。
ところで、ひょっとしてボーイセプテンバーさんは「中大兄の三山歌」の「高山」のところが「香山」又は「香久山」と書かれた元暦校本以前に遡る写本を元に発言されているのでしょうか？？？？？
もし、そうであればそれはそれは万葉学上の大発見で、その写本は当然、国宝級であり、現在の万葉学の強力な裏付けとなります。是非、公開いただきたいところです！
でも、ま！、ある訳ないよね！ あったらここへ持って来なさい！
と、夏井先生風の一言が聞こえてきそうです。
閑話 休題。
このように、ボーイセプテンバーさんの妖言は一時が万事であり、「過近江荒都歌」（巻一、二九）の理解にしろ、「香久山」の理解にしろ、歌の内容ではなく「中西先生他の高名な万葉学者の先生方」の世評を信仰した表面的万葉理解を丸呑みした妄想レベル以上の何物でもないということです。
質問の前提が何ら論理性を有していないことを先ず自覚いただきたいと思います。
今後も、こうした妄言には断固たるノンを突き付ける以外、良識ある市民の立場はあり得ません。■
＞＞古田説では香具山が別府鶴見岳とすると聞きましたが
巻1ー 一三番 中大兄三山歌の香具山は 畝傍を愛しと 耳成と〜
良い質問です。
先ず、原文は下記の通りです。
中大兄[近江宮御宇天皇]<三山歌>
高山波 雲根火雄男志等 耳梨與 相諍競伎（以下省略）
高山与 耳梨山与 相之時 立見尓来之 伊奈美國波良（以下省略）
です。「高山波」「高山与」でいずれも「高山」です。あなたにはこれが「香久山」と読めるのですか？
従来はこれを疑うことなく、「かぐやま」と読んできたのです。もっとも、あなたの場合は、「高山」と書かれていようがいまいが、「リポビタンＤ 元気一発！」のノリで「中西先生他の高名な万葉学者の先生方」がおっしゃるのであれば、７世紀には「高山」を「かぐやま」と読むのだと即納得したことでしょう。いや、単に手元にある本に「香久山(かぐやま)」と書かれているので、単純にそう信じ込んだに過ぎないということですよね！
例えば、当方の手元にある『新選 日本古典文学全集6 萬葉集� �(小学館)の場合、読み下し本文を中央に、下段に原文と口語訳が示されています。凡例には「西本願寺本万葉集を底本としてあらたに肯定を加えたもの、中段の本文は、それを漢字仮名混じり文に読み下したものである。」とあります。その、中段の読み下し文は、「香久山(かぐやま)は」と書き換えられ、下段の原文には「高山(かぐやま)」と書かれ、何の注も書かれていない奇妙な表記になっています。
国文系学生向けと思われる、鶴久、森山隆編『万葉集』（桜風社：昭和56年版）には「西本願寺本」と思われる写本の、正にこの歌がカラー印刷で載せられています。が、そこで既に「高山」に「かぐやま」と振り仮名が付され、注として、「三山者 畝傍 香山 耳梨也 見風土記」と朱記されています。
このように古くから、「高山」は「香山(香久山)」と見做されtきたことが判ります。そして、「見風土記」というのは『播磨風土記』の三山歌に関連した説話があり、そこに「大倭の国の畝傍・香山・耳梨、三つの山相闘ふ〜」という記事があることを言っています。
こうした例から、中大兄のほうの「高山」も、「かぐやま」とよんだのでしょうが、これは話の筋が逆だと、古田氏は指摘しています。以下にその指摘を引用しましょう。
中大兄が「高山」と書いている以上、「たかやま」と読むべきである。「高山」という地名・山名はある。「高山右近」などの「高山」も、その類の地名から来たものであろう。その山は、実際上、そんなに“峻険”である必要はない。その地点の近辺で、“高い山”と見えていれば、固有名詞としての「高山」は成り立つ。海上の「大島」が、地図上かならずしも“巨大な島”でなくてよいのと同じだ。また、「鷹山」（鷹の群れすむ山）かもしれぬ。
この「高山」を、「香山」あるいは「香久山」と“当て呼ぶ”時期が来たのか、あるいは、はじめからそう呼ばれていたのか、朗かではない。（また、現在の香久山と別の山であった可能性も、一応ありえよう）。／／
ということで、ここで云われている「高山」「香久山」は大和の山ではありますが九州倭国の人麿が詠んだ香久山でないのは明らかです。「高山」を「香山」読み換え、「香久山」に当て、時代背景を全く無視し、万葉集中の全ての「香久山」を味噌も糞も奈良の香久山とするのが現在の万葉学の実態、レベルであるということです。
ところで、ひょっとしてボーイセプテンバーさんは「中大兄の三山歌」の「高山」のところが「香山」又は「香久山」と書かれた元暦校本以前に遡る写本を元に発言されているのでしょうか？？？？？
もし、そうであればそれはそれは万葉学上の大発見で、その写本は当然、国宝級であり、現在の万葉学の強力な裏付けとなります。是非、公開いただきたいところです！
