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ラーマクリシュナの福音コミュのMとラリタ・バンディヨーパディヤイ

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「Mとラリタ・バンディヨーパディヤイ(Lalit Bandyopadhyay)」



 私の弁護士の友人の一人が、ある日私に会いに来て、偶然に私の家にシュリー・ラーマクリシュナ・カタムリタの第一巻のコピーを置いて行った。
 神のお導きが微笑まれたのだ。
 何の変哲もないように見える出来事がきっかけで、驚くべきことが起こった。
 他の西洋かぶれしたベンガル人と同様に、私は英文学が大好きで、ベンガル人の作家には興味がなかった。
 しかし夕食後に、私は好奇心からカタムリタを読み始めた。
 私はあまりに感動して、午前3時まで読み続けてしまった。
 私の眼は、眠るのを忘れていた。
 私の身体は、休むのを忘れていた。
 私の心は、歓喜と甘味に満たされていた。
 私はすぐに第一巻を読み終わり、友人が次に来た際に、こう尋ねてみた。

「カタムリタの他の巻も貸してくれないか?」

 友人は皮肉っぽくこう答えた。

「なんてことだ! 君が西洋人作家の本と同じようにベンガルの本を読むのを楽しいと感じたとは!
 君の心が変わって嬉しいよ。師の恩寵であろう。
 よし、君に他の三巻もあげるよ。」

 その他の巻も読み終わると、私はその著者に会いにいった。

 ある午後、私はMに会いにモルトン・スクールに行った。
 そこの管理人が私を彼の部屋へと連れて行ってくれた。
 そこには、床に座り、生徒の論文に成績をつけている老人と、彼の近くに座っている若者がいた。
 私が彼に挨拶すると、彼も私に挨拶し、私に麻の敷物の上に座るようにおっしゃった。
 彼は私にいくつか質問された。

「どこに住んでいるのかね?
 仕事は何をしているのだね?
 結婚はしているのか?
 子供は何人いるのかね?」

 私がそれらの質問に答えると、彼は次にこう尋ねた。

「なぜここに来たのだね? 何か質問があるのかい?」

 私はこう答えた。

「はい、師よ、私は心が平安ではありません。」

 Mはお笑いになり、そこにいた若者にこうおっしゃった。

「この紳士の言うことを聞いたかね?
 彼は世俗の中で暮らしているというのに、心が平安でないと文句を言っている。
 彼はワインの大瓶を飲みながら、『私はなぜ酔っぱらっているのですか?』と言っている。」

 それからMは私に尋ねた。

「何か歌を知っているかね?
 師に歌を捧げようではないか。」

「師よ、私は何も歌を知りません。」

と、私は答えた。
 Mは微笑んでこうおっしゃった。

「たいてい皆、何かしらの歌は知っているのだが、ある人は恥ずかしくて口が開けないのだよ。
 ナレンドラが初めてシュリー・ラーマクリシュナと出会ったときに歌った歌を知っているかな?」

私「師よ、存じません。」

M「そうか。じゃあ聞いていておくれ。」


 おお魂よ、もう一度われらの本当の家に帰ろう!
 地上というこの異国の地で、なぜにわれらは異邦人の身なりで、目的もなくさまようのか。
 周りの衆生と五元素は、汝にとってすべて異邦人である。
 何一つ汝に属するものはない。
 なぜに他国の人を愛して、汝は己をそんなに忘れているのか。愚かな魂よ。
 なぜに汝はそんなに己を忘れているのか。

 おお魂よ、真理の道を歩め! たゆまず上れ。
 汝の道を照らす明かりとしての愛を持って。
 道中の糧として、注意深く隠された徳を携えよ!
 二人の追いはぎのごとく、貪欲と欺瞞は、汝の富を奪おうと待ち構えているから。
 そして汝はいつもそばに、害悪から守る番人として、心の平安と自制を保ちおけ。

 聖者との交わりは、汝にとって路傍の憩いの場所となるであろう。
 そこでしばらく、汝の疲れた手足を休ませよ。
 もし汝が迷ったら、そこの番人に道を尋ねるがよい。
 道すがら、汝を怖がらせるものがあれば、そのときには大声で神の御名を呼ぶがよい。
 なぜなら、神はその道を統治者だから。
 そして死の神さえも、神の前にひれ伏すに違いないから。」




 長い歌だった。Mはそれを最初から最後まで歌った。
 この歌が彼の心の内にあるものを明らかにしてくれた。
 私はMの歓喜に満ちた御顔を見ると、感動し、心がいっぱいになった。
 Mは微笑んでこうおっしゃった。

