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外国から見たニッポンコミュの朝日新聞支局襲撃事件・時効

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少し昔の話ですが・・・・忘れられない事件なので。

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1987年5月3日夜、NHK神戸支局で事件担当記者だった私は、兵庫県西宮市の自宅で、デスクからの電話を受けた。「朝日新聞阪神支局で猟銃強盗らしい。現場へ行け!」この瞬間に始まった朝日新聞・阪神支局への襲撃事件の取材は、様々な事件取材の中でも、精神的に最もつらい仕事だった。この日から3ヶ月にわたり、1日の休みもなく、捜査員宅への夜討ち朝駆けに明け暮れたためだけではない。私は阪神間地域の取材を担当していた時に、阪神間の警察記者クラブにも属していたため、被害者の小尻知博記者(当時29才)とは面識があったからである。殺伐とした暮らしを送っている事件記者には珍しく、優しい表情で、おとなしそうな性格の人だった。あの柔和な小尻記者が、支局に侵入した犯人の凶弾に倒れた。なぜ新聞社の支局が狙われなくてはならないのか?午前1時頃、西宮警察署の公衆電話から、事件の第一報を電話で支局へ送りながら、私は背筋が寒くなるのを感じた。その時、薄暗い西宮警察署の公廨(こうかい:一階のホールのこと)に、「ウォーッ」という悲痛な呻き声とも叫び声ともつかない声が響き渡った。朝日新聞の記者たちが、「危篤状態だった小尻記者が病院で息を引き取った」という一報を受け取ったのだ。その夜、彼らは頬に流れる涙を拭おうともせずに、泣きながら現場周辺で聞きこみを続けていた。武骨そうな記者たちが、泣きながら取材しているのを見たのは、この時が初めてだった。15年前のこの光景は、今も昨日のことのようにくっきりと脳裏に焼き付いている。赤報隊と名乗る団体が、犯行声明を出したが、結局警察は犯人を逮捕できないまま、今年5月3日に阪神支局襲撃事件は、時効を迎えてしまった。100発を超える散弾を腹部に撃ち込まれ、当時2歳になる娘を残して亡くなった小尻記者は、死んでも死にきれない気持ちだろう。若い記者の命が奪われ、言論の自由、そして市民社会そのものへの攻撃だったこの事件は、絶対に解決されなくてはならないと思っていたが、ついに迷宮入りとなったことは、当時取材にあたった者の一人として、残念でならない。警察には刑事部門と公安部門がある。右翼団体の関わりが予想された朝日新聞襲撃事件では、二つの部門が共同で捜査にあたったが、部内の縄張り争いで、情報の流れは必ずしもスムーズでなかったと伝えられる。私が今住んでいるドイツでは、計画的、悪質な殺人事件については、時効が廃止されている。もしも阪神支局事件がドイツで起きていたら、時効の対象にはならない。オウム真理教事件に代表されるような、複雑な社会的背景を持ち、周到な計画に基づいた凶悪事件が起き始めている今日、日本でも計画的な殺人事件については、時効を廃止するべきではないだろうか。さらに犯罪者には都道府県やセクショナリズムの壁は何の意味もない。このため日本でも広域重大事件については、刑事・公安の壁を乗り越え、各都道府県の捜査員からの情報に基づいて自主的に捜査する、FBIのような広域捜査機関が必要だと思う。警察が捜査体制を改善し、凶悪事件を鋭意摘発すれば、小尻記者へのせめてもの手向けの花になるのではないか。

(ミュンヘン在住 熊谷 徹)

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