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トラウムブルグ7番地コミュの過去作品晒しあげ

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適当に、過去に書いた作品を晒していきます。
暇な方はどうぞ見てやってください。

あまり期待しないでください(汗

コメント(3)

= 水辺の学校 ? =


僕は、自分の名前が嫌い。
『薫』っていう名前、女みたいで嫌い。

僕は水が嫌い。
もっと小さかった頃、ビーチプールで溺れたから嫌い。

僕は高いところが嫌い。
高いところなんて好きな人っているのかなぁ……だって、怖いんだもん。

はっきりいって、自分が嫌い。
臆病だし、目立たないし、頭だって悪いし……





そんな僕に、また嫌な季節がやってきた。

み〜ん、みんみんみ〜〜〜……

暑いから嫌いなんじゃない。
僕は、暑くても寒くても平気。
そんなことよりも……

クラスメイト
「わ〜〜〜い!!!」

バシャン、バシャン!!!
学校の前に掛かってる橋は、怖い。
だって、すごく高いもん。
ガードレールもついてない橋なんて、怖いもん。

みんな、学校帰りにはその橋から『飛びっこ』をして遊んでる。
僕は怖いから、そんな事できない。

クラスメイト
「わーっ!はっけーっ!!!」

クラスメイト
「くそおっ!こっちさ水かけんなったよなーっ!」

やっぱ、暑いのなんて嫌い。





声1
「かおるーん、一緒に飛びっこしねがー?」

学校の前を通り過ぎると、見えない川底から声が聞こえてきた。

声2
「だめだめ、かおるんはすった暇ねぇべ。家さ帰って勉強さねば、まだ先生に怒られるべ?」

その声に、僕は少しカチンときて、川の下を眺めてみた。
川の水は、綺麗なほど透明で、やまめが泳いでいるのが見えた。
でも、川底は深くて、足が震えた。

クラスメイト1
「んだんだ。早く家さ帰ってだ方がええべ」

橋の下から、数人の笑い声が聞こえる。
みんな、僕のクラスメイトだ。

薫
「僕は、あっちさ掛かってる橋どご通った方が、家さ近けぇんだー!んだがら、ここの橋でなば、飛びっこしねぇんだー!」

川の下流に掛かるもう一つの端を指差し、思いっきり叫んでやった。
そして、後ろから聞こえる笑い声を無視して、走った。
しばらくして、声が聞こえなくなった頃、ふと後ろを振り向いた。
僕の視界には、学校と、橋と、おんぼろの家が一軒映っていた。





次の日、僕はまた宿題をやっていかなかった。
教室の前にある、先生の机に一人一人宿題を出していくとき、僕はまた先生に怒られた。

美浜先生
「薫くん、みんな宿題やってきてるんだから、しっかりこれくらいはやってきましょうね」

薫
「は、はい……」

クラスメイト9人のこの教室に、少し「クスクス」という笑い声が聞こえてきた。
どうせ、あいつらは、クラスで一番頭のいいチビっこ小夜のノートを写しただけなんだろう。
そう思うと、少しムッとした。

クラスメイト1
「昨日は宿題やんねばーって、早ぐ帰ったんじゃねっけがぁ?」

皮肉に言うあいつの言葉で、クラスからまた笑い声が聞こえてきた。

美浜先生
「こらっ、みんなも笑わない!クラスのうち半分は同じ回答だって、先生ちゃんと知ってるんですからね」

そう言うと、クラスはまた静まり返った。

美浜先生
「薫くん、今度はちゃんとやってきなさいよ」

薫
「は、はい」

美浜先生
「それに、ちゃんとみんなと一緒に遊べるようになりなさいよ」

そう言って、先生はにっこり笑った。
その笑顔に、僕は一瞬ドキッとした。





次の日の朝、僕はあの橋の上にいた。
まだ誰も登校してきていない。
みんなは日が暮れるまでここで遊んでるから、明るいうちにここに来れるのは、この時間しかないから。

(やっぱり高いや……)

足がガタガタ震えた。

(やっぱり、僕には無理……)

僕は、諦めて戻ろうかと、したとき、そこには一つの朝日に伸びる影が見えた。

薫
「見てたべ……」

小夜
「…………」

薫
「見てたべ……」

小夜
「…………」

小夜は、何も言わずに橋の向こう側に走っていった。


(?へ続く)
= 水辺の学校 ? =


クラスメイト1
「かおるーん?朝飛びっこでぎだがー?」

薫
「……なんで、その事知ってるなだ?」

クラスメイト1
「すったごど関係ねべー。かおるんが飛べだなら、えなーって思っただげだベー」

そいつは、口元がにやついていた。
すごくムカついた。
誰がチクった?
飛びっこの練習を知ってる奴……そうか、小夜だ。
あいつなら、朝に僕に会ってるから。

薫
「チクったべ?」

小夜
「…………」

薫
「チクったべ!」

小夜
「…………」

何も言わない、小夜に腹が立った。
だから、手を上げた。

パシンッッ!!!

