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片手の魔術師(小説)コミュの片手の魔術師第23話

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片手の魔術師第23話  交錯する怒り


コンタ・ガラナの助けもあって、ルアスの兵士たちから抜け出すことができたロビン。それでもルアスの兵士たちは次から次へと攻撃をしてくる。しかし先ほどよりは数が少なく魔法を使うことなく前に進むことができた。

門のあたりまでくると、ルアスの兵士たちの数が増えているのが目でわかる。

「あそこに・・あの金髪野郎がいるのか・・・ウズウズしてきたぜ。」

青髪の青年は一旦足をとめ、左手をそのルアスの兵士集団に向ける。先ほどと同じ形で大砲みたいな形だ。
ロビンが腰を深く落とし、右手で左手を押さえると、筒に赤い光が吸い込まれていく。左腕がだんだんと赤くなる。

「フレアバースト!!(炎の息吹)」

大砲のような腕から、ルアス兵士集団に一直線に赤い光が向かう。凝縮された光はちりちりと音を立てながら目にも留まらぬ速さで周りの草を焼き払う。
一瞬熱を感じたかと思うと、ルアスの兵士たちのよろいをあっという間に焦がす。そして、光が地面に当たると、勢い良く炎がほどばしる。

その光の飛んできた方向を兵士たちが見つめる。そこには白いマントを身にまとった青髪の青年が立っていた。それを視覚に捕らえた男がこの集団の中に一人いた。
黒いローブに身をまとい、右手に黒い鞭を持っている金髪の男だ。右目には赤い布が巻かれている。

「・・・やっときたかロビン」

そういうと、その男の周りに風が現われ、その風に乗るかのようにすばやい動きでロビンの元に向かう。それを確認したロビンであったが、次の瞬間腹部にずしりと重い衝撃を受けた。数メートル横に吹き飛ばされ地面に転がる。それと同時にその衝撃の正体を探った。

「・・・・っ」

視界がかすみ良く見えなかったが、目の前にいたのは先ほど遠くで確認できたシャフラだ。眼光は鋭く、殺気を感じた。とっさに体制をたてなおし、左手を剣の形に変える。

「こうも簡単に一撃が決まるとは・・・。」

「っけ・・油断しただけだっていうんだ。今の一撃で確実に俺をしとめなかったことを後悔させてやるよ」

ロビンも不意の一撃を食らって冷静でいられないはずがないが、その殺気のおかげで自分の立場を一瞬にして把握できた。目の前にいるのはあきらかに自分より強い存在である。足を動かそうにも足が何かに押さえつけられているような感覚になり前に進むことができないでいる。

「そう言っているわりには足が震えているな。」

「・・・・!?」

自分で隠そうとしていたつもりが、微細な筋肉の動きまで読み取っているのだろうか、シャフラのそこの言葉がさらにロビンを追い詰めた。

「武者震いってやつよ!!行くぜ!!!」

自分の意思を無理やりにでも曲げ、体を動かすロビン。だが、次の瞬間ビシッという空気を切り裂いた音の次には何発もの衝撃を体の正面で受けてしまった。
後ろに体がのけぞり、最後にシャフラの蹴りが腹部に決まる。口から血を吐き、後ろに数メートル吹っ飛ばされた。
目にも留まらない速さの攻撃がロビンに集中的にあたった。ロビンが確認できた攻撃は最後の蹴りぐらいである。

「(・・・この前より断然強ぇ!!!これがルアス三騎士の一人シャフラか。)」

「いつまでへばっているつもりだ。俺の恨みはこんなもんじゃ晴れやしない・・・」

「・・・恨みだと。俺が貴様にあったのはこの前のルアス奇襲の時だ。」

「まだしらばっくれるつもりか!!」

シャフラは鞭を勢い良くロビンにむかって振り下ろす。その攻撃をロビンは地面を転がりぎりぎりのところで避けることができた。
シャフラの鞭は地面に当たると爆発が起きたかのような強い衝撃で地面が揺れ、勢い良く砂塵が舞う。