「この歌の背後にある理想は素晴らしい!
 誰でも家を捨てて、森に住んで幸せになれるだろうか?
 この世の苦しみには終わりがない。
 それだから、神は僧院をお創りになり、世俗の人々が『彼』のお言葉を聞いて平安を得られるようにされたのだ。
 それはまるで、政府が旅人が喉が渇いたときに水を飲めるように、道の脇に蛇口を設置するようなものだ。」

 
 少ししてから、Mはこうおっしゃった。

「師はナレンドラの歌が大好きだった。
 ナレンドラはこういう歌を歌った。」


 没頭せよ、おお心よ
 純粋なる叡智と純粋なる至福であられる彼に。



 Mが歌を歌うと、そこは素晴らしい神聖なる空間となった。
 私はシュリー・ラーマクリシュナに会ったことがないけれども、師の御言葉とカタムリタの中の非常に多くの美しい場面を記録したMと出会ったのだ。

 夜になった。隣家から法螺貝の音が聞こえた。

「祈りの時間だ。」

 Mは微笑みながらそうおっしゃった。
 彼は生徒のテストの紙を脇に置くと、こう続けた。

「イスラム教徒は祈り方がとても特殊だ。
 彼らは日に五回、時間通りにアッラーに祈りを捧げる。
 イスラム教徒は石工として屋根で働いていても、運転手として車を運転していても、祈りの時間には、仕事を辞めて祈る。
 師はそれだから、彼らが大好きだったのだよ。
 夜に神を思うことは大切だ。」

 Mは座に座り、静かにマントラを唱え始めた。
 壁にはチャイタニヤの絵が飾ってあった。
 ある若い信者が灯油ランタンに明かりを灯し、神々と女神方の前でお香を振った。
 他にも信者たちが訪ねてき来て、麻の敷物に座り、グループ瞑想に参加した。
 平穏なる寂静が部屋一面に充満していた。
 私は世俗という砂漠にオアシスを見つけた。
 瞑想が終わると、私は立ち上がった。

M「もう行くのかね?
 そうか。来たいときにはいつでも来ておくれ。」

私「師よ、私がまた戻ってこられるように祝福してください。」

M「どうか、師に祈っておくれ。」




 4、5日後、私はMのところに戻ってきた。彼はそのとき信者と話をしておられた。
 私は彼に頭を下げた。
 彼は私を見ると、微笑んでこうおっしゃった。

「彼はまた来たよ。」

 それから彼は、師がMの二度目の訪問の際にされたアヘン中毒のクジャクの話を語ってくださった。
 私はその日、晩の集いの終わりまで滞在した。
 それからというのも、私はMの聖なる集いに頻繁に参加するようになり、霊性の生活について多くのことを学んだのだった。

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1917年3月 シヴァラートリー


 朝、私はモルトン・スクールの四階に行った。Mは二人の僧と何人かの信者たちと共にベンチに座っておられた。
 彼はスワミ・ヴィヴェーカーナンダが作詞したシヴァの歌を聞いていた。



 そこでシヴァは踊る。
 両頬を打ち、「バ、バ、ボン」という音が鳴り響く!
 「ディミ、ディミ、ディミ」と彼の太鼓の音が鳴る。
 その首からは骸骨の首輪がぶら下がっている!
 ジャータからは聖河ガンガーが音と立てて噴き出し、
 その無敵のトリシュールからは火が噴きだす!
 腰に巻きつく蛇は人の目を奪い、額には月が輝いている!
 


 
 Mがそのリズムに合わせて手を叩くと、皆は声を合わせて三回歌った。

「なんと素晴らしい歌であろう!」

 Mはそう言うと、続けてこうおっしゃった。

「そしてなんと素晴らしい発想だ!
 今日はシヴァラートリー。吉兆な日だ。
 シヴァ神がネパール、ヴァイディヤナート、ヴァラナシ、タラケーシュワラ、ドッキネッショル、そしてベルル・マトで礼拝される。
 信者たちは一日中断食し、一晩に四度の礼拝を行う。
 プラーナに載っている狩人の物語は素晴らしい。
 ある残酷な狩人が罪もない動物たちを殺して多くの罪を犯すのだが、それに気づかず、シヴァラートリーの夜にシヴァ神を礼拝した。
 彼が死ぬと、シヴァの従者がヤマ(死を司る神)の召使いを押しのけ、その狩人の魂をシヴァの世界へと連れて行った。
 だから師はこうおっしゃっているのだ。

