DJ ZephコミュのDJ ZEPH/Sunset Scavenger

〔Notrax Review転載〕
読みづらい特徴的な字体でアーティスト名が書いてあるあの丸いステッカーでおなじみ、WIDE HIVEレーベル。アンダーグラウンドヒップホップ(のアナログ)を買っている人なら気になるはずのこのレーベルでも重要なアーティストの一人が、DJゼフ(DJ ZEPH)。彼(勝手に男だと判断させてもらいます)は西海岸アンダーグラウンドの'90sコンシャスな作風とターンテーブリズムのコンビネーションで絶賛されたファーストアルバム"DJ ZEPH"を2001年にリリース。その後メンバーの一員としてもクレジットされるようになったVU絡みでは、先ごろリリースされたAZEEMとのアルバム"Mayhemstics"など、ディープな色が強いサウンドを提供している。その彼のセカンドアルバム、しっかり充実しているぞ。

まず今作全体を通して言えるのはポジティブな雰囲気にあふれてるってこと。アングラというと地味だとか暗いとかそういうイメージがあるかもしれないが、彼のサウンドはアッパー過ぎないポジティブさで、聴いていて元気が出るような独自のHIPHOP。といって思い浮かぶのはジュラシック5 (Jurassic 5)あたりかもしれないが、どちらかというとブラカリシャス(Blackalicious)とか昔のファーサイド(Pharcyde)の色に近いか。とにかくソリッドなドラムビートを基本に、ラテンやラウンジ系からオールドスクールまでさまざまなサンプリングを結びつけ、新しい音楽を作り出すHIPHOP 基本の醍醐味がいっぱいのおしゃれなサウンド(オサレ専門学校的とか言ったら偏見?)。

アブストラクトなベースに涼しいキーボード、そこにDJ QUESTのコスリが映えるインスト1 "Unsubtractable"で幕を開け、ラウンジーなネタにドラムブレイクが入り込んだかと思うとアラビックなサンプルや謎の笛(?)が鳴りまくる 15 "Listen Hear"でシメるこのアルバム、聴きどころのピックアップに悩むくらいどの曲もいいっす。強いて言えばなつかしのクープ(The Coup)が渋く語るジャジーだけどロックな2 "Shake it on down"、前ノリなビートにリリックスボーン(Lyrics Born)のラップが映えるオールドスクール風の4 "Hands Up"や彼流のボッサとでも言えそうな9 "Sunset Samba"あたりを聴いて欲しい。ちなみに収録16曲中11曲がインスト主体にもかかわらず、飽きさせないこのバリエーションと構成力はマヂお見事。大人が納得のHIPHOP、意味不明のデザインワークと爆笑モノのskitもかっこいいっす。

〔blues interactions転載〕
西海岸を代表するDJ／ターンテーブリスト／プロデューサー、DJゼフ。ヒップホップをベースにしながらも、ジャズ、ソウル、ラテン、オリエンタル・サウンドなどのエッセンスと、生楽器、スクラッチ、サンプリングを巧みにフュージョンさせたオーガニックなビートを創造する彼の2年ぶりの2ndアルバムは、リリックス・ボーン、クラウン・シティ・ロッカーズのラサーン、アジームら、豪華MCもゲスト参加。

2004-07-16リリース


01. Unsubtractable [featuring DJ Quest]
02. Shake It On Down [featuring Boots]
03. Midnight Crewsade
04. Hands Up [featuring Lyrics Born]
05. Raw B Interlude
06. Underscore
07. Floorwax [featuring Rashaan Ahmed]
08. Imperial Interlude
09. Sunset Samba
10. Frogs [featuring Azeem]
11. Go Back [featuring Vursatyl]
12. Cormorant
13. Organ Eyes [featuring Ron E. Beck & Chester Thompson]
14. Dhamaal Interlude
15. Listen Hear
16. Metafore Five Six [bonus track for Japan]




個人的に前作の生テイストなブレイクビーツがかなりツボだったため、２NDはちょっとベクトルが違う方向にいっちゃったかな…？と思ってしまいましたが…
あぁぁ、ZEPHもそっちいっちゃうか…的な？
いいトラックメイカーは、絶対生っぽいを極めたらエレクトロニカ、アブストラクト方面のちょっとデジ系に走りがちのような…
ただ、やはりZEPHの計算されつくした展開満載のブレイクビーツは健在で、しかもこのアルバムはゲストにラッパー陣なども豊富で最初から最後まで飽きることなく一気に聴ける内容です！