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ライアル・ワトソン ファンCLUBコミュのアースワークス

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アースワークス 大地のいとなみ Earthworks 1986年 (訳:内田美恵 1989年)ちくま文庫 
を語りましょう!
文庫裏表紙より:ワトソンの短編集であり、地球とその上に住む生命体が不可思議さへの様々な視点からのアプローチ。地球生命には、なんらかの超自然的な世界が存在することを認め、この科学の辺縁にある”ソフト・エッジ(淡い縁)”に光を当て、ワトソン一流の分析を試みるライフサイエンス・ファンタジー。

まだ読んで無い人も下記を読めば仲間入り。
エッセンス:http://kamakura.ryoma.co.jp/~aoki/mixiwatson/Earthworks.htm
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1 生命の勝敗
 生命の勝敗はどこに基準をおいていいかわからない。「高度に進化したものが、勝者だ」といういささか傲慢な答えする人もいるだろう。「生存しつづけることが唯一の証」という答えを出す人も中にはいるだろう。

 しかし、シロナガスクジラが捕鯨により絶滅するとき、彼らを進化上の失敗作としていいのだろうか? 

 進化の過程を振り返ると、不思議な現象が浮かび上がってくる。 敗者こそが進化の重要な鍵を握っているのだ。

 水面下の激烈な競争にたまりかねたシーラカンスの仲間が死にものぐるいで陸に上った頃から、このパターンは変わらない。

 人類は森から落ちこぼれた猿がサバンナに移り、さらに猛獣に追われて海に逃げ込んだ猿の末裔だ。

2 偶然のパターン
 近ごろは一角獣というものをとんと見なくなった。 中世美術にたびたび登場していたところを見ると、彼らも昔はごくありふれた存在だったようだ。しかし最後に彼らを見かけたという風聞を耳にしたのは、いったいいつのことだったろう?ユニコーンもついに絶滅したのだろうか?それとも、彼らが見られなくなったのは、その習性がなんなかの理由で一変したためだろうか?

3 意識のルーツ
 未知のエネルギー発見の為、植物をうそ発見器にかけた、実験のことは、もう話したが、植物にはまだまだ未知の部分がある。
 キンセンカはバッハの「コーラルプレリュード」を聞かせると、早く豊かに成長すが、ハードロックを毎日毎日聞かせるとすぐ枯れてしまう。 カナダでは、トウモロコシと大豆の栽培にこの音楽栽培で通常の20%アップの収穫を得ている。大豆のほうはガーシュウィンがお気に入りと言うことだった。
 水性植物に、クロロホルムを与えると、昏睡状態に入りいつものように酸素の気泡を吐かなくなる。そしてついには溺れてしまう。
 とくに敏感なのは、サボテンで、サボテンに電極をとりつけてしばらく特定の人物に育てさせると、その人間がそばを通っただけで特定の反応を示すという。 まるで、ペットのように自分の主人を何らかの方法で感知するのだ。 どうやら植物は、神経系こそないが、信号は電気で伝達するし、僕らが理科の時間に信じ込まされてきた以上に、もっと動物に似たものらしい。 しかも、そこには意識すらあるらしい。
ただ一つだけ、ハッキリしてることがある。彼らは僕らのように頭痛に悩まされることだけはないようだ。
4 群れの正体
その鳥の群れが空を横切ると、日食で陽がかげったかと思われるほどの大群をなした。なにしろ1時間あたり3億匹という塊が、3日も4日の頭上を通りすぎるのだ。このリョコウバトの数は一説では200億匹とも400億匹ともいわれたが、この空前絶後を野生動物の壮大な眺めは、「最大級の虐殺」をもって歓迎され、わずか100年後に絶滅した。 群れていたが故に一網打尽にされたのだ。残ったハトは群れがない故に滅んのだ。

 海の中をみても同じだ。小魚はよく群れる。  

 最近では、見かけなくなったが、昔はVの字に編隊を組んで飛んでる鳥をよく見た。あの形で飛んでいるとお互いの羽の先からでる上昇気流を利用して単独で飛ぶより倍近く楽に飛ぶことができる。

 小魚もお互いに水流をうまく利用している。 しかし、何故群れるのか?

