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STICK & RUDDER 倶楽部コミュの旋回についての考察

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人はどうして歩く方向を変えられるのだろう?
自転車で曲がることができるのはなぜだろう?

子供のころの私には、他のいくつもの謎ときと同じように、これらがいつも頭にあったように思います。学校からの帰り道に歩いていて、歩道を真直ぐに歩くことも、また角を曲がることも自在にできる。どうしてかは判らないけれど、なぜか歩く方向は変えることができる。それは自転車も同じ。考え事をしながら下を向いて歩くことが多かった私は、父親に「下ばかり見ていないで、男は真直ぐ前を見て歩け!」などとよく叱られたものでした。

これに似た謎は、飛行機に乗るときも頭を過ぎります。そもそも、飛行機が旋回するのはなぜなのでしょうか。進行方向が変わることを旋回と言うのなら、Loop(宙返り)も360度の縦の旋回と言う事もできる。Half Loop(宙返りを半分行うこと)をすれば、機首方向は180度変化し、来た方向へ戻ることもできるから、やはり旋回には違いない。と言うことは、ただのPitch upやPitch downも、横方向への進行方向は変わらないとしても、縦方向に進行方向が変わるのだから、これらも旋回の一種と言えるのだろうか。こう考え出すとさらに判らなくなります。

以上のように、旋回は飛行機の操縦の基礎である「4 Basics」にも含まれるものですが、私にはとても神秘的な現象に思えます。今回は、飛行機の操縦の4 Basicsの上昇と下降を除いた、水平直線飛行と旋回、これらに的を絞って考えてみました。

コメント(8)

飛行性能を最大限に発揮するということを目標にすれば、飛行機の主翼を水平にし、機首方向を一定に保つことで水平直線飛行を行います。Aileron(補助翼)を使用して主翼を水平に保ち、またRudder(方向舵)を用いて機首方向も維持する。これによって、飛行機はVertical Component of Lift(揚力の垂直成分)を効果的に、また最大限に発生することができるため、発生する抗力は最小限に抑えられ、また不必要な機首方向の変位を防ぐことができます。

今回の考察を簡略化するために、このように高度を一定に保った状態として、次に左方向への旋回を考えてみます。ご存知のように、旋回とは飛行機の進行方向を変位させることを言い、Aileronを用いてRollを発生し、意図的に主翼を傾けることで行います。さらに簡略化するために、Roll in、Roll out時のAileronの使用によるAdverse Yawの発生、旋回時のOver Banking Tendency、Propellerの回転によるLeft Turning Tendencyなどは省き、20度程度のBank Angleを左側へ確立し、Rudderも中立とした、安定した旋回が行われている状況を考えてみます。

この状態では、飛行機が進行方向を順調に左方向へ変位することは誰の目にも明らかです。力学的に説明すれば、主翼を左へ傾けたことで、先の水平直線飛行で垂直方向のみに発生していたVertical Component of Liftに加え、横方向へのHorizontal Component of Lift(揚力の水平成分)が発生したためということは、今さら説明するまでもないことでしょう。でも、Horizontal Component of Liftの発生だけで、なぜ進行方向が順調に変化していくのでしょうか。
おそらく、ここではおよそ二つに分けられた段階があるのではないかと思います。第一段階では、主翼が左側に傾くことでまずHorizontal Component of Lift(以下HCL)が左方向へ発生する。これにより、飛行機が左方向へ移動(横滑り)し、機首方向と進行方向に差が現れる。第二段階では、横滑りによる相対風が、Rudderも含めたVertical Stabilizer(垂直尾翼)などに作用して、機首方向を実際の進行方向へ近づけようとする。この作用が連続的に行われることで、飛行機は旋回を機首方向を変化するということで行うことができるのだと思います。

