邪馬台国コミュニティの皆様へ
シンポジウムのお知らせです。
九州国立博物館開館4周年記念特別展 関連イベント
シンポジウム「邪馬台国はここにあった」
日時：2009年（平成21年）11月8日（日） 13：00〜16：00
場所：九州国立博物館 ミュージアムホール
プログラム：
第1部 13:00〜13:50 基調対談「奈良・箸墓古墳は卑弥呼の墓か？」
出演者 橋本 輝彦氏（桜井市教育委員会主査）
高島 忠平氏（佐賀女子短期大学学長、邪馬台国を考える会顧問）
進行 河野 一隆氏（九州国立博物館企画課文化交流展示室長）
休憩 13:50〜14:00
第2部 14:00〜16:00 アマチュア歴史家による主張大会
「邪馬台国はここにあった」
出演者
日田〜吉野ヶ里説 井上 修一氏（大阪歴史学会会員、大阪府吹田市）
宇佐説 鷲崎 弘朋氏（歴史研究家、東京都練馬区）
畿内説 矢野 壽一氏（歴史研究家、福岡県筑紫野市）
筑後説 福嶋正日子氏（歴史研究家、久留米市田主丸町）
コーディネーター 赤司 善彦氏（九州国立博物館展示課長）
定員：300名
（聴講無料 ※特別展「古代九州の国宝」チケット半券の提示が必要）
応募方法：往復はがきの「往信用裏面」に郵便番号、住所、電話番号、氏名（4人まで可）、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名明記の上、
〒810-0001 福岡市中央区天神1-4-1
西日本新聞イベントサービス「古代九州の国宝 邪馬台国シンポジウム」係
まで。
問合せ／092-711-5491（平日10時〜17時） 締切／10月23日（金）必着
※複数名で申し込む場合（4人まで可）は、代表者の連絡先を記入
※応募多数の場合は抽選
主催：西日本新聞社
協力：（株）梓書院
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コメント(8)
東京でも「邪馬台国シンポジウム」が開催されます。
「近畿説支持のパネラー達が…九州説支持者の反論におおいに答えるシンポジウムとしたい」という、えらく挑戦的なシンポジウムですから、九州説派の方々は“おおいに”参加しましょう！！
ところで、パネルディスカッションの「近畿説、そこがおかしいのでは」って「九州説、そこがおかしいのでは」の間違いじゃないんでしょうか？
「邪馬台国シンポジウム」主催：ミニコミ誌『トンボの眼』後援：長崎県/壱岐市
http://www.tonbonome.net/event/091213.html
2009年12月13日（日）11:00〜16:30
■会場 早稲田大学総合学術情報センター 国際会議場（井深大記念ホール）
■定員 460名
■資料代 2,000円
第１部・対談『一支国・原の辻遺跡を見れば邪馬台国が見えてくる』
●時間：11:00〜12:30（開場10:30）
●ゲスト：安楽勉氏（原の辻遺跡調査事務所所長）
●聞き手：苅谷俊介氏（俳優・日本考古学協会会員・壱岐観光大使）
第２部・シンポジウム『邪馬台国・九州説を考える』
●時間：13:30〜16:30（終演）
●ゲスト：大塚初重先生（明治大学名誉教授）
●講演：西谷正先生（九州歴史資料館館長・九州大学名誉教授）
『邪馬台国・九州説を考える』
●パネルディスカッション：「近畿説、そこがおかしいのでは」
●パネラー：西谷正先生、苅谷俊介氏、安楽勉氏、大塚初重先生（予定）
●司会：菊池徹夫先生（早稲田大学文学部学術院教授・日本考古学協会会長）
[申込方法] 参加希望者は、往復ハガキに?郵便番号 ?住所 ?氏名（ふりがな）?人数 ?電話番号 ?返信ハガキの宛名を記入し、下記の申し込み先まで送ってください。なお返信ハガキが「シンポジウム受講証」となるので当日必ずご持参し、受付にて提示下さい。受講証の発送は、12月1日（火）発送。満席の場合は折り返しお断りの返信を送付します。
『トンボの眼』編集室 〒234-0051 横浜市港南区日野8-16-3-104
http://www.tonbonome.net/index.html
「近畿説支持のパネラー達が…九州説支持者の反論におおいに答えるシンポジウムとしたい」という、えらく挑戦的なシンポジウムですから、九州説派の方々は“おおいに”参加しましょう！！