『お前が知ろうが知らまいが、チリを噛めば、お前の口は焼けたようになる。』

とね。

 シヴァラートリーのある日、私はタラケーシュワルに行って、祭司に1ルピーを払い、神像に触れて主を礼拝した。
 師はこの話を聞くと、歓喜してこうおっしゃった。

『たいそうよろしい。お前は主マハーデーヴァに触れるのに1ルピー払ったのだね。』

 シヴァ神はドッキネッショルとベルル・マトでは一晩中礼拝される。
 断食し、主を礼拝する僧や信者たちに会うことは素晴らしい。
 師は信者にこう教え説かれていらしゃった。

『会社で働く者たちは、いつもの米の食事の代わりに果物を食べなさい。』

 彼は女性が断食しているのを聞くのが耐えられなかったのだよ。
 女性信者、特に未亡人の女性信者がエカーダシー(断食の日)に師を訪ねて来たら、彼はまず彼女たちにプラサードを与え、それから話をされた。
 師はすべての女性を母なる神の一部だと考えていたのだよ。
 師はまた、こうもおっしゃっていた。

『心がお腹にあると、人は神に集中できないよ。』

 タンタニアのシッデーシュワリー・マーを訪ねに行こう。」

 Mと信者たちは、アムハースト通りを渡り、ベチュ・チャッテリジー通りを歩いて行った。
 Mはシャーマスンダラ寺院を指さして、こうおっしゃった。

「ラームクマール(師の兄弟)の学校はそこにあった。
 師は初めて上京したときに、そこに住んでおられたのだ。
 そのとき、彼はラージャ・ディガンバル・ミトラの家で、礼拝を執り行なっておられた。
 その家から受け取った米や果物やお菓子の捧げものを運び、よくわれわれが今向かっているカーリー寺院の前に座ったのだそうだ。
 その美しい若者が美しい声をしていると知った人々は、彼に歌うように頼み、師は母に向かって歌を歌い、それから、プラサードをその人たちに分け与えて家に帰えられたのだ。」


 その道を歩いていると、ある人々がMに挨拶し、彼は彼らに機嫌を尋ねられた。
 Mは大きな赤い建物(ベチュ・チャッテリジー通り、14A)の前で立ち止まり、こうおっしゃった。

「この家はイシャン・チャンドラ・ムッコーパッディーヤイのものだった。
 彼は師のもとを訪れ、師もこの家に来られた。
 イシャンの息子も一度師に会ったことがある。」

 その道からMはタクル・バリ(タクルの家。Mは自分の家をこう呼んでいた)に挨拶した。
 われわれは、シッデーシュワリー寺院の前に行くために、コーンウォーリス通り(今はビダン・サラニ)を渡った。
 Mは靴を脱いで、礼拝した。それから眼鏡をかけて、しばらくの間、母なる神に見入っておられた。
 その後に入り口に行き、聖水を少しもらうと、2パイスを献金皿に入れた。
 祭司はMと信者たちの額にティラカを塗り、その後にわれわれは皆、隣接したシヴァの神像を訪れ、群集を押しのけてシヴァ神に礼拝したのだった。
 それから、Mと信者たちは柱廊に座った。

 Mはその群集を見渡し、こうおっしゃった。

「夜には大量の群集が押し寄せるようだね。
 何時だって、マーの御前に座ることは良いことだ。
 人は彼女が自らの子供たちに話しているのかのように感じるのだよ。
 彼女は代理母ではなく、本当の母なんだよ。
 ある人たちは寺院に行って、ただ彼女に礼拝しただけで帰ってしまう。それは彼女に『おはよう』と言って手を振っているようなものだ。」


 Mは、寺院に来た人々を観察しておいでになった。
 若者が片手で煙草を吸いながら、別の手を額に当てて、母なる神を礼拝していた。
 中年の女性が頭から大きな包みを降ろして、母なる神に熱心に祈っていた。
 未亡人のヒンドゥー教徒が自動車から出てきて、果物と花でいっぱいの籠を母なる神に捧げていた。
 ベンガル人ではない男性がシヴァに礼拝し、「おお、シヴァよ、どうか私を忘れないでください」と言っていた。
 ある人々は寺院の前でギーターとチャンディを唱え、またある人々は静かにマントラを唱えていた。

 他の信者たちはMに暇を告げたが、私は彼と共に残った。
 彼は私をタクル・バリに連れて行ってくれて、三階の聖堂の扉を開け、ご自分の貴重な所蔵品――祭壇に捧げられた師のお写真、師のサンダル、入れ物に入った師の髪の毛の束、ホーリーマザーが降ろされたドゥルガー・マーのマンガル・ガート――を、私に見せてくださった。
 それからMはプラサードのサンデッシュを一かけらとオレンジを私にくださり、聖堂を閉め、こうおっしゃった。