つまり、主翼を傾けるだけでは発生するのはHCLのみであり、仮に垂直尾翼を持たず、また胴体側面などからの作用なども期待できない飛行機があるとすれば、Bank Angleを確立したとしても行えるのは横方向への移動だけとなるのではないでしょうか。このような飛行機では、進行方向を継続的に変化させる、旋回を行うことは非常に困難な乗り物になると推測できます。

こう考えれば、旋回中の飛行機は、進行方向と機首方向に幾分の差を残した横滑りが常にあるのでしょう。旋回中、進行方向は機首方向よりも若干内側となり、これは内滑り旋回(Slip)と呼ばれます。この状態では旋回時の飛行性能に多少の犠牲がありますから、Rudderを旋回方向に必要な量だけ入力して、Coordination(釣り合い)を保つ努力が必要となります。

内滑り旋回と外滑り旋回、これら2つは言葉としてもとても判りやすいものです。しかし、この呼び方はある混乱を引き起こしてしまうようです。例えば、それは以下のようなものです。


内滑り旋回(Slip)は定常旋回時の飛行経路よりも内側に滑るため、旋回半径は小さく、また旋回率は大きい。
外滑り旋回(Skid)は定常旋回時の飛行経路よりも外側に滑るため、旋回半径は大きく、また旋回率は小さい。


一見正しく思えるこの主張ですが、これは本当でしょうか。
検証1

先に私が述べたように、「旋回中、進行方向は機首方向よりも内側となり、これは内滑り旋回(Slip)と呼ばれます」という記述には何の間違いもありません。この文章だけを見れば、「内滑り旋回では旋回半径は小さくなる」と誤解してしまっても無理もないことです。しかし、ここで見逃していることに「定常旋回時と内滑り旋回時での、機首方向の差」があるのではないでしょうか。残念ながら、ここを誤って理解している方は経験豊富な飛行士にもいらっしゃるようです。

図1は、定常旋回時の飛行機の飛行です。ご覧のように、機首方向と進行方向に差が無く、Coordinateされた旋回が行われていることが判ります。

ここで旋回外側(右側)のRudder Pedalを踏み、意図的にCoordinationを崩して内滑り旋回としたものが図2の飛行機です。右側のRudder Pedalを踏んだために進行方向は機首方向の左側へ内滑りし、つまり内側へ滑っての旋回となります。しかし、定常旋回時の飛行経路に比べると、機首方向が右側へ向いているために、内滑り旋回中の飛行経路は外側に向かっています。

同様に、先と同じ定常旋回からCoordinationを崩し、今度は外滑り旋回を行ってみましょう。図3は左側のRudder Pedalを踏んで、外滑り旋回を行ったものです。外滑りによって、進行方向が機首方向の右側へ外滑りしていますが、外滑り旋回時の飛行経路は先の定常旋回の時と比較してどうでしょうか。

これらから、現実には「定常旋回時に比較して、内滑り旋回は旋回半径は大きく、旋回率は小さくなる。反対に、外滑り旋回は旋回半径は小さく、旋回率は大きくなる」のではないかと考えます。
検証2

飛行中は相対的な動きを判定できる外部の物体が乏しく、旋回率の違いは判定できても、旋回半径まではなかなか判断できません。旋回率の違いはTurn and Slip Indicatorを確認したり、旋回に掛かる時間を計ることで可能ですので、ご自身で確認して頂けます。旋回半径については、GPSの記録を元にして飛行経路を判定することも可能でしょうが、ここは編隊飛行中の操作を思い返して頂ければ理解も可能かと思います。