ところで、パネルディスカッションの「近畿説、そこがおかしいのでは」って「九州説、そこがおかしいのでは」の間違いじゃないんでしょうか？
「邪馬台国シンポジウム」主催：ミニコミ誌『トンボの眼』後援：長崎県/壱岐市
http://www.tonbonome.net/event/091213.html
2009年12月13日（日）11:00〜16:30
■会場 早稲田大学総合学術情報センター 国際会議場（井深大記念ホール）
■定員 460名
■資料代 2,000円
第１部・対談『一支国・原の辻遺跡を見れば邪馬台国が見えてくる』
●時間：11:00〜12:30（開場10:30）
●ゲスト：安楽勉氏（原の辻遺跡調査事務所所長）
●聞き手：苅谷俊介氏（俳優・日本考古学協会会員・壱岐観光大使）
第２部・シンポジウム『邪馬台国・九州説を考える』
●時間：13:30〜16:30（終演）
●ゲスト：大塚初重先生（明治大学名誉教授）
●講演：西谷正先生（九州歴史資料館館長・九州大学名誉教授）
『邪馬台国・九州説を考える』
●パネルディスカッション：「近畿説、そこがおかしいのでは」
●パネラー：西谷正先生、苅谷俊介氏、安楽勉氏、大塚初重先生（予定）
●司会：菊池徹夫先生（早稲田大学文学部学術院教授・日本考古学協会会長）
[申込方法] 参加希望者は、往復ハガキに?郵便番号 ?住所 ?氏名（ふりがな）?人数 ?電話番号 ?返信ハガキの宛名を記入し、下記の申し込み先まで送ってください。なお返信ハガキが「シンポジウム受講証」となるので当日必ずご持参し、受付にて提示下さい。受講証の発送は、12月1日（火）発送。満席の場合は折り返しお断りの返信を送付します。
『トンボの眼』編集室 〒234-0051 横浜市港南区日野8-16-3-104
http://www.tonbonome.net/index.html
12/13、早大で、トンボの眼開催の邪馬台国シンポジウムを聴講してきました（10月に#4レスで紹介）。第二部からの参加でしたが、大塚初重先生の講演−初めてお聴きしましたが、人気があるのがよくわかりました（笑）…今回の講師陣の中では一番笑いをとっていたのではないでしょうか…
興味深かった話やそれはちょっと…という話をレポートしておきます。
(1)大塚初重先生 「三角縁神獣鏡の製作地論争は未だ続いているが…黒塚古墳の発掘以降、いわゆる“卑弥呼の鏡”（魏の皇帝からもらった銅鏡百枚）ではないと思うようになった」
墓室内での取り扱われ方と年号鏡や鋳上がり良好ないわゆる舶載鏡の存在…この矛盾を理解し難いと正直な感想を吐露されていました。ただ斜縁神獣鏡には触れておられましたが、最近銅鏡研究者から卑弥呼の鏡とされだした「画文帯神獣鏡」については触れられず、鏡分布の中心が移動することに関しても特にお話しにはなりませんでした。
それから中国考古学者の王仲珠さんに質問した時の話を披露されていました。「三角縁神獣鏡の製作地は？」「鋳型が出たところ、そこが邪馬台国」 「邪馬台国はどこ？」「畿内！」
(2)西谷 正先生 「『漢書地理志』に「分かれて百余国」とあるのが、『魏志倭人伝』に「使訳通じる所三十国」と書かれていることについて…よく文献史学者は百余国が（戦争などで）統合されて魏の時は三十国に減ったというような説明をしているが、文章をそのまま読むと統合されたなどというのは想像に過ぎない。環壕集落の数などから邪馬台国時代には九州から関東まで全国に五百を超えるクニがあったと考えられる」
統合されたどころかクニはどんどん増えていったというお話で、講演に行く先々で、ここも、あそこも「古代のクニ」だったいう調子で“クニづくり”をされているようです。古代のクニ−コミュニティの範囲が、後の「郡」程度の規模だったというのは間違ってはいないのですが、『倭人伝』に描かれた投馬国や邪馬台国の規模とは矛盾しており、この辺が本当の問題点なんですが…細かい話をすると、環壕集落は、近畿では弥生中期が中心だし、関東では弥生後期になって登場、瀬戸内では環濠集落自体がないし…それをみんないっしょに「邪馬台国時代には…」とやってしまっては…
興味深かった話やそれはちょっと…という話をレポートしておきます。