「今日はすごく楽しかった。
 よかったら今夜ベルル・マトに行って、私に少しばかりプラサードを持ってきておくれ。」



 その晩、ドクター・バクシと私は、バラナゴルからガンガーを渡り、ベルル・マトに行き、上階で夕拝に参列した。シヴァ・プージャーの準備が下の階の大広間で行なわれていた。
 僧たちが多くの歌を歌い、何人かの僧はシヴァの像の周りで踊りながら、「ハラ、ハラ、ボン、ボン」と唱えていた。
 礼拝は一晩中続けられ、それからプラサードが配られた。
 われわれは、師の弟子であられるスワミ・ブラフマーナンダ、スワミ・プレーマーナンダ、スワミ・シヴァーナンダ方、皆に会うことができて、幸運だった。
 スワミ・ブラフマーナンダはわれわれにこのように話してくださった。

「君たちに会えてとてもうれしいよ。
 マスター・マハーシャヤが君たちをここに送ってくれたのだろう。
 彼と交流し続け、ときどきここに来るといい。」


 翌朝、家に帰るためにガンガーを渡っているときに、私はドクター・バクシにこう言った。

「素晴らしい夜を過ごすことができた!
 これはMの恩寵に違いない。」

 ドクター・バクシはこう答えた。

「そうだな。私は最近Mと関わるようになった。
 彼は信者たちに対してなんと素晴らしい愛と思いやりを抱いておられることか!
 さあ、ウドボーダンに行って、ホーリーマザーに礼拝し、それからMを訪ねようではないか。」

 私はそれに同意した。


 われわれはウドボーダンの一階でスワミ・サーラダーナンダとヴァイクンタ・ナート・サニャルに会い、彼らに礼拝した。
 そのとき、あるブラフマチャーリーが信者たちにホーリーマザーを訪ねるように電話をしていた。
 われわれは彼女に礼拝し、プラサードをいただくと、モルトン・スクールのMのもとへと向かった。

 Mは昼食を取ろうとしているところであったが、われわれを見ると、ベンチに座った。
 彼はわれわれがベルル・マトで夜を過ごしたことを知っておられた。

「君たちは祝福されている!」

 彼はおっしゃった。

「吉兆なる日に、聖なる場所で、聖なる僧たちと共に夜を過ごすことは、たいそう幸運なことだ。
 君たちは一夜で十年分の苦行の果報を得たのだよ。
 どうか、どうやってそこで夜を過ごしたのか教えておくれ。」

 Mはわれわれがその夜の出来事を説明すると歓喜しておられた。
 彼のお孫さんが彼に「お爺様、ご飯が冷めてしまいますよ。早く召し上がってください」と言った。
 われわれは、これ以上彼を引き留めるわけにはいかないと思った。
 するとMがこうおっしゃった。

「プラサードはもってきてくれたかな?」

 私はプラサードを彼に手渡した。
 彼はサンダルを脱ぎ、プラサードを受け取った。
 それからわれわれは帰路についた。



モルトン・スクールにて


 Mは私にこう尋ねた。

「イニシエーションは受けたのか? 家系のグルはまだ生きておられるかね? 彼からマントラをいただくといい。」

 私はこう答えた。

「家系のグルからイニシエーションを受ける気はありません。
 私の父は彼からイニシエーションを受けた後、一年もせずに死んでしまったのです。」

 Mは穏やかにこうおっしゃった。

「生と死は神の御手の中にある。
 さて、できることが一つある。
 あなたの妻をいつかウドボーダンに連れて行くことだ。
 ホーリーマザーがそこにいらっしゃる。
 あなたの妻がイニシエーションを受けに来るなら、それは素晴らしいことだ。」

 私は歓喜してこう答えた。

「マザーはわれわれに恩寵を与えくれるのですか? 私も素晴らしいと思います。」

M「マザーは彼女が望むようにおやりになるだろう。
 ときどき、彼女は泥まみれの子供を御膝の上にのせておられるのだよ。
 どうか、私に教えておくれ。」

 そしてMは床につかれ、私は平穏な心持ちで家に帰ったのだった。




1917年11月5日 モルトン・スクールにて


 Mの指示に従って、私は妻と未亡人の妹と共にバグ・バザールのウドボーダン・ハウスに行き、ホーリーマザーに礼拝した。
 その午後に私はMのもとを訪ねた。彼はオリッサから来た少年がジャガンナートの歌を歌うのを聞いておられた。

「どうなったのか、教えておくれ。
 あなたとホーリーマザーの間で何が起こったのだね?」

私「妻と妹がマザーのことを話しており、カールティカ・シャンクランティの吉日にイニシエーションを受けるのを、指折り日にちを数えていました。
 彼女たちはあなたにも会いたがっており、今、車の中で待っております。」