ここでは、Leadの機体尾部に続いて、WingmanとしてTrail形態にて旋回を行っていると仮定します。Bank Angleは再び左に約20度として定常旋回を行っているとしましょう。ここで、WingmanがLeadの右側、つまり旋回外側へ移動するときには、操縦士はどうすべきでしょうか。編隊飛行で用いられる技術は、「Bank AngleはLeadと同じに保ち、Rudderで左右の移動を行う」が一般的です。つまり、操作としては右側のRudder Pedalを踏み、Leadの右側へ移動するということになります。左旋回中に右側のRudder Pedalを踏む行為は内滑り旋回ですから、内滑り旋回は外側へ大回りした旋回、つまり旋回半径の大きい旋回であることが判ります。また、速度がほぼ同じでの飛行ですから、旋回半径が大きいということは旋回率が小さな旋回と考えてよいのではないでしょうか。もちろん、右側のRudder Pedalを踏んで外滑り旋回させれば、飛行機はLeadの左側へ移動し、旋回半径が小さくなるということは言うまでもありません。

同様の状況は、滑空機での曳航中にも当てはまることではないでしょうか。滑空機で飛行される皆様には、ぜひ次回の飛行で検証されてください。
検証3

内滑り旋回は定常旋回に比べて旋回半径が大きくなるとするならば、その旋回半径はどこまで大きくすることができるのでしょうか。20度程度のBank Angleを確立していても、旋回半径を限りなく大きくして、水平直線飛行も可能なのではないでしょうか。もちろん可能です。





この飛行機は30度程度のBank Angleを持って、Top Rudder(Bankで傾けた方向とは逆のRudder Pedal)を用い、HCLを相殺することで、滑走路上を直線飛行しています。旋回こそしていませんが、これは内滑り旋回での旋回半径を限りなく大きくした飛行と呼ぶこともできます。もし、内滑り旋回が旋回半径を小さくする、また旋回率を大きくするのであれば、この飛行機が右側へBankした時点で撮影者の方向へ急旋回してくるのではないでしょうか。

また、このPitts Specialのように運動性能の高い飛行機であれば、さらにTop Rudderを大きく踏み込んで、Bankとは反対側へ旋回することも可能です。これは、Rolling Circleという曲技飛行を行う上で基礎となる飛行技術です。
検証4

上の検証3のようにBank Angleを確立しての直線飛行が可能なら、主翼を水平に保っての旋回も可能ではないでしょうか。もちろん可能です。


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この飛行機は、左側のRudder Pedalを踏み込んで左へYawingを発生させ、それによって発生する左へのRollを右へのAileronで相殺し、主翼を水平に保った状態で左旋回しています。また、この時機内には右方向への重力が発生し、操縦者や機内に置かれる物を旋回外側へ引張っています。俗に「横G」などとも呼ばれますが、これは旋回中の遠心力であって、旋回が行われていることの証明になるものです。

ここでは主翼を水平に保ってYawingのみで旋回しており、これは外滑り旋回の一つと言えます。本来ならば、主翼が水平であるために、限りなく大きな旋回半径とも言える直線飛行を行うはずが、その飛行に不釣合いな、大きな旋回率を保っているために、旋回半径が小さくなってしまったということではないでしょうか。つまり、「外滑り旋回は旋回半径が小さく、旋回率は大きくなる」となります。
結論

内滑り旋回(Slip)は定常旋回時の飛行経路と比較して外側を飛行し、旋回半径は大きく、また旋回率は小さい。
外滑り旋回(Skid)は定常旋回時の飛行経路と比較して内側を飛行し、旋回半径は小さく、また旋回率は大きい。



長くなりましたが、日々の飛行をさらに突き詰めて行くことによって、飛行機が旋回するという現象が何によって行われているのかが理解できたように思います。固定観念を廃して、目の前にある現実をしっかりと見つめることで、さらに正しい理解ができるのではないでしょうか。

お付き合いありがとうございました。
早速の訂正です。
No.4の検証2、後半の部分での誤りに気付かれた方もいらっしゃると思いますが。

「もちろん、右側のRudder Pedalを踏んで外滑り旋回させれば、飛行機はLeadの左側へ移動し、旋回半径が小さくなるということは言うまでもありません。」

の文は、正しくは「もちろん、左側のRudder Pedalを踏んで外滑り旋回させれば、・・・」です。

お詫びして、訂正させて頂きます。

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