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片手の魔術師(小説)コミュの片手の魔術師第14話

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第14話 諸刃の拳

二人の攻撃がお互いの攻撃を相殺し、互いに城壁へと吹き飛んだ。そのあと、くずれた城壁に埋もれた二人は、再び立ち上がり、離れた位置からにらみ合う。

どちらも険しい顔つきだ。心なしか、エルザドルの息が荒くなっている。久々のダメージをくらい、興奮しているからであろう。

「ギャハハハハ・・・。その腕は実に奇妙じゃ。良くそんな大きな腕を小人が使うもんじゃぁ!!!そんな腕をふりまわして・・その小さい体はもつかのぉ!?ギャハハハア!!!!」

ギシリと歯を鳴らす。血がにじみでるほど、強くかみ締めている。血管がやぶれそうないきおいで、フツフツと湧き上がる蒸気。こめかみあたりに、血管が目に見える。
そうとう きれている 状態だ。

「・・・体など、気にはしていない。この城を守ることが私の使命だ。そのためなら、この体がどうなろうとかまわない…。」

右手からビキビキと音が鳴る。ほとんどの力を右手に降り注いでいる為ほかの部位では負担が増してしまうのだ。
ましては、相手の破壊力と同じ威力。そうとうの負担といっていい。

「(負担がないように振舞ってはいたが・・さすがルアスの隊長クラス・・。一撃・・一撃決めることができれば勝てる…。)」



と、二人がにらみ合っているなか、離れた位置からみるリーシャとピロック。りんごを二人とも和気藹々と食べている。
たとえて言うなら 映画館の中 仲良しこよしで面白いものを見ている二人のようである。

「なぁ、リーシャ。あのおっさん相当疲れてないか?」

「んーだろうね。ピロックが戦ってるときに言っていたんだけど、実際あれつかうの2度目らしいよ。」

「2度目!?そんなもんをこんな大事なときに使うってのか!?」

リンゴを食べることをやめ、話に聞き入るピロック。ブンブンと羽音をたてリーシャの周りを飛び回ってはいるが。

「あのロビンさんと同じで、ローマンドさんも実践派ってことだろうね。んで、あの腕の名前は ダブルエッジアーム っていってた。」

「ダブルエッジアーム?なんだそれ?」

「ダブルエッジアーム 諸刃の拳。まぁ、大きな力を得るかわりに、体への負担が大きくなるってところじゃないかな。あの腕一箇所にほとんどの魔力をつぎ込んでるらしいから。」


「おぃおぃ・・ただでさえ、魔法使いの魔力が空になったら常人以下の体力になっちまうっていうのに・・・。手助けしなくていいのか?」

と、ピロックはウズウズしてきたらしく、先ほどよりも飛ぶスピードが増している。リーシャはそれを気にすることなく、一言やめるようにいった。それをきいたピロックのスピードは最初のころより目にわかるぐらい遅くなった。気分までもが飛び方に影響している。

「まぁ・・僕のつくった武器を一つ渡してあるよ。まぁ、だまってみておきなって。」

にたりと笑うリーシャ。こんな状況にもかかわらず笑っているのは自分の渡した武器で勝つことに自信があるからなのか、ピロックはリーシャの顔を覗き込み、その戦いを見守ることにした。




「(あの小僧・・よくまぁ考える。だが・・これで確実にやつの鎧を粉砕できる!)」

エルザドルの笑いが頂点に達したとき、目をギラギラとさせながら、猛ダッシュで突進してきた。最初のころよりスピードがある・・。疲れをまったく感じていないようだった。

「ギャハアアアアアハハハ!!!!」

しかし、ローマンドはじっとその場を動こうとしない。体の負担は予想以上に大きく、足をまともに動かすことができないからだ。
だが、ローマンドの顔は先ほどにもまして真剣な顔つきだ。
猛スピードで近づいてくるエルザドルからまったく目を離さず、にらみ続けている。


「…来い!」


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【諸刃の拳】
一度、取り込んだ魔力を腕一本につぎこんだ状態のこと。
得る魔力が大きければ大きいほど、腕が大きくなり威力を倍増できるのだが、その反動がおおきく体の負担も倍増となる。
ローマンドがいう第2段階の変化。

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