5 気がかりなこと
今日の子どもが彼らの祖父母より早熟で、学習の速度も早いように見えるのは錯覚ではない。最近の情報の氾濫や教育の影響を差し引いても確実に学習速度は進歩してる。

 ラットに二つの橋を選ばせ一方の橋に餌をおいておくと、いずれは学習して餌のある橋をすぐに選択できるようになる。しかしこれを学習するのに1世代目より、2世代目のほうが早く覚える。3代目はさらに早く覚える。つまり「累積記憶」ともいえるものがある。

6 ドラゴン夢幻
 脳は右脳左脳の2つに分けられるが、3層にも分けられる。 卵の殻の部分に相当する、「新皮質」で霊長類的に考え、白身に相当する部分で鳥や、原始哺乳類的に考え、最も中心の脊髄の膨らんだような部分は虫類的に考えている。

8 生命電流
 電気ウナギのような発電動物ばかりか、ごく単純な原始動物を含むあらゆる生物から電気は検出される。
 サラマンダーを磁石に囲まれた塩水に浮かべてくるくる回転させると磁場が発生する。動物発電機だ。 植物にもこの磁場は観測できる。さわると感電死する電気ウナギならぬ電気食虫植物がいてもまるっきりのSF世界のお話というわけではないのだ。
 葉っぱの一部を切り取っても、ある特別な写真機で撮ると、切り取った部分までボーっと写り、完全な葉の形で撮ることができる。いわゆる「ファントムリーフ現象」だ。 植物の磁場は周期性をもっていて、日周期、月周期、太陽黒点周期で変動する。
 この磁場はなにも成長した動植物にあるわけではない。受精卵や胚にも複雑な電気パターンがある。どやらやどの遺伝素子を成長させるかを教えているらしい。 サラマンダーの尻尾になるべき胚の部分を切り取って足の部位に移植すると足になるし、蛙の胚を半分にしても半分の蛙ではなく完全なカエルに成長する。 受精卵がどうしてカエルや花になったりするのか、生物学の分野で最大の謎とされている問題で、これこそノーベル賞級の発見が最も望まれているテーマなのである。
 サラマンダーは、人間と違ってとかげの尻尾のように体を再生する能力がある足でも、目でも、あるいは心臓や脊髄、はては脳の一部も再生することができる。
 カエルはサラマンダーとほぼ同じ大きさと複雑さを持つ両生類だが、再生能力はない。このカエルとサラマンダーの前足を切った実験で、今後の医療が飛躍的に発展できる可能性を見つけだした。切断後4日目にサラマンダーの切り口から、負の電気がしょうじ、胚のときに現れるような、まだ分化してない、これから指示通りにどのようにでも成長する、原始的な細胞に逆戻りしたのだ。そこからは卵の中でひなが形を表すごとく、もとの足が再生した。 おもしろいのはこれからで、カエルに負の電気を加えてみたのだ。すると・・・・ カエルの足も再生した!さらに実験はエスカレートしてネズミの足の再生にも成功したのだ。しかしこの画期的な発見は保守的な医学界の圧力に潰されかかってる。ああなんということだ!
 これほど生物に関わる電磁場故、逆に生物のサイクルにあわないものは、生物に悪さをすることもある。 50〜60ヘルツの交流電流は、妊婦はさけた方がいい。永久磁石の工場従業員はイライラやめまいをおこしやすく、高圧線の真下の家では、自殺者のでる可能性がほかの地域より40%も高い。
 われわれの成長や、神経など生命的なプロセスは基本的に電気的なものであり、われわれは電動ロボットと大差ない。この現実からは逃れようもない。われわれは宇宙の「コンセント」につながっており、スウィッチももう「ON」になっているのだ。あとはただ、応えるだけである。
水の奇跡
 水にはほかの物質にない特性がある。

 まず液体より固体の方が軽いことだけで普通の物体の特徴とひっくり返っている。もし氷が通常の物質の同じに水のそこに沈んだらどうなるだろう?年々水のそこから氷がたまって、すべての海すら氷の塊になってしまう。当然そんなところに生物は生まれなかった。氷はそれどころか、湖や、池の表面に浮かんで保温の役割すら果たしているのだ。