 するとMはすぐに車のところまで行き、そこで彼女たちに会うと、こうおっしゃった。

「神が喜ばれるなら、全世界が喜ぶのだよ。」

 車が去ると、われわれは上階に行った。

M「ホーリーマザーの御足に礼拝したら、すべての聖地を訪ねたのと同様の果報がある。
 どうか、マザーと会ったときのことを教えておくれ。
 イニシエーションについて考えることは良いことだ。しかし、イニシエーションを受けるだけでは十分ではない。
 人はグルの教えを実践することで霊性の生活を開発しなければならない。
『人が神の恩寵、グルの恩寵、信者たちの恩寵を受けていても、彼が彼自身の心の恩寵を受けていなければ、何の価値もない』という言葉がある。
 どうぞ、あなたの奥さんとホーリーマザーとの間に起こったことを話しておくれ。」


 私は答えた。
「妻と妹が階段を上がったとき、マザーは訪ねられました。

『あなたの家はどこなの? あなたの夫は何をしている方ですか? あなたの他に誰かいるのかしら?』

 その一方でホーリーマザーは、女性信者たちと礼拝で忙しくしておられました。
 礼拝の後、彼女はプラサードを分け与えられました。
 そして最後にホーリーマザーは、妻と妹に催促されました。

『あなたたち、ここに来た理由を言っていませんよ。』

『あなたはわたしたちを快くイニシエートしてくださるでしょうか?』

と彼女たちが言いました。
 ホーリーマザーは、微笑んでおっしゃいました。

『もちろんだわ。カールティカ・シャンクランティはもうすぐよ。
 主カールティカはその日に礼拝されるのです。また、その日はイニシエーションにとって吉兆な日ですよ。』

 その後、彼女は私を二階に呼んで、私たちのイニシエーションの日も教えてくださいました。
 私は彼女に頭を下げ、彼女は私の頭に触れて祝福して下ささったのでした。」


 Mは、喜びに満ち溢れておっしゃった。

「素晴らしい! もし聖なる母があなたの世話を見るなら、何の心配もない。チャイタニヤ・チャリタームリタの中に、『多くの鉄の杖は、賢者の石に触れることによって黄金になる。』とある。
 もしホーリーマザーが慈悲深く、責任を引き受けられるならば、人はすべてを達成するだろう。
 どうぞ今から祈っておくれ。そしてその吉兆な日を待ちなさい。
 自制を実践しなさい。
 キリストはおっしゃった。『汝らが再び生まれることがない限り、汝らが神の御国に入ることはできない。』と。
 イニシエーションは新しい人生をもたらし、神の実現への道を示してくれるのだよ。」




 夕方であった。信者はMの部屋の神々や女神の絵の前で香を振った。
 幾人かの信者が到着し、全員が草のマットの上に座った。
 皆、静かにそれぞれのマントラを繰り返していた。


M「アヴァターラの時代に生まれてくるのは稀有なるチャンスだ。
 人は少しの努力で彼の恩寵を得ることができる。
 師はこうおっしゃった。『神の恩寵の風は常に吹いている。ただ帆を広げるだけなのだよ』と。
 師の肉体の御姿は、もうわれわれと共にいらっしゃらないが、彼は今、ホーリーマザーを通じて彼のリーラーを行なっていらっしゃるのだ。
 彼は、今は彼女を通して慈悲をお授けくださるのだよ。
 彼女は多くの貴重な霊的な宝石を配っていらっしゃるのだ。」


信者「グルもまた大海のような、宝石の鉱脈です。」

M「大海は遠くからは畏怖の念を抱かせるほど荘厳なものに見えるが、あなたが浜辺に座れば、その穏やかな波は、あなたの体を生き生きとさせリフレッシュさせるだろう。
 わたしたちは、単に波を数えることでは何も得られない。わたしたちは海底から宝石を集めなければならないのだよ。
 師とともに生きることで、われわれはどれほど偉大な霊的な宝物を受け取ったことか!」



 信者は、ドッキネッショルのマザー・カーリーのプラサードを持ってきており、それをMに差し上げた。
 彼はそれを頭にあてると、少しとって、信者たちにお配りになられた。
 信者がサンデーシュを少し床にこぼしたとき、Mは、水でそこを洗い流すように彼に頼まれた。


「プラサードの意味を知っているかね?」

とMは尋ねられた。

「それは、過去のサンスカーラ、または過去の傾向を破壊し、穏やかな心を作り上げてくれる。
 プラサードを食べている間、人はこう考えるべきだ。
『生まれてから今まで積み重ねてきたわたしのすべてのサンスカーラを、彼が破壊してくださったのだ』と。