「(なんとか攻撃を避けることができたが、傷を回復しないことにはまともな攻撃すらできねぇ。今は回復に専念だ)」

ロビンの左腕が青く光り、ロビンの体をその光が次第に覆う。腹部の傷や、正面に受けた傷などみるみるうちに消えていった。
が、次の瞬間砂塵の中からひとつの影が飛び出し、鞭を振り下ろす。
その攻撃をロビンは左腕を盾のような形に変え防ぐ。しかし、盾を伝っての衝撃が鋭く全身の自由を一瞬奪う。
その隙を狙って、シャフラは左手でロビンの顔面にパンチをぶち込んだ。

「いつまで本気を出さない気だ。魔力を温存して戦おうなんて俺をなめているのか?全力で来い」

鋭い眼光でロビンをにらみつけるシャフラ。

「・・・確かに温存したままじゃ勝てねぇか。だがお前も同時に俺に本気を出していない。シャフラ・・・全力で来いよ!」

同時にロビンもシャフラを睨む。

互いの視線に火花散った一瞬。シャフラは鞭をふりまわし、ロビンは小さな炎をシャフラに放つ。
シャフラの振り回した鞭に小さな炎があたると、爆発がおきお互いに衝撃により後ずさりをする。

「なっ!!?」

シャフラの動きが一瞬とまると、ロビンの右手に作られた青い光の玉が目の前にあった。
その攻撃をシャフラはぎりぎりのところで避け、ロビンと距離をおいた。

「っち・・惜しいな。」

「左腕が貴様の新しい能力・・それに頼りすぎ弱くなったと思っていたが、そうでもなさそうだ。」

「・・・その言葉から察すると俺に左腕が無かったことを知っているようだな」

「あぁ・・・ずいぶんと昔からな。俺はあのときのことを忘れない。貴様が俺の師匠を殺した日を!!!」

ロビンはシャフラの言葉に耳を傾けた。ロビン自体、昔のことを思い出せないでいるのだ。思い出そうとすると、頭が痛くなりしだいに意識がいつも薄れていくのだ。今回も頭痛を感じたが、敵ではあるが自分の過去を知っている存在がそこにいるのだ。

「お・・俺はお前の師匠を殺したのか?」

「あ?お前は何をとぼけたことを言っている!!!実の祖父を殺したお前が!!!」

「・・・・!?」


ロビンがさきほど言ったとおり、この間のルアスの奇襲が始めての出会いだった。それなのに・・自分の祖父を自分の手で殺した!?そんな馬鹿な・・

「・・・その顔はまったく覚えてなさそうだな。許せねぇ・・自分が力を得るために師匠を殺し、挙句の果てに覚えてないだと!?」

金髪の男のにらみがさらに鋭くなる。彼をまとっていた風が激しく動き始める。同時に持っていた鞭をふりまわす。鋭い刃となった風がロビンの体を次々と切り裂いていく。

「・・・っ!!」

白いローブが徐々に赤く染まる。

「・・・俺が力を得るために・・。自分の祖父を殺したのか。」

そのことに対するショックで自分をまとっていた魔力がほどけ、裸同然でシャフラの攻撃を受ける。シャフラも攻撃をやめようとしない。が、シャフラの攻撃がとまる。


「・・・誰だ。」

シャフラの体が硬直状態となっている。自分で攻撃をやめたわけではないようだ。木の陰をにらむシャフラ。その視線の先には紫色のローブに身を包んでいるランディアがいた。

「ロビン!!!何してるの!!!魔力を自分から解くなんて自殺行為よ!!!」

「・・・・。」

下をうつむいたままロビンは動かない。

「ロビン!!!」

ランディアが叫ぶと、ランディアのもとに一筋の太刀が飛んできた。ランディアの髪を切り裂く。シャフラが放った一太刀だ。動きを封じていたはずだが、ランディアの魔力では限界があったようだ。

「(・・・動きを封じる魔法を使ってもとめることができない!!このままじゃ!!)」

「おい、女。邪魔だ。」

「!?」

一瞬の隙をつかれ、シャフラに後ろを取られるランディア。ちょうど奇襲を受けていたので動きづらい格好をしている。当然攻撃を避けられず地面にたたきつけられた。ロビンが盾を通してでもダメージを受ける衝撃。その攻撃を生身に受けるランディア。

「・・・俺は女だろうと敵ならば手加減はしない。」

ランディアの魔法の発動の条件は 踊る こと。つまり、踊れなければ魔法を使えない。大きなダメージをうけた今の状態だとまともに動くことができない。

「(・・・つ、強い!!けど・・やられるわけには!!!)」

必死の思いでふらふら状態で立ち上がる。が、シャフラの追撃がやむことは無かった。鋭くしなる鞭で容赦なく攻撃する。ランディアのあちこちから赤い液体がとぶ。紫色のローブ、白色のシルクのコート。すべてが赤く染まっていく。

