中国史コミュの『淮南子』解読

以前より、読んでみたいと思っていた、『淮南子』（エ・ナン・ジ）を、今回、少しずつ読んでいきたいと思います。然しながら、全文をこの場で読んでいくのは、少々無理がありますので、そのうちの「人間訓」を、ここでは取り上げたいと思います。

淮南子について簡単に紹介しておきます。詳しく知りたい方は、自分で調べて下さい。最初に、“淮”の字ですが、本の名前の時は“エ”と読んでください。それ以外は“ワイ”と読みます。
『淮南子』は二十一篇で構成されており、前漢の武帝の頃、淮（ワイ）南国の王であった劉安（高祖の孫）が食客として抱えていた学者に命じて編纂させた書である。当時における学術思想の集大成であり、各種の論説集である。こう書くと、これ以外に聞いたことがある話だなと、思われる方が大勢居られると思います。そう、呂不韋の『呂氏春秋』です。これも当時の諸子百家の説を網羅した書物です。然しながら、『呂子春秋』が百科全書的な意味合いが強いのに対し、『淮南子』は老子・荘子の道家思想がその根底に流れており、『老子』、『荘子』を承け継ぐ道家の文献とされています。故に、その文意はかなり難解なものが多いです。
今回取り上げる「人間訓」は二十一篇の一つである。“人間”は“ニンゲン”ではなく、“ジンカン”と読んでください。“世間”、“巷”の意味です。日本語の“人間”を言う時は、漢語では単に“人”です。故に、「人間訓」とは世間で生きていく上に於いて、何が大事なのかを述べているのです。有名な”塞翁が馬”の寓話もここに出てきます。今、日本の社会は、混沌としており、何を頼って生きていけばよいのか分からなくなっているのではないでしょうか。それ故に、「人間訓」を読むことによって、何か得るべきものがあるのではないかと思い、取り上げてみました。
それでは次回より本文を始めて行きます。尚今回は不定期に書いていきますので、其の点はご了承ください。

コメント(3)

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[1] mixiユーザー 08月07日 14:34

大学時代の研究室の書架に『淮南子』がずらっと並んでいましたし、自分で買った平凡社の中国文学全集にも『淮南子』がありますが、開けた事がありませんでした。私も追っ付け開いてみたいと思います。とりあえず私も事典類で調べてみました。
■淮南子＝中国、諸子（思想家たち）の雑家（総合学派）に属する百科全書風の思想書です。前漢、淮南(わいなん)（寿春(じゆしゆん)を都とする、淮水中流域の国）の王であった劉安(りゆうあん)（前179?前122）の撰(せん)とされる書物です。21篇(ぺん)。劉安にはもともと内書21篇・外書33篇・中篇八巻をはじめとする多くの撰著があったのですが、現存の『淮南子』にあたる内書を除いてすべて散佚(さんいつ)しています。武帝即位の翌年、紀元前139年に成立。劉安は、高祖劉邦(りゆうほう)の庶子(しよし)劉長（淮南の?王(れいおう)）の子。謀反の罪に問われて自殺した父の後を継いで王となりました。当時、漢の帝室は諸侯王の力の削減による中央集権の強化を図っていたが、その景帝が崩御した（前141）機会に、帝国治下の諸勢力・諸思想をすべて容認しつつそれらの緩やかな大調和による統一を実現せよと、18歳の武帝に要求して撰したのが本書なのです。劉安は前153年ごろから知識人を招いてそのパトロン役を引き受けていたので、各地から数千人の賓客(ひんきやく)が淮南に身を寄せた。『淮南子』はこうして集まった諸子のさまざまな思想を網羅して、右のごとき当時最新の政治的・思想的課題に答えるために編纂(へんさん)されたものなのです。
　21篇の構成は、道家の存在論を基礎に据え、世界の構成をモデルにした、道を探求した原道篇→一の根源的真理の俶真(しゆくしん)篇→二の天文篇・地形篇→四の時則篇→万物の覧冥(らんめい)から泰族(たいそう)に至る15篇、の展開よりなる。内容は、道家の「道」と儒家・墨家(ぼくか)などの「事」とを、ともに生かして両者を高次の「玄妙(げんみよう)」へとアウフヘーベン（止揚）し、それを永劫(えいごう)・普遍に有効な帝王の道として示す。また戦国時代以来のすべての百家の、天文学・地理学・時令思想・感応(かんのう)思想・君主論・兵法・説話集・修養論など、あらゆる分野の知識を含む。本書は、若い武帝に帝王の道としての思想統一の意義を教え、董仲舒(とうちゆうじよ)をはじめ対抗する儒家に中央集権政治思想の整備を促した。その結果、儒教の地位が急速に高まり（前136年以後の国教化）、ついに劉安を謀反の罪で自殺させるに至ったのです（前122）。
　みなさんと一緒に勉強してみたいと思います。

[2] mixiユーザー 08月08日 10:12

『淮南子』からは離れますが、淮南国の歴史も面白そうです。淮南国は反乱の歴史とも言えます。楚・漢の闘いが最終局面を迎えたとき、楚から漢に鞍替えした九江王英布（鯨布）が、其の働きによって、漢が全土を治めると、淮南王に封ぜられた。其の後、英布は反乱を起こし、殺される、其の後を庶子の劉長を報じた。これが淮南の厲（レイ）王であるが、彼も反乱を起こし、滅ぼされる。その後に封ぜられたのが、劉安で、彼もまた、反乱を起こします。呉楚七国の乱と共に、この辺の反乱の歴史も興味を惹かれます。

[3] mixiユーザー 08月09日 01:48

はじめまして。

　ところで、”塞翁が馬”の寓話は、日ごろわたしの考え方のなかの大事な部分としておりました。無知なため今日はじめて「淮南子」（えなんじ）のなかの人間訓（じんかんくん）のなかにあると知り、とても感動しています。
　
　これからの講義楽しみにしております。よろしくお願いいたします。またありがとうございます。ではでは。

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