(1)大塚初重先生 「三角縁神獣鏡の製作地論争は未だ続いているが…黒塚古墳の発掘以降、いわゆる“卑弥呼の鏡”（魏の皇帝からもらった銅鏡百枚）ではないと思うようになった」
墓室内での取り扱われ方と年号鏡や鋳上がり良好ないわゆる舶載鏡の存在…この矛盾を理解し難いと正直な感想を吐露されていました。ただ斜縁神獣鏡には触れておられましたが、最近銅鏡研究者から卑弥呼の鏡とされだした「画文帯神獣鏡」については触れられず、鏡分布の中心が移動することに関しても特にお話しにはなりませんでした。
それから中国考古学者の王仲珠さんに質問した時の話を披露されていました。「三角縁神獣鏡の製作地は？」「鋳型が出たところ、そこが邪馬台国」 「邪馬台国はどこ？」「畿内！」
(2)西谷 正先生 「『漢書地理志』に「分かれて百余国」とあるのが、『魏志倭人伝』に「使訳通じる所三十国」と書かれていることについて…よく文献史学者は百余国が（戦争などで）統合されて魏の時は三十国に減ったというような説明をしているが、文章をそのまま読むと統合されたなどというのは想像に過ぎない。環壕集落の数などから邪馬台国時代には九州から関東まで全国に五百を超えるクニがあったと考えられる」
統合されたどころかクニはどんどん増えていったというお話で、講演に行く先々で、ここも、あそこも「古代のクニ」だったいう調子で“クニづくり”をされているようです。古代のクニ−コミュニティの範囲が、後の「郡」程度の規模だったというのは間違ってはいないのですが、『倭人伝』に描かれた投馬国や邪馬台国の規模とは矛盾しており、この辺が本当の問題点なんですが…細かい話をすると、環壕集落は、近畿では弥生中期が中心だし、関東では弥生後期になって登場、瀬戸内では環濠集落自体がないし…それをみんないっしょに「邪馬台国時代には…」とやってしまっては…
（6のつづきです）
(3)パネルディスカッション「近畿説、そこがおかしいのでは」での話題
今回は近畿説の講師が九州説の聴講者の疑問に答えるという触れ込みだったので、会場からも九州説有利な材料が質問として出されていた様子でした。ただし、パネルディスカッションの前に延々と苅谷俊介さんが30分近くも自説披露のため時間を潰してしまい、司会の菊池徹夫さん（早大）から「纒向遺跡のスライドはもっと見たいのですが、そろそろディスカッションに入らないと…」とクレームをつけられる一幕もありました。
・狗奴国
特に狗奴国に関しては「その南に狗奴国あり」や「狗古智卑狗」の記述があるため、たくさんの質問が出されており、最初に取り上げられていました。しかし、狗奴国の比定地に関しては、西谷先生が「群馬県＝毛野国説」、苅谷さんが「仙台説」を主張され、聴いていて全く質問の意図と噛み合っていない印象を受けました。苅谷さんの仙台説については論外としても、西谷先生の毛野国説は目新しいものでもなく、「ここも、あそこも「古代のクニ」だった」論の流れで、「吉野ヶ里遺跡は弥奴国（後の三根郡）だから、狗奴と発音が一致するのは毛野国」という説明…考古学者の説明とはとうてい思えない…単なる語呂合わせ説。
西谷先生は講演の中で「古代のクニ−コミュニティの範囲が、後の「郡」程度の規模だった」と重要な指摘をされながら、どうして邪馬台国と戦ったという狗奴国が遠い関東の群馬県になってしまうのか…
・九州と大和の地名の一致
これは安本美典さんが主張する「邪馬台国東遷説」の根拠の一つですが、西谷先生は「地名はいろいろな事情で現在の形になっている。私の住んでいる福岡市の「福岡」という地名は黒田長政が福岡築城の際、備前国福岡庄（岡山県瀬戸内市長船町福岡）にちなんだといわれている。九州と大和の地名の一致しているというのも、いつの時代か現在見るような地名が付けられたとみるべきだろう」と、質問の答えになっているような、なっていないような回答でした。
・邪馬台国時代の山陰地方の状況は？
この質問に関しては、会場側としては「『倭人伝』の三十国のこの国に比定される」というような答えを期待していた向きもあると思いますが、西谷先生の答えは見事に肩透かしなものでした。西谷先生曰く「西谷墳墓群のある地域も大きなクニの一つだろうし、妻木晩田遺跡も伯耆にあったクニの中心集落、青谷上寺地遺跡も因幡西端にあった出先的集落」…と、ここでも先述の「ここも、あそこも「古代のクニ」だった」論を展開されていました。問題はこういった各地のクニグニがどのように統合されて古墳時代を迎えるのか−聴講者はここが知りたかったはずなんですが…
