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随想ジャーナリズムコミュのレバノン紛争とマスコミ

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現代は、携帯電話で撮影した特ダネ映像が、ニュース専門テレビ局を通じて、一瞬の内に世界中で放送される時代である。

そうした時代には、戦争は単に前線で武器を使って行われるだけではない。

報道機関を通じて、国際世論を味方につけられるかどうかも、重要な戦いの場である。

去年7月に勃発したレバノン紛争では、イスラエルに対する国際世論の見方が厳しい。

その理由は、イスラエル軍が丸腰の国連監視軍の兵士4人を殺害したり、レバノン南部のカナという村で、市民が避難していた建物を攻撃して、多数の死者を出したりしたことである。

特にカナでの誤爆では、多くの子どもが犠牲になった。

BBCテレビは、子どもの小さな遺体が瓦礫の山から次々に運び出される映像を世界中に流し、人々に強い衝撃を与えた。

(当初レバノン政府は、死者の数を56人と発表したが、赤十字は数日後に28人に訂正した。)

この事件をきっかけとして、それまでイスラエルに対する批判を控えてきた米国やドイツまで、イスラエル軍の攻撃方法を批判し、即時停戦を求めるようになった。

その意味で、イスラエルは国際世論を味方につけるという情報戦争では、旗色が悪くなっている。視る者の感情に直接訴える、映像のパワーである。

だが、民族と宗教が複雑にからみあった中東情勢の舞台裏は、映像には決して現われない。

その一例をあげよう。イスラエルがレバノンに対する攻撃を始めたきっかけは、レバノン南部に巣食っているシーア派民兵組織ヒズボラ(神の党)が、イスラエル兵2人を誘拐し、兵士8人を殺害したことである。

ヒズボラは、イスラエルの長年の宿敵であり、国連もレバノン政府に対してこの民兵組織を武装解除するよう決議を行っていた。

ヒズボラはこの決議を無視し、イスラエルを敵視するシリア政府やイラン政府から、大量の武器供与を受け、1万発を超えるミサイルやロケット弾をレバノン南部に集中させていた。

シリアとイランの強力な支援がなかったら、ヒズボラはここまで頑強にイスラエルに抵抗することはできなかった。

ヒズボラは、連日100発から200発という大量のロケット弾を、イスラエル北部に撃ち込んでおり、イスラエル側にも50人を超える死者が出ている。

だがヒズボラによる攻撃は今に始まったことではなく、2000年にイスラエルがレバノン南部から撤退して以来、散発的に行われていた。

イスラエル北部の経済活動は事実上ストップしているが、レバノン側の犠牲者はイスラエルの10倍以上なので、イスラエルに同情する人は少ない。

ヒズボラは、イスラエルの空爆で破壊されたベイルートの町並みを、報道機関に撮影させるツアーを企画するなど、マスコミの利用方法に長けている。

この点でも、イスラエルは情報戦争に負けている。

2000年を超える抗争の歴史を持つ、複雑な地域を理解するには、映像だけを見るのでは、不十分なのである。

(文・ミュンヘン在住 熊谷 徹)

筆者ホームページ http://www.tkumagai.de

コメント(3)

興味深いです。
これからも沢山真実を教えてください。
映像も含めたたいがいの情報戦争で一番下手なのは日本でしょう。迷走するNHKの会長に英国人を据えるか、ぐちゃぐちゃの組織、人事を立て直すのにゴーんをつれてくるなんか、どうかな。
ゴーンさんは、日産は建て直せたが、NHKはどうでしょうか?
NHKには株主がいませんからね。利益をあげることで図られる株式会社よりも、特殊法人を再建するほうが難しいのではないでしょうか。

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