 沸点についても通常の分子量にあてはめれば、零下一〇〇度で凍り、零下九〇度で沸騰するはずだ。我々の体温で沸騰してしまい、地上はどこもかしこも水煙がただ立ちこめる世界となる。

 水の分子結合は比類なく強い、あまりに多くの水素結合をしているため、コップ一杯の水は一つの巨大な分子のようなものである。この結合の強さは、水同士では表面張力のなってあらわれるが、他の物質とも結合しようとする。例えばコップに水が半分のときにはそのガラスの縁を少しはい上るのも、ガラスと結合しようとしているからである。この作用があってこそ僕らの血管は体中にしみわたるのだ。水がもっともリラックスした温度が、哺乳類の体温とぴったり符合する三五度から四〇度の間であることも、水の特徴が生命を育んだことを証明する。 

 また水は並々ならぬエネルギーの塊でもある。ほかのどんな物質よも多量の熱量を吸収し発散する。たった一リットルの水にも、60ワットの電球を一〇〇時間も点灯させておくだけのエネルギーを蓄電できる。いまでも宇宙船の長期発電機の燃料として使われている。水のエネルギーは液体から固体に変化するときその一部が放出される。寒い夜に温室の中に、水を満たした桶をおいておくと、水か凍るときに発散するエネルギーで、温室の中は外よりも暖かくたもたれる。同じように、気体から液体−−水蒸気から水−−になるときもエネルギーを放出する。水蒸気の塊である雲が雨を降らすとき吹く風や雷は時には原子爆弾にも匹敵するエネルギーを放出する。 

 水は時間さえかければ最も強固な金属さえも溶かすほど苛烈であるが、同時にあまねく生命を支える寛大さを持っている。この霊妙なるものをもっと深く理解したいものだ。

11 利き手の生物学
 「あらゆる作用には、それと同等ながら反対向きの反作用がある」こう指摘したのは、かのニュートンだ。ごく一般的にいって彼の指摘は正しい。

 確かに二元性は、宇宙を貫く法則ではあるようだ。光と影、陰と陽、男と女、この双方によって世界は特徴づけられているようだ。この考えがよく整理されてるのが中国の陰陽五行説だ。 我々の体も基本的に左右対称だ。しかし、見た目の左右対称はあくまで表面的なもので、機能的にはだいぶ片寄りがある。なにしろ、僕らの80%〜94%までが圧倒的に右利きなのだ。(民族を越えて)

 これは動物界では人間だけである。  石器時代の道具や絵を見るとなんの片寄りもない。(右利きの人が顔を描くと左向きの顔になるからすぐわかる)また、ブッシュマンやアボリジニーなど現代に生きる古代人の多くは両手効きである。 利き手は、どうやら農機具から影響を受けた、比較的新しい人類の癖らしい。最初の一本の工具が右効きようにつくられたため、そこからつくられるカマは右効き用となり、そのカマを使った人は、また右効き用の道具を作る。この繰り返しで右利き文化圏が広がったようだ。

 現代は完全に右利き社会で、駅の自動改札など、左効きの人にはちっとも便利ではないだろう。ハサミやギター、野球のグローブは左利き用を買い求めるのも困難だし、コンピューター、ドアのノブ、電話のコードの位置、にいたるまで日常生活でのストレスは耐えない。心臓に負担をかけることもあるかもしれないが、左利きのひとは、短命である。

 しかし、左利きには、右利きと違う才能がある。とくに音楽においては顕著にあわわれる。僕の友人でポールマッカートニーに憧れ、右利きにも関わらず左利きに矯正した奴がいるが、いまでは後悔してそうだ。

 世のおかあさんたちが自分の子どもを右利きによく矯正するが、あれは絶対止めた方がいい。才能が壊れるし、時には言語障害や、癲癇もちとなる可能性が一二倍も高い。

 ヨーロッパでは、日本より、完全は右手偏重主義で、なにがなんでもなおさせる。右手は正しく、左手は悪魔の手なのだ。キリスト教の祝福は右手で行われるし、協会の回りを時計と反対に回ってはいけない。ローマ法王は右利きが条件だし、悪魔の絵の描くときは決まって左利きだ。だから、切り裂きジャックやビリーザキッドなど悪党は概して左利きで登場する。(ジェイソンはどうだっかかな?)

 


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