でも、ま！、ある訳ないよね！ あったらここへ持って来なさい！
と、夏井先生風の一言が聞こえてきそうです。
閑話 休題。
このように、ボーイセプテンバーさんの妖言は一時が万事であり、「過近江荒都歌」（巻一、二九）の理解にしろ、「香久山」の理解にしろ、歌の内容ではなく「中西先生他の高名な万葉学者の先生方」の世評を信仰した表面的万葉理解を丸呑みした妄想レベル以上の何物でもないということです。
質問の前提が何ら論理性を有していないことを先ず自覚いただきたいと思います。
今後も、こうした妄言には断固たるノンを突き付ける以外、良識ある市民の立場はあり得ません。■
Ｔｏｐｉに掲げた通り、
『万葉集』巻一（29）の「過近江荒都歌」は、従来、天智天皇の近江京遷都及び壬申の乱による荒廃を歌ったものとされてきました。
しかし、これは全く不当。
「神武以来、代々、大和に都してきた。だのに、何を思われたか、この天皇（天皇）は、近江へ都を移された」と。ところが、天智以前、大和以外に都した天皇は、あまりにも数多いのである。（たとえば樟葉・筒城・弟国〈継体〉・難波〈仁徳・孝徳〉等）。第二次近江京たる天智の都の場合、全く右の歌詞の内実と相応していない。
「神武以来、代々、大和に都してきた。だのに、何を思われたか、この天皇（天皇）は、近江へ都を移された」と。ところが、天智以前、大和以外に都した天皇は、あまりにも数多いのである。（たとえば樟葉・筒城・弟国〈継体〉・難波〈仁徳・孝徳〉等）。第二次近江京たる天智の都の場合、全く右の歌詞の内実と相応していない。
この歴史実を無視した歌の理解の誤りを正さない限り、人麿の「御用歌人」としてではなく、真摯に歴史に立ち向かう彼の「生(き)の顔」、彼が同時代の人々だけではなく、より後世の人々に伝えようとしたメッセージを捉えることはできません。
そして、現在の、江戸時代の契沖、真淵、宣長らによる国学的理解をストレートに受け継ぐ現在の万葉学、及びそれに追随するだけの趣味的万葉解釈では望むべくもないということです。
ここに、万葉学のコペルニクス的転回が図られねばならない必然性があります。
この辺を、追い追い展開したいと思います。単なる気負いに終わる恐れは十分ありますが。■
『万葉集』巻一（29）の「過近江荒都歌」は、従来、天智天皇の近江京遷都及び壬申の乱による荒廃を歌ったものとされてきました。
しかし、これは全く不当。
「神武以来、代々、大和に都してきた。だのに、何を思われたか、この天皇（天皇）は、近江へ都を移された」と。ところが、天智以前、大和以外に都した天皇は、あまりにも数多いのである。（たとえば樟葉・筒城・弟国〈継体〉・難波〈仁徳・孝徳〉等）。第二次近江京たる天智の都の場合、全く右の歌詞の内実と相応していない。
「神武以来、代々、大和に都してきた。だのに、何を思われたか、この天皇（天皇）は、近江へ都を移された」と。ところが、天智以前、大和以外に都した天皇は、あまりにも数多いのである。（たとえば樟葉・筒城・弟国〈継体〉・難波〈仁徳・孝徳〉等）。第二次近江京たる天智の都の場合、全く右の歌詞の内実と相応していない。
この歴史実を無視した歌の理解の誤りを正さない限り、人麿の「御用歌人」としてではなく、真摯に歴史に立ち向かう彼の「生(き)の顔」、彼が同時代の人々だけではなく、より後世の人々に伝えようとしたメッセージを捉えることはできません。
そして、現在の、江戸時代の契沖、真淵、宣長らによる国学的理解をストレートに受け継ぐ現在の万葉学、及びそれに追随するだけの趣味的万葉解釈では望むべくもないということです。
ここに、万葉学のコペルニクス的転回が図られねばならない必然性があります。
この辺を、追い追い展開したいと思います。単なる気負いに終わる恐れは十分ありますが。■
なお、[2]
https://mixi.jp/view_bbs_comment.pl?comment_number=2&community_id=18000&bbs_id=101305939
で論じた「天離る鄙」は、下記の
柿本朝臣人麻呂覊旅歌八首(中一首)
天離る鄙の長道ゆ恋ひ来れば明石の門より倭島見ゆ [一本云 家のあたり見ゆ
（巻三、二五五）
https://mixi.jp/view_bbs_comment.pl?comment_number=511&community_id=18000&bbs_id=89042590
で論じた「天離る鄙」と同じであり、ここからも人麿における「天」の認識が九州、筑紫を中心とする「天国（あまくに）」であることが明らかです。■
https://mixi.jp/view_bbs_comment.pl?comment_number=2&community_id=18000&bbs_id=101305939