 午後10時、信者はMに暇を告げた。

1917年11月15日 モルトン・インスティテューションにて


 カールティカ・プージャの日であった。妹と妻とわたしは、ホーリーマザーからイニシエーションを受けた。
 わたしたちは、ウドボーダンで昼食とマザーのプラサードをいただき、スワミ・サーラダーナンダと他の僧たちと会った後、家へ戻った。

 午後、わたしはMに会いに行った。そのとき、彼は郵便為替に書き込んでおられた。
 Mは毎月、カンカル、ヴァラナシやその他の支部やいく人かの僧たちへ送金していた。
 わたしはMに頭を下げ、草の敷物に座った。


M「今日、時折あなたのことを考えていたのだよ。
 どうぞホーリーマザーの恩寵をどのように受けたかを話しておくれ。
 あなたが到着したとき、彼女は何をしていらっしゃたかね?
 そして、その次には何が起こったのかね?」

「不可能を可能にするのは、先生、あなたの恩寵です。」

と、わたしは答えた。

「わたしたちは午前4時に起きて沐浴を済ませ、6時半にウドボーダンへ行きました。」

「結構だ! これに関して遅らせるのはよくない。
 人間には激しい切望が必要だ。それから何があったのかね?」

「わたしたちがマザーへ頭を下げると、彼女はおっしゃいました。

『わたしは昨日から気分がすぐれないのよ。
 でも、せかっく来てくれたから、ちょっと待っててくださいね。ガンガーで沐浴してきますね。』

 これを聞くと、ゴーラープ・マー(ホーリーマザーの従者)は反対しました。

『まあ! マザー、あなたは昨日熱があったじゃないですか。彼らには別の日に改めてもらいましょう。』

 ホーリーマザーはお答えになりました。

『ねえ、彼らはとても大きな期待をもってここに来ているのよ。
 わたしは今日、彼らをイニシエートしなければならないわ。すばやく沐浴を済ませれば大丈夫でしょう。』

 彼女はその後、沐浴をしにそこを離れ、わたしたちは一階で待っていました。
 彼女はすぐに戻ってこられ、聖堂に入るようにわたしを呼ばれました。」


「ああ、マザーは何と哀れみ深いことか! 次は何があったのかね?」


「わたしたちは、供養のための花と果物と甘いお菓子を運びました。
 それらは師の前のお皿の上に並べられました。
 ホーリーマザーは、アーサナ(小さなマット)にお座りになり、わたしに近くのアーサナに座るよう求められました。
 わたしは、まず最初に未亡人の妹にイニシエーションを授けてくださるよう頼みました。わたしは隅のほうに座りました。

 彼女のイニシエーションが終わったとき、マザーはわたしを呼ばれました。
 しかし、わたしが先に妻をイニシエートしてくださるよう彼女に頼んだとき、彼女はおっしゃいました。

『いいえ、それは慣習ではないわ。妻は夫の後にイニシエーションを受けるのよ。彼女はあなたの後にイニシエートしましょう。』」


「それは真実だ。それから?」


「わたしはホーリーマザーの隣のアーサナに座っていました。
 彼女は浄化のために少量のガンガーの水を一口飲み、ガーヤトリーマントラを一〇分間唱えるようにおっしゃいました。
 それから彼女は種子マントラを囁き、わたしの指の上で、それをどのように実践するのかをお示しになられました。
 イニシエーションの前、彼女はわたしたちの家系の伝統について尋ねられました。
 わたしが答えるのを躊躇していると、彼女はおっしゃいました。

『わたしはあなたの家族がシャクティーを礼拝しているのを分かっているわ。』

 それから、彼女は壁にかけられたカーリーの油絵を指差しておっしゃいました。

『彼女があなたの理想神です。』

 そして祭壇の上の師のお写真を指差して、こうおっしゃいました。

『彼があなたのグルです。さあ、礼拝しなさい。』

 それから妻のイニシエートの後、ホーリーマザーは厳かにおっしゃいました。

『今日で、あなたの人間としての生は終わったわ。わたしはあなたの罪のすべての責任を引き受けました。』」

 Mは言った。

「あなたは祝福されたのだよ!
 今日、あなたは宇宙の母の恩寵を受け取ったのだ。
 彼女があなたたちに授けられた祝福に気がついたかね? 彼女は、あなたの善ではなく、あなたの罪の責任を引き受けられたのだよ。
 今日からはよく注意しなさい。彼女の痛みを引き起こすようなことは、何もしてはいけないよ。
 あなたはグルへ何か供物を捧げたかね?」