「(・・ロビン!!!)」

心の中でさけぶランディア。だが、そのロビンは下をうつむいたまま微動だにしない。その姿を見ていると涙がでてきた。その涙でさえシャフラは何も感じない。さらに攻撃が加速していく。

「これで終わりだ!!!!ブラックローズ!!!」

黒い鞭をランディアにめがけて思いっきり振り下ろす。
ビシッーーーーーー!!!!っという音が・・・ロビンの耳に入ってきた。
その音のあった場所に視線を向けると・・・血まみれのランディアが横たわっているのが見えた。

「・・・ランディア!!!!!!」

慌てて、その場に寄ろうとするがシャフラがそれをさせない。
目の前に瞬時に現われ、鞭を振り回し、ロビンに一撃を与える。

が、先ほどとは違い、地面に転がらずすぐさまランディアのもとに向かう。
さらにそれをシャフラが阻止する。

「・・・こいつ!!!」

シャフラがいくら攻撃しても、なんども立ち上がりランディアの元に向かおうとするロビン。それだけにしか意識が向けられていない状態だった。

「お前も、あの女のように砕け散るんだ!!!ブラッ・・」

ランディアを攻撃したように鞭を振り下ろそうとすると、シャフラに突風のような衝撃があたる。その衝撃によりシャフラの体は宙をまい自由を奪われた。そして、空からは隕石のようなものが降りそそぐ。シャフラはとっさに防御の形をとるしかなかった。

「っぐ・・!!」

岩があたると、次々とシャフラめがけて降り注ぐ。地面にたたきつけられたシャフラは身動きがとれないでいた。ふいの一撃でシャフラの感覚が若干麻痺しだした。その攻撃が終わると、岩をどけシャフラはロビンの場所を探る。

ロビンはすでにランディアを両手で抱えていた。血まみれのランディアの顔を覗き込む。

「・・・ランディアすまない。俺のせいでこんなことに」

「・・・そんなことはいいわ・・・。私も覚悟はしてた・・・」

「今傷の手当をするからな。」

「いい・・このままで。」

「よくない。ほら、じっとしてろ」

「いいって言ってるでしょ!・・・・無駄な魔力は使わないの」

「無駄なものか!じっとしてろ!!しゃべるな!」

「・・・ロビン。私の言うことを聞いて。」

だんだんとランディアの言葉が小さくなる。そして息もしだいに荒くなっていた。ロビンは心臓が何かにつかまれたかのようにズキッとした痛みを感じていた。自然に目から涙があふれ出る。

「聞きたかねぇよ・・。ほら、いつものように俺を怒れよ。蹴り飛ばしてみろよ。こんな情けない俺を蹴り飛ばしていつものようにさ・・・!!」

「・・・。ロビン。・・・愛してる」

そういって、ランディアはロビンの左腕にそっと自分の右手を寄せた。
その腕には力が入っていない。それが肌で伝わってくる。ロビンの涙はとまらなかった。

「おい!!おい!!!俺の声聞こえてるか!?今なんていった!?なぁ!!!」

ボソボソとしゃべるランディア。これが精一杯なんだろう。
ロビンも思考回路が爆発寸前だ。目の前で・・・なくしてはいけない何かを失くそうとしている・・・。胸がしめつけられる。





そして、ランディアの息がとまった。




「ランディア!!おい!!ほら!!な!!!起きろって!!!ランディア・・・?俺を怒らないのか?こんな風に顔をペチペチ叩いても怒らないのか?昔良く怒ってたじゃないか!!!なぁ〜!怒ってくれよ・・・・。ランディア・・・」


しばらくランディアを抱きしめ、その場にうずくまるロビン。
その後姿めがけて攻撃をしかけようとするシャフラ。

しなる鞭でロビンに追撃をくらわせようとしたときだ。
ロビンから青い光がほど走り、またシャフラを弾き飛ばした。

「・・・シャフラ。お前だけは許せねぇ・・・。地獄の果てまでもお前を追い詰め殺す!!!!」

「奇遇だな!!!俺もお前を殺すためだけに今まで生きてきた!!」

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