で論じた「天離る鄙」は、下記の
柿本朝臣人麻呂覊旅歌八首(中一首)
天離る鄙の長道ゆ恋ひ来れば明石の門より倭島見ゆ [一本云 家のあたり見ゆ
（巻三、二五五）
https://mixi.jp/view_bbs_comment.pl?comment_number=511&community_id=18000&bbs_id=89042590
で論じた「天離る鄙」と同じであり、ここからも人麿における「天」の認識が九州、筑紫を中心とする「天国（あまくに）」であることが明らかです。■
>>[28]
＞＞人麻呂が詠んでるのは忍熊王ではなく若郎子
いいえ、誤りです。
悲運の第一次近江京の三代目、筑紫へ遠征した仲哀天皇の太子香坂王と次子忍熊王です。権力の正統性からいえば当然、香坂、忍熊が正統の王者（天皇位）であり、神功皇后派、品陀和気(応神天皇)は反乱軍になります。
そして、楽浪での戦闘に敗れた正統派の忍熊軍は琵琶湖の湖底に沈みました。
楽浪の志賀の [一云 比良の] 大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも [一云 逢はむと思へや] （三十一）
と人麿が詠んだのは、忍熊天皇、五十茅宿禰ら湖底に沈ん人々です。数日にして、忍熊王の遺骸が宇治川に浮かびます。
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (巻三、二六四)
は、この「忍熊天皇をとむらう歌」です。忍熊王は、琵琶湖の湖底、大津の岸辺に沈んだあと、宇治川に浮かんだ。恐らくこの網代木に骸が絡みついたのではないかということです。
人麿はこの悲劇を知っており、この歌を歌ったのであり、単なる抽象的な「無常観」を詠ったものではありません。
「もののふの 八十宇治川」は単なる枕言葉ではなく、多くの氏族を背景にした武士たちが、自己と自己の家々の興亡を掛けた戦いを行った古戦場、その史実を直指しています。人麿はここで明らかに「忍熊王の敗亡」を決定づけた、歴史上の著名なあの「菟道河の戦」を想起しています。
そして、この歌は、「過近江荒都歌」（巻一、二九）と呼応するものです。
これを理解できずに、 (巻三、二六四)を単なる抽象的な「無常観」を詠ったものと切り離し、
＞＞巻三雑歌の部のこの位置に配列されるほど時代が下がるのだろうか
と問うのは誤りだと指摘しているのですが、ご理解いただけないようです。それは、万葉の詞書を無批判に信頼し、「雑」から始まる万葉の偽変集に対する無理解という現在の万葉学の限界に追随する者に他ならないということです。■
＞＞人麻呂が詠んでるのは忍熊王ではなく若郎子
いいえ、誤りです。
悲運の第一次近江京の三代目、筑紫へ遠征した仲哀天皇の太子香坂王と次子忍熊王です。権力の正統性からいえば当然、香坂、忍熊が正統の王者（天皇位）であり、神功皇后派、品陀和気(応神天皇)は反乱軍になります。
そして、楽浪での戦闘に敗れた正統派の忍熊軍は琵琶湖の湖底に沈みました。
楽浪の志賀の [一云 比良の] 大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも [一云 逢はむと思へや] （三十一）
と人麿が詠んだのは、忍熊天皇、五十茅宿禰ら湖底に沈ん人々です。数日にして、忍熊王の遺骸が宇治川に浮かびます。
もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも (巻三、二六四)
は、この「忍熊天皇をとむらう歌」です。忍熊王は、琵琶湖の湖底、大津の岸辺に沈んだあと、宇治川に浮かんだ。恐らくこの網代木に骸が絡みついたのではないかということです。
人麿はこの悲劇を知っており、この歌を歌ったのであり、単なる抽象的な「無常観」を詠ったものではありません。
「もののふの 八十宇治川」は単なる枕言葉ではなく、多くの氏族を背景にした武士たちが、自己と自己の家々の興亡を掛けた戦いを行った古戦場、その史実を直指しています。人麿はここで明らかに「忍熊王の敗亡」を決定づけた、歴史上の著名なあの「菟道河の戦」を想起しています。
そして、この歌は、「過近江荒都歌」（巻一、二九）と呼応するものです。
これを理解できずに、 (巻三、二六四)を単なる抽象的な「無常観」を詠ったものと切り離し、
＞＞巻三雑歌の部のこの位置に配列されるほど時代が下がるのだろうか
と問うのは誤りだと指摘しているのですが、ご理解いただけないようです。それは、万葉の詞書を無批判に信頼し、「雑」から始まる万葉の偽変集に対する無理解という現在の万葉学の限界に追随する者に他ならないということです。■
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