「夏への扉」の原作「THE DOOR INTO SUMMER」を、講談社「世界の科学名作」第13巻として、福島正実さんが翻訳したもので、1965年10月刊行されました。
「THE DOOR INTO SUMMER」の邦訳としては、3番目にあたります。
読者を想定したのでしょう、原著では描かれていたことが省略されていたり別の表現になっているところが多々あります。
本書では、ダニー(版によってはダニイだったりする)が酒場に入るところから始まります。
このため、
He had a fixed conviction that at least one of them must lead into summer weather.
の文章のある部分が省略されています。
このことによって、最後の
However, Pete, being a proper cat, prefers to go outdoors, and he has never given up his conviction that if you just try all the doors one of them is bound to be the Door into Summer.
You know, I think he is right.
の部分が、そっくり省略されることになります。
本書の題名が「夏への扉」ではなく「未来への旅」であることの意味がここにあるのは、とっても残念なことなのだと思いました。
ためしに、目次を並べてみよう。
In which a house is built at Pooh Corner for Eeyore
プー横丁にイーヨーの家がたつお話
プーの細道にイーヨーの家がたつ。
In which Tigger comes to the forest and has breakfast
トラーが森にやってきて、朝ごはんをたべるお話
トララが森へやってきて朝ご飯をご一緒に。
In which a Search is Organized, and Piglet nearly meets the Heffalump again
捜索隊がそきしされて、コブタがまたゾゾに会うお話
捜索隊が結成され、コプタンはふたたびゾオオに遭遇しかける。
In which it is shown that Tiggers don't climb trees
トラーは木にのぼらないということがわかるお話
トララ族は木に登らないことが判明。
In which Rabbit has a busy day, and we learn what Christopher Robin does in the mornings
ウサギがいそがしく働いて、クリストファー・ロビンがお昼まえになにをするのかが、みんなにわかるお話
ウサギは一日じゅう忙しい。そしてクリストファー・ロビンが午前中何をしているかわかる。
In which Pooh invents a new game and Eeyore joins in
プーがあたらしい遊戯を発明して、イーヨーが仲間にはいるお話
プーは新しいゲームを発明し、イーヨーが参加する。
In which Tigger is unbounced
トラーが、はねっかえりをなおされるお話
トララが暴れん坊性分をなおす。
In which Piglet does a very grand thing
コブタが、とてもりっぱなことをするお話
コプタン、でかしたぞ!
In which Eeyore finds the Wolery and Owl moves into it
イーヨーがクフロ荘を見つけて、フクロがそこへひっこすお話
イーヨーがフロクン庵を見つけてフクロンが引っ越す。
In which Christopher Robin and Pooh come to an enchanted place, and we leave them there
クリストファー・ロビンとプーが、魔法の丘に出かけ、ふたりは、いまもそこにおります
クリストファー・ロビンとプーが魔法の丘へのぼり、私たちはそこでふたりとさようなら。
原文、石井訳、阿川訳である。
原題は「Why War Is Never a Good Idea」、否定詞は「Never」、長田さんの訳「なぜ戦争はよくないか」では、著者が「Never」で訴えたいことが、ちょっと弱いかしらと思う。
でも、こうした問いかけそのものに、「現実にある脅威にはどう対処するのか」的な反論があることを前提に、あえてさらっとした訳にしたのかもしれない。
戦争は/たくさん経験を積んでも/すこしも賢くならないのよ
じぶんのものじゃない/どんなものも/戦争は/へっちゃらで/破壊してしまうの/戦争よりもずっと/ずっと古いものだって/へっちゃらで
Though war is old, it has not become wise.
It will not hesitate to destroy things that do not belong to it, things very much older than itself.
本書で“Museum für Urzeittiere”、訳書で「古生物博物館」とさている博物館、挿絵に描かれているのは“Naturhistorisches Museum Wien”、「自然史博物館」と呼ばれているところだ。
http://www.nhm-wien.ac.at/
以前、一度入ったことがある。
数年前、屋上ツァーに行こうかと思ったことがあったが、スケジュールの都合がつかなくて行かなかった。
http://www.nhm-wien.ac.at/veranstaltungsprogramm/nhm_the_view_from_the_roof_305