※図は九州と大和の地名の一致（左が九州[筑後川北岸・甘木周辺]、右が大和[奈良盆地東南部]）
(3)パネルディスカッション「近畿説、そこがおかしいのでは」での話題
今回は近畿説の講師が九州説の聴講者の疑問に答えるという触れ込みだったので、会場からも九州説有利な材料が質問として出されていた様子でした。ただし、パネルディスカッションの前に延々と苅谷俊介さんが30分近くも自説披露のため時間を潰してしまい、司会の菊池徹夫さん（早大）から「纒向遺跡のスライドはもっと見たいのですが、そろそろディスカッションに入らないと…」とクレームをつけられる一幕もありました。
・狗奴国
特に狗奴国に関しては「その南に狗奴国あり」や「狗古智卑狗」の記述があるため、たくさんの質問が出されており、最初に取り上げられていました。しかし、狗奴国の比定地に関しては、西谷先生が「群馬県＝毛野国説」、苅谷さんが「仙台説」を主張され、聴いていて全く質問の意図と噛み合っていない印象を受けました。苅谷さんの仙台説については論外としても、西谷先生の毛野国説は目新しいものでもなく、「ここも、あそこも「古代のクニ」だった」論の流れで、「吉野ヶ里遺跡は弥奴国（後の三根郡）だから、狗奴と発音が一致するのは毛野国」という説明…考古学者の説明とはとうてい思えない…単なる語呂合わせ説。
西谷先生は講演の中で「古代のクニ−コミュニティの範囲が、後の「郡」程度の規模だった」と重要な指摘をされながら、どうして邪馬台国と戦ったという狗奴国が遠い関東の群馬県になってしまうのか…
・九州と大和の地名の一致
これは安本美典さんが主張する「邪馬台国東遷説」の根拠の一つですが、西谷先生は「地名はいろいろな事情で現在の形になっている。私の住んでいる福岡市の「福岡」という地名は黒田長政が福岡築城の際、備前国福岡庄（岡山県瀬戸内市長船町福岡）にちなんだといわれている。九州と大和の地名の一致しているというのも、いつの時代か現在見るような地名が付けられたとみるべきだろう」と、質問の答えになっているような、なっていないような回答でした。
・邪馬台国時代の山陰地方の状況は？
この質問に関しては、会場側としては「『倭人伝』の三十国のこの国に比定される」というような答えを期待していた向きもあると思いますが、西谷先生の答えは見事に肩透かしなものでした。西谷先生曰く「西谷墳墓群のある地域も大きなクニの一つだろうし、妻木晩田遺跡も伯耆にあったクニの中心集落、青谷上寺地遺跡も因幡西端にあった出先的集落」…と、ここでも先述の「ここも、あそこも「古代のクニ」だった」論を展開されていました。問題はこういった各地のクニグニがどのように統合されて古墳時代を迎えるのか−聴講者はここが知りたかったはずなんですが…
※図は九州と大和の地名の一致（左が九州[筑後川北岸・甘木周辺]、右が大和[奈良盆地東南部]）
（7のつづきです）
・大和に鉄はあったのか？
「弥生時代の鉄器は九州が（圧倒的に）多い」…奥野正男さん以来、九州説の最も頼りとする事実ですが、大塚先生はご自分の講演の中でもこの問題を取り上げて論じられていました。大塚先生は「九州の鉄器は墳墓から出土したものが多い。それに対して近畿−大和では弥生時代墳墓の発掘が進んでいない−だから鉄器が少ないのではないか」…佐原先生の近畿の鉄器が全部腐食して土中に溶けてしまったという“珍説”に比べれば、まあ理屈としては通っていますが…九州の鉄器は墳墓から出土したものが多いというこの説明自体正しいのでしょうか？
苅谷さんは「纒向遺跡から鉄器が出土しない理由として、纒向は祭祀を行う聖地だった」と述べ「出土する鍬も使用痕（鍬先に鉄器が取り付けられていない）がない。これは祭祀用のため」と説明されていました。しかし纒向遺跡からフイゴ羽口が出土しており、筑紫系のものといわれています… また苅谷さんは丹後の奈具岡遺跡を上げて、近畿には日本海ルートで鉄器が多量に持ち込まれており、九州には負けないと強調されていました。最近の調査研究で、丹後地域も侮りがたい存在として急浮上してきたのは事実だとして、何故か今年1月話題になった淡路島の垣内遺跡のことにはいっさい触れられませんでした。
