飛行性能を最大限に発揮するということを目標にすれば、飛行機の主翼を水平にし、機首方向を一定に保つことで水平直線飛行を行います。Aileron(補助翼)を使用して主翼を水平に保ち、またRudder(方向舵)を用いて機首方向も維持する。これによって、飛行機はVertical Component of Lift(揚力の垂直成分)を効果的に、また最大限に発生することができるため、発生する抗力は最小限に抑えられ、また不必要な機首方向の変位を防ぐことができます。
この状態では、飛行機が進行方向を順調に左方向へ変位することは誰の目にも明らかです。力学的に説明すれば、主翼を左へ傾けたことで、先の水平直線飛行で垂直方向のみに発生していたVertical Component of Liftに加え、横方向へのHorizontal Component of Lift(揚力の水平成分)が発生したためということは、今さら説明するまでもないことでしょう。でも、Horizontal Component of Liftの発生だけで、なぜ進行方向が順調に変化していくのでしょうか。
おそらく、ここではおよそ二つに分けられた段階があるのではないかと思います。第一段階では、主翼が左側に傾くことでまずHorizontal Component of Lift(以下HCL)が左方向へ発生する。これにより、飛行機が左方向へ移動(横滑り)し、機首方向と進行方向に差が現れる。第二段階では、横滑りによる相対風が、Rudderも含めたVertical Stabilizer(垂直尾翼)などに作用して、機首方向を実際の進行方向へ近づけようとする。この作用が連続的に行われることで、飛行機は旋回を機首方向を変化するということで行うことができるのだと思います。
飛行中は相対的な動きを判定できる外部の物体が乏しく、旋回率の違いは判定できても、旋回半径まではなかなか判断できません。旋回率の違いはTurn and Slip Indicatorを確認したり、旋回に掛かる時間を計ることで可能ですので、ご自身で確認して頂けます。旋回半径については、GPSの記録を元にして飛行経路を判定することも可能でしょうが、ここは編隊飛行中の操作を思い返して頂ければ理解も可能かと思います。