「はい、捧げました。わたしたちはそれぞれ、マザーに5ルピーと、赤い縁取りのシルクの衣を捧げました。
 彼女はそのすべてをスワミ・サーラダーナンダに送られ、ご自身のためには何もとっておかれませんでした。
 妻がイニシエーションの前に、イニシエーションのために(高価な)ヴァラナシ・サリーを着るべきかどうかをマザーに尋ねると、マザーはこう答えられました。
『そのような布を持っていない人々へのイニシエーションを私は拒否してるかしら?』と。」


「そうだ、ホーリーマザーの仰る通りだ。
 彼女はお金を一番大事なものであると考えてはおられない。
 あなたはグルが何者であるかを知っているかね?
 グルは神ご自身なのだよ。
 彼は天に住んでおられるが、人間の迷妄を取り除くために、ご慈悲によって人間として生まれてこられる。
 求道者は、前生の善いカルマのゆえに、理想神として彼を眼前に見出して、祝福を感じるのだ。
 グルは亡くなると、弟子たちの救世主として他の世界で待っていらっしゃる。
 彼は慈悲の大海だ。
 あなたが、あなたのグルの言葉に信仰を持てば持つほど、あなたの解放はより容易く達成されるだろう。」


「今日、わたしは間違いを犯しました。
 わたしは自惚れから、ウドボーダンの僧に無礼な言葉を使ってしまったのです。
 どうぞわたしがこの悪癖をやめられますように、わたしを祝福してください。」


「どうぞ師に祈っておくれ。
 あなたの祈りが真撃であれば、彼は聞いてくださるよ。」



 夜、石油ランプに灯をつけ、信者は壁にかかっている神々の前でお香を焚いた。
 Mは瞑想のために座り、わたしにおっしゃった。

「今日はあなたのイニシエーションを受けての最初の日だ。
 どうぞあなたのグルの指示に従ってください。」

 徐々に他の信者がやってきて、部屋を埋め尽くした。
 瞑想の後、ある信者は尋ねた。

「在家信者のための道とは何でしょうか?」

 Mは答えられた。

「師はおっしゃった。
『家庭の生活には絶えない病気(無智)がある。人には聖なる集まり(サットサンガ)が必要だ』と。
 どうぞ、機会があるときにはいつでも聖なる場所を訪れておくれ。人はグルの御言葉に信仰を持つべきだ。
 グルを人間であると見なすことは罪深いことだ。
 グルは哀れみ深い神の御姿だ。
 人間はいつも神を見られるというわけではない。それだから、彼はときどき、わたしたちのような人間として降りてこられて、彼の神聖なお遊びをされるのだよ。
 人間はアヴァターラと関係を持つことによって、彼を愛し、彼の神聖な愛を味わうことによって、神についてほんの少し理解する。
 ギーターの中でバクティヨーガについて説きながら、クリシュナはこうおっしゃっている。

『君の心をわたしだけに留めておきなさい。もしそれができないならば、わたしへの奉仕に自己を捧げなさい。』

 そして最後に――『すべての義務を放棄し、わたしのみを拠り所としなさい。そうすれば、わたしはすべての罪から君を解放してあげよう。だから嘆き悲しまなくてもよい』と。

 人びとは水不足のために死ぬ。そしてアヴァターラが来られると、彼らは自分の中庭でそれを十分に得るのだ。
 師は今はホーリーマザーを通じて祝福を授けてくださっているのだよ。」



 Mはそれから、師のお気に入りのある歌から二節を歌った。



 おお、母よ! 汝、わたしの内なる導き手、わたしの心のうちでいつも目覚めていらっしゃる。

 日毎夜毎、汝はわたしを汝の御膝もとに抱かれる。



 Mはタオルをとって、歓喜の涙を拭い、このように続けられた。

「これは形だけの結びつきではない。
 マザーがそこにいらっしゃって、わたしはここいる、という発想は間違いだ。
 彼女はいつも心の中に住んでおられる。
 彼女はすべての母だが、劣った、卑しく貧窮した子供たちにはより一層、頭を悩まされるのだよ。
 師がおっしゃったように、『もし水が丘の頂上に落ちると、それは下へ流れ落ち、低地へたまる』のだ。

 グハ王がラーマへの奉仕に忙しくしているとき、ラーマは彼におっしゃった。

『どうか、まずはわたしの二頭の馬を世話をしておくれ。彼らはわたしをここまで運んでくれたのだ。まず最初に彼らに餌をあげてくれたら、わたしは嬉しい。』」



 Mはそれから、わたしに直接お話になった。

「人はホーリーマザーの付き人に対して怒りを抱いてはいけない。
 彼女たちはホーリーマザーが不便にされていないかどうか、気を配っている。
 それだから、マザーを訪れる前に、マザーの付き人の意見に従い、彼女らを喜ばせてみなさい。」