・当時の中国人が“邪馬台国”や“卑弥呼”をどう発音したか？
西谷先生は「私たちにはこの質問には答えられないので、トンボ塾で是非取り上げてください」とリクエストしていました。この後、苅谷さんが金田一先生に師事した時に覚えたという「古代伊呂波発音」を披露されていたのが大ウケ。
兵庫県立考古博の隣にある播磨町郷土資料館にはあまり知られていませんが、大中ムラの少年が弥生語で語りかけてくれます。何となく懐かしいような、でもよく意味はわからない、東北地方や沖縄のお婆さんが話しているような言葉です。苅谷さんの伊呂波歌はこれにかなり似た感じでした。
・箸墓古墳は発掘する日が来るのでしょうか？
今回の質問の中で最もウケていたものの一つ。これには大塚先生が答えておられましたが、「現在の日本の国体が続く限り発掘されることはないと思う」とつれないお答え。しかし、そこは大塚先生しっかりフォローされていて、「数年前の台風で箸墓の立木が風倒木の被害にあった。この時、宮内庁書陵部が奈良大学の考古学専攻生をアルバイトで雇って、箸墓内に入って倒木の根本の大きな穴から土器を採集したことがある。そういう意味では箸墓が調査できないとはいいきれない」ということで、何らかのチャンスが来れば発掘することもあり得るという聴衆に淡い期待を持たせる言い方をされていました。
※図は弥生時代の地域別鉄器出土量
・大和に鉄はあったのか？
「弥生時代の鉄器は九州が（圧倒的に）多い」…奥野正男さん以来、九州説の最も頼りとする事実ですが、大塚先生はご自分の講演の中でもこの問題を取り上げて論じられていました。大塚先生は「九州の鉄器は墳墓から出土したものが多い。それに対して近畿−大和では弥生時代墳墓の発掘が進んでいない−だから鉄器が少ないのではないか」…佐原先生の近畿の鉄器が全部腐食して土中に溶けてしまったという“珍説”に比べれば、まあ理屈としては通っていますが…九州の鉄器は墳墓から出土したものが多いというこの説明自体正しいのでしょうか？
苅谷さんは「纒向遺跡から鉄器が出土しない理由として、纒向は祭祀を行う聖地だった」と述べ「出土する鍬も使用痕（鍬先に鉄器が取り付けられていない）がない。これは祭祀用のため」と説明されていました。しかし纒向遺跡からフイゴ羽口が出土しており、筑紫系のものといわれています… また苅谷さんは丹後の奈具岡遺跡を上げて、近畿には日本海ルートで鉄器が多量に持ち込まれており、九州には負けないと強調されていました。最近の調査研究で、丹後地域も侮りがたい存在として急浮上してきたのは事実だとして、何故か今年1月話題になった淡路島の垣内遺跡のことにはいっさい触れられませんでした。
・当時の中国人が“邪馬台国”や“卑弥呼”をどう発音したか？
西谷先生は「私たちにはこの質問には答えられないので、トンボ塾で是非取り上げてください」とリクエストしていました。この後、苅谷さんが金田一先生に師事した時に覚えたという「古代伊呂波発音」を披露されていたのが大ウケ。
兵庫県立考古博の隣にある播磨町郷土資料館にはあまり知られていませんが、大中ムラの少年が弥生語で語りかけてくれます。何となく懐かしいような、でもよく意味はわからない、東北地方や沖縄のお婆さんが話しているような言葉です。苅谷さんの伊呂波歌はこれにかなり似た感じでした。
・箸墓古墳は発掘する日が来るのでしょうか？
今回の質問の中で最もウケていたものの一つ。これには大塚先生が答えておられましたが、「現在の日本の国体が続く限り発掘されることはないと思う」とつれないお答え。しかし、そこは大塚先生しっかりフォローされていて、「数年前の台風で箸墓の立木が風倒木の被害にあった。この時、宮内庁書陵部が奈良大学の考古学専攻生をアルバイトで雇って、箸墓内に入って倒木の根本の大きな穴から土器を採集したことがある。そういう意味では箸墓が調査できないとはいいきれない」ということで、何らかのチャンスが来れば発掘することもあり得るという聴衆に淡い期待を持たせる言い方をされていました。
※図は弥生時代の地域別鉄器出土量
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