小夜
「言ってないもん……私じゃないもん」

そのとき、後ろから誰かが教室に入ってくる音が聞こえた。





美浜先生
「どうしてあんなことをしたの?」

放課後。
職員室呼ばれて、僕は美浜先生の前に立たされていた。

美浜先生
「言ってくれなきゃわかんないでしょ?」

薫
「…………」

美浜先生
「ほら、泣かないで……怒ってる訳じゃないのよ。先生は、知りたいだけなの。薫くんも小夜ちゃんも、悪い子じゃないから」

そう言って、先生は僕の視線に目の高さを合わせる。

薫
「だってね、飛びっこがでぎねから……僕、練習しようとしたんだ……でも、やっぱでぎねくて……それを小夜に見られてて……」

ふぅっと、先生はため息をついた。

美浜先生
「薫くん、誰でも初めはそうなのよ。だから、ゆっくり練習していけばいいの。焦らないでいいのよ」

先生は、僕の頭をなでてくれた。
優しい手、そしていい香りがする。

美浜先生
「もし飛べるようになったら、先生にも教えてちょうだいね」

薫
「う、うんっ!」





次の日の朝、僕はまたあの場所にいた。

(今度こそ……今度こそ……)

足が震える。
飛ぶ姿勢に入るために、少し足を曲げて、橋の前につんのめりになる。
目を瞑る。
少し体を揺らす。

しかし、目を開けてしまった。
ずっと下に、川の水の流れる音。
怖い。

やっぱり、今日もダメだった。





学校に行くと、一つ、席が空いていた。

クラスメイト1
「なんで今日に限って小夜がいねんだぁー!」

「国語」と下手な字で書かれたノートをぶら下げて、奇声をあげていた。
風邪引いたのかなぁ……それとも……
僕の頭の中に、最悪の状況が渦巻いていく。

美浜先生
「今日は、小夜ちゃんは風邪を引いて休みだそうです。あとで元気になるように、一人一言、応援の手紙を書いてあげましょう」

クラス中からは「えー」とか「うー」とかといった声が聞こえてくる。
本当に風邪なのかなぁ……もしかして、昨日の僕のせい……

僕は、小夜への手紙を書いた。

『昨日はごめん。元気になったら、遊ぼう』

それを先生に渡した。

薫
「誰にも見られねぇように、頼むなぁ」

美浜先生
「うふふ。はいはい、分かりましたよ」

ちらりと僕の手紙を読んで、先生は僕の手紙をバッグにしまった。
昼休み、先生はその手紙を小夜の家に置きに行ったみたいだった。





放課後、僕はもう一度頑張ってみる。
今度こそ、飛びっこをやってやる。
先生に笑われないように、小夜に笑われないように。

クラスメイト1
「かおるーん!飛べねぇんなら辞めだ方がええどー!」

クラスメイト2
「おめぇには飛べねんだがら、やめれってー!」

僕は、その言葉に耳を傾けなかった。
ただ目を閉じて、橋の上にしゃがんでいた。

飛ぶ。

ただそれだけを、頭に描いて……



ふわっと体が浮いた。



声が出なかった。
気持ちよかった。

そして、体が水に触れた。

ただ静かに、水の音が聞こえていた。
静かだけど、今までで一番近くに聞こえる水の音。
触れた水が、冷たくて気持ちいい。



気持ちいい。



クラスメイト1
「気持ちええベー。何で今までやってねがったが、失敗したーって思ったべ!」

薫
「う、うん!」





川から上がると、そこにはボロい家が目の前にあった。
そこの二階から、見知った顔が見えた。

小夜だ。

僕は、大きく手を振った。
そうすると、その人影も元気に手を振り返した。
その顔は、今まで見てきた小夜の表情の中で、一番笑顔だった。
見入りました……いい話です。
幼心の機微が伝わってきます。こういう時期、自分にもありました。

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