 夜が更けてくると、信者たちはMに頭を下げて暇を告げた。


1918年10月 タクル・バリ



 この日はマハー・アシュタミ(ドゥルガー・プージャ)であった。
 朝、妻とわたしはホーリーマザーに会いにウドボーダンに行った。
 午後、わたしはMを訪ねると、彼は信者の近くでマザー・ドゥルガーの絵を見ていた。
 その後に、彼はタクル・バリの三階の礼拝堂へ行って、師に礼拝した。
 それから彼は、信者たちに会いに一階の大部屋に行った。
 Mはわたしにおっしゃった。

「ドゥルガープージャの間に、ホーリーマザーを訪ねることができたらいいねえ。」

 わたしは答えた。

「はい、今朝、わたしは妻と共にウドボーダンへ行き、敬意を表してきました。」

「結構だ。このとても吉兆な日に、あなたは自分のグルを訪ねたのだ。どうぞ彼女を訪ねたときのことについて何か話しておくれ。」

「妻と妹は朝早くに料理を終え、わたしたちは10時にウドボーダンに行きました。
 マザーは太陽の光を浴びながら屋根の上に座っていらっしゃいました。
 彼女は関節炎であられたので、薬用のオイルでご自分の足をマッサージしておられました。
 私の妹がマザーの片足をオイルでマッサージすると、次にマザーは妻にもう片方をさするように頼まれ、こうおっしゃったのでした。
『片足だけに触れるのはふさわしくないわ。どうかもう片方もさすってください。』」


「ああ、マザーは何と哀れみ深いことか! それから次に何があったのかね?」


「彼女は彼女の部屋に行き、わたしを呼ばれました。
 わたしは彼女に頭を下げ、彼女はわたしを祝福し、少しの間わたしと話してくださいました。
 わたしは女性のみが長期間の間、彼女とともにいられるということに少し傷つきました。
 あなたにちょっとした個人的なことを話してもよろしいでしょうか?」


「もちろんだ。」


「わたしはホーリーマザーにこう申し上げました。

『マントラを繰り返している間、わたしは師(ラーマクリシュナ)の御姿を心に描くのが好きではありません。その代わりにあなたの御姿が心に現われ、気分が良くなります。これには何か問題があるでしょうか?』

 彼女は微笑んでおっしゃいました。

『いいえ、何も間違ってはいませんよ。あなたは、あなたに何よりも訴える御姿を瞑想していいのですよ。』」


「そうだ。師もまたそうおっしゃった。それから次は何があったのかね?」


「それからわたしは、家族の問題の解決のために師に祈りを捧げてもいいかどうかを訪ねました。
 彼女は答えられました。

『もちろんよ。人はグルに自分の問題について知らせることができるのよ。もし人が師の御名を唱えるなら、すべての苦しみはどこかへ行ってしまうわ。』」


「ああ、マザーの何と慈悲深いこと!」


「それから彼女は師のプラサードをわたしたちにくださり、わたしたちは家へと帰りました。」


 ある信者が言った。

「『おお主よ! 汝をもっと愛する方法をお教えください!』という言葉があります。」

 Mはこのように解説された。

「純真さがなければ、人は純真さの権化である神に達することはできない。
 アヴァターラの両親はいつも、王ナンダとヤショーダーのように純真だ。」


信者「しかし現代では、あまりに純真になりすぎると、だまされてしまうでしょう。」


Mは微笑んでおっしゃった。

「オックスフォード大学出身の学者がイギリス人に向けて書いた本にこう書かれていたよ。

『あなたたちはインドからたくさんの黄金と宝石を持ち帰ってきたが、すぐにそのすべての男たちは戦争へ向かってしまった。 [第一次世界大戦]
 あなたたちはインドから偉大な霊性の宝を持ち帰ることができなかった。
 あなたは彼らの富によって派手な家を建てたが、彼らの宗教を持ち帰ることはできなかったのだ。』

 現在の知事であるロナルドセイ氏は、『シュリー・ラーマクリシュナの福音』を読んだ後、彼の妻と秘書たちとともにドッキネッショルへと行ったのだ。
 彼は福音に載っている場所を見た。
 そして師の甥として知られているラームラルに出迎えられたのだ。」


信者「ラームラルには、師の家族と同じ血が流れております。」


M「そうだ。それは真実だ。聖典には、人はグルだけではなく、彼の家族も尊敬すべきだと書いてある。
 師はこうおっしゃっておられた。

『神に少しでも魅了されるならば、その人たちは、ここに来なければならなくなるだろう。』と。」



 夜も更けてきた。
 信者たちはMに頭を下げ、